• あぶくの城

    フィリップ・K・ディックの研究本 ディックの研究本は多数出ていますが、これが一番簡潔でいいですね 筆者も山野浩一氏、森下一仁氏、巽孝之氏など多彩ですし、さらには「異星人マインド」(仁賀克雄訳)という短編が一作おさめられています この本の特徴は日本で出版された際の表紙写真が添えられていること 特にハヤカワSFシリーズ版はセンスがいいですねえ 「逆まわりの世界」とか「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」

  • 猫の首

    にゃんともまあ、可愛い猫の表紙 しかし、猫好きの方はこの小説は読まない方がいいですw 「日本沈没」「復活の日」などで知られる小松左京氏 やはりこの人は大長編の方が読ませる技量を持っています しかし、本書のような短編集やショートショート集も多数刊行されています でも、やはり大長編作家のイメージが強いせいか、こういう作品集は陰ひなたで咲く花となってしまっているのもたしか そして、大きなインパクトを植え

  • 重力地獄

    眉村卓の初期短編集 第1回SFマガジンSFコンテストで第二席入賞した「下級アイディアマン」が収録されている 眉村氏と言うとジュブナイルの印象が多いが、代表作の連作シリーズである「司政官」シリーズなど、短編はハードSFも多く、秀作も多い作家である また、この作品集には収録されたすべての作品に対して眉村氏自身がコメントを残しており、それが案外自虐的で面白い 私は「正接曲線」という作品が好きだが、眉村氏

  • 柔らかい月

    イタリアの作家、イタロ・カルヴィーノの短編集 このハヤカワ文庫版は絶版だと思いますが、反リアリズム派の代表的作家なので、SFというカテゴリーではなくどこかで今も出版しているかと思います 表題作「柔らかい月」は月の一部が地球上に触手のように伸びてくる話 一瞬でなくなる物質文明を風刺をこめて描かれています 実は私は若い自分はこの作家の作品を全く評価していませんでした 内容が薄い そう感じてしまっていた

  • F2グランプリ

    数年前に亡くなられた海老沢泰久氏の名作 F1ではなくF2というのがリアリティがあります この作品では3人のレーサーが中心となって話が進みます 速さを誇るも過去の大事故のトラウマがぬぐいきれない男 抜群のテクニックで絶対王者に君臨しようとする男 新人離れしたテクニックを持ち、度胸を備えた若手 この3人がぶつかり合うレース描写はまさに迫力満点 さらに、それぞれのレーサーの心理描写が事細かく描かれており

  • コロサス

    ハヤカワSFシリーズ、いわゆる銀背 この作品、映画にもなったのに一度も文庫化されなかったのが不思議 昨今でもはやりのAIが人間を支配するという話、その先駆けと言ってもいい話ですね アメリカで作られた巨大コンピューターコロサス 人間の判断を得ずともあらゆる軍事行動を発動できる権利をこのコンピューターは与えられます すると(東西冷戦時代の小説ですので)なんとソ連にもガーディアンという同じような巨大コン

  • 宝石世界へ

    ニューヨークの地下鉄で早朝たまたま同じ車両に乗っていた警官と一人の娘 すると乗り合わせた他の乗客がすべてマネキンへと変わっていた! なんか、ドッキリのネタのような始まり方をする小説ですが異世界ものとしてなかなか楽しめる一冊です やがて地下鉄が到着する駅 そこはニューヨークのようでニューヨークではない 全く異質の町であった! 作者のテッド・ホワイトは私はおそらくはこれ一冊しか読んでいないと思います

  • レベルセブン

    最終戦争ものの古典中の古典 これは絶版となったサンリオSF文庫版ですが、どこかで出しているんじゃないですかね、岩波とか河出とかで タイトルのレベルセブンとは4000フィートを超える地下にある秘密の原爆ロケット発射基地のこと そこに配属されたX-127なる人物の記録が主な内容 著者のモルデカイ・ロシュワルトはこれが唯一のSF作品 イスラエル国民で、当時はアメリカの大学の准教授で社会学、哲学を教えてい

  • まんが伝記事典

    子供の頃お世話になりました 世界の偉人がぐっと凝縮された伝記事典 偉人の伝記ってまるまる一つを読むと長すぎて飽きてしまうんですが見開き2ページ(長いものでも4ページ)で凝縮されると読みやすく覚えやすいものなのです でも、この漫画を読んだおかげで魯迅やヘミングウェイなんか知りましたし、そこからその著作に手を伸ばしたりと発展があるもので 今、読み返しても評価が大きく変わっているのは毛沢東ぐらいでしょう

  • カンタン刑

    多くの筆名を持ち、様々なジャンルで小説を発表してきた式貴士氏 SFとしての第一短編集がこの本となります 10篇からなる短編集なんですけど、少し驚いたことがあって取り上げました 表題作の「カンタン刑」 これはあまりにも残虐な殺人行為を犯した場合、死刑よりももっと苦痛を与える刑罰を設けた未来社会の話で、実際に刑を執行されたものが無限の苦しみを味わうというものですが、昨今のニュースでこれが現実味を帯びて

  • おもろ放談

    70年代、星新一、小松左京、筒井康隆ら数人のSF作家による対談がまとめられた本です これはもう、正直面白い しかし、これ、現在出したらすぐネットで叩かれそうな内容で溢れかえってますねw 昭和の時代の方が発言もおおらかで良かったということでしょうかw もう、真っ先に語られている「インフレ・貨幣制度・食料・スパイ制度・そして……」でもかなりな問題発言がつづられています 「まあ、しかし、最近世界各地でた

  • 真鍋博のプラネタリウム

    星新一氏の著作の多くの表紙絵&挿画を描かれた真鍋博氏 その挿画とショートショートの一部を紹介した一冊です 星氏の本では真鍋氏か和田誠氏のイメージがありますね 真鍋氏は以前に紹介したアガサ・クリスティーの表紙も描いており、独特の世界観があるイラストレーターです これは名作「おーい、でてこーい」の挿画と一文 普通は挿画は小説の味付けのように利用されますが、この本のように挿画を紹介するのに小説が味付けと

  • 砂上の影

    著者の久野四郎氏は昭和7年生まれ成蹊大学卒としかわかりません この本にはあとがきも解説もなく、また久野氏もこれ以外には全く違うジャンルの書籍を一冊刊行しているだけで、正直謎の作家であります この本には表題作を含む17本の短編が掲載されています その中の一編、私が特に気に入ったものをご紹介します ある男が不思議な女と出会います 男が女と逢瀬を重ねるたびに男は世界が血みどろになるような悪夢に襲われます

  • 最終戦争

    今日泊亜蘭(きょうどまりあらん)氏は大正10年生まれのSF作家 日本SF開拓者の一人でありますが、SFマガジンの初代編集長である福島正実氏からは敬遠されていたそうで、あまり評価されていないように思います この短編集も本人が「あとがきに代えて」と称して書いているように字使いの統一がなされていません ただ、これは作者が望んだそうで、作品が発表された当時の旧カナ、新カナ方式で掲載されており、それも発表年

  • 地球の長い午後

    巨大な温室と化した地球 その中で独自に進化を遂げた巨大植物 その中には歩行移動し、人間を食料とする植物も無数存在する 人類は地域ごとに分かれ細々と暮らしていた 未来社会テーマですが、現実に温暖化が進行するとこんな未来になるかも、と想像が浮かぶ作品です さすがにリアリティはありませんがw もとより温暖化は、氷河期前の実はパラダイス的な時期であると指摘する学者もおりますので ただ、この作品世界に広がる

  • アンドロイド

    ロボットという言葉はチェコの作家カレル・チャペックが考えたもの そのロボットをより人間に近づけたものがアンドロイド この小説が発表されたのは1958年 著者のエドマンド・クーパーはイギリス人ですが、この小説はアメリカで発表されました 何故ここまで人間に近いロボットが作られなければならなかったのかを独自のロボットとの歴史観を構築してアンドロイドの誕生を語っている本書は、SF創世期にふさわしく、なくて

  • 天才はつくられる

    「ねらわれた学園」が有名な眉村卓氏 一時はジュベナイルの帝王みたいな時期がありましたが、中でもこの作品は秀逸だと思います 突如現れた天才グループから命を狙われる主人公 実は主人公にはある種の超能力が宿っていた 今では古いかもしれませんが、まあ、普遍的なテーマと言っていいでしょう この作品を上手にリライトしてラノベで別作品とかありそうですねw これNHK少年少女ドラマシリーズで放送されたそうなんです

  • ムーン・バギー

    著者はカーキチを自認しています それにしても車の事だけで13本の短編を書けるだけですごいと言うしかない このブログを書くために読み直しましたが、すごく丁寧に書かれた文章で、ほどほど感心しましたよ 最高傑作はやはり「ニュルブルクリンクに陽は落ちて」 疫病で死滅しかけている人類 その中でサーキットレコードを求めるレーシングドライバー 切ないというかはかないというか 最後のスピードを求める男 これほどの

  • 国境線は遠かった

    柳原良平氏の表紙絵がいいですね この集英社版の短編集は絶版でしょうが中身はいろいろな形で今でも読めます 収録作は7作 先月、石原藤夫氏の「画像文明」の中で紹介した「たぬきの方程式」も収められています 表題作や精神病棟を舞台とした「穴」など、本当にアホらしい(失礼)作品が多いのですが、特筆すべきは「欠陥バスの突撃」 これは素晴らしいですよ 一人の男の人格をバスに乗る乗客に見立て 色情、サラリーマン根

  • 宇宙塵版 派遣軍還る

    SFファンだと、光瀬龍さんと言えば「百億の昼と千億の夜」を思い浮かべるでしょう 小説というよりも、のちに萩尾望都さんの漫画の方がインパクトが強いのかもしれません しかし、私は圧倒的にこの作品を推します!すべてが素晴らしい! アルテア星群域戦に派遣された4000の兵団が終戦を迎え帰還します 兵士たちの帰還を待ちわびる人々 しかし、到着した宇宙船はもぬけの殻 4000もの兵団はどこへ消えたのか この作

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