• 米軍兵士「死の理由」

     まもなく、イラク戦争による米軍兵士の戦死者は三千人に達するだろう。彼らは何のために死んだのだろうか。イラクの大量破壊兵器を見つけ出し、テロリストからアメリカ国民を守るためか。フセインの圧政からイラク国民を解放し、民主的な国家建設を支援するためか。それとも、異教徒に対する、クリスチャンの「聖戦」のためか。いずれも、彼ら自身及び遺族を納得させる理由にはなるまい。戦争の「大義名分」は、開戦の動機づけと

  • 新釈・男と女の物語・《「泥だらけの純情」》

    第三話  出会ってから、わずか七回の「逢瀬」で、見事な「情死」を果たした男女がいる。 日活映画「泥だらけの純情」(原作・藤原審爾 脚本・馬場当 監督・中平康 昭和38年)に登場した、次郎(浜田光夫)と真美(吉永小百合)である。  物語の梗概は以下のとおりである。 ◆組長・塚田に頼まれてヤクを森原組の事務所に届けていたチンピラヤクザの次郎は、不良学生にからまれている外交官の令嬢・樺島真美を助ける。し

  • 新釈・男と女の物語・《「夕鶴」(木下順二)》

    第二話  民話・鶴女房を現代劇に脚色した「夕鶴」(木下順二)には、「不可解感」「錯覚」に囚われた男・与ひょうが登場する。「ばかはばかなりに、昔はたいそう働きもんだった」与ひょうのところへ、「いつだったか、晩げに寝ようとしとったらはいってきて、女房にしてくれ」という女がいた。つうという名である。つうは、以後、与ひょうの身の回りの世話をするばかりか、「鶴の千羽織」という布を、与ひょうにプレゼントした。

  • 新釈・男と女の物語・《「古事記」》

     男と女の物語は、「恋」をテーマにしなければ成り立たない。語る方も、聞く方も、それを一番に望んでいるからである。「恋」とは、「相手を必要と感じる」ことであるが、その思いが成就されることは容易ではない。  第一話・イザナギ・イザナミ  「古事記」の冒頭には、イザナギ、イザナミという男女の物語が記されている。以下、私の脚色を加えて紹介したい。二人は「恋」をして愛し合ったが、「国造り」という仕事があった

  • テレビの「品格」

    テレビの「品格」  民放テレビ番組(「秋の教育スペシャル」・11月11日・フジ)の中で、ある中学校の取り組みが紹介されていた。生徒を信頼して、定期試験には監督者を置かないという。また、生徒会が文房具の「無人販売」を担当し、売上げ金額の誤差が0円になることを目標にしているという。いずれも、社会生活を送るうえで、「私たちが相互に信頼し合う」ことが大切であるという「意識」を養うためであろう。この取り組み

  • 童話・「クワガタの恩返し」

     あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。ある夏の日、おじいさんの友だちから宅急便が届きました。開けてみると、大きな桃がたくさん入っています。その一つをおじいさんが取りあげると、一匹の黒い虫が、ポトリと落ちました。大きなクワガタです。クワガタは床の上で仰向けになり、手足をさかんに動かし、もがいています。 でも、元気がありません。            「かわいそうに・・・」  おじい