• 教訓Ⅰ・《未来の子どもたちへ》

     今から一万年ほど前、地球という星がありました。そこにはたくさんの生き物が住んでいましたが、中でもHという動物はたいそう力が強くいばっていました。銃という武器を使って他の動物たちを追い払い、容赦なく殺し、食べ、毛皮を剥いで寒さをしのいだりしていました。Hは小賢しい「知恵」を身につけていたので、火をあやつり、様々な道具を発明したりして得意がっていましたが、所詮は畜生の浅はかさ、我欲をおさえきれずに、

  • 鰤大根

    ◆鰤大根母の面影囲炉裏端 ◆鰤食らう孫の未来は不透明 ◆駅伝の号砲を待つ冬の空 ◆水鳥の羽音に見入る猫の背や ◆蕪蒸酌み交わす友探しけり 【補説】  私の夢は「俳人」だったが、現実は「廃人」に終わった。 (2016.12.1)

  • 冬日

      もう十分見るべきものは見つ冬日 【補説】  欲を言えばきりがない。思い残すこともない。知盛を倣って終焉の日を迎えよう。

  • 死という字

       死という字頻りに浮かぶ冬の朝   【補説】  同時代を生きた人々の訃報が次々と伝えられる。私にも「死」が迫っていることは確かである。今朝の冷え込みはことのほか身に沁みた。

  • 紅葉

      園児らのキラキラ星に降る紅葉 【補説】  保育園の子どもたちが踊っている。園庭の銀杏、カエデが降り注ぐ。平和な日本を守らなければならない。 (2016.11.21)

  • 「戦争」で国を守ることはできない

     アメリカ大統領選でドナルド・トランプ候補が勝利した。彼は、駐留にかかわる費用全額を日本が負担しない限り米軍を撤収する由、まことにけっこうな話である。日本全土から米軍がいなくなれば、日本は自力で国を守らなければならない。当然のことである。世界中のどの国も、自分のことは自分で始末するのが常識である。では、どうやって国を守るのか。これもまたあたりまえのことだが、「武力」で守るのは最も未熟で愚か、最悪の

  • 木の葉髪

     思うこと遂げざる日々や木の葉髪 【補説】 「チャンスは前髪でつかめ!」、その思いを果たせぬまま、枯れ木のように老いてしまった。

  • 《だから》自閉症は治らない

     なるほどこれでは「自閉症」は治らない。現状では「治りようがない」からである。「自閉症」と呼ばれる人、子どもたちの周囲に居る人、例えば両親、例えば兄弟、例えば親族、そして療育・教育に携わる人々の大半、もしくはほとんどが「自閉症は治らない」と思っているからである。彼らは、自閉症の要因は「脳の機能的障害」であるという通説を信じている。したがって、保育・療育・教育の内容は、半ば諦めながら「脳の機能」を改

  • 今日の柿

     病葉に実もたわわなり今日の柿 【補説】  数十年来、見事な結実を重ねてきた陋屋の柿の木に異変が生じた。放射能汚染の影響か、葉に生気がない。実もたわわだが色づかず、鴉に啄まれることもなく、朽ちていく。 (2016.10.29)

  • 「九条」

     「九条」に感謝を告げて旅立つ日 【補説】  「九条」のおかげで、私は兵役に服することはなく、人を殺すことも、殺されることもなく、穏やかな七十余年を過ごすことができた。そして今、静かに旅立つ日を待っている。(2016.10.25)

  • 君が代

     君が代の不戦を説きし君逝きぬ 【補説】 三笠宮殿下の御逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。 (2016.10.27)

  • 瀬戸内寂聴氏の晩節

     スポニチアネックス(10月14日配信)に「瀬戸内寂聴さん 謝罪」という見出しで、以下の記事が載っている。〈今月6日に福井市内で行われた死刑制度をめぐる日弁連のシンポジウムで、ビデオメッセージで「殺したがるバカどもと戦ってください」などと制度を批判したものの、犯罪被害者遺族らからやインターネット上で批判が殺到した作家の瀬戸内寂聴さん(94)が14日付の朝日新聞のエッセーで謝罪した。「バカは私」と題

  • 続・「布財布」譚

     郵便局から速達が届いた。「警察がキャッシュカードを保管しているので受領するように」という内容であった。さっそく所轄の警察署(会計課・遺失物係)に連絡後、赴いた。 窓口で受理番号を告げ、マイナンバーカードを呈示、所定用紙に住所、氏名、電話番号を記入する。担当警察官が件の布財布を持ってきた。「これに間違いないですか」「間違いありません」「それでは、中に入っていたものを確認してください」と言いながら、

  • 白紙領収書「慣行」の《怪》

     10月6日の参院予算委員会で菅官房長官、稲田防衛相は、出席した政治資金パーティーで主催者から白紙の領収書を受け取り、金額や日付けは後から自らの事務所で記入したことを認めた。それは国会議員の「慣行」であり、高市総務相も「規制法に領収書の作成方法は規定されておらず、法律上の問題は生じない」との見解を示したそうである。(東京新聞10月7日付け朝刊1面)しかし、白紙領収書に水増しの金額を記入すれば違法で

  • 「布財布」譚

     落としたものやら、掏られたものやら・・・、愛用の布財布が忽然と消えた。スーパーで買い物をし、自動支払機で精算するときまでは確かにあったのだが・・・。代金は1400円余り、財布から五千円札を挿入して釣り三千円を戻した。他に一万円札が2枚入っていたと思う。そこまでは記憶している。次はコンビニでタバコを買う予定、頭の中で「たしか五百円玉が小銭入れにあった。釣り銭の五百円玉と合わせて1000円になる。そ

  • 峠道

    秋風と戯れて往く峠道 【補説】  独り七十路坂を下りていく。友だちは秋の風と枯れススキ。そして俗謡が聞こえる。「何にも聞かないで つらい恋でも想い出にゃ いいことばっかりが 残るのよ」(山口洋子) (2016.10.2)

  • 相模原殺傷事件・容疑者の「目途」

     相模原殺傷事件に対する社会の反応をみると、いわゆる「優生思想」(障害者の存在理由を疑う考え)の是非という問題に囚われすぎているように感じる。しかし、そのことこそが容疑者(犯人)の目途であることを見落としてはならない。「優生思想」は想念の枠内であり、思想・信条の自由という理念で守られている限り、いくら論議したところで結論がでるものではない。大切なことは、容疑者の犯罪(殺人罪)に対してどのように向き

  • 秋の声

     往く人の後ろ姿や秋の声 【補説】  知人の作物に「死なないでほしい昔の男達」という秀句があった。旧友も一人去り、二人去り、私は独り秋の声を聞いている。    天高く「トツゼンノサヨナラ」が走る馬場 【補説】  「トツゼンノサヨナラ」は父・オレハマッレテルゼ、母・ユメミツキの2歳牝馬、終始、後方のまま12着に終わった。でも、明日があるさ、明日がある。オレハマッテルゼ。 (2016.10.2)

  • 林檎

      二つ三つ孫の歯形の林檎かな 【補説】  幼子が、ようやく生え揃った乳歯で、真っ赤な林檎に齧りついた。祖母は微笑みながら林檎を「うさぎ」に切り揃え提供する。縁側で秋の日射しをいっぱいに浴びながら・・・。  林檎箱卓袱台がわりの新所帯 【補説】  若夫婦の住処は四畳半一間、故郷から送られてきた林檎箱を食卓にして語り合う。秋の夜の淡い思い出・・・。 (2016.10.1)

  • 彼岸花

    彼岸花手を振る人を振り返る 【補説】  俗謡に「いい奴ばかりが先に逝く どうでもいいのが残される」とあるが、私は未だに此岸に居て、逝ってしまった人が手を振る姿を思い浮かべている。今年もまた陋屋の玄関先には、彼岸花が一輪、花開いた。 (2016.9.27)

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