• 君の部屋はあの時のまま

    もうどれくらいになるんだろう…… 1年半になるのかな。 息子の部屋は、いまもなおあの時のままにしてある。 今日は天気がいいから、部屋の窓を開けて換気してある。 片付けられるはずがない。片付ける理由もない。 片付けたって、新しい人が使うわけじゃない。 いつ奇跡が起きて、息子が生き返って帰ってきてもいいように…… 使いさしのファブリーズ…… 君は彼女が出来てから、ずっとおしゃれに気を使ってたよね。 日

  • ゆがみ ~全てはあの日から~

    全て額膜行かず、ちぐはぐな日々が続いている。 娘は結局3学期、引きこもりのまま終わってしまった。 新学期からどうなるのかもわからない。 まあ……大好きだったお兄ちゃんが、あんな形で死んだら、そりゃ色々歪むよな。 僕は結局、会社にわざと障害を知りつつ苦手な場所を押し付けられ、復職はポシャってしまった。 いまは、辣腕弁護士の先生が動いてくれて、解雇撤回で会社と争っている。 会社なんかに正直未練はないん

  • 家族という名の壊れて止まった時計

    娘の不登校は続いている。 正直手の打ちようがない、厳しくすれば何かあったら困るし。 さりとて、このまま堕落して思い詰めればやはり…… 夫婦ともども正直手が出せない。 でも、この小さな女の子の心をえぐった大きな爪痕を考えると…… 自分も思春期に大好きなお兄ちゃんを失えば……たぶん正気でいられないと思う。 笑いの絶えない家庭。 ごく当たり前の一般的な家庭…… あの日を境に、僕たちの家族という名の時計は

  • 前向いて立ちあがってんじゃねえ

    ちょっと息子の生前の彼女のツイッターが気になったので、のぞいてみた。 息子とのおそろいのアクセサリーの画面が、ゲームの画面に変わっていた。 分かってる…… 彼女もいつかは息子を忘れて、前を向かなきゃいけないってことを。 でもな……でもなぁ。 まあ1年ちょっと……ちょうどいい時期なのかな。 当然僕らは立ち直っていない、前を向けていない。 当然だ、『家族』だからな。 でも、息子の彼女は所詮は赤の他人な

  • 全力で笑えているのかな

    あっという間に年末…… テレビのバラエティ番組が充実してきた。 階下のリビングから、妻と娘の笑い声が聞こえてくる。 いいこと……なのかもしれない。 悲しみを忘れる事が出来ているのなら。 たった一瞬でも……あの日の事を忘れられずにいられるのなら。 君が居なくなった家。 何かが欠けてしまった家。 少しでも、悲しみを忘れられるのなら。 少しでも何か大切な存在が欠けていることを忘れられるのなら。 僕もそれ

  • 止まらない止められない連鎖

    あんまり暗いこと書いてても仕方ないので、少しこの場から離れていた。 家庭は少しずつ、彼の掛けた日常に慣れ始めている。 僕もまた、なんとか障害を引きずりつつずっと生きている。 知らないうちに、沢山の新しい人のブログが生まれている。 それぞれがものすごく悲しい物語。 それが止まることなく、新しくどんどん生まれている。 分かっている。止められないことなんか。 これからも、これからも……哀しい物語はどんど

  • 狂ったままの歯車

    ずっと体調が思わしくない。 妻も何か憔悴しているような感じがする。 娘の不登校状態は続いている。 あることがきっかけで、何もかもがうまく回らなくなっている。 家族が一人欠けること……ものすごく大きな意味があるんだな、と思う。 正直自分も立ち直れない。立ち直れるほど強くない。 ふさぎ込む娘に掛ける言葉も見つからない。 兄を失う……きっと思春期の女の子にはとてつもなく大きなショックなんだろう。 みんな

  • 潰えた沢山の名前と沢山の物語

    昨日は自死者の合同法要に行っていた。 去年と同じく素晴らしい法要だった。 自死に向き合う関西僧侶の会の皆様には、本当に感謝したい。 もちろんのこと……息子に会えるのでは、と思ったけどやっぱり霊感もないしダメだった。 でも、法要開始時に、消えるはずの無い電燈が一瞬消えたり…… 法要の終わりに、自死者の人たちの名前が読み上げられる。 息子の名前も呼ばれた。 呼ばれる沢山の、名前、名前、名前…… みんな

  • 蒙古斑

    日付が変わった。 今日は自死に向き合う関西僧侶の会の方々が開いてくれる、自死者の合同法要の日だ。 思えばもう1年になる。早かった。 思い切り泣いてこようと思う……最近自分の気持ちを吐き出す場所が無かったから。 ふと息子の事を思い出していたんだ。 彼が死に踏み切る数日前…… 彼がカラオケに行きたいと言ったのを、お小遣いが無いし時間的に厳しいからダメだと断ってしまった後悔。 彼の小さかったころの、色あ

  • また君に逢えたら

    ことしも、自死に向き合う関西僧侶の会の皆様が開いてくださる法要に来週参加する。 去年はまだ子供を失ったばかりで、ゆっくり考える余裕がなかったけど。 ある研究のお手伝いをした僧侶の方の話では、法要中に沢山の自死者の人が姿を見せてくれるんだとか。 霊感のない僕には解らないけど…… でも、会える気がするんだ。 信じていれば会える気がする。 いー君、今年も行くからね。 出来ることなら、僕に見える様に姿を見

  • 君が居なくなって1年

    日付が変わった。 今日で1年になる。 色んな事を考え、悩み、迷い、生きてきた。 あの悪夢の日からもう1年が過ぎた…… 嘘であって欲しい。 息子がいなくなったなんて嘘であって欲しい。 そう思っている自分がある。 でも、すでに出された結果は覆らない。それは痛いほど分かっている。 これまで子供と過ごした17年…… 決して悪い思い出ばかりじゃないんだ。 だからこそ悔しい。だからこそやり切れない。 『もう大

  • 湧きあがる黒い感情

    どうしてだろう…… 自分の中には、2つの自分がいる。 近所の……街角の……母親に連れられた小さい男の子。 それを見て優しく温かい心になる自分。 子供が元気な親が憎い……湧きあがる黒い黒い感情。 もちろん後者の方の気持ちを認めちゃダメなのは分かっている。 でも、うらやましいんだ。 生きている男の子を育てている親が。 憎んじゃいけない、分かっている。 でも何とも言えない気持にもなってしまうんだ。 どう

  • 勝手に回り出す日常の歯車

    いー君がいなくなって、もうすぐ1年だ。 それなりに僕たちは落ち着きを取り戻し、日常の歯車を回し続ける。 『恋人と親は悲しむが、3日とたてばもと通り』 ……そんな歌があったな。生きてることが辛いなら……だ。 3日は大げさだけど、彼が最初からいなかったかのように…… 日常の歯車は非情に回り続ける。 これでいいんだろうか……いや、良くないと思ってるよ。 人間って不思議だね……1年前、あれだけ魂の底から慟

  • 君の望みをかなえに行くよ

    『パパ、面白かった。また連れてきてな』 大きな魚が釣れた時の君の笑顔、夕暮れの中を歩く僕たちの姿。 海に行こうって約束してたよね。またこの釣り場に来ようって。 あんなに楽しみにしてたはずなのに…… 約束守れなかったね。 仕方ないよ、君がいなくなってしまったから。 でも、行こう。 水曜日、君の遺骨ペンダントを胸に……釣りに行こう。 水曜日、どうもお天気も晴れそうだ。 君の竿も持っていくよ。君の竿で釣

  • 2カ月後……きっと君に会えることを信じて

    そういえば、今年も自死に向き合う関西僧侶の会の皆さまが、12月に法要を執り行ってくれるそうだ。 今年も出席しようと思う。 法要を行ってくださった、1人の僧侶の方とじっくりお話しする機会があった。 その方のお話では、複数の方から『会場に亡くなった方々が沢山帰ってきておられるのが見えた』との参列者の人たちからの報告があったとのことだ。 僕には当然霊感とかそんなものはないから、見えなかったけど。 会える

  • 全ての人の魂の戦い

    ここ数日、ちょっと厄介なことになっている。 弁護士さんが動いてくれて、現在はある準備を進めている。 会社関係者が見てるかもしれないから、詳しく書けないんだけど。 あの場所、あの時間、あの空間に僕ははっきりと見えたんだ。 半透明で部屋の隅にたたずむ君。 ものすごく悲しそうに立っていた君。 崇高な魂を穢すものとは戦わなきゃいけない、そう思った。 支援者の人がいくらあの空間に憤慨しようとも、これは僕たち

  • 娘の夢~きっとかないますように~

    いま、嫁に娘が本を借りてきた事を起こして聞いたんだ。 嫁にいろいろ話を聞いた。 娘はカウンセラーになりたいという夢を持ったそうだ。 素晴らしいことだと思う。 二度と……お兄ちゃんのような、悲しい最期を迎える人が出ないように。 一人でも多くの人を救えるように。 ちょっと僕は嬉しくなった。 夢を追おうとしている。 心が折れずに……娘が夢を持っている。夢に向かって進もうとしている。 本当に素晴らしいこと

  • 理由を求めて

    娘が、学校から1冊の本を借りてきていた。 『人はなぜ死のうとするのか』 あまり見たくはない本だ……でも、娘は娘なりに、何も自分に書き残さずに逝ったお兄ちゃんの心を知りたいのかもしれない。 もしくは、まさか自分が……いや、そんなことは考えたくもないけど。 でも僕は、娘にその本を読むなと止める権利はない。 でも、何かを話し合わなければいけない時期に来ているのかもしれない。 複雑なんだろう…… あれだけ

  • こんな思いはして欲しくないから

    いまニュースで、夏休み明けの中高生に自殺が多いというニュースをやっていた。 どんな特徴的な前兆があるとか…… ウチのリビングは微妙な空気に…… 僕らに取ったら手遅れなんだけど、前兆に気付いて止めてあげて欲しい。 普通の家庭の人は、でもこんなニュース見ても他人事なんだよね。 まあ、仕方ないのかもしれない。 自分のところの子供が自死するなんて、普通は思わないもんね。 ウチだって何もなかったのなら、この

  • 当たり前に回り出す日常

    みんなきっと心の底では、まだあきらめ切れていない。 妻も娘も…… でも、いー君がいない生活が当たり前のこととして流れ始めている。 今日は僕が留守番、妻と娘はボーリング。 僕はボウリング100点出せないボーイだから、やらない。 でもいー君は、ちょうど去年の今頃、ボーリングに行ってたんだよね。 家にだれもいなくなると、僕は仏壇で線香を燃やす。 仏壇…… そんなもの、家に置くなんて考えもしなかったな。

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