• 「夜光虫2」ユノ×チャンミン

    声を出す間もなく、俺より先に反応した隣が、手を伸ばして従った。 「ありがと、高野」 言いながら、「いえ」と答えた彼も見ず、正面の直方体から離れて、窓際の水道に向かう。洗った手が、部屋の大半を占める大きなテーブルの上に雑然と置かれたタオルで拭かれた。 反射神経が鈍くなっている自分が発した「すいません」と言う呟きと同時に、長い指にまとわりついた布が同じ位置に投げられる。 見たことのない実験器具を後ろに

  • 「夜光虫1」ユノ×チャンミン

    「死んでいる人間を見たことはあるか?」 その黒い瞳の中には虫がいた。生命が明滅を繰り返している。 もう誰もいない。深くあいた慟哭は海のように拡がっている。波打ち際で、向こう側に来いと呼んでいる。そこで見えた光を、俺はその虫に応えている。 ーーねえ、本当は、 ーーあなただって、 ーーいきたくないんでしょう? 「偶然だね」 と、少し面白そうに言われた後に、でも複雑に目元が歪んだ。 俺はそれを見ながら、