• グレン・グールド バッハ「ゴルトベルク変奏曲」

    グールドの代名詞のような曲だが、グールドのこの曲の演奏がなぜこうも現代人に訴えかける力を持っているのか、わたしには不思議なのである。 まず、このゴルドベルグ変奏曲という曲である。この曲は、バッハの中でも、もっとも長大な鍵盤曲だが、演奏に50数分もかかるというのに、忙しくてしようがない現代人の感性に合うのはどうしたわけだろう。わたしはこのグールドの演奏を聴いた人の中で、否定的な意見を聞いたことがない

  • リパッティ モーツァルトK310<形而上学の可能性>

    ずいぶん前から聴いている曲だが、このピアノソナタはリパッティの演奏が一番よいと思っている。だが、リパッティはモーツァルトのピアノソナタでは、この「K310」一曲しか残していない。早逝もあるが、なぜわざわざこの一曲なのだろうと、いろいろ想像を巡らしていた。 というのは、ショーペンハウアーが「意志と表象としての世界」の中で、形而上学を語るときに、音楽でしか形而上学は完成しないだろうと断って、あえてとで

  • 「バッハの思い出」アンナ・マグダレーナ・バッハ 講談社学術文庫

    音楽の父ヨハン・セバスチャン・バッハの二度目の妻アンナによるバッハの評伝書です。およそ、音楽家の妻として、その夫について、これほどの評伝を残せた女性はアンナぐらいでしょう。それも西洋音楽史上、最上級の破格の天才バッハであったことは、後世のわれわれにとっては、何物にも代え難い最上の贈り物となりました。バッハの着実な忍耐強い生活を語り、そのバッハの、投獄の憂き目にさえ遭った頑固さを指して「あなたは、誰

  • エッセイ ミケランジェリとホロヴィッツのピアニズム

    ミケランジェリのピアノは輝かしい。それも表面だけピカピカ光る金メッキの輝きのそれではない。精神の内部から、放射される紛うことのない輝きである。同国のルネッサンス期のミケランジェロの描く赤ン坊が筋肉隆々としていて見る者を圧倒するように、ブラームスの曲がシューマンの曲が堂々たる風格と輝きを持った一流の作品になる。 ミケランジェリのピアノは黄金の輝きによく似ている。比較して言えば、ホロヴィッツのピアノは

  • エッセイ ベートーヴェン<俗なるものと聖なるものの一体化>

    前に、ビリー・ジョエルのポップスの迷惑だったことを書いたが、このことは、ベートーヴェンについてよく考えるときの糸口になるのではないかと心付いたので、ここに書いてみたい。 わたしはそのとき、「悲愴」の2楽章についてまったく無知であったから、ビリーの声が焼き付いてしまった訳だが、ベートーヴェンの曲は、確かに通俗と言ってよい面も多量に持ち合わせているので、同じ条件で、例えば「月光」の1楽章を、誰かがポッ

  • エッセイ ベートーヴェン<大フーガOp.133>

    十五分程度の曲なのだが、学生時代、はじめてこの曲を聴いたとき、そのあまりの苦さに怖じ気づき、再びこの曲を聴く気になるだろうかとさえ疑った曲である。このベートーヴェンの後期の王冠と言われる弦楽四重奏の苦さは並大抵のものではない。シェーンベルグさえ、まだまだ聴きやすいと思えるほどである。 学生時代からは、ずいぶん経っているが、どうした訳か、どうしてもこの曲を聴きたくてたまらなくなるときがある。わたしは

  • エッセイ クラシック音楽雑感 「ベートーヴェンとビリー・ジョエル」

    ご存じの人も多いと思うが、ビリーがピアノソナタ「悲愴」の2楽章に歌詞をつけてアカペラで歌っているポップスがある。私はうかつなことに、ベートーヴェンの曲だと知らずに、友達に勧められて、ポップスも棄てたものじゃないなと何度も飽きるほど聴いた。学生時代のことである。 困ったのは、それからである。「悲愴」を聴くたびに、あのビリーの甘ったるい声が出てきて、鑑賞を妨げる。どんな名人のどんな名演奏を聴いても、ビ

  • エッセイ 橋と到達点 <クラシック音楽他雑感>

    バッハのマタイ受難曲やヨハネ受難曲を聞き込んだ。 そうして、思ったことがあるのだが、そのことについて少しばかり書いてみたい。 アーチ型の橋を石組みで作るとき、アーチの下の部分をまず木組みで作り、その上に木組みに合わせて石を載せていく。その後に、木組みを取り除けば、しっかりした橋ができる。物理的に見ても、木組みは取り除いた方が頑丈な橋が出来上がる。 クラシック音楽初心者にとっては、ヴィヴァルディの四

  • クラシック音楽 断章 <改版>

    バッハの音楽は神に捧げられている ベートーヴェンの音楽は人類に捧げられている モーツァルトの音楽はわれわれみんなのものである ハイドンの音楽は美のために スカルラッティの音楽は遊戯のために メンデルスゾーンの音楽は趣味のために シューベルトの音楽は心情のために ショパンの音楽は集う人のために シューマンの音楽は気がふさぐ人のために ブラームスの音楽は人生のために ヨハン・シュトラウスの音楽はダンス

  • ベートーヴェン「後期の音楽」<自由な宗教性>

    ベートーヴェンの後期の音楽は、わたしはとても、宗教的でエキゾティックな感じを受ける。カルテットやピアノソナタなど特にそうである。 宗教的だと感じるのは、わたしだけではないと思うが、ベートーヴェンの場合は、ある特定の宗教を感じさせない、いわば、自由な宗教感情にあふれている。ここが、バッハなどとは、明らかに違うところのように思える。Op101から特にその感じが強くなっているように思う。 エキゾティック

  • 夏休み♪

    お久しぶりです…! 早いもので夏休みも残り1週間ほどとなりました(^_^;) 8/5~8/17まで念願のフランスに初めて行って参りました! 8/5~8/7はニースの城跡から素晴らしい眺めを見たり、 画家シャガールや芸術家が愛した村にも行きました! そして、8/8~8/15はニース夏期国際音楽アカデミーに参加しました(^^) 寮はシングルルームでこざっぱりしていて、快適に過ごせました😀✨ 私はパス