• Yorimichi #20:六本木山椒大夫高瀬舟

    どこかから、チャリーン、と、小銭が落ちる音が聞こえてきた。 あの音は、十円だろうか、百円だろうか。 1円や5円ではなさそうだ。だが、500円ほど重厚な音色でもない。 長袖の人が増えてきた東京の昼下がり。 夏が終わろうとしている。 今年の暑さに、頭の天辺から五臓六腑、血肉心神に至る全てをやられてしまった私は、自己回復のために小説を読み漁る事にした。 まずは森鷗外【山椒大夫 高瀬舟】。 昔読んだはずだ