• 髪(作:織田作之助)

    この作家、意外と知らない人も多いらしい。 代表作の「夫婦善哉」の作者と聞いて、やっとぼんやり「あ~聞いたことある!」となる人も周りにいる。 随分前に初めて読んだ時に一読で気に入ってから、片っ端から彼の作品を読み漁った。 彼の作品は独特の”ゆるさ”を持っており、テンポが良いと思う。 また、ドロドロとした暗さは無く、あたたかくたくましく生きる人々の姿がとても魅力的に描かれている。大阪出身であったことか

  • レストランの読書(作:村上春樹)

    「ランゲルハンス島の午後」に収められているとても短いストーリー。 この本を開くと、一番最初に出てくる話です。 良く「作家は書き出しに細心の注意を払う」と耳にするので、もしかしたら、この本を書いている時、村上春樹氏が意識的に一番始めにもってきたのかなぁ、なんて想像。 というのも、ストーリー自体が題名で分かるように、「自分にとって、読書で落ち着く場所はどこですか?私は午後のレストランですよ」という、読

  • いちじくの葉(作:中原中也)

    突然ですが、果物のイチジクが大好きです。 どれほど好きかというと、祖母が大好きな私(そして家族の他のメンバー)のために、庭で育てて収穫する程です。 毎年収穫して、生を堪能し、ジャムに加工し、最後の一滴まで名残惜しくすくって食べます。 みなさんの好きな食べ物は何でしょう? 色々な人に聞いてみると、みんなそれぞれ違っていて面白い。 海で育った人の好みと、山で育った人の好みが違ったり。 そういえば、イチ

  • 火縄銃(作:江戸川乱歩)

    江戸川乱歩の処女作。 学生時代に試作した作品だ、と乱歩自身が説明している。 内容はシンプルな物理トリックの殺人事件の謎解きで、あっさりと読める印象。 まだ、乱歩独特の影の有るおどろおどろしさは感じられなかった。 この物語の中で、私が最も気になる部分をピックアップしてみた。 主人公2人(学生素人探偵の橘と語り手の私)が汽車で移動をしている、物語序盤部分。 「この日橘は、これが彼の好みらしかったが、制

  • 接吻(作:江戸川乱歩)

    青空文庫で見つけたので、リンクを下記に貼ります↓ http://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/57186_60204.html 「近ごろは有頂天の山名宗三であった」から始まる短編。 山名宗三が有頂天なのは、恋妻のお花を嫁にもらったからである。 定時になると毎日そそくさと退社する宗三。 そこで気が付いた。 なんと当時の退社時間、午後4時である!! 出勤時間は

  • Kの昇天(作者:梶井基次郎)

    青空文庫で見つけたので、リンクを貼ります↓ http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/419_19702.html 集英社文庫「檸檬」(作者:梶井基次郎)に収蔵されている「Kの昇天」を久しぶりに読んだ。 梶井基次郎は「檸檬」が余りにも有名なため他の作品に目が向けられにくいが、「Kの昇天」をはじめ、素晴らしい短編作品も多い。 「Kの昇天」は題名の通り、主人

  • 夏目漱石著『坊っちゃん』ブクログレビュー

    坊っちゃん 著者 : 夏目漱石 発売日 : 2012-09-27 ブクログでレビューを見る»  軽い気持ちですらすら読めた。  流麗無礙なその文章は同人の作『こころ』とはかなり印象が違う。  この物語には何か明確なコンセプトがあるのか、と聞かれたらよく分からない。  学校という狭い世界のこと、豪胆さと小心さや、実直と狡猾の対照など、色々あるかと思う。  ただ、巻末の解説にもあるように、故郷やだいな