• コント 79 カフエ・ダンチョネ  二次試験 面接と論文

     登場人物 ◆語り手(男) ◆大木 進(72歳年金生活) ◆鈴木陽一(進の親友カフエのマスター) ◆三浦信江(三浦夫妻の末娘22歳) ◆岩崎敏雄(信江の後輩、次期、人形劇サークル部長)   M(コーヒールンバ) FI FO 語り手 2008年、平成20年の7月。暑い夏の盛りカフエ・ダンチョネは湯煙の中    であった。6月の15日に日本列島に衝撃を与えた教員採用試験のニュースも今年    の採用試

  • こんと 75  5月のレクイエム(嘘)

     5月の連休に喜寿を祝う同窓会に参加した。  古希の同窓会が最後の同窓会になると思っていたのに、あれから7年過ぎて仲良し3人組が元気で喜寿の同窓会を迎えた。  今回の同窓会は皆の胸の内に最後かもしれないという思いがよぎった。  小学校から高等学校まで同級生として柔道や陸上を共にしてきた。卒業しても林 和生を中心に博多で毎年会っていた。和生は博多で粋な食堂を経営していた。  天真爛漫の和生の周りには

  • コント 74   まちがい電話

    「もしもし、・・・・・私、生きてますかねえ。」 「ハイ、立派に生きています。」 「ありがとうございます。受付の河津さんいますか。」 「まちがい電話だと思います。局番違いで、私のうちは66局でたぶんあなたがお掛けの病院は67局です。近頃、よく局番違いの電話がかかってきます。」 「それは失礼いたしました。・・・あなたの言葉で元気が出てきました。ありがとうございました。」 「そうですか。それはよかったで

  • Web作品一覧(1000字)

    QBOOKSで1,000字や3,000字の掌編を書いています。 昔はもっと賑わっていた時期もありましたが、だんだんと参加人口が減っている。 人口が減っている原因の一端を担っているかもしれないのでなんとかせねばならぬのです。  みなさんもどうですか(なんとかしようとしている)。  以下、リンクです。 1000字  第50回 「ヲニト」(掲載時タイトルミス)(2013.09)  第51回 「オッケーオ

  • Web作品一覧(3000字)

     QBOOKSで1,000字や3,000字の掌編を書いています。  3000字では主に連作掌編を書いてなんとか長くしようとしています。  以下、カテゴリー別リンクです。 ■青猫ロボットシリーズ  青い猫型ロボットが出てきて執拗に通販を迫る作品です。だいたいあってない 第01回「青猫ロボットの憂鬱」(2015.08) 第02回「青猫ロボットの増殖」(2015.09) 第05回「青猫ロボの不在」(20

  • コント73  嘘八百ついて成仏

    「理想を掲げないことには政治の道へは進めない。しかし、現実的に生きなければ票は集まらない。掲げたほとんどの理想は実現しない。だから理想なのかもね。」  福岡政治(まさはる)は、話し始めた。  今日は、新井市長の要請を受けて、市長秘書の長井恵介君の次期県議選立候補についての下準備の会合であった。  市長の息子、新井金三郎が父からの言を伝えた。 「政治議員は、まじめに議員活動に取り組んでいる一人で信頼

  • コント 72   運 命 競 争

     もうかれこれ70年近く続いているはずだ。5月の地区体協による運動会が連休明けの次の日曜日に実施された。  午前の部が終わって各テントの中で昼食が始まった。高齢者のための招待テントの中では久しぶりに顔を合わせた知己、友人たちの声が弾んでいた。 「シンちゃん、久しぶりじゃなあ。お互いに元気で何より。」 同級生の福岡政治が大木 進に話しかけた。同級生たちは小学校の時からの呼び方が自然に出る。大木 進(

  • コント71    逃亡生活解除

     仮名、吉野ヒロシと吉野ひろ子の親子が逃亡生活を初めて8か月が過ぎた。逃亡生活の目途もつき新年度から新しい生活をどうするかを考えていた。 「小林 優といいます。このたびは吉野様に大変なお世話になり感謝いたしております。」  ヒロシ、本名 小林 正の父は深々と頭を下げてオーナーに心よりのお礼を述べた。 「問題は解決しましたか。神戸の方では相変わらず暴力団関係の事件が多いようですが。」 「はい、すべて

  • コント 70   補佐のコミュニケーション力

     大木進は受話器を取った。  珍しく教え子の島田和美からの電話であった。 「ご無沙汰しています。お元気ですか。今日は折り入って弟の義則のことで先生のお力をお借りしたいと電話をいたしました」  和美の要件は弟からの依頼で新しく昇進した「教育次長」の役割について、大木先生の助言を頂きたいということであった。和美と金三郎の恩師である大木 進は小学校、中学校、県教育委員会、校長、教育センター所長と幅広い経

  • コント69   人 事 内 定

     料亭島田の奥の部屋に新井金三郎と島田義則が向いあって茶を飲んでいた。まだ夕食会までには40分ほどの時間があり、料理の配膳も今からというところである。 「義則君昇進おめでとう。これからが勝負だね」 「金三郎さんのおかけです。いろいろとお力添えありがとうございます。これからも兄貴と思って頼りにしていますので指導助言をお願いします」 一通りのあいさつの後は近況の情報交換をして時間を過ごした。  襖があ

  • コント 68    むりょうじゅく

     誰が言うともなく、自然発生的にだんだんの温泉の2階広間を利用して子どもたちが集まり、それに退職者の何人かが加わり「子どものたまり場」になっていった。  このままでは収集がつかなくなる恐れがあるので、時田文生先生を塾長にだんだん無量塾の内規を定めることにした。思わぬ事故などを未然に防ぐためにも参加の仕方を見えるようにした。 1 施設開放の日は土曜日の10時から14時まで。 2 参加を希望する人は、

  • コント 67   手  紙

    「おじいちゃん。剛士君のお母さんからお手紙です」 「ヒロシ君。ありがとう」   吉野信一郎様  椿の花が少し開き始めました。寒さもやわらぎ春の日差しを感じています。  先日は、息子剛士がお邪魔しました。広志君のおじいちゃんやおばあちゃんに歓迎されてとても喜んで沢山お話をしてくれました。本当にありがとうございました。  広志君の誘いを受けて、初めて友達の家へ出かけていくことができました。お見受けの通

  • コント 66    予科練崩れ

    「陽ちゃん、若鷲の歌頼む」  陽ちゃんはピアノを弾きながら歌い始めた。 「若い血潮の 予科練の 七つボタンは 桜に錨 今日も飛ぶ飛ぶ 霞ヶ浦にゃ でっかい希望の 雲が湧く」     作詞:西条八十 作曲:古関裕而 歌唱:霧島昇/波平暁男  大木進はこの歌を聞くと自然と涙が出て来る。涙を流すような歌ではないのだが、兄や先輩たちがこの歌にあこがれて海軍飛行予科練習生(略称:予科練)に応募して大多数の予

  • コント65  順 風 満 帆

     健さんと武ちゃんが、ご隠居さんに定年退職後の生活について何か儲け事はないかと相談に行ったのがきっかけで「居酒屋&カフエだんだん」の事業が始まった。  歳を重ねるにつけて、ご隠居さんこと吉野信一郎は子どもがいないので自分の財産をどう役立つように処理しようかと考えていたところであった。 代々受け継いできた財産にバブル時代に証券会社に勤め思わぬ資産が蓄えられたのであるが、子どもがいないので全ての財産を

  • コント 64    ヒロシです

    「ヒロシです。多くの学校でいじめがおこっているのに、ここの学校ではいじめがない。 なしか。」 「うまいうまい。ヒロシ君はお笑いがすきなんだな」  だんだんのオーナー、吉野信一郎はおじいちゃん役になり切っていた。  神戸から逃亡してきた母子がこちらの生活に慣れてきて、仮名で過ごしているヒロシ君も母親の広子さんも精神的にも人間関係の面でもすっかり安定した生活に入った。  ぼつぼつ父親と連絡を取り家族で

  • コント63   金三郎博多へ

    「もしもし、先輩。これから博多に行ってきます」 「金ちゃん、自分の本音をぶつけて話してきなさいよ。よい結果を待ってるからね」 「ありがとう。先輩」 「先輩はいいよ」 「じゃあ、どう呼んだらいいのかなあ」 「家族の一員になったような気がして、弟のようにおもえる。姉さんにしておこうか」 「分かりました。今から姉さんと呼びます」  一人っ子の金ちゃんは「姉さん」と呼べる人ができたことでとても心豊かな気持

  • コント 62    金三郎の決断

     カフエだんだんのいつもの席で憧れの美人先輩と金三郎はコーヒーをゆっくりと飲んだ。 「先輩。家内に話しました」 「うまくいったのね」 「どうして分かるんです」 「だって金ちゃん。声が弾んでるよ。よほどいい結論が出たのね」  先輩と金ちゃんが向いあってコーヒーを飲み、話し合っている姿はどうみても姉弟の関係である。一目見ただけで美人の姉とイケメンの弟のきょうだいと思ってしまう。それほど自然な雰囲気であ

  • コント 61    推   薦

     ごく近くに住んでいて先輩後輩の年金生活者なのにこうやって盃を交わすことはめったにない。年一度の退職OB会の時が唯一の宴席になる。 「時田さん、どうぞ空けて・・・」 大木進はカンピンを持って時田に酒をすすめた。 「ありがとうございます。どちらかというとビール党で日本酒の方はあまり飲んでないんですよ。でも、この酒旨いですね。さわやかできりっとひきしまって・・・」 「西の関なんです。わたし酒が好きでね

  • コント 60   憧れの美人先輩に

     コーヒーを一口飲んで金三郎は神妙に口を開けた。 「先輩に、お願いがあるんです」 「例の彼女のことね」 「そうなんです。妊娠3か月です。彼女は自分一人でも十分育てられると言うんです。・・・」  先輩はコーヒーを飲み、金ちゃんの顔を見つめてしばらく黙っていた。 「金ちゃん、あんた子どもが欲しいんでしょう。初めての子どもだし、もう2度と子どもに恵まれるかどうか分からないと・・・」 「そうなんです。もの

  • コント 59    逃 亡 生 活

     大木 進が、母親と小学校3年生の男の子を連れてだんだんカフエの個室に入った時には、すでにオーナーの吉野信一郎と妻の房さんが待っていた。 「わたしの一存では少し問題が大きすぎますので吉野さんのお力をお借りしたいと思いまして・・・」 「分かりました。私たちにできることは何なりと協力しますので、包み隠さずほんとうのことをさらけ出してください。後に問題をのこさないように」  純粋な生真面目なオーナーの態

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