• 109 ペガサス

    一ヶ月くらい前だろうか。確か夏期講習の終わりごろだったと思う。 山手線、その電車内でのことだった。 最寄駅のホームにいた僕は、人を吐き出す電車をボンヤリ眺めていた。 車内に入るまでのこのわずかな空き時間に、僕は自分の疲れを自覚する瞬間がある。 この時の僕は自分の矮小な精神にひどくイライラしていて、だから目に映る他人に対してギスギスしていた。 いつまでも立ち尽くしていそうな自分の足を動かして、車内に

  • 99 【朗報?】ワイ将、生まれて初めて銭湯に突入する

    目次 ・事件、発生 ・そして日曜 ・ワイ将、また逃亡する ・試練の時 ・裸の戦士 ・生き返る、という表現 事件、発生 事件は、ついこないだの日曜日に起こった。 ベランダにある給湯器が壊れたのである。 ベランダ、といっても避難口があるだけの、四角い小さなスペースなのだが、そこにガスを沸かすための機械が設置されている。 そいつが死んだのだ。 元々、四月に入ってから水漏れを起こしていた。 大家さんから指

  • 92 素敵な世界

    村上春樹の影響力は凄まじかった。 僕が思春期の頃の新人賞の作品とか見てみたら春樹モドキみたいなやつばっかだったし、アニメとかでも、例えば新海氏の作品なんてあまりにもモロな感じだし。 春樹チルドレンとはよく言ったものだと思う。まあ影響を与えた意味ではラノベ界でいえば西尾維新もすごかったけれど。 ちなみに僕はたぶん、乙一か伊坂あたりの文体の影響を受けている。 2000年代は本当にサブカルチャーの界隈で

  • 89 灰色の煙の話

    父さんの匂いがするな、と思ったら、タバコの匂いだった。 池袋駅近くにある郵便局を出たときのことだ。タバコの匂いが鼻に入るのは久々だった。 公園と大きな喫煙所が近くにあり、その匂いが私の鼻をかすめたのだ。 父さんか、と思った。 父さん。 その言葉を最後に出したのは、いつだったか。 父親のことが一瞬でも頭に浮かんでしまった私は、仕方なく公園の一角に座り、喫煙所をぼんやり眺めた。 ゆらめく紫煙を見ている

  • 87 それは魂の作り方を誰も知らないからです

    先月のことだ。親友から連絡がきた。 私がブログでウダウダ書いていたからだ。3月に会うことになった。 で、今月の中旬に親友と東京の街を歩いたわけだ。 親友とのんびり散歩した。 住んでいるアパートから坂道を下ると、いつも開いていない雑貨屋がある。相変わらず明かりすらついていない。 ところで2月の電気料金が1万円を超えるという痛恨のミスを犯していた私は、あの雑貨屋の光熱費はいくらなのだろう、と思った。