• 江戸を見れば 100   赤穂浪士討ち入り事件

     1702年元禄15年壬午(みずのえうま) 将軍 綱吉、時の権力者、老中上座の柳沢吉保。日本国の人心は乱れに乱れていた。  大坂の男伊達五人男処刑。旗本某偽印で町人から借金を斬罪。犬を殺した馬喰、切腹。勤務なしの京町奉行某を罷免、賭博犯を処罰、旗本3人斬首、18人を遠流。農民と商人38人を処罰。  そのような社会状況の中、12月15日の早暁4時ごろ、赤穂藩元家老大石良雄ら旧藩士47人は江戸本所松坂

  • 江戸を見れば 99  「遺恨、覚えたるか。」武士の面目

     1701年元禄14年辛巳(かのとみ) 柳沢吉保(よしやす)(保明)独り舞台の権力者となる。  綱吉は12月26日に柳沢保明の屋敷に出向き、松平の家号と綱吉の名の一字「吉」を与え、徳川家の一族に準ずると面令した。  保明の父安忠は将軍家光に数十年にわたり奉公し、保明(吉保)も20歳代から奉公し、儒学の弟子として人臣の模範として綱吉に奉公した。前例のない側用人から老中上座に異例の栄達をした。  今も

  • 江戸を見れば 98 将軍綱吉の「易経」講義終了

     1700年元禄13年庚辰(かのえたつ) 将軍綱吉が自ら講義した「易経」が11月21日をもって終了した。  1693年、元禄6年4月20日に開講して8年、240回の講座であった。  聴講者は門跡(もんぜき、宮門跡、摂家門跡、准門跡)三家、大名、旗本や僧侶、社人、山伏、保明ら側用人の家人などであった。  参 考 門跡=一門の法跡の意。祖師の法統を継承し、一門を統領する寺、また、その僧侶。皇  子・貴

  • 江戸を見れば 97  金融緩和と物価上昇

     1699年元禄12年己卯(つちのとう) 幕府の無策な政策と金の含有量を減らした悪貨の流通で、通貨は膨張して物価の急激な高騰を招き人民の生活は非常な不安と困窮に襲われた。  それに対して幕府は倹約令を以て対応したのでますます不安定な社会状況となっていった。  大和郡山や江戸の大火、肥前の津波、津軽暴風、肥後・豊後の洪水と日本列島は自然災害で、「捨て子」の再々禁止令を出さなければならないほど人民は生

  • 江戸川柳 色は匂へ  「と」の3 湯治 4 富

    一チ弐もく湯治がえりはつよく成り   退屈は碁を強くする。 湯治場で何にも知らぬ残念さ      勝負事・芸・博打、知らないよ。 湯治から帰ってわるい芸がふえ     花札も強くなったぜ。 「と」の4 富 一の富どこかの者が取りは取り    誰かが取っているはずだからなあ。  参考=一の富は寺社で行う富突と称する富くじの第一の当たり。富札は壱歩で、百両富・千両富などがある。政治が大衆一般を動かす手

  • 江戸川柳 色は匂へ 「へ」の3 下手(へた) 4 部屋持

    下手将棋袖を引かれてねめまわし    えっ。いい手、それともあぶない手。 生きかわり死にかわり出る下手役者   役が多くて、目が回るよ。 4 部屋持 部屋持の細い日なたに桜草    桜草の鉢植えとはいじらしいねえ。  参考=部屋持とは個室を一つ持つ遊女。座敷持より場所が悪く日当たりもよくない。斜めにやっと差し込む出窓に桜草の鉢植えを置くのが吉原で流行した。 元禄前句附 10 (前句)痛まぬほどにつ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ほ」の3 ほころび 4 牡丹餅(ぼたもち)

    ほころびを笑ふは内儀ぬふ気なり   縫ってくれるんだ。ありがとう。 ほころびと子をとりかへる壱人者   子守りたのむよ。はあーい。 4 牡丹餅 ぼたもちをいさぎよく喰ふ嫁の里    つきもの(姑)が落ちたのかな。 ぼた餅も砂糖しだいで息子喰い     実利主義者。うまくいけばそれもよし。   参考=ぼた餅は醜婦の異名。砂糖は持参金。 ぼたもちとぬかしたと下女いきどおり  愛しさの裏かも。難しいぞ。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「に」の3 二十七(にじゅうしち)

    功成り名とげて身退く二十七     よくがんばったね。これからが大変だよ。  参考=老子「功成リ名遂ゲ身退クハ天ノ道ナリ」 二十七歳は遊女の年季の明ける歳。  親の苦境を救う目的を立派に果たして勇退していく、若い時は玉の輿に乗るチャンスもあるがそんなことはめったにない。二十七歳の意味を知らないと分からない川柳が多い。 仕合さ年を四五年置て行き       22・3で身請けされたのね。 二十八歳無沙

  • 江戸川柳 色は匂へ  「は」 はずかしさ

    恥しさ知って女の苦のはじめ      江戸封建の女の定め。男尊女卑。 物の味一日知れぬはづかしさ      初めてのお歯黒の日です。 あごばかり出してゐてさえ恥かしい   婚礼の丸綿緊張しますわ。 恥しさつい三月たち四月たち      はやく公開して祝ってもらえると。 元禄前句附 4 (前句)あまり淋しく文の徒書(むだがき) まだ若き法師に角(すみ)の跡有て あまり淋しく文の徒書   角=角前髪の

  • 江戸川柳 色は匂へ  「い」の4 意見

    わがどらを先へ話していけん也   わしもわかいときはなあ・・・      どら=無軌道な金使い、とくに遊里での乱費をどらを打つと言う。 来るとまづ異見巧者は蔵へ呼び   さすが、誰にも見られないように。 長意見小便ひまをもらって出    あのう、あのう、でそうなんです。 人に言ふ異見を聞いちゃ一人前   江戸にも寅さんが居たんだ。 むりな意見は魂を入れかへろ    仙人でも無理じゃない。器用なこと

  • 江戸川柳 色は匂へ  「す」の2 捨 子

    今すてる子にありたけの乳をのませ    親心。せつない。 泣くよりもあわれ捨子のわらひ顔     泣けるなあ。貧しいこととは。 拾はるゝ親はやみから手をあはせ     江戸の貧富の格差だ。 元禄前句附 1 (前句)寝るほど寝ては心よきもの 百億の黄金も下戸はもち腐(ぐさり) (前句)寝るほど・・・  どんなに財産を持っていても酒が飲めないやつは可哀そうだよ。酔ってぐっすり寝て、気持ちよく目覚めるこ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「せ」の2 蟬

    つかまると蟬は地声で鳴ている     あれが地か。 蟬のなく下に子供が二三人       よく見かけた昭和。 蟬がなき出すとお世話になりました   通り雨、もう大丈夫だ。 江戸川柳  前句附  冠附(上五) 沓附(下五)  江戸川柳を鑑賞するときはその表現形式を知っておくとよいようである。中でも代表的なのが前句附である。点者(選者)がお題を出し、それに対して五七五の十七文字で応える。読み上げる時は

  • 江戸川柳 色は匂へ  「も」の2 孟子 3 物思(ものおもい)

    おっかさん又越すのかと孟子言ひ   お前のためだよ。がんばろう。 習わぬ経を覚へたで孟母越し     目的達成。さて、次はどこへ。 荘子のは夢が花野をかけ廻り     荘子は夢に蝶。芭蕉は枯野を・・・。 3 物 思 掃く先をやうやうと立つ物思ひ    さっさとどいてよ。あんたあ。 母おやもともにやつれる物思ひ    娘のことは娘にまかせなさい。 のびた首ちゞめて鷺の物おもひ    一本足で何考えて

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ひ」の2 人魂 3 緋縮緬(ひぢりめん)

    間に合はぬ医者人だまを道で見る   遅かったのね。成仏を。 上戸の人玉やったらに跡を引     酒のみはこれだから。いや。 人魂の頓死と見えて矢のごとし    はやかった。光陰矢の如し。 人魂も労咳やみはぶらぶらし     ぶらぶらと栄養ばかりとりまして。 金もちの人魂行きつ戻りつし     残した金が気にかかる。 うねくって飛ぶ人魂はしうとばゞ   曲がって、厳しいばゞの影 間ぬけな人魂ひるてん

  • 江戸川柳 色は匂へ  「し」の2 始皇帝 3 叱る、呵る

    いさめるとあなだと始皇おどす也   禁固、投獄、情報で潰す現代。  始皇帝=秦の皇帝、焚書坑儒を命じた独裁者。昭和10年代の日本の軍閥政府も禁固し、投獄し、また、危険な戦地に配属した。 3 叱る、呵る 女房をしかりすごしてめしをたき   なんであんなに叱ったのか、後の祭り。 女房をしかると膝でべそをかき    べろべろばあ。よしよし。金坊よ。 しかられるたびにむす子の年が知れ  もう、いくつになっ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「み」の2 水茶屋 3 神子(みこ)

    水茶屋の娘の顔でくだす腹    腹をくだすまでお茶を飲む馬鹿。  水茶屋=葉茶屋・料理茶屋・色茶屋・出会茶屋などに対してお茶を飲ませる茶見世。浅草の二十軒茶見世が有名。  今も昔も美人を置いて客を呼ぶのは同じ。 さわらば落ちん風情にて茶やはやり   誤解させる方が悪いのか。誤解する方が悪いの                    か。 水茶屋でせいいっぱいが手をにぎり   純なお方。朗報があるよ。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「め」の2 妾  3 名物

     江戸時代、妾は合法であった。芭蕉は結婚をしなかったが妾は持っていたようである。  なお、江戸では「めかけ」上方では「てかけ」というそうである。目をかけるか。手をかけるかの違いはあるが、役割はどちらも同じ。 御主人と思はぬめかけ首尾がよし    奔放、大胆さに惹かれるものだ。 めかけのはねだり下女のはゆすり也   非合法の弱み。ゆすられますよ。 めの字からへの字になるとつけ上り   世継ぎを生んだ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ゆ」の2 湯上り 3 雪

    湯あがりは玄宗以来賞美する     湯上りが一番。まいった、まいった。 女房を湯にやり亭主酒をのみ     心置きなく・・・飲めるぞ。 不都合さ亭主湯あがり女房酒     逆も真なり。ゆっくり飲みましょ。 3 雪 銭のない雪はこたつと首ッ引      金があればどこへでも行くが、炬燵にかぎる。 此雪に馬鹿ものどもの足の跡     つわものどもが懐かしい。 雪の朝女房は逸をもって打つ     休養十

  • 江戸川柳 色は匂へ  「き」の2 生娘(きむすめ) 3 禁酒

    きむすめは片袖すててにげて行      いいね。清純な時代もあった。 生娘は膝っこぞうに五人力        凛とした抵抗。たのもしい。 手にあたるものできむすめぶって逃げ   怪我しなかった。なにより。 3 禁 酒 無刀で帰宅仕(つかまつ)り以後禁酒   刀を忘れた。始末書だ。 禁酒した目につれなき雪月花       酒なくて・・・あ~。 禁酒だとおっしゃりませと袴腰      賢い奥方。袴を手

  • 江戸川柳 色は匂へ  「さ」の2 里帰り 3 里の母

    里びらきこのごろに無い飯を喰い   遠慮なく、腹いっぱい。 参考=里開きは、里帰りのこと。結婚の数日後新婦が実家へ始めて行くこと。新郎と同道することが多い。 里帰り赤らむ顔をみやげにし     初夜、うまくいったのね。安心、安心。 里帰り夫びいきにもう話し      よかったね。いい人で。 むづかしい方だと咄す里帰り     大丈夫かな、そのうち慣れるわ。 里帰りぢゝイばゝアをまづ咄し    同居

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