• 小説、齋藤務作品

    齋藤務作品[冬・仙女] ー 第五話 ー (旅立ち) 奈菜ちゃんが、正気の事を、やっと分かって呉れて、帰って行くと、ニヤニヤとした咲がいたのだ。もう、観念する礼凍、すると直ぐに、咲は、 「お母さんー、お母さんー!」 と家の奥に走って行って仕舞う、そこに残された。礼凍と、泣いている正気、奥から、ゆっくりと母親の真美が、微笑んで歩いて来ると、そんな真美を見上げる礼凍を、優しく抱き締めていた。あーー、ああ

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    齋藤務作品[冬・仙女] ー 第四話 ー (真実の訳、) 友達の女の子に虐められた正気は、家族にまで虐められて、可なりいじけていたのだが、泣いて帰って来た。それ以外の事では、礼凍も、姉の咲も、日頃普段から、味噌っかすの正気の事は、全く相手にしていなかった。だが、泣いていた正気に対して、今は、その二人から、色々と気に掛けて、かまって貰っていたのだ。正気は、それに喜んでいいのか?泣いていいのか?良く分か

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    齋藤務作品[冬・仙女] ー 第三話 ー (虐められ正気) そんな、月曜日の、朝の事だった。父親は仕事に、咲と正気は学校に行って、家族のみんなが、出掛けて仕舞うと、礼凍は、母親の真美と二人っ切りだった。そして、母親の真美が言う、 「ああ、何時もはね、誰もいなくなると、ちょっと寂しいけど、今日は礼凍ちゃんがいるから、何だか楽しいわ!」 礼凍は、考え込んでいた。もう、この家を出ていかないといけないのだが

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    齋藤務作品[冬・仙女] ー 第二話 ー (氷の一夜) 咲の家に、一夜を泊まり。次の朝に為って、礼凍が起きて来ると、 「ああ、礼凍ちゃん、お早う!」 弟の正気が言う、その向こうで父親のかずきが、 「礼凍ちゃん、新聞を持って来て呉れないか?」 その家の家族は、もう、礼凍を家族のように扱っていたのだ。礼凍は、それに驚いた。 「私を、扱き使うのか?この無礼者め!」 だが、母親の真美が、 「ああ、礼凍ちゃん

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    齋藤務作品[冬・仙女] ー 第一話 ー (冬の使者) 冷たい北風の中に、白い粉雪が舞う、十二月の中程の頃、その中を、楽しげにはしゃぐ、仙女の、積氷礼凍がいた。白い化粧をした公園の広場に、小さな旋風が、渦を巻いて踊っていた。そんな冷たい風の横を、若い少女が通り掛かった。粉雪の風の中に、小さな少女の姿を見たのだ。その小さな少女は、一瞬の幻の様に、目の前から消えて仕舞ったが、その残像が、立ち尽くす。少女

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    齋藤務作品[秋・仙女]ー 第五話 ー (円満の夫婦、) 礼風の仕組んだ。サル芝居の舞台に、突然と現れて、病室を強襲仕手来た 明美と、それを迎え撃つ主婦の由利は、死んだ振りのあきらの体を、激しく奪い合っていたのだ。そこには、決して、負けられない主婦の由利と、一人身の寂しく激しい未亡人の明美がいた。女と女の、譲れない欲望の強欲がそこに有ったのだ。壮絶な戦いが続き、その後の病室に、はあはあと、二人の女が

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    齋藤務作品[秋・仙女] ー 第四話 ー (サル芝居の行方) そして、そのサル芝居は、幕を上げたのだった。あきらは、仕事先の家の外で倒れて、その儘、病院に運ばれたのだが、その病院では、あきらを色々な機械に掛けて診察をしていた。だが、心臓も止まっていて、脳波も無い。呼吸も無く、瞳孔は開いていた。その為に、死亡が確認されたのだ。そこに、形相を変えた、由利が、病院に駆け付けたのだが、動かないあきらに、由利

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    齋藤務作品[秋・仙女]ー 第三話 ー (地獄に礼風) 由利の夫の、あきらを従わせて、礼風は、後の問題を処理する事にしたのだ。そして、今度は、もみじの言う、異常な女好きの軟弱男の懲らしめが残っていたのだが、その為に、礼風は、もみじの通う高校に迄やって来たのだ。そこで、礼風は、 「はて?その女狂いの淫乱男はどこじゃ?いないのー?」 そこに、礼風の姿を見掛けた。もみじが、礼風の所にやって来たのだ。 「あ

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    齋藤務作品[秋・仙女]ー 第二話 ー (天界の処罰) 楽しい食事を終え、礼風が、何かに思い。母親の由利を見ていた。そして、由利の後ろから、声を掛けた。 「お主は、何かに悩んでおる様じゃな!」 由利がギクリとする。 「ああ、いやあーねー、アハハハハ、もうー、礼風 さまには、隠し事は出来ないわ、フフフ、」 明るく答える由利、だが、由利は、悲しげにしていたのだ。礼風が、そんな由利に聞いた。 「どんな悩み

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    齋藤務作品[秋・仙女]ー 第一話 ー (秋風の中で、) 木々の葉が、赤々と燃える。秋の只中、木枯らしが吹く、落ち葉の積もった。並木の中を、仙女の、紅火礼風が、その肩に真っ赤な腹の紅雀を乗せて、秋の風の中を歩いていた。そんな時だった。一人の娘が、風の中の礼風と擦れ違い。ハッと仕手振り向くと、その直ぐに、礼風の後を、追いかけて来たのだ。そして、礼風の周りの臭いを嗅いでいた。それはまるで、子犬の様に、ク

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    齋藤務作品[夏・仙女]ー 第五話 ー (ひろしの背が!?) 勇気は、何とか、夢見丸で両親を、夢心地に黙らせて、広の家に来ると、正が、勇気を怪訝に見ているのだ。 「何か、有ったんですか?」 正、 「君ねえ、はーーつ、これ、」 正が、何かを言い掛けて、勇気にプレゼントを渡した。勇気は、それを、喜んで受け取って、正を見ると、正は勇気に、 「もう、これで僕と別れて呉ないか?」 「ええ、聞こえません。」 勇

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    齋藤務作品[夏・仙女]ー 第四話 ー (チビのチッコイ所) 勇気の恐れていた。クラス全員の夏季学科テストは、それを神頼みに済ませた勇気は、余裕で誰よりも早くテストを済ませて、マークシートのテスト用紙を伏せると、四苦八苦しているクラスの中で、一人、ポツリと背筋を伸ばして、周りのみんなを見回しながら、悠然と不敵に微笑んでいた。周りのクラスのみんなを、見下したような座った目付きでいたのだ。 「フフフフ、

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    齋藤務作品[夏・仙女]ー 第三話 ー (理想の彼氏、) 勇気は、目の前の少年に、酷くガッカリとしていた。 「私の、理想の彼氏は、やっぱり、背が高くて、私の全てを包んで呉れる位に胸が大きくて、肩幅が広くて、手が大きくて、腰のプリプリと締まった。カッコいい人よ、」 「それって、胸の大きな、プリプリの怪物だね、僕は、そんなおかしな男なんかに為れないよ、ハハハハハ、」 「何言ってんのよ!このガキ、私を、バ

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    齋藤務作品[夏・仙女] ー 第二話 ー (将来の彼氏、) 仙女の、海原礼洸から、無理矢理に聞き出した。勇気の、その未来の恋人は、山の高台の屋敷に住む、勇気より一つ年下の、浜川広、まだ、十五歳の少年だった。勇気は、仙女に聞いた。裕福そうな彼氏をひと目見に、ワライカワセミの様に、 「オホホホホホホ、」 と、笑いながら飛んで行ったのだ。その屋敷の周りを、鋭い目をしたジャッカルの様に、うろついて回っていた

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    齋藤務作品[夏・仙女]ー 第一話 ー (海辺で出会った娘) 街の緑の葉が鮮やかに、青い空の輝く太陽が、眩しく光る。暑い夏の午後だった。そこには、見渡す限りに、広大に広い海の海原と、左右に広がる水平線、そして、頭上には、高く広がる青い空が有る。そんな、海岸沿いの立ち入り禁止の、大きな防波堤のテトラポットの、その上で何かを思い詰める少女がいた。 夏木勇気、十六歳、思い切ると海に向かって飛び込んだ。そし

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    齋藤務作品[春・仙女] ー 第五話 ー (自白、許してくだせいーー!) 美香は、彼に憑依を成功させて、毎夜、楽しく過ごしていたが、然し、美香の体に変化が、表れて来たのだ。 美香が、自分の部屋のベットで目覚めると、何故か?体の節々が痛いのだ! 「うう、うう、いたた、何故?」 美香が目を覚ますと、隣の仙女が、それに気付いて言った。 「おーーーー、起きたか!」 「それで、どうじゃ?」 「好きな男は、物に

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    齋藤務作品[春・仙女] ー 第四話 ー (行くぞ!憑依合体 ゴーー!) 美香は、呪術玉を、彼の部屋に置く事に成功した。そして、深夜の零時が来て、憑依が起ったのだ。 深夜零時丁度に、ガバと起き出す。陽志がいた。行き成りにムックリと起き出すと、何故か?自分自身の手を、暫く長い間見詰めていたのだ。ジーーと見詰めるその手は、紛れも無い彼の手だ!そして陽志に成った美香は、突然に、気が狂った獣のゴリラの様にド

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    齋藤務作品[春・仙女]ー 第三話 ー (彼の部屋でこっそりと) 仙女の非常な命令が下った。美香は、不可能な任務を可能にすべく、単身で、その彼氏の部屋に、呪術玉を仕掛けると言う、人並み外れた。人の道に外れた。あらゆる能力を使った。華麗な行動が求められていたのだ。これは非常に難しい、頭脳と才能、そして魅力の溢れる。歪んだ考えを持つ、美香にしか出来ない芸当なのだ。然し、美香の、持つ武器は、未熟で貧弱な体

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    齋藤務作品[春・仙女] ー 第二話 ー (願いよ届け) サクラの並木の下で出会った。不思議な少女の姿の仙女に貰った呪術玉で、それを使い、愛しく思う、愛しの彼氏を、思い通りにすると言う、果てし無い野望に燃える一途な娘の美香だった。 「時間だ!」 ムックリと、美香は、寝ていたベットから起き出すと、直ぐに、仙女に貰った呪術玉に、怪しいまじないを始めた。 「届け、届けて、」 「私の思いを、彼の所に、」 深

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    齋藤務作品[春・仙女]ー 第一話 ー (春の花の中での出会い) 春 真っ只中で、桜の花弁が舞う桜並木の道を、ウキウキと一人歩く、少女がいた。 春を満喫している。春半ば、新しい事が起きそうな、原 美香 十六歳、いい予感のする朝。 そんな中で、美香は、目を瞑り歩く、心地よい春の日差しの中で、桜の木の太い横枝に、その浮かれた。軽い頭を思いっ切り気持ち良く強打したのだ。ガーーーン、美香は、目に涙が出る程に