• 潰えた沢山の名前と沢山の物語

    昨日は自死者の合同法要に行っていた。 去年と同じく素晴らしい法要だった。 自死に向き合う関西僧侶の会の皆様には、本当に感謝したい。 もちろんのこと……息子に会えるのでは、と思ったけどやっぱり霊感もないしダメだった。 でも、法要開始時に、消えるはずの無い電燈が一瞬消えたり…… 法要の終わりに、自死者の人たちの名前が読み上げられる。 息子の名前も呼ばれた。 呼ばれる沢山の、名前、名前、名前…… みんな

  • 蒙古斑

    日付が変わった。 今日は自死に向き合う関西僧侶の会の方々が開いてくれる、自死者の合同法要の日だ。 思えばもう1年になる。早かった。 思い切り泣いてこようと思う……最近自分の気持ちを吐き出す場所が無かったから。 ふと息子の事を思い出していたんだ。 彼が死に踏み切る数日前…… 彼がカラオケに行きたいと言ったのを、お小遣いが無いし時間的に厳しいからダメだと断ってしまった後悔。 彼の小さかったころの、色あ

  • また君に逢えたら

    ことしも、自死に向き合う関西僧侶の会の皆様が開いてくださる法要に来週参加する。 去年はまだ子供を失ったばかりで、ゆっくり考える余裕がなかったけど。 ある研究のお手伝いをした僧侶の方の話では、法要中に沢山の自死者の人が姿を見せてくれるんだとか。 霊感のない僕には解らないけど…… でも、会える気がするんだ。 信じていれば会える気がする。 いー君、今年も行くからね。 出来ることなら、僕に見える様に姿を見

  • 君が居なくなって1年

    日付が変わった。 今日で1年になる。 色んな事を考え、悩み、迷い、生きてきた。 あの悪夢の日からもう1年が過ぎた…… 嘘であって欲しい。 息子がいなくなったなんて嘘であって欲しい。 そう思っている自分がある。 でも、すでに出された結果は覆らない。それは痛いほど分かっている。 これまで子供と過ごした17年…… 決して悪い思い出ばかりじゃないんだ。 だからこそ悔しい。だからこそやり切れない。 『もう大

  • 湧きあがる黒い感情

    どうしてだろう…… 自分の中には、2つの自分がいる。 近所の……街角の……母親に連れられた小さい男の子。 それを見て優しく温かい心になる自分。 子供が元気な親が憎い……湧きあがる黒い黒い感情。 もちろん後者の方の気持ちを認めちゃダメなのは分かっている。 でも、うらやましいんだ。 生きている男の子を育てている親が。 憎んじゃいけない、分かっている。 でも何とも言えない気持にもなってしまうんだ。 どう

  • 勝手に回り出す日常の歯車

    いー君がいなくなって、もうすぐ1年だ。 それなりに僕たちは落ち着きを取り戻し、日常の歯車を回し続ける。 『恋人と親は悲しむが、3日とたてばもと通り』 ……そんな歌があったな。生きてることが辛いなら……だ。 3日は大げさだけど、彼が最初からいなかったかのように…… 日常の歯車は非情に回り続ける。 これでいいんだろうか……いや、良くないと思ってるよ。 人間って不思議だね……1年前、あれだけ魂の底から慟

  • 君の望みをかなえに行くよ

    『パパ、面白かった。また連れてきてな』 大きな魚が釣れた時の君の笑顔、夕暮れの中を歩く僕たちの姿。 海に行こうって約束してたよね。またこの釣り場に来ようって。 あんなに楽しみにしてたはずなのに…… 約束守れなかったね。 仕方ないよ、君がいなくなってしまったから。 でも、行こう。 水曜日、君の遺骨ペンダントを胸に……釣りに行こう。 水曜日、どうもお天気も晴れそうだ。 君の竿も持っていくよ。君の竿で釣

  • 2カ月後……きっと君に会えることを信じて

    そういえば、今年も自死に向き合う関西僧侶の会の皆さまが、12月に法要を執り行ってくれるそうだ。 今年も出席しようと思う。 法要を行ってくださった、1人の僧侶の方とじっくりお話しする機会があった。 その方のお話では、複数の方から『会場に亡くなった方々が沢山帰ってきておられるのが見えた』との参列者の人たちからの報告があったとのことだ。 僕には当然霊感とかそんなものはないから、見えなかったけど。 会える

  • 全ての人の魂の戦い

    ここ数日、ちょっと厄介なことになっている。 弁護士さんが動いてくれて、現在はある準備を進めている。 会社関係者が見てるかもしれないから、詳しく書けないんだけど。 あの場所、あの時間、あの空間に僕ははっきりと見えたんだ。 半透明で部屋の隅にたたずむ君。 ものすごく悲しそうに立っていた君。 崇高な魂を穢すものとは戦わなきゃいけない、そう思った。 支援者の人がいくらあの空間に憤慨しようとも、これは僕たち

  • 娘の夢~きっとかないますように~

    いま、嫁に娘が本を借りてきた事を起こして聞いたんだ。 嫁にいろいろ話を聞いた。 娘はカウンセラーになりたいという夢を持ったそうだ。 素晴らしいことだと思う。 二度と……お兄ちゃんのような、悲しい最期を迎える人が出ないように。 一人でも多くの人を救えるように。 ちょっと僕は嬉しくなった。 夢を追おうとしている。 心が折れずに……娘が夢を持っている。夢に向かって進もうとしている。 本当に素晴らしいこと

  • 理由を求めて

    娘が、学校から1冊の本を借りてきていた。 『人はなぜ死のうとするのか』 あまり見たくはない本だ……でも、娘は娘なりに、何も自分に書き残さずに逝ったお兄ちゃんの心を知りたいのかもしれない。 もしくは、まさか自分が……いや、そんなことは考えたくもないけど。 でも僕は、娘にその本を読むなと止める権利はない。 でも、何かを話し合わなければいけない時期に来ているのかもしれない。 複雑なんだろう…… あれだけ

  • こんな思いはして欲しくないから

    いまニュースで、夏休み明けの中高生に自殺が多いというニュースをやっていた。 どんな特徴的な前兆があるとか…… ウチのリビングは微妙な空気に…… 僕らに取ったら手遅れなんだけど、前兆に気付いて止めてあげて欲しい。 普通の家庭の人は、でもこんなニュース見ても他人事なんだよね。 まあ、仕方ないのかもしれない。 自分のところの子供が自死するなんて、普通は思わないもんね。 ウチだって何もなかったのなら、この

  • 当たり前に回り出す日常

    みんなきっと心の底では、まだあきらめ切れていない。 妻も娘も…… でも、いー君がいない生活が当たり前のこととして流れ始めている。 今日は僕が留守番、妻と娘はボーリング。 僕はボウリング100点出せないボーイだから、やらない。 でもいー君は、ちょうど去年の今頃、ボーリングに行ってたんだよね。 家にだれもいなくなると、僕は仏壇で線香を燃やす。 仏壇…… そんなもの、家に置くなんて考えもしなかったな。

  • 4つのどんぶり

    昨日は嫁の帰りが遅かったこともあり、インスタントのカレーうどんにしようということになった。 まあ、味は調整されたものだから悪くない。 でもなんかもの足りない。 ご飯もたいてないし、何か冷凍食品はないかな……と冷蔵庫をあさる。 ふと、視線が食器棚に目が行った。 家族分買った、緑のどんぶり。 3つはリビングの机の上。 そして一つは、寂しく食器棚に居残り。 そう、いー君の分のどんぶりの出番がないのだ。

  • 明日は初盆

    明日は、初盆の日だ。 準備は全部妻がしてくれた。こういうときは本当に頼もしい。 参加するのは、ウチは両親だけにしてもらった。 また嫁の一族が、大挙してやってくるからな。 正直、しんみりした雰囲気で迎えたいんだけど…… また妻の一族でワイワイガヤガヤうるさくなるんだろうな。 もう半年以上がたつのか……あの日から。 まだ正直、いー君が言ったことは全然…… 実感があるようで全然実感がないんだよね。 まだ

  • 命を見送る

    昨日は友達と、ちょっと遠出のドライブに行ってきた。 滋賀県の山の中の小さな渓流のそばの村。 せっかくだから、アユの塩焼きがあるから食べてみようよ、ということになったんだ。 店員さんにアユの塩焼きを注文した。 『今、網で捕まえてきたんですよ』 店員さんが、サービスなのか笑顔で言った。 そこには生きたまま口の中に割りばしをぶち込まれ、びくびくと痙攣するアユが4匹。 店員さんは当然だ、とでもいう風に4匹

  • 君の選択~17年の延長戦~

    自転車で、いー君が去年の今頃元気に通っていた駅までの道を走る。 僕の通う駅は、地元の高校の子たちも利用するんだ。 手をつないで仲睦まじく歩く高校生カップルの姿に胸が痛い。 でも…… 去年の今頃は、ああやって歩いていたんだよね。 彼女と仲良く……将来も夢に見ていたのかな。 いー君は前にも書いたけど、本来急性胎盤剥離で死産で生まれてくるはずの子だった。 奇跡的に助かり……そして17年生きた。 17年と

  • 並行世界の君におめでとうと花束を

    珍しく熱が出て寝込んでいる。 熱でうなされて眠っている間、ちょっとした夢を見た。 見たこともないチャペルでの結婚式の光景…… そこにいた新郎は、まぎれもなくウチの息子だった。 可愛いお嫁さんと一緒に、教会から出てきてみんなに祝福されていた。 とても幸せそうな2人の笑顔…… 周りの祝福の中、僕だけが何とも言えない表情でその光景を見ていた気がする。 見れるはずだった景色、見れるはずだった光景…… どこ

  • 「しんかんせん」のスプーン

    台所でフォークを探していた僕の目に、懐かしいものが飛び込んできた。 「しんかんせん」のスプーン。 生前、幼稚園時代にいー君がお弁当に使っていたフォークだ。 たぶん気にしなかっただけで、ずっとフォークの棚のところにあったのだろう。 いー君がいつも大切に使っていたフォーク…… 十数年経た今でも、印刷がはげただけで、フォークの輝きは保っている。 しんかんせんのフォークは、心なしか主を失ってさびしそうに見

  • 何も伝えることはなかったのかい?

    いま……初めて気づいた。 遅い……遅すぎる。自分の朴念仁ぶりが嫌になる。 そうなんだ……いー君は、妹になにも書き遺していない。 僕たち両親だってかろうじて3行の遺書だ、それでもあっただけましかもしれない。 妹は……なにも書き遺してもらえなかった。 いー君、あわてん坊だし、余裕がなかったんだよね。 せめて何か……遺してあげてほしかったな。 君の妹の横顔がとっても寂しそう。 何か残すことはなかったのか

1 2 3 4 5 ... 6