• 食べよ、歌えよ、恋せよ 10

    ユノは変わった。 次の日から仕事に普通に復帰した。 調子が悪そうなようすもなく、チャンミン以外は皆、1日で治ったんだなとしか思わなかった。 顔色がすこぶるいいとは言えなかったが、振る舞いに変化はなく、仲間と談笑を交わし、ミーティングを行い、ダンスで汗を流した。 大声を上げて笑うユノは、いつもと同じ、ユノだった。 だが、着実にユノは変わって行った。 チャンミンはそのようすを、興味深く観察した。 まず

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 9

    やはり今日、ユノはもう帰った方がいいだろうということになり、チャンミンはユノの家まで彼を送り届け、今、仕事に戻る途中であった。 今日おかしかったのは、体調が悪かったことにしますから。 そう言って、仕事に戻ると言ってかなり粘ったユノを、チャンミンは説き伏せた。 兄さんが戻ったら、みんな、じゃあ今朝はなんだったんだって思いますから。 ユノはうなだれて承諾した。 マンションの前で、マスクとサングラスをし

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 8

    ふたりの前には美味しそうな料理が並んでいた。 誘うように湯気を立て、つやつや光るそれらを見つめて、チャンミンもユノも、ただ黙ってじっと座っていた。 「…食べよ」 やっと、チャンミンは口を開いた。 そしてスプーンを手にし、ユノを見た。 「…ん」 ユノもスプーンを手に取る。 チャンミンはビビンバをかき混ぜ、ユノはスープを啜った。 「…うまいなあ、ここ」 「…個室が取れて、昼からやってて、味もいいのは、

  • 日記(お知らせ的なもの)2016.3.22

    こんばんは。 いつもありがとうございます。 フェリシティ檸檬です。 さて、選挙演説のような出だしで始まりましたけれども、今日は皆様にまたお知らせがあります。 お知らせといいますか、すでにアップされているのでお知らせも何もないのですが、東方神起のいわゆるミンホの話をひとつ、更に始めました。 「暗黙の」です。 「ふたりでいると」の更新が滞っている現在、このお話を待ちわびているという方がもしも、いらっし

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 7

    「で?何があったんですか?」 向かいに座ったユノに、注文を終えた途端チャンミンは尋ねた。 ユノは汗をかいたグラスに手を伸ばし、長い指を周りにまとわせて、ただ掴んでいる。注がれた水の表面に目を落とし、口元には何故か笑みのようなものが浮かんでいるのが、チャンミンには不可解だった。 「兄さん?」 ふたりは少し長めに休憩を取り、落ち着いて話せる場所、と考えたチャンミンが決めた、ときどき食べに来る個室風の間

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 6

    練習室に朝、やって来たときから、その日ユノは変だった。 元気にドアを開け、スタッフやダンサー仲間に親しみを込めて挨拶していくのは確かに同じだ。チャンミンに対しても。 だがチャンミンは気付いたし、付き合いの長いそこにいたメンバーたちも気付いていた。 ユノは元気と言えば元気だった。だが、それは“振り”だった。 体調がすぐれないときや、仕事がある種の危機に陥ったとき。そういったときのユノの空元気のさまを

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 5

    昼下がりからの仕事の日。 チャンミンはベッドに横たわっていた。 隣では濃いブラウンの流れる髪が、カーテンの隙間から零れる光を受けて光っていた。手入れの行き届いたその髪に、指先で軽く、チャンミンは触れた。ぷるん、と押し返す感触に満足を覚えながら、チャンミンはうつ伏せていた体を仰向け、ふー、と嘆息した。 ベッドサイドの携帯に手を伸ばす。 まだ昼前だ。 久しぶりに朝をゆっくり家で過ごせる。 チャンミンは

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 4

    コン! と音を立てて、テーブルの上に透明なビニールに包まれ、フューシャピンクのリボンが結わえられたストロベリージャムの瓶が置かれた。 「これ、やるよ」 夜。 居酒屋の個室に、チャンミンはミノといた。 もともと今日は約束をしていた。だいぶ夜も深くなってから、ふたりで食事をしにいつも来るこの店に腰を落ち着けた。 居酒屋だが、時間的にも明日以降の仕事的にもアルコールを控えているふたりは、それぞれジンジャ

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 3

    撮影とインタビューを終え、移動車の中、前後に並んで座ったふたりは、言葉を交わさなかったり、交わしたりしていた。いつものように。 夕方に差し掛かり、窓の外はその日の天気の良さを表し、美しい暖色に染まり始めていた。 その色を眺めながら、チャンミンは思い出した。はめたイヤホンを片耳だけ外す。 「そうそう、それでなんですよ」 こちらも音楽を聴くため両耳に栓をしているのに近いユノ相手に、若干大きな声を出す。

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ 2

    「ジャム?」 メイクをされながら、ユノは鏡越しに聞き返した。チャンミンはメイクを既に終え、椅子に座ってテーブルの上にあった雑誌をぱらぱらめくっている。 「うん。前、くれたでしょ」 視線を宙に浮かせて記憶を辿り、ユノは「ああ」と呟く。 「苺のか?」 「そう」 「あれなー、ファンからもらったのだったよな。なんか有名な高いやつ」 「うん、確かに高そうでした」 「俺食べ過ぎると悪いと思ってさ。それでみんな

  • 日記(お知らせ的なもの) 2016.3.16

    こんばんは。 皆様いかがお過ごしでしょうか。 突然ですが、このたび東方神起の小説を書いてみました。 何故かというと、単純に、書いてみたかった、これに尽きます。 ブログ村の方々の東方神起に関する小説を読んでいくうち、自分で書いたらどんな感じになるかなあと考えるようになっていました。 そして、書きました。 気に入って頂けるかどうかは分かりませんが、私なりのお話をこれから書いていけたらなと思っています。

  • 食べよ、歌えよ、恋せよ

    こんがり焼けたトーストにバターを塗りながら、チャンミンは今日ジャムを塗るのはやめよう、と思った。ユノからもらったストロベリージャムを、今朝使い切るつもりだった。だが冷蔵庫を覗いているとき鳴った携帯電話の音に動作を中断させられた。その場を離れ、音の方に向かう際、手に持っていたものをテーブルに置いた。バターだけだった。 電話の相手はマネージャーだった。今日の予定の変更を告げられた。昼過ぎに迎えに行く、