• 「海自3曹15人の同僚」の《感動》

     10月19日付け読売新聞(3時3分配信・niftyニュース)に、「海自3曹死亡『教官の管理不十分、制裁は否定』・・・」という記事が載っている。私は、その中で海自3曹の「死」に直接関わった、「15人の同僚」の言動に注目する。記事によれば、〈事故調査委の調べによると、3等海曹の男性は9月11日に別の隊に異動する予定で、同僚15人は2日前の同9日、「送別行事」として、男性との1対15人の徒手格闘訓練を

  • 「高齢化社会」の象徴

     スーパー銭湯のサウナ室で、テレビニュースを見ていたら、〈施設を脱けだした、七十歳代の女性が、秋葉原の無差別殺人に触発されて『通り魔事件』を起こした。その裁判で、懲役6年を求刑されたが、件の女性は、「施設に帰るくらいなら、刑務所の方がましだ。それよりも早くあの世に行きたい」とうそぶき、裁判官から「もっと、命を大切にしなさい」と諭された〉という。聞き覚えなので、正確な詳細は不明だが、この事件は、現代

  • 「榎物語」(永井荷風)

    「榎物語」(永井荷風・昭和6年)読了。大変おもしろかった。解説(竹盛天雄・「岩波文庫」)によれば、「大正から昭和への転換期においても、荷風の文業は、随筆が主であって小説制作は依然下降をつづけている。ようやく復活のきっかけをつかむのは、一九三一(昭和六)年、『あぢさい』『榎物語』につづいて『つゆのあとさき』を発表、好評をもって迎えられてからである。この頃の荷風は、文体のうえでも反時勢を意識し、『夜の

  • 夏の思い出

      今日から学校は「夏休み」、現役時代は、1年中で1番「楽しい日」であった。(ちなみに、1番「憂鬱な日」は8月31日であった)  〈夏が来れば思い出す、はるかな尾瀬・・・〉という歌があるが、私の場合、思い出すのは「静岡」である。静岡には母方の実家があり、満州から引き揚げてきた私は、小学校入学時まで、幼児期をその実家で祖母とともに過ごした関係で、学齢期になっても「夏休み」は、ほとんど静岡に帰省してい

  • 「庶民列伝」(深沢七郎・新潮社・1970年)

     「庶民列伝」(深沢七郎・新潮社・1970年)の「序章」を読む。冒頭は〈庶民というものは、どんな人たちだかはだいたい見当がつくものだが、どの生活からどのくらいの生活までの人たちを、「庶民だ」とはっきり区別することはなかなかむずかしいことだと思う〉という書き出しである。そこで、筆者は、話し相手の友人・「上高井戸の旦那」(庶民出身・金持ちの御隠居さん)と、その息子(大学出のインテリ・洋酒と読書が趣味)

  • 「わが老い 伴侶の老い」(三浦朱門・ぶんか社文庫・2008年)

     「わが老い 伴侶の老い」(三浦朱門・ぶんか社文庫・2008年)読了。この本は、〈(株)海竜社より2002年に刊行された『わが老い 伴侶の老い  老年を愉しむ13の戒め』を加筆・修正し、文庫化した〉ものだそうである。執筆時の筆者は75歳、それから7年たった。当時をふりかえり次のように述懐している。〈この本を書いたときの気持ちでは、八十を越えたら、ただ生きているだけの老人になるはずだった。しかし未だ

  • 「日本の名随筆・芸談」(和田誠編・作品社・1996年)

     「日本の名随筆・芸談」(和田誠編・作品社・1996年)読了。私自身の煩悩のため、「芸人風情が随筆なんて十年早い」と思いながら、徳川夢声、山本嘉次郎、五代目・古今亭志ん生、團伊玖磨、藤原義江、黒澤明、美空ひばり、嵐寛寿郎、芥川比呂志、六代目・三遊亭円生、野村万作、高峰秀子、二世・尾上松緑、森繁久弥、加藤武、池部良、マルセ太郎、小沢昭一、山下洋輔、立川談四楼、吉田日出子、鴨下信一、岩城宏之の芸談を読

  • 「堺事件」(森鴎外)

     永井荷風は『鴎外全集を読む』で、「文学者になろうと思ったら大学などに入る必要はない。鴎外全集と辞書の言海とを毎日時間をきめて三四年繰り返して読めばいいと思っております」と書いている。(『永井荷風ひとりぐらしの贅沢』永井永光・水野恵美子・坂本真典・新潮社)そこで、森鴎外の作品を毎日時間を決めて読んでみようと思う。初めに大正三年執筆「堺事件」(『新潮社・日本文学全集5・森鴎外集』)を読んだ。幕末の混

  • 「雁」(森鴎外)

      森鴎外の小説「雁」(大正2年・「日本文学全集5・新潮社」)読了。主なる登場人物は、物語の語り手である「僕」、その学友・岡田、石原、無縁坂に囲われている美女・お玉とその父、お玉の旦那・高利貸しの末造とその妻、以上7人である。物語の舞台は、東京・本郷周辺(湯島・上野不忍池・無縁坂)、時代は明治13年の出来事ということになっている。では、その出来事とは何か。大した出来事ではない。不忍池に群れていた雁

  • 俳優・緒形拳の「死に方」

     東京新聞10月8日付け朝刊(27面)に、興味深い二つの記事が載っている。その一は「呼吸器外し 意思尊重を」、その二は「がん 家族に口止め」という見出しであった。前者の内容は、難病(ALS)患者(男性68歳)が、「現在は人生を謳歌しているが、意思疎通できなくなったら呼吸器を外して下さい」と要望したが、当該病院長は「呼吸器を外せば(殺人容疑などで)逮捕される恐れがあり、難しい。社会的な議論が必要だ」