• 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑧

       「こんにちは。この靴の持ち主を探しているのですけど」これは、夢でしょうか。うとうとしながら仕事に行く準備をしていた時に来客があって、はいはいどちら様ですかと扉を開けて見れば、あの神々しいオーラを背負った王子様が立っているなんてそんなまさか。王子様の後ろに屈強なボディーガード達がずらりと並んでいて凄まじい威圧感だ。俺は慌てて顔を伏せ、そんな靴は存じ上げませんと首を横に振った。「こちらのお嬢様が

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑦

    「うっ、わ…!!!」俺は思わず、力の限り王子様の体を突飛ばす。その衝撃で、王子様がベンチから地面へと倒れてしまった。俺は、全身から血の気が引いていくのを感じていた。えっ、これって暴行罪…?暴行罪になるの?だって突然キスされたから、だって、正当防衛でしょこれ…!俺は顔を赤くしたり青くしたり、この場合どうすれば良いのか、忙しなく回転する思考が、もう限界ですと煙を上げた。「ごっ、ごめんなさい…!!」焼け

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑥

    俺はベンチに座り直し、乱れた髪やドレスを急いで整える。幸いにも、胸に詰めた綿の塊は崩れる事なく形を保っていてくれていたが、カツラの方は鏡が無い事には確認出来ない。今が夜で、辺りにはランプが灯ってはいるが、庭の隅にあるこの場所は薄暗いのが幸いか。王子様の方に背を向け、顔を見られない様に俯く。「あ…あの…わたくしあと少し風に当たってから戻りますですわ…。何だか酔っちゃったみたいでほほほ」「そう。なら私

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑤

     熱気の籠るホールを抜け、冷たい外気に頬を撫でられれば、一瞬で体の力が抜けてしまった。俺は庭の隅にちょこんと置かれたガーデンチェアを見つけ、よろよろと倒れ込む。ドレスが汚れるでしょうがと義母と義姉に怒られそうだが知ったこっちゃない。庭は隅から隅まで手入れされていて、名前は分からないがどこからともなくほのかに漂う花の香りが心地良い。草木が擦れ合う音をBGMに、シャンデリアの代わりに満点の星空。「あー

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ④

     写真か、パレードなどの時に遠目にしか見たことが無かったせいで一瞬誰だか分からなかったが、彼が俺の様な庶民とは別次元に住む人間なのだということはすぐに分かった。俺はもう会わずに帰るつもりでいたので、気の抜けていたところを突かれ動揺を隠しきれない。「うが…あ…こ、こんにちは…。この度はご招待いただきだきだき…!」「いえいえこちらこそ、忙しい中を来てくれてありがとう」蜂蜜色の、甘い色をした柔らかそうな

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ③

      (う…っ、死んでしまいたい…)まさか齢十八にして女物のドレスと靴を身に付ける事になろうとは。化粧は顔に何か貼り付いてるみたいで気持ち悪いし、ウィッグも何だか、頭に他人の毛が乗っている様で落ち着かない。自分勝手な義母義姉に無理矢理送り出された俺は、半ばやけくそで舞踏会へとやって来た。実は郵便配達の仕事で城の門の前までは何度も来たことがあるのだが、門の内側に、ましてやこんな城のど真ん中に入る事にな

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ②

    「な、何言ってんだよ!せっかく選ばれたのに!」「わたしは運命の人と出逢ったの!あの人に比べたら王子なんて牛の糞だわ!」「わああああ!何て事言うんだ!!!」つい最近まで、王子をオトしてやるとヤル気満々だった義姉の態度が180度変わったのには理由がある。実は先日、買い物の途中に馬車に轢かれそうになった義姉を、近くに居た大工が助けてくれたのだ。筋肉隆々の腕、陽に焼けた褐色の肌、男らしく刈り上げられた髪、

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ①

    俺の住んでいる国は、小さいながらも自然に恵まれていて、ご近所トラブルはあっても大きな争い事は滅多に起きない様なとても平和な所だった。都会からすれば、この国の時間はとてもゆっくり流れている様に見えるだろう。そんな毎日毎日をのんびりと過ごしている国民達の間に、衝撃が走ったのは数ヶ月前の事。“当国の第一王子の妻となる者を募る”国のトップである国王が、そんなチラシを、国中にばら蒔いたのだ。貴族階級の人間が