• 束の間から 番外編 【モーション・エモーション】

    本番直前。 控え室からぞろぞろ出て行くメンバーの最後尾に、俺とチャニョルはいた。 肩をとんとん、と叩かれる。 振り返ると、ドアの影にチャニョルがいる。 手をちょいちょい、と俺に向かって振っている。 ?と思い、控え室の中に戻る。 扉の後ろのチャニョルを見上げる。 「どうした?」 俺は色の滲んだ瞼を上げ、紫のカラーコンタクトが目の上で動くのを感じた。 そんな俺を見下ろしていた、チャニョルの顔が消えた。

  • あとがき(束の間から)

    こんにちは。 ここまで「束の間から」、お読み頂き、誠にありがとうございました。 今日で完結となりました。 私の書いた話の中でも、結果、非常に趣の異なるものとなったかと思います。 「人さらいの条件」も、ある種独特の雰囲気を持った異色作ではありましたが、この「束の間から」は、他の作品にはない軽みと若さがありました。 それはベッキョンとチャニョル、ふたりによるものとしか言いようがありません。 ベッキョン

  • 束の間から 24

    「ばれた」 チャニョルは俺の部屋にいた。 俺は机の前の椅子に座り、チャニョルはベッドに座っていた。 ローションのボトルを見られてすぐ、俺はチャニョルに携帯で連絡を取った。とりあえず時間を作って、会いたいと。ふたりだけで。 仕事やギョンスの目があり、なかなかふたりきりにはなれなかった。 その間チャニョルは、俺をちらちらと目の端で見た。 やめろ、と俺は思った。 ギョンスがいる前では特に。 メッセージで

  • 束の間から

    「たでーまー」 俺、ジュンミョン兄さん、セフンがソファでくつろぐ中、体を大きく動かしながら、がたがたとチャニョルが帰宅した。 おかえりー、とくちぐちに言いながら、その姿に目を向けたのは俺だけだった。 傍らのふたりは食い入るように新しく始まったドラマを見ている。 チャニョルがいつものごとく物音を立てずに動くことがなくとも、長年の慣れとこういう仕事には欠かせない集中力を持って、リーダーと末弟はそのどろ