「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)検討(3)・Ⅰ章・3
《要約》 2)表象機能と認知機能 ・一般の子どもの表象機能と認知発達に関する理論が、自閉症児の認知発達とその障害を解明するための方法論を提供することになる。このような観点からの、自閉症の認知を発達的に解明するための発達段階の具体化が「Stage分け」である。 ⑴表象機能とは ・人間は環境から入ってく... 続きをみる
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)検討(3)・Ⅰ章・3
《要約》 2)表象機能と認知機能 ・一般の子どもの表象機能と認知発達に関する理論が、自閉症児の認知発達とその障害を解明するための方法論を提供することになる。このような観点からの、自閉症の認知を発達的に解明するための発達段階の具体化が「Stage分け」である。 ⑴表象機能とは ・人間は環境から入ってく... 続きをみる
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学・1992年)検討(2)・Ⅰ章・2
《要約》 1)認知障害についての理解の変遷 ⑴初期の認知障害の理解 ・自閉症はKanner(1943)の報告した当初は、部分的に高い認知能力を示すことから、知的能力は障害されていないと考えられていた。その知的能力(認知能力)が発揮されないのは、自閉という症状のためであると解釈されていた。このため、知... 続きをみる
「自閉症治療の到達点」(太田昌孝・永井洋子編著・日本文化科学社・1992年)検討(1)・Ⅰ章・1
*第Ⅰ章の以下の部分は、自閉症が「認知障害」であることの論拠が述べられていると思われるので、要約しながら逐条的に検討を加えてみたい。 《要約》 【4.自閉症の認知障害】 ・自閉症の特徴的な行動(3つの必須症状)は、親の性格や養育態度により強まったり弱まったりすることもある。また、現代文明の“非人間的... 続きをみる
4.いくつかの補足・確認 ①「自閉症」への《挑戦》とは? 「自閉症」への《挑戦》とは、「自閉症は治らない」という通説に挑戦するという意味である。「自閉症」の原因が何であれ、それが発達の障害だと考えられている以上、その発達を促進することは可能である、と私は考えている。 ② 「対人関係の形成」を図る 「... 続きをみる
④「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「言葉が通じない」(コミュニケーションの障害)という問題に帰結する... 続きをみる
③ スキンシップでかかわる 「スキンシップ(和製英語: skin-ship)は、母親と子供を始めとする家族関係にある者や、ごく親しい友人同士が抱きしめ合ったり手を握り合う、あるいは頬ずりするなど身体や肌の一部を触れ合わせることにより互いの親密感や帰属感を高め、一体感を共有しあう行為である」(ウィキペ... 続きをみる
② 「物のやりとり」をする。 乳児期、辺りにある物を手にとって渡す、「ありがとう」とこちらが喜ぶと、また手渡す。こちらが「もういいよ」と言っても、さらに手渡す。今度は、こちらがお菓子を手渡すと「アンガト」などと言って受け取る。「モット」「チョウダイ」と言って手を重ねたりするようになる。そうした繰り返... 続きをみる
③相手からの「働きかけ」に応える 子どもが激しく泣いている。そんな場面はどこでも見られるが、親にとってはあまり嬉しくない出来事かもしれない。何か異変が起きたのかと心配することは当然である。しかし、思いあたることがないのに泣いている。しかも、泣きやまない。周囲から苦情が来ないか、親の育て方が悪いと抗議... 続きをみる
②相手のマネをする。 マネをすることは、古くは「まねぶ」であり「まなぶ(学ぶ)」の語源であるとも言われている。したがって学習は《マネをする》ことから始まる。親と子ども、教員と子ども、という関係の中で《マネをする》のは子どもの側である、と通常は考えられている。しかし「自閉症」と呼ばれる子どもたちの多く... 続きをみる
⑶ 相手との「接し方」・Ⅰ ①相手に働きかけない まず、相手と「同じ場所」「同じ時間」を共にする。つまり「相手と一緒にいる」ことから始める。「できるだけ長い時間、一緒にいる」ことが大切である。そのためには「寝食を共にする」ことが理想である。親や家族はその条件を十分に満たす立場にいる。 その際、最も重... 続きをみる
3.方法 ⑴ 調べる まず相手の「出生から現在まで」の《生育史》を「知る」必要がある。こちらの立場が「親」ならば、調べるまでもなく熟知している事柄であろう。・胎生期の状態・出生時の状態(時期、分娩の様子、産声の有無)・新生児期の状態(哺乳の様子、泣き声の強弱、体重の増加、黄疸の状態)・乳児期の状態(... 続きをみる
2.こちらの心構え 「自閉症(スペクトラム)」と呼ばれる子どもや成人たちと「接し」、「かかわる」際の《心構え》について、いくつか述べたい。 ⑴ 相手を「自閉症」だと思わない。 相手を理解することは、「接し」「かかわる」際に、最も大切なことである。その方法は、まず直接、自分の目で見、聞き、相手を「感じ... 続きをみる
◆はじめに 現状では「自閉症は治らない」ということが通説になっている。自閉症の原因は「脳の機能障害」だと《推定》されている。「親の育て方」が原因だと思われた時期もあったが、今、はっきり「それは誤りだ」と《断定》されている。 私自身も35年間の教員生活の中で、20年ほど「自閉症」と呼ばれる子どもたちと... 続きをみる
タイトルの「有りがたうさん」とは、ある男のニックネームである。彼は三島~下田間を往復する乗合バスの運転手、まだ二十代の二枚目(上原謙)、天城・下田街道を歩く人々を(時にはニワトリの群れにまでも)追い抜くたびに、「(道を譲ってくれて)ありがとう!」と声をかけて往く。走行距離は二十里、二つの峠を越さなけ... 続きをみる
10月6日の参院予算委員会で菅官房長官、稲田防衛相は、出席した政治資金パーティーで主催者から白紙の領収書を受け取り、金額や日付けは後から自らの事務所で記入したことを認めた。それは国会議員の「慣行」であり、高市総務相も「規制法に領収書の作成方法は規定されておらず、法律上の問題は生じない」との見解を示し... 続きをみる
「ここを過ぎて哀しみの市(まち)」とは太宰治の言葉だが、その意味が、ようやく実感としてわかるようになってきた。「哀しみ」とは喜怒哀楽の一つ、私たちにとって、最も切ない、しかし大切な感情であろう。人は、思いが叶えられない時、自分が必要とされていないと感じた時、そしてまた、自分で自分を必要としなくなった... 続きをみる
映画「ブローニュの森の貴婦人たち」(監督・ロベール・ブレッソン・1944年)
DVDで映画「ブローニュの森の貴婦人たち」(監督・ロベール・ブレッソン・1944年)を観た。舞台はパリ、登場人物は貴族の女性・エレーヌ(マリア・カザレス)、その恋人・ジャン(ポール・ベルナール)、エレーヌの故郷の隣人(リュシェンヌ・ホガエル?)の娘・アニエス(エリナ・ラブルテッド)。 タイトルの「貴... 続きをみる
午前1時から、「ラジオ深夜便」(NHK)〈インタビュー「64年、許されぬ痛み」長崎被爆者・永野悦子〉を聴いた。永野氏は現在80歳、長崎被爆体験の「語り部」として、その悲惨な実態(この世の生き地獄)を中・高校生、若者たちに語り伝えているとのことであったが、タイトルにある「許されぬ痛み」とは何か。昭和2... 続きをみる
相模原殺傷事件に対する社会の反応をみると、いわゆる「優生思想」(障害者の存在理由を疑う考え)の是非という問題に囚われすぎているように感じる。しかし、そのことこそが容疑者(犯人)の目途であることを見落としてはならない。「優生思想」は想念の枠内であり、思想・信条の自由という理念で守られている限り、いくら... 続きをみる
戦前の「大衆演劇」を描いた邦画に「浮草物語」(監督小津安二郎・1934年)がある。ユーチューブで観賞できるが、サイレント版であり、全く沈黙の世界である。しかし、場面の随所にはセリフの字幕が挿入されており、不自由はしない。 登場するのは市川喜八(坂本武)一座、信州(?)の田舎町に九年ぶりにやってきた。... 続きをみる
戦前の邦画「旅役者」(監督成瀬巳喜男・東宝・1940年)をユーチューブで観た。大変おもしろい。田舎町を旅する中村菊五郎(高勢実乗)一座の物語である。一座の当たり狂言は「塩原太助」。馬の役を務めるのは俵六(藤原鶏太)と仙平(柳谷寛)のコンビである。俵六は、馬の脚を演らせたら自分が日本一だと自負している... 続きをみる
アメリカ大統領選でドナルド・トランプ候補が勝利した。彼は、駐留にかかわる費用全額を日本が負担しない限り米軍を撤収する由、まことにけっこうな話である。日本全土から米軍がいなくなれば、日本は自力で国を守らなければならない。当然のことである。世界中のどの国も、自分のことは自分で始末するのが常識である。では... 続きをみる
前回のロンドン大会では、オリンピックの入賞者が、パラリンピックの終了を待たずに単独で凱旋パレードを行い、図らずもアスリートはじめ関係者の未熟さが露呈された。それを反省してか、今回はオリンピック・パラリンピックの入賞者が合同でパレードを行うらしい。東京都教育委員会のホームページでは、オリンピック・パラ... 続きをみる
平成15年、文部科学省は「自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」と定義した。厚生労働省もホームページで、「自閉症の原因はま... 続きをみる
【第五章 内閣】 ◎草案(修正該当部分) 第七十二条3 内閣総理大臣は、最高指揮官として、国防軍を統括する。 ◎修正案 第七十二条3を削除する。 《解説》 ・修正案においては、国防軍は存在しないので、この規定は不要である。 【第九章 緊急事態】 ◎草案 (緊急事態の宣言) 第九十八条 内閣総理大臣は... 続きをみる
【第四章 国会】 ◎草案(修正該当部分) 第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成する。 第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。 ◎修正案 第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成する。 2 参議院は非政党議員で構成し、衆議院を抑制、... 続きをみる
【第三章 国民の権利及び義務】 ◎草案・1(修正該当部分) 第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民はこれを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び責務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。 第十三条 全て国民は... 続きをみる
◎草案 【第二章 安全保障】 (平和主義) 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。 2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。 (国防軍) 第九条の二 我が国... 続きをみる
《日本国憲法改正草案・自由民主党》修正案・《2》 【第一章 天皇】 ◎草案(修正該当部分) (天皇) 第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。 (国旗及び国家) 第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。 2 日本... 続きをみる
【前文】 ◎草案 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴いただく国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国と... 続きをみる
「国民主権」の民主主義を標榜する日本社会において、参政権をはじめ基本的人権の数々を剥奪されている家族がある。「象徴」という存在の天皇家(皇族)だ。国民は彼らを敬い、親しみを込めて至上の優遇を図っているように見受けられるが、それは虚構に過ぎない。もともと天皇は「絶対君主」であり「神聖にして侵すべからず... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・41
【あとがき】 《要約》 ・私自身の遠い昔、小学校の低学年の頃だっただろうか。突然、ほかの子どもたちとの間に大きな距離を感じ始めた時期があった。ふと気がつくと、私は昼休みの校庭で一人きりで、級友たちのどの集団に、どのように近づいていったらよいのか、また数日前まで、私自身、集団の中にどのように収まってい... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・40
【統合者としての「私」】 《要約》 ・「今ここ」に支配された「私」を、もっと安定した「私」に引き継がせようとする背後には、統合者としての「私」が隠れているはずである。それは私たちの中にあって不断に活動する一つの「機能」であるに違いない。 ・現代の脳医学は、人格を統合するためのこのような機能の「場」が... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・39
【「私」から「私」への手紙】 《要約》 ・私たちがいつも使っている言語一般こそは、今の「私」から別の「私」に向けて差し出される手紙まもだ。私たちの視覚や聴覚や触覚は、感覚器官によって入力される外部情報にもとづいているから「今ここ」の世界に支配されやすい。だから、それらの感覚に依存する限り、環境が一変... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・38
【人間の脳がもつ制約】 《要約》 ・自閉症者が私たちと同じように生きていくことがこのように困難になったのは、彼らに特有な脳の障害が現れたからにほかならない。その制約をもって生きてきたことが、彼らを「自閉症」らしくしてきたのである。 ・障害のない「われわれ」も、脳や認知の仕組みによってもたらされるさま... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・37
《第9章 自閉症とわれわれ》 【われわれ自身の謎】 《要約》 ・本章では、この本でとりあげてきた諸問題を整理しながら、「われわれ」の側の振る舞い方、コミュニケーションの仕方、内部世界の特徴について考えてみたい。それは、自閉症者の場合と同じように「一風変わった」働きをするものなのかもしれない。 【自閉... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・36
【パソコン教材】 《要約》 ・パソコンによって制御される教材の基本的な働きは、IF・THENの構造に尽きる。学習者は、「IF右のボタンを押せば、THEN画面の中の車がエンジンの音と共に動き出す」といった仕組みを学びながら、この機械とのつきあい方を理解していくことになる。 ・このわかりやすいルールの世... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・35
【個別教育プログラム】 《要約》 ・それは、従来の一斉授業中心の指導形態を改め、一人一人の障害児の実態に合ったプログラムにもとづいて指導をおこなおうとするものである。 ・社会的な発達に重大な障害を持つ自閉症児の教育の目的は、それに適応できるようにすることである。 ・自閉症児に対する個別教育プログラム... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・34
【生活の立て直し】 《要約》 ・自閉症者は、早い時期から社会のさまざまな状況に適応できるように、種々の学習に取り組んでおくことが望ましい。 ・自閉症者を受け入れるにあたって、私たちはどのような準備をしておいたらよいのだろう。また、自閉症者は、どのような順序を経て私たちの世界に入ってくるのだろう。 《... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・33
《第8章 自閉症への教育的接近》 《要約》 【謎から係わりへ】 ・自閉症者は、自分にとってわかりやすい小さななわばりの中で生きている。このなわばりを拡げることが教育の仕事ということになる。 【なぜ教育が必要なのか】 ・彼らを彼らの安心できるなわばりの中に住まわせておくだけでもいいのではないか、という... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・32
【関係についての感情】 《要約》 ・ここまで述べてきたのは、一・二人称的な世界で起きる感情である。怒りも、恐れも、慈しみの感情も、「わたし」と「あなた」の間で起きるものである。しかし、感情が分化してくると、当事者の間で起きるもの以外にも多くの感情が発生してくる。 ・嫉妬の感情は、幼児が自分の弟や妹の... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・31
【顔のない人々】 《要約》 ・ヒトという種は、他の動物にはないいくつかの表情を生み出した。その代表格が、笑顔によって表される感情である。「裸のサル」(角川文庫)の著者として有名なデズモンド・モリスは、笑顔の起源は泣き顔であり、微笑は、怒りや恐れの感情が発展して現れた可能性が大きいと述べている。つまり... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・30
《第7章 自閉症の感情世界》 【表情の謎】 《要約》 ・彼らの顔からは表情が消失していることが多い。また、彼らは他の人々の表情も捉えていないようである。 ・捉えどころのない自閉症者の表情の裏にはどのような感情が動いているのか、本章では、この問題を考えていきたいと思う。 【闘争か逃走か】 ・闘争か逃走... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・29
【M君のスケジュール帳】 《要約》 ・自閉症児が外部世界の動きを壁にかけられた時計やカレンダーと関連させるようになると、こころの中でのそれらの意味は健常者の場合よりもずっと重要なものになるようである。彼らは、それによって現在の時刻を知るばかりでなく、過去から未来へのかなり広い範囲のスケジュールを管理... 続きをみる
平成15年、文部科学省は「自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」と定義した。厚生労働省もホームページで、「自閉症の原因はま... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・47
《第13章 Fくんの場合》(秦野智子) 1.入園時のようす・・・不安定な母子 ・6歳0カ月の時、初めて来園した。すんなりと保育室に入り、母親のひざにすわっていた。しばらくすると黒板に石油会社名を書くようにせがむことをはじめた。書いた後は必ず声にして読ませた。その後、ワゴン車に乗り込み押してもらい廊下... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・46
《第12章 Eちゃんの場合》(後藤徹男) 1.入園時のようす・・・薬物療法施行中 ・4歳3カ月の時、母親と来園。何をして遊ぶでなく、フラフラと歩き回っていた。トランポリンの上では、されるままで、自分から動こうとする意欲はまったく感じられなかった。発声はあまりなく、無表情で笑い声も聞かれなかった。4月... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・45
《第11章 Dくんの場合》(小柴真喜子) 1,入園時のようす・・・表情固く言葉を発しない ・Dくんは非常におとなしい子で、感情表現が乏しく、一定の表情しかみられなかった。・電気のスイッチをつけたり消したり、オルガンの音に興味をもち、オルガンの下にもぐり込んでばかりいた。シーソーブランコを動かしては、... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・44
《第10章 Cちゃんの場合》(久我晴代) 1.入園時のようす・・・3日に1度くらいしか声を出さない ・2歳11カ月の時、父母と見学に来る。泣いて入ろうとしない。強引に中につれて入る。父母と面談中も泣いてぐずっていた。給食は1人で好き嫌いなく全部食べた。その後、機嫌がなおったので保育室でボール遊びをし... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・43
《第9章 Bくんの場合》(荻野俊子) 1.入園時のようす・・・固執傾向と独占欲 ・4歳2カ月月の時、初めて来室した。母親と一緒だったせいか不安も抱かず、いろいろな遊具に興味を示した。興味の対象は次々と移っていく。 ・4歳3カ月から通園開始。朝、帰りの会、給食の時など皆と一緒にいることはほとんどなく、... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・42
《第3部 実践》 《第8章 Aくんの場合》(石田遊子) 1,入園期のようす・・・無反応な対人関係 ・3歳4カ月の時、家庭訪問して対面した。Aくんは私たちには全く無関心、ソファーに よじ登ったり、まわりを歩き回ったり、「リーダーズ・ダイジェスト」の本をめくったりしていた。母親が抱いても、嫌がってすぐ腕... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・41
《8.予防措置》 ・まず、危険防止に配慮しなくてはならない。 ◆不必要な道具は片づけてておく。 ◆道具は金属製のものではなく、木製、プラスチック製のものにする。 ◆子どもが転ぶ可能性のある所には、マットを敷いておく。(階段からの転落に注意する)◆吊り下げる道具はできるだけ床近くまで下ろしておく。 ◆... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・40
《7.固有感覚訓練》 ・固有感覚刺激は、身体の各部分の関節を曲げたり伸ばしたりすることで、与えられる。・この訓練も、子どもの反応にしたがって、喜ぶ活動を選べばよい。活動の種類としては、身体各部を曲げる、伸ばす、圧泊する、そうした感覚を統合するといった運動が考えられる。身体各部の屈伸は、「赤ちゃん体操... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・39
C.痛覚 ・たたくということで痛覚の刺激が与えられる。刺激の強さは、保育者自身の力の入れ具合で自由にコントロールできる。ゆうやかな刺激としては、子どもの肩や背中をリズミカルにやさしく叩いてあげればよい。子どもによっては、もっと強い刺激を必要としている場合もある。自傷行為がある場合には、その行為を止め... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・38
B.圧覚 ・圧覚刺激は、子どもの身体をおしたりもんだりして与えられる。いわゆる指圧やマッサージなどと同じような活動と考えてよい。 ・触覚刺激(こすること)は興奮を高める効果を持つのにたいして、圧覚刺激(おすこと)は興奮を抑える働きがあるといわれる。したがって、圧覚刺激はとくに多動な子どもの場合に奨め... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・37
《6.皮膚感覚訓練》 ・刺激を与える場所は、子どもの気に入るところならどこでもよい、ということが原則である。 ・エアーズは触覚刺激を重視しているので、触覚、圧覚、痛覚、振動覚、くすぐり覚、温(冷)覚、水中覚の順に、活動例を紹介する。 ・皮膚感覚を刺激する活動は、スキンシップといわれている行為に含まれ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・36
《5.平衡感覚訓練》 ・平衡感覚に働きかける刺激とは、身体の動きと姿勢に変化を与えるということである。刺激の種類は次の7つに分類される。 ①身体の前後方向への直進加速度 ・ブランコに乗る。電車・バスの前向きの座席に乗る。ジェットコースターに乗る。 ②身体の左右方向への直進加速度 ・電車・バスの横向き... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・35
《4.刺激の与え方》 ・まず感覚診断を行い、子どもの反応を調べる。かなり強い刺激を与えても子どもがかえって喜ぶようならプラス、ちょっとした刺激でも子どもがいやがるようならマイナスの反応といえる。 ・最初はプラスの反応を示した行動から始める。子どもの反応を観察しながら、かなり強い刺激にまで高めていく。... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・34
《3.子どもの反応》 ・おとなが意図的に刺激を与えるときの着眼点や注意すべき点について述べる。 A.刺激を与える前の子どもの反応 ・新しい活動ということだけで尻込みしたり、自分自身の限界について鋭く意識している子どもがいる。子どもが道具を見て不安症状を示したら、その道具が脅威を与えていると考えなくて... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980)精読・33
《2.感覚回路についての一般的原則》(デラカート) A.鈍すぎる感覚の場合 ①危険な場所や危ない物、有毒など危険に対して無防備なので、事故に気をつける。 ②いろいろな強い刺激を与えて感覚を目覚めさせる。 ③強い刺激からだんだん弱い刺激へと進める。 ④与えっぱなしにして慣れをおこさないように気をつける... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・32
《第7章 統合訓練の方法》(石田遊子) 《1.子どもにとって最適な刺激》 ・エアーズは、一般的原則として次のように言っている。「一般的にいって、楽しいもの・喜ぶものは統合されるものだと考えられる。」「もし子どもがその刺激が好きで自分からすすんでそれを求め、そのあと気持ちよく感じ、それによって興奮過剰... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・31
《6.療育キャンプの経験から》 ・千葉県中央児童相談所の好意により、1泊2日の自閉症療育キャンプ(昭和53年9月7~8日)に参加した自閉症児及び自閉傾向児18名(3~9歳)について感覚診断を行う機会を得た。母親に記入してもらった常同行動チェックリスト、児童相談所の個別記録、および、平衡感覚・皮膚感覚... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・30
《4.診断の実例 2(『自閉性精神薄弱児の家庭指導1』(小林提澍著・福村出版)のYくん)》 ・昭和30年5月30日から同年10月24日までの約半年間の記述を利用して、感覚診断の演習を行う。 ◆Yくんの感覚診断の結果 ●平衡感覚《鈍い》→・同一の位置で盛んにとび上がる。・ブランコが大好き。・電車は好き... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・29
《3.診断の実例 1(『愛の奇跡」のアン』》 ・現実に子どもを相手にするのでないから、第2の方法である設定刺激は利用できない。◆診断の結果 ●平衡感覚《鈍い》・特定のイスにかけて何時間もゆすっている。・ブランコを何時間も乗っている、大きく前後に揺すって喜ぶ ●皮膚感覚《鋭い》・(触覚)→・抱き上げら... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・28
《2.感覚診断の方法》 ・私たちはデラカート(の感覚障害論)を踏襲している。しかしデラカートの分類では「触覚」が広義に用いられすぎているため、感覚統合訓練の中で特に重要な、近接受容器の諸感覚が詳しくとらえられていないという欠点がある。そこで私たちは、次のような実用的な分類法を用いている。 ◆平衡感覚... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・27
《第2部 方法》 《第6章 感覚診断の方法》(鈴木佐江子) 《1.母子関係の評価》 ・まず最初に、母子関係がどの程度に育っているかを評価する。そして、母子関係が十分に育ち切っていなことが疑われる場合には、母子関係の発達を阻害している感覚障害が存在しないかどうかの診断に進むのである。 ・評価を容易にす... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・26
【中間的総括】(感想) ・以上で「第1部 理論」の各章を読み終えた。ウィング理論、田口理論を著者らの批判を交えながら、「感覚統合」を提唱する論述はわかりやすく、たいへん参考になった。 ・私が最も知りたかったのは、「母子関係」と「感覚障害」の《関連性》、つまり①母子関係が形成されないと感覚障害が生じる... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・25
《5.『愛の奇跡』(ホッジス手記、コープランド著述・篠崎書林・昭和50年)のアン》 ・1973年イギリスで出版され、1975年わが国で翻訳されたこの本が私たちの関心をひくきわめてユニークな点は、両親の愛の「しごき」によって少女が自閉の壁を打ち破り、大きく成長することができたという点である。 ◆アンは... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・24
《4.テレビと自閉》 ・岩佐京子氏の著書『テレビに子守をさせないで』は昭和51年に発行され、「自閉症の原因はテレビである」という仮説によって話題をにぎわしたが、その間に岩佐氏自身の自閉症に対する考え方が大きく変化し、昭和53年に『新版テレビに子守をさせないで』が発行された。 ・旧版では、「ことばは精... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・23
《3.原始感覚と弁別感覚》 ・セガンは、触覚を例に取りながら「同一感覚の二種の作用」(1866年)(『障害児の治療と教育』(ミネルヴァ書房・昭和48年)に言及して次のように述べている。 ◆触覚には、1つ以上の感覚が含まれている。1つは触覚そのものを形成する感覚の受容器官として、今1つは、接触という名... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・22
《2.近接受容器と遠隔受容器》 ・自閉的な子どもにおける感覚障害を強調する論者の中で、デラカートは、五官をすべて同じ程度に重視している。五官とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚であり、平衡感覚や体性感覚、温覚、痛覚などもろもろの皮膚感覚は、すべて「触覚」というカテゴリーに包含されている。「触覚」に無差... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・21
《第5章 母子関係と感覚統合》(阿部秀雄) 《1.ハーロウの実験をどう読むか》 ・サルの乳児を使った有名なハーロウの隔離飼育実験から明らかになった事実は、母子関係とは子どもがこの世界で生きて行くのに不可欠な基本的安心感の源泉であり、生後一定期間母親(ないしはそれに代わるもの)を与えられずに育つと、母... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・20
⑶服薬に対する指導について ・ティンバーゲン夫妻は「お医者さんの中には、自閉症児とみるとすぐに精神安定剤その他の薬を飲ませようとする人がいます。・・・これは緊急の場合か短期間だけの場合でないかぎり、好ましくありません」(「自閉症 文明社会への動物行動学的アプローチ」(田口恒夫訳編・新書館・1972年... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・19
《3.考察・・・ 田口理論実践面での疑問点》 ⑴田口理論の適応について ・「ことばの遅れ」の要因は,田口氏の古い著書(「言語発達の病理」・医学書院・昭和45年)から引用すると、①知能発達の遅れ、②聴覚障害、③発語器官の異常、④情緒的要因、⑤中枢神経機能障害、⑥環境的条件、である。筆者も同じ見解である... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・18
◆症例4.女(昭和46年7月20日生) ・6歳2カ月の時、通園中のE肢体不自由児通園施設にて面接をした。 ・脳性マヒ(四肢マヒ)のため座位も保持できない。 ・対人関係はよくとれ、言語理解力はほぼ年齢相当であったが、言語表出では、発声・発語器官のマヒの影響で、発声しようとすると緊張が強まり声が出ないこ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・17
《第4章 言語臨床から見た田口理論》(千葉県障害者相談センター 鈴木弘二) 《1.はじめに》 ・筆者は言語治療に携わって6年になるが、子どもの相談では「ことばの遅れ」を主訴とする相談ケースが相当数あり、その中で田口氏らが言う「しばしば、自閉症とか自閉傾向とか微細脳障害症候群とか発達性失語症とかいった... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・16
《3.「子どもの不安・緊張の原因」の分析》 ・『言語発達の臨床第2集』では62例にもわたる「不安・緊張の原因」が次の11項目の下に整理されている。A.視線、B.顔、C.声、D.音、E.人の接近、F.接触、G.人の動き・姿勢、H.人からの働きかけ、I.周囲の状況、J.子どもの身体的状態、K.母親の状態... 続きをみる
『「自閉」をひらく母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・15
《2.「子どもの不安緊張症状と思われる行動」の再整理》 ・田口恒夫編『言語発達の臨床第2集』に収められた「子どもの不安緊張症状と思われる行動」は、現実に子どもが不安な状態に陥っているかどうかを見抜くうえで、臨床上きわめて有益である。そこには、144例の行動例が、A.声に関するもの、B.ことばに関する... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・14
《第3章 田口理論をめぐって Ⅱ》(鈴木佐江子) 《1.「人にしてもらって楽しい活動」の生理学的分析》 ・田口氏らによって推奨されている「人にしてもらって楽しい活動」90余例を感覚の種類別に系統的に分類整理してみた。その結果、平衡感覚および皮膚感覚刺激の活動例が圧倒的に多く、聴覚、視覚などの活動例、... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・13
《9.自閉論への寄与》 ・田口理論やティンバーゲン夫妻の理論をめぐって、心因論か素質論か器質論かをあげつらってみても、あまり生産的ではないかもしれない。 ・田口理論の持つ最も重要な意義は、「言語発達遅滞」児にとっても、正常に発達した児童とまったく同様に、母子関係が言語発達の基盤である、という命題を再... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・12
《8.集団生活に入れる時期》 ・母子関係ができて初めて他児への関心が育ってくるのが発達の原則であるから、早すぎる母子分離が子どもの発達の基盤を弱めてしまう危険は十分にある。「お母さんから離れたがらない子どもを子どもを無理に引き離して、子どもの成長のためにはよいことはひとつもありません」という助言は適... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・11
《6.「喜ばせる」活動の位置づけ》 ・「喜ばせる」活動は、『第1集』では「言語発達遅滞」児を援助する主要な活動であったが。『第2集』以後になると、「ただ喜ばせることから、安心させること、おびえさせないことに重点をおく」ように方針が少し変えられている。 ・「喜ばせる」ことのこの比重低下は、それが母子関... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・10
《5.子どもの側の問題》 ・田口理論をさらに発展させるためには、むしろ子どもの側に視点をずらして、そうした子どもたちはなぜ生得的に泣かないか、あるいは泣きやまないかという問いを提起することが必要であろう。母性行動は本来、最も切実な基本的欲求を満たすものとして、子どもから泣き求められ、かつ喜びをもって... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・9
《4.心因論への偏り》 ・田口理論の問題点のひとつは、心因論に傾きやすい点である。 ・『第1集』において生得的に愛着行動が弱い事実は認められているにしても、それによって誘発される育児行動が少なくなることが直接の原因として重視されている。 ・『第2集』以後では泣かない子どもに加えて逆に「泣き出すと何を... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・8
《2.「言語発達の臨床」理論から人格発達の臨床理論へ》 ・田口理論の卓越した点は、家庭から離れて育てられている児童に対してでなく、また実の家庭にあって両親から虐待ないしは放置されている児童に対してでもなく、両親の愛護のもとで育てられている「言語発達遅滞」児に一貫して適用した点にある、ということができ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・7
《第2章 田口理論をめぐって Ⅰ》(阿部秀雄) ・本稿では、お茶の水女子大学の田口恒夫氏を中心とする言語発達臨床研究会の言語発達遅滞」児に関する理論(以下「田口理論」と称する)を紹介しながら、私見を述べる。 《1.田口理論でいう言語発達遅滞児》 ・田口氏らは自閉症とか自閉傾向とか微細脳障害症候群とか... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・6
《4.「基本的障害」を腑分けすれば》 ・ウィング女史の「基本的障害」にある「コミュニケーションの障害」というカテゴリーは、対人関係の障害という二次的障害の結果生じるいわば三次的障害としてはずすことにする。 ・また「運動統制の障害」にある「腕を交互に振らずに、爪先立ちで跳ねるようにして歩く」「自発的な... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・5
《3.コミュニケーション能力は上部構造》 ・ウィング女史に従えば、自閉症児におけるコミュニケーション能力の障害は、表現と理解、話しことば(スピーチ)、言語(ランゲージ)、言語以前のコミュニケーションというあらゆる水準に及んでいる。「自閉症児の障害は、コミュニケーションのすべての形態にわたっている」と... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・4
《2.母子関係の軽視》 ・ウィング女史らに発達的な視点が欠落している、と言えばたしかに言い過ぎであろう。しかし、対人関係がどのように発達するか、対人関係とコミュニケーション能力との発達的関連はどのようなものであるか、についての考察は不十分である。 *対人関係の発達 ◆人に無関心→人一般との関係→【母... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・3
【第1部 理論】 《第1章 ウィング理論を超えて》(阿部秀雄) 《1.あまりに多面的すぎる》 ・ウィング夫妻らの自閉論の特徴は、自閉を派生的な(二次的)な障害としてとらえる器質論的共通の立場に立ちながら、基本的(一次的)な障害は単一のものではなく、言語障害を中核とする多面的な障害群から成っている、と... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・2
《まえがき》(つくも幼児教室施設長・阿部秀雄) ・現状では(自閉症、早期小児自閉症、自閉的傾向、自閉性精神薄弱などと呼ばれている子どもたちの)本態も原因も治療の方法もほとんどわかっていない。せいぜい1つの状態像(症状)を記述する用語として「自閉」という表現を用いるにとどめ、その原因はけっせて単一のも... 続きをみる
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