• いっそあの娘を恨めたら

    今日ぼんやり、テレビの刑事ドラマを見ていた。 不慮の事故で幼子を亡くした母親が犯人で…… 事故を起こした相手を殺した殺人事件の話。 涙腺が弱いのか、ぽろぽろ泣いてしまった。 ウチの息子の自殺の引き金を引いたのは、息子の彼女だ。 悪い子じゃないのは分かってるけど…… ネットを禁止にしておけば、彼女と会ってケンカして死ぬこともなかったろう。 直接の引き金は彼女でも……『下地』を作ったのは僕たち家族だ。

  • 絶望を残して……僕は救えなかった

    テレビのニュースで、取手市のかわいい女の子がいじめで自殺したと聞いた。 担任もグルになってのいじめ……どんなに辛かったことだろうか。 親は助けてあげられなかったんだろうか 世の中に絶望しての、死の決意……本当に気の毒でならない。 ウチの息子は、ちょっと違うんだけど……年上の彼女からのきつい仕打ち。 死んだ方がましだ、と思ったのには間違いがないんだろう。 そこには、家族…… 僕や妻や、妹のことは浮か

  • 三回忌を迎える君へ

    早いね。あの日から2年が過ぎた。 あの日の君の『決断』は、正しかったのか……僕には分からない。 ただ、全ての歯車が狂ってしまって…… 君という存在が、家族にとってどれだけ重要だったか思い知らされている。 君の妹は、もうずっと不登校だ。多分もう立ち直れない。 何か書き遺してあげて欲しかったな。 僕とママに書き遺す余裕はあったんだろうけど…… 君の妹は、君が思うよりずっとずっと君を頼っていたと思うんだ

  • もうすぐ三回忌

    今年もやってくる。あの日がやってくる。 木枯らしが吹く、秋の終わりを告げる季節。 寒風の中、人生で一番泣いたあの日がやってくる。 TVの中では、今日も小6の女の子が自殺か……との報道。 なにも変わらない。変えようとしても変わることはない。 昨日も、今日も、明日も、明後日も……子供たちは自分で命を絶っていく。 そしてその数だけ、悲しみと無力感に打ちのめされる新しい自死遺族が生まれる。 こんなこと終わ

  • 基本的な解けない疑問を抱いて

    今日も犬の散歩で、尻尾を振って走る犬の背を追う。 追いながら、ふと何度も浮かんでは解けない問いが浮かんでくる。 なんで息子は、死を選択したのだろう。 彼女とのけんかが引き金なのは分かっている。でもそれだけじゃない。 死を選択するには……例え突発的であれ、もっと理由があるはずだ。 高校受験での挫折、それをフォローせず咎めた僕。 家庭環境……学校での生活……色んな事があったはずなんだ。 どうして言えな

  • 君の名を世界へ~僕が創作を続ける理由~

    さっき、ついちょっと思い立って、自分のHNをエゴサーチしてみた。 眉丈千羽じゃない、メインの活動名だけど…… そしたら海外の人が、僕の作品を紹介してくれてる記事に当たった。 日本語が分からない人にも、一応作品のコンセプトみたいなのは分かってくれてるんだなぁ、と妙な考えを抱きつつ、自分の記事に目を通す。 絵が上手だったいー君。 君の描いたイラストは、誰の目に触れることもなく…… 僕の隣室の君の部屋の

  • 深まりつつある季節

    また秋が来た。 食欲の秋、芸術の秋…… 世間にとっては楽しい季節だろう。 でもこの季節は、僕にとっては……哀しい記憶を呼び覚ます季節だ。 土気色になった息子の肌。首にくっきりと残る首吊りのあと…… 生まれて初めて乗る救急車。一生懸命心臓マッサージをしてくれる救急士さん。 皮肉なことに、消防署が家のすぐそばだ。 サイレンを鳴らし出動するたび、いつもあの時のことが思い出される。 分かっている。こんな悲

  • 笑顔は玄関の君の写真だけ

    歯車が狂ったまま、家族という車輪は回転し続けている。 娘は相変わらず僕に心を開いてくれようとはしない。 たった数年前までは、笑顔であふれていたうちの家庭。 いまでは誰ひとり笑うものはいない。 笑い声は聞こえるんだ。 居間からのテレビ番組に笑う妻と娘の空虚な笑い。 心からの笑顔は……心からの笑いはもう起きることはないんだろう。 玄関で笑っている、君の写真だけが本当の笑顔。 なにもない。なにも得られる

  • 抜け殻……と思っちゃダメなんだけど

    相変わらずの低空飛行の毎日が続く。 なにも良くなったところもなくて、かといって悪くなったところもない。 死んだ子供は帰ってこないし、嘆いたってどうなるもんでもない。 ショッピングモールで見かける幸せな家族、親子連れ…… もう僕には手に入らない至福の時間。 みんな……一寸先の人生が闇かもしれない……そんなこと考えもせず生きている。 それでいいんだろう。 僕たちみたいな家庭になることなんか、おそらく万

  • 釣れたね、良かったね

    いー君が行きたかった場所。 魚を釣り上げた時のうれしそうな笑顔。 釣竿を持って歩いて帰る帰り道……『パパ、また行こうね』の言葉。 あの日の約束は果たされぬまま。 でも、昨日いー君を連れて、釣り公園に行ってきたんだ。 たくさん釣れたね。 竿は2本出した。僕の分と、いー君の分。 たくさん釣れたね。天気もいいし、景色も最高だった。 家に帰る車の後部座席で、いー君は満足そうな笑みを浮かべ眠っているような気

  • もう拳は振り上げられないから

    娘の不登校が続く。 完全なインターネット依存症……になってるように感じる。 出口が見えない…… 当然だろう、もうあの頃の『家族のあるべき姿』はもう手に入らない。 4人の家族の中の1人が死んだ。 そう、それはものすごく大きなこと。 残された3人は、一生言えない大きな傷を負った。 もう心から笑うことも、楽しく語り合えることもない。 娘をどう立ち直らせるか、どうすれば学校へ行ってくれるのか。 もう怒鳴れ

  • 君がいた部屋の窓の向こうに

    いい天気の日々が続く。 いー君の部屋は『あの日』のまま。 なにも増えていないし、なにも減っていない。全てはあの日のまま。 部屋のドアを開けるたび、彼の懐かしいにおいがする。 天気のいい日は換気をしてあげるんだ。 窓の外には、月桂樹の新緑の若葉。 冬の間に、カイガラムシにやられてしまっている枝を、僕がバッサリ落したんだ。 でも月桂樹は負けなかった。 ほとんど丸裸だった月桂樹の樹は、春を過ぎて瞬く間に

  • 君の横には彼はいなくて

    不登校の中学校の娘が、最近子供の時に抱いてたお人形さんと寝るようになった。 幼児返りなんだろうが仕方ない。 いー君が生きていたときは、良く小競り合いがあって泣かされていた娘。 いま、娘の横にはだれもいない。喧嘩する相手もいない。 ただお人形さんだけが、彼女の支えなのかもしれない。 兄妹……この世でたった一人だけのお兄ちゃん。 遺書になにも書かれずに逝かれた、娘の寂寥感はいかほどのものか。 昼間は誰

  • 増えない君のレパートリー

    君が好きだったカラオケに行く。 そう、君が行く3日前も、パパ……カラオケに行きたい。君はそう言ったね。 時間が遅かったからまた今度行こうね、って言ったけど…… あの時無理して君を連れていけば、運命は変わったのかな。 悩みを打ち明けて、君の話を聞いて思いとどまらせることができたのかな。 いまとなっては、もしも……の虚しい話でしかないんだけど。 僕は君をカラオケに連れていく。 遺骨ペンダントという姿に

  • 必要じゃなかったのかな

    遺伝子……DNA…… ふといろんなことを考える。 世の中、必要じゃないものは淘汰されていく。 物事、道具……そして生命。 必要なものだけが選別されて、世の中に残っていく。 僕は生れてはいけなかった命だ。 発生した時点でエラーだった産物。障害者。 そんな僕が、頑張って……健常者に負けないように働いて結婚して…… 次代への生命を作った。いー君という素晴らしい作品。 でもいー君は……僕と妻から引き継いだ

  • 君の部屋はあの時のまま

    もうどれくらいになるんだろう…… 1年半になるのかな。 息子の部屋は、いまもなおあの時のままにしてある。 今日は天気がいいから、部屋の窓を開けて換気してある。 片付けられるはずがない。片付ける理由もない。 片付けたって、新しい人が使うわけじゃない。 いつ奇跡が起きて、息子が生き返って帰ってきてもいいように…… 使いさしのファブリーズ…… 君は彼女が出来てから、ずっとおしゃれに気を使ってたよね。 日

  • ゆがみ ~全てはあの日から~

    全て額膜行かず、ちぐはぐな日々が続いている。 娘は結局3学期、引きこもりのまま終わってしまった。 新学期からどうなるのかもわからない。 まあ……大好きだったお兄ちゃんが、あんな形で死んだら、そりゃ色々歪むよな。 僕は結局、会社にわざと障害を知りつつ苦手な場所を押し付けられ、復職はポシャってしまった。 いまは、辣腕弁護士の先生が動いてくれて、解雇撤回で会社と争っている。 会社なんかに正直未練はないん

  • 家族という名の壊れて止まった時計

    娘の不登校は続いている。 正直手の打ちようがない、厳しくすれば何かあったら困るし。 さりとて、このまま堕落して思い詰めればやはり…… 夫婦ともども正直手が出せない。 でも、この小さな女の子の心をえぐった大きな爪痕を考えると…… 自分も思春期に大好きなお兄ちゃんを失えば……たぶん正気でいられないと思う。 笑いの絶えない家庭。 ごく当たり前の一般的な家庭…… あの日を境に、僕たちの家族という名の時計は

  • 前向いて立ちあがってんじゃねえ

    ちょっと息子の生前の彼女のツイッターが気になったので、のぞいてみた。 息子とのおそろいのアクセサリーの画面が、ゲームの画面に変わっていた。 分かってる…… 彼女もいつかは息子を忘れて、前を向かなきゃいけないってことを。 でもな……でもなぁ。 まあ1年ちょっと……ちょうどいい時期なのかな。 当然僕らは立ち直っていない、前を向けていない。 当然だ、『家族』だからな。 でも、息子の彼女は所詮は赤の他人な

  • 全力で笑えているのかな

    あっという間に年末…… テレビのバラエティ番組が充実してきた。 階下のリビングから、妻と娘の笑い声が聞こえてくる。 いいこと……なのかもしれない。 悲しみを忘れる事が出来ているのなら。 たった一瞬でも……あの日の事を忘れられずにいられるのなら。 君が居なくなった家。 何かが欠けてしまった家。 少しでも、悲しみを忘れられるのなら。 少しでも何か大切な存在が欠けていることを忘れられるのなら。 僕もそれ

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