【良い子だったオバマ】 ・オバマ大統領は、「良い子」や「優等生」を演じきった。「従属的コントロール」を駆使した典型である。 ・クリントン大統領は、母親に対してはとても従順であったが、それ以外の女性に対しては支配的で、うまく利用したり搾取しようとした。「操作的コントロール」の典型である。【愛着パターン... 続きをみる
2017年のムラゴンブログ
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ユーチューブで映画「生さぬ仲」(監督・成瀬巳喜男・1932年)を観た。原作は大正時代に連載された柳川春葉の新聞小説で、ウィキペディア百科事典ではそのあらすじが以下のように紹介されている。 東洋漁業会社社長、渥美俊策の一子、滋子をめぐって生母、珠江と、生さぬ仲の継母、真砂子との葛藤をえがく。 【成瀬版... 続きをみる
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映画「何が彼女をそうさせたか」(監督・鈴木重吉・1930年)
ユーチューブで映画「何が彼女をそうさせたか」(監督・鈴木重吉・1930年)を観た。この映画はフィルムが消失し永らく「幻の名作」と伝えられていたが、1990年代になってモスクワで発見され復元されたものである。私は高校時代、日本史の授業でその存在を知った。原作者・藤森成吉の名前もその時に受験知識として覚... 続きをみる
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ユーチューブを検索していたら「みずにゃんちゃんねる」というサイトを見つけた。これがたいそう面白い。「みずにゃん」と称する青年が、アダルト動画の架空請求業者らと電話で「やりとり」する場面を「自撮り」している映像である。 要するに、青年は、①ショートメールで法外な金額の請求が届いたが、登録した覚えはない... 続きをみる
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《駄句七句》 ◆せせらぎの闇を横切る蛍かな ◆蜥蜴走る真間川の縁昼下がり ◆尻尾切り蔵に逃げ込む蜥蜴かな ◆尾を捨てて闇に紛れる蜥蜴かな ◆じっとして平和を祈る蝦蟇 ◆宅地でも「あれは蛙の銀の笛」 ◆銀の笛蛙はすでに失せにけり (2017.5.29)
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ユーチューブで映画「浪華悲歌」(監督・溝口健二・1936年)を観た。19歳の女優・山田五十鈴主演の傑作である。冒頭は、薬種問屋の主人・麻居(志賀廼家弁慶)が、けたたましい嗽いの音を立てて洗面・歯みがきをしている。タオルで顔を拭きながら縁側に出る。女中に「このタオル、しめってるがな」。朝の太陽を仰ぎな... 続きをみる
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原作は真山青果、明治から大正にかけ、浪曲界の大看板で「浪聖」と謳われた桃中軒雲右衛門の「身辺情話」である。成瀬作品にしては珍しく「男性中心」の映画で、女優は雲右衛門の曲師であり妻女のお妻を演じた細川ちか子、愛妾・千鳥を演じた千葉早智子しか存在感がない。(他は、ほとんど芸者衆である。) 筋書きは単純、... 続きをみる
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ユーチューブで映画「恋も忘れて」(監督・清水宏・1937年)を観た。横浜のホテル(実際はチャブ屋)で働く一人の女・お雪(桑野通子)とその息子・春雄(爆弾小僧)が、様々な「仕打ち」を受ける物語(悲劇)である。 筋書きは単純、お雪はシングルマザー、一人息子の春雄(小学校1年生)を立派に育て上げようと、水... 続きをみる
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ユーチューブで映画「浅草の灯」(監督・島津保次郎・1935年)を観た。東京・浅草を舞台に繰り広げられるオペラ一座の座長、座員、観客、地元の人々の物語である。 冒頭は、オペレッタ「ボッカチオ」の舞台、座員一同が「ベアトリ姉ちゃん」を合唱し ている。その中には、山上七郎(上原謙)が居る。藤井寛平(斎藤達... 続きをみる
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ユーチューブで映画「サーカス五人組」(監督・成瀬巳喜男・1935年)を観た。この映画、タイトル、スタッフ、キャスト紹介までの画面は鮮明であったが、物語が始まった途端に、どこがどこやら、誰が誰やら、茫として判らない。要するに、フィルムが劣化して霞がかかっているのだ。それもまた一興、古文書を解き明かす思... 続きをみる
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ユーチューブで映画「港の日本娘」(監督・清水宏・1933年)を観た。戦前の男女の色模様を描いた傑作である。港の日本娘とは黒川砂子(及川道子)のことである。彼女には無二の親友、ドラ・ケンネル(井上雪子)がいた。この二人に絡むのが男三人、プレイボーイのヘンリー(江川宇礼雄)、貧乏な街頭画家・三浦(齋藤達... 続きをみる
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監督・清水宏、戦前傑作の逸品である。山の温泉場(おそらく塩原か?)に向かう按摩の徳一(徳大寺伸)と福市(日守新一)が四方山話をしながら歩いている。青葉の頃になったので、海の温泉場から山の湯治場に一年ぶりでやって来たのだ。「こうしていると、青葉の景色が見えるようだ」「今日は目明きを何人追い越した?」「... 続きをみる
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ユーチューブで映画「阿部一族」(監督・熊谷久虎・1938年)を観た。タイトルの前に「国民精神総動員 帝国政府」という字幕が一瞬映し出される。原作は森鷗外、九州肥後藩で起きた、一族滅亡の物語である。監督・熊谷久虎も九州出身、女優・原節子の義兄として知られているが、この映画を制作後(1941年)、国粋主... 続きをみる
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ユーチューブで映画「君と行く路」(監督・成瀬巳喜男・1936年)を観た。タイトルに「三宅由岐子作『春愁紀』より」とある。舞台は神奈川・鎌倉海岸の別荘地、ある別荘に母・加代(清川玉枝)とその息子、長男の天沼朝次(大川平八郎)、次男の天沼夕次(佐伯秀雄)が住んでいた。母は芸者上がりのシングル・マザー、亡... 続きをみる
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ユーチューブで映画「故郷(ふるさと)」(監督・伊丹万作・1937年)を観た。 信州の山村にある酒屋の家族の物語である。タイトルバックには、ニワトリ、牛、犬の鳴き声、小鳥の囀り、子どもたちの唱歌「水師営の会見」が聞こえる。やがて映し出されたのは「喜多の園」という看板の酒屋で、味噌、缶詰なども扱っている... 続きをみる
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ユーチューブで映画「女の歴史」(監督・成瀬巳喜男・1963年)を観た。この映画には三組の男女が登場する。一は清水幸一(宝田明)と信子(高峰秀子)の夫婦、二は幸一の父・清水正二郎(清水元)と母・君子(賀原夏子)の夫婦、三は幸一の息子・功平(少年期・堀米広幸、成人後・山崎努)と恋人・富永みどり(星由里子... 続きをみる
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ユーチューブで映画「青春の夢いまいづこ」(監督・小津安二郎・1932年)を観た。この作品は三年前の「学生ロマンス若き日」、二年前の「落第はしたけれど」に続く、第3弾とでもいえようか。戦前の青春ドラマ(学生ロマンス)の中でも屈指の名品である。 舞台は前作と同じW大学、登場する俳優も、齋藤達雄、大山健二... 続きをみる
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冒頭のタイトルに続き、「配役」になると、女性の歌声が流れ出す。耳を澄ませると、「並ぶ小窓に はすかいに 交わす声々日が落ちる 旅暮れて行く空の鳥 母の情けをしみじみと」と聞こえるが、定かではない。主なる登場人物は、根本嘉一・岩田祐吉、春子・吉川満子、寛一・藤井貢、加代子・桑野通子、秀雄・三井秀夫(後... 続きをみる
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ユーチューブで映画「祇園の姉妹」(監督・溝口健二・1936年)を観た。祇園の芸妓として生きる姉妹の物語である。姉は梅吉(梅村蓉子)、妹はオモチャ(山田五十鈴)と呼ばれている。その借家に、木綿問屋主人・古沢(志賀廼家辯慶)が転がり込んできた。店が倒産、骨董・家具などが競売されている最中、夫人(久野和子... 続きをみる
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ユーチューブで映画「東京の合唱」(監督・小津安二郎・1931年)を観た。保険会社に勤める男・岡島伸二(岡田時彦)が主人公の物語である。冒頭場面は、旧制中学校の校庭、体育の授業が始まろうとしている。大村先生(齋藤達雄)が勢いよく飛び出して、集合をかける。一同が整列、「上着を脱いで集まれ」と号令したが、... 続きをみる
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ユーチューブで映画「隣の八重ちゃん」(監督・島津保次郎・1934年)を観た。(戦前の)ホーム・ドラマのはしりとでも言うべき佳品である。登場するのは、東京郊外(多摩川べり、あるいは江戸川べり)に隣同士で暮らしている二つの中流家庭、服部家と新井家の家族である。タイトルにある八重ちゃん(逢初夢子)は、服部... 続きをみる
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ユーチューブで映画「噂の娘」(監督・成瀬巳喜男・1935年)を観た。東京にある老舗「灘屋酒店」の家族の物語である。主人・健吉(御橋公)は婿養子に入ったが、妻はすでに他界、義父・啓作(汐見洋)、姉娘・邦江(千葉早智子)、妹娘・紀美子(梅園龍子)、他に使用人数名と暮らしている。向かいの床屋(三島雅夫)が... 続きをみる
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ユーチューブで映画「島の娘」(監督・野村芳亭・1933年)を観た。昭和中期以前の世代にとっては、あまりにも有名な流行歌「島の娘」(詞・長田幹彦、曲・佐々木俊一、歌・小唄勝太郎)を主題歌とするサイレント映画(オールサウンド版)である。タイトルと同時に、「島の娘」のメロディー(BGM)が流れ、原案・長田... 続きをみる
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ユーチューブで映画「出来ごころ」(監督・小津安二郎・1933年)を観た。昭和初期、人情喜劇の傑作である。主なる登場人物は男4人、女2人。男は、東京のビール工場で働く日雇い労働者・喜八(坂本武)、その息子・冨夫(突貫小僧)、喜八の同僚・次郎(大日向伝)、近所の床屋(谷麗光)、女は、千住の製糸工場をクビ... 続きをみる
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ユーチューブで映画「東京の宿」(監督・小津安二郎・1935年)を観た。原作はウィンザァト・モネとあるが、英語のウィズアウト・マネーをもじった名前で、「金無しに」「金が無ければ」「金の他に」ほどの意味であろう。要するに、架空の人物であり、脚色の池田忠雄、荒田正夫、監督・小津安二郎の合作ということである... 続きをみる
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ユーチューブで映画「にごりえ」(監督・今井正・1953年)を観た。樋口一葉の「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」が原作、三話の長編(130分)オムニバス映画である。文学座、前進座、東京俳優協会の錚々たるメンバーが顔を揃えており、第一話「十三夜」では、丹阿弥谷津子、芥川比呂志、三津田健、田村秋子、第二... 続きをみる
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DVD(新東宝【歌謡シリーズ】傑作選)で映画「芸者ワルツ」(監督・渡辺邦男・1952年)を観た。その内容は「元伯爵の令嬢から一転、花柳界へ身を沈めた薄倖の女性。芸者ゆえに身にしみる恋の辛さに隠れて泣いた舞扇」と要約されているが、大詰めはハッピー・エンドで締めくくられる。元伯爵・朝吹誠通(高田稔)の令... 続きをみる
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ユーチューブで映画「兄いもうと」(監督・木村荘十二・1936年)を観た。多摩川の川師・赤座一家の物語である。川師とは、洪水を防ぐために川の流れを堰き止めたり、川底に石を敷いて流水の勢いを弱めたり、用水路を整えたり、といった河川管理を生業とする。父の赤座(小杉義男)は数十人の人足を束ねる現場監督だ。気... 続きをみる
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ユーチューブで映画「女優と詩人」(監督・成瀬巳喜男・1935年)を観た。戦前(昭和初期)日本の夫婦コメディの佳作である。主なる登場人物は演劇界のスター女優・二ツ木千絵子(千葉早智子)とその夫で童謡詩人の二ツ木月風(宇留木浩)を中心に、隣家の保険勧誘員・花島金太郎(三遊亭金馬)、その妻・お浜(戸田春子... 続きをみる
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ユーチューブで映画「吾輩ハ猫デアル」(監督・山本嘉次郎・1936年)を観た。原作は夏目漱石の小説、その主役は「吾輩」と名乗る猫だが、映画に登場する猫は、何とも貧相で、旧制中学の教員・珍野苦沙弥先生(丸山定夫)宅に迷い込み、女中の清(芸名不詳・好演)につまみ出されそうになったとき、先生が「置いてやれば... 続きをみる
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ユーチューブで映画「虞美人草」(監督・中川信夫・1941年)を観た。冒頭の字幕に「征かぬ身はいくぞ援護へまっしぐら」とあるように、日本が「決意なき開戦」(真珠湾攻撃)を行った年の作品である。原作は夏目漱石の小説に拠る。時代は明治、大学を卒業して2年経つのに、未だに身の固まらない青年たち(27~8歳)... 続きをみる
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ユーチューブで映画「ことぶき座」(監督・原研吉・1945年)を観た。この映画が作られたのは、敗戦直前の昭和20年6月、当時の社会状況、日本人の意識を知るには恰好の作品であると思う。登場人物の服装は、男は戦闘帽に軍服、女はモンペ姿、「撃ちてし止まん」「欲しがりません勝つまでは」といった意識が津々浦々に... 続きをみる
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ユーチューブで映画「秀子の車掌さん」(監督・成瀬巳喜男・1941年)を観た。甲府の甲北乗合バスに勤務する運転手・園田 (藤原鶏太)と車掌・おこま(高峰秀子)の物語である。冒頭場面は、山村の街道を走るバスの中、乗客は一人も居ない。「この分だと今月の給料、払ってもらえるかなあ」「あぶないものね」などと園... 続きをみる
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ユーチューブで映画「三百六十五夜」(監督・市川崑・1948年)を観た。原作は小島政二郎の恋愛通俗小説(メロドラマ)である。登場人物は、川北小六(上原謙)、大江照子(山根寿子)、その母(吉川満子)、その父(河村黎吉)、小牧蘭子(高峰秀子)、津川厚(堀雄二)、姉小路三郎(田中春男)、大江家の女中・お咲(... 続きをみる
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ユーチューブで映画「母を恋はずや」(監督・小津安二郎・1934年)を観た。「(この映画の)フィルムは現存するが、最初と最後の巻が失われている不完全バージョンである」(ウィキペディア百科事典)。 裕福な家庭・梶原家が、父の急逝により没落していく、そこで展開する家族の人間模様がきめ細やかに描き出されてい... 続きをみる
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ユーチューブで映画「路上の霊魂」(監督・村田実・1921年)を観た。ヴィルヘルム・シュミットボンの『街の子』(森鴎外訳)とマクシム・ゴーリキーの『夜の宿(どん底)』(小山内薫訳)が原作で、ナ、ナ、ナント、日本の演劇界の革新に半生を捧げた小山内薫自身が出演しているとは・・・。ウィキペディア百科事典では... 続きをみる
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ユーチューブで映画「夜ごとの夢」(監督・成瀬巳喜男・1933年)を観た。この映画の面白さ(見どころ)は、何と言っても「配役の妙」にある。小津安二郎作品でお馴染みの坂本武、飯田蝶子コンビが阿漕な仇役、齋藤達雄が救いようのない無様な男を演じ、吉川満子、新井淳が思い切りお人好し、善人夫婦の景色を醸し出す、... 続きをみる
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ユーチューブで映画「学生ロマンス若き日」(監督・小津安二郎・1929年)を観た。 昭和初期における大学生の人間模様が詳細に描かれていてたいそう面白かった。 舞台の始まりは「都の西北」、大学に近い下宿屋である。二階の障子窓には「二階かしま」という貼り紙、一人の学生がそこを訪れるとすでに先入者がいた。渡... 続きをみる
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ユーチューブで映画「虹立つ丘」(監督・大谷俊夫・1938年)を観た。舞台は竣工まもない箱根強羅ホテル、そこで働く兄妹の物語である。兄・弥太八(岸井明)はホテルのポーター、妹・ユリ(高峰秀子)は売店の売り子を勤めており、たいそう仲が良い。そこに療養にやってきた長谷川婦人(村瀬幸子)が、実は関東大震災で... 続きをみる
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ユーチューブで映画「限りなき舗道」(監督・成瀬巳喜男・1934年)を観た。成瀬監督最後のサイレント映画である。舞台は東京銀座、カフェの女給二人が登場する。一人は島杉子(忍節子)、もう一人は中根袈裟子(香取千代子)。杉子はしとやかで控えめ、袈裟子は活発でドライと性格は正反対だが、仲良くアパートに同居し... 続きをみる
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ユーチューブで映画「その夜の妻」(監督・小津安二郎・1930年)を観た。登場人物は、深夜ビジネス街で拳銃強盗を働き警官から追われている橋爪(岡田時彦)、その妻まゆみ(八雲恵美子)、その子みち子(市村美津子)、橋爪を捕縛しに訪れた刑事(山本冬郷)病臥するみち子を往診する医者(齋藤達雄)、その他は橋爪を... 続きをみる
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ユーチューブで映画「愛の世界 山猫とみの話」(監督・青柳信雄・1943年)を観た。戦時下における教育映画の名作である。 主人公は、小田切とみ(高峰秀子)16歳、彼女の父は行方不明、母とは7歳の時に死別、母が遊芸人だったことから9歳の時、曲馬団に入れられた。現在の保護者は伯父になっているが折り合いが悪... 続きをみる
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ユーチューブで映画「滝の白糸」(監督・溝口健二・1933年)を観た。原作は泉鏡花の小説、昭和世代以前には広く知れわたっている作品である。 時は明治23年(1890年)の初夏、高岡から石動に向かう乗合馬車が人力車に追い抜かれていく。乗客たちは「馬が人に追い抜かれるなんて情けない、もっと速く走れ」と、馬... 続きをみる
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ユーチューブで映画「婦系図」(監督・野村芳亭・1934年)を観た。原作は泉鏡花の新聞小説で1907年(明治40年)に発表され、翌年には新派の舞台で演じられている。有名な「湯島境内の場」は原作にはなく、いわば演劇のために脚色されたものである。それから27年後、野村芳亭(野村芳太郎の父)によって、初めて... 続きをみる
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ユーチューブで映画「上陸第一歩」(監督・島津保次郎・1932年)を観た。何とも「摩訶不思議」な映画である。タイトルを見て、戦意高揚の国策映画と思いきや(しかし、1930年代に国策映画はあり得ない)、アメリカ映画「紐育の波止場」の翻案で、島津監督の「第1回トーキー作品」、主演の水谷八重子(28歳)も映... 続きをみる
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原作は谷崎潤一郎、文学の世界では作者特有のマゾヒズム、耽美主義が取り沙汰されているようだが、映画の世界では、お琴(田中絹代)と佐助(高田浩吉)の「師弟愛」が清純に描出されていた、と私は思う。 お琴は大阪・薬屋の次女、9歳の時に罹患し盲目となった。かねてより琴・三味線を習っていたので、その道を極めよう... 続きをみる
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二組の男女(同胞)が登場する。その一は姉・ちか子(岡田嘉子)と弟・良一(江川宇礼雄)、その二は兄(奈良真養)と妹・春江(田中絹代)である。姉はタイピスト、夜は大学教授の下で翻訳補助を行い、大学に通う弟の学資を稼いでいる。兄は警察官、妹は良一の恋人である。二組の男女はそれぞれ慎ましく暮らし、やがては良... 続きをみる
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ウィキペディア百科事典では、この作品について以下のように解説している。「・・・『大学の若旦那』(1933年)に始まる「大学の若旦那シリーズ」で明るく朗らかな笑いを提供し、清水は、このシリーズの成功によって松竹現代劇の娯楽映画を代表する監督となった。主演には、清水と体型が似た慶応ラグビー出身の藤井貢が... 続きをみる
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原作は村松梢風、五代目尾上菊五郎(河原崎権十郞)の養子・二代目尾上菊之助(花柳章太郎)の物語である。冒頭は歌舞伎座の楽屋裏、これから「東海道四谷怪談」隠亡堀の場が始まろうとしている。有名な「戸板返し」後の「だんまり」で、菊之助は与茂七を演じたのだが、直助役の菊五郎は、いたって不満足、「ダイコ」(大根... 続きをみる
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サイレント喜劇映画の傑作である。冒頭は剣道の大会場面、皇族の審判長(突貫小僧)も臨席しているが、興味なさそうに何かを吹き飛ばして遊んでいる。学生の岡島(岡田時彦)が次々と勝ち進み敵(学習院?)の大将(齋藤達雄)と対決する。しかし、岡島の戦法は「いい加減」、試合を中断する素振りを見せ、敵が油断した隙を... 続きをみる
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ユーチューブで映画「落第はしたけれど」(監督・小津安二郎・1930年)を観た。前作「学生ロマン若き日」の続編である。W大学応援部の高橋(齋藤達雄)たちは、いよいよ卒業試験の時期を迎えた。試験場では監督(大国一郎?)の目を盗みあちこちでカンニング、その方法も様々である。学生同士は皆「仲間」、高橋が後ろ... 続きをみる
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映画「恋の花咲く 伊豆の踊子」(監督・五所平之助・1933年)
ユーチューブで「恋の花咲く 伊豆の踊子」(監督・五所平之助・1933年)を観た。タイトルに「恋の花咲く」という文言が添えられているように、この作品は川端康成の原作を大きく改竄している。それはそれでよい、むしろその方が映画としては面白かった、と私は思う。主人公の学生・水原(大日向伝)は原作の「私」とは... 続きをみる
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稲田防衛相は、13日の参院予算委員会で「籠池氏の事件を受任したこともなけれなば、裁判を行ったこともない。(稲田氏が籠池氏の)顧問弁護士をしたというのは全くの虚偽だ」と発言したが、翌14日の参院予算委員会では「私の記憶が間違っていた。訂正し、おわびする。『虚偽』というのも言い過ぎだった」と答弁を撤回し... 続きをみる
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安倍首相は2月17日の衆院予算委員会で「私も妻も一切、認可にも、国有地の払い下げにも関係ない。関係していたということになれば、私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞める」と明言した。しかし、《一切、認可にも、国有地の払い下げにも関係ない》という文言は、一通のファックスによって覆された。 ファックスの... 続きをみる
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自民党の二階俊博幹事長は、復興相を辞任した今村雅弘氏の発言を巡る報道機関の姿勢について「マスコミは余すところなく記録を取り、一行でも悪いところがあれば首を取れと。なんということか」「人の頭をたたいて血を出したという話ではない。いちいち張り切らなくてもいい。そんな人は、はじめから排除して(会場に)入れ... 続きをみる
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東京新聞4月4日付け朝刊・22面 「こちら特報部」の記事によれば、内閣府が1日発表した「社会意識に関する世論調査」で「現在の社会に満足している」と答えた人が過去最高の66%に達したという。調査の対象は18歳以上の1万人で有効回収率は59.9%であった。この結果から、国民の66%が「現在の社会に満足し... 続きをみる
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昨年末の28日、 安倍首相は真珠湾を訪れ「全ての、米国民」に対して哀悼の演説を行った。その内容はおおむね以下のように要約されるだろう。 ①(“リメンバー・パールハーバー”という米国民の感情に寄り添い)日本国総理大臣として「哀悼の誠」を捧げる。 ②敗戦後、日本人は「不戦の誓い」を貫き、その「不動の方針... 続きをみる
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東京新聞3月18日付け朝刊(2面)に、佐藤正明氏の漫画が載っている。タイトルは「モリジゴク」、国会議事堂をバックに大きな穴、その底には森友学園籠池元理事長が大きな口を開けて待っている。穴の斜面をずり落ちそうな二人の女性、一人は稲田防衛相、独りでもがいている。もう一人は安倍首相夫人、安倍首相の手にしが... 続きをみる
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「森友学園」の籠池理事長は、小学校の建設に当たって安倍首相から100万円の寄付を頂いた旨の発言をした。安倍首相は「寄付はしていない」と否定している。それは当然の話で、もし「寄付した」と言えば、直ちにこれまでの「森友学園とは一切関わっていない」という言辞が、すべて《嘘》になるからである。口が裂けても「... 続きをみる
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東京新聞6月11日付け朝刊「本音のコラム」(27面)に、法政大学教授・山口二郎氏が「文明か野蛮か」という一文を寄せている。「この一週間の国会審議を見て、日本の議会政治の崩壊は最終段階に入ったと痛感した」という書き出しに始まり「われわれも文明人でありたいなら、黙っていてはならないのである」と結んでいる... 続きをみる
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東京新聞・2月16日付け朝刊(1面)トップに「『富の集中』日本も資産の2割 2%の富裕層に」というタイトルの記事が載っている。その冒頭では「2015年に1億円以上の金融資産を持っていた富裕層の世帯数は『アベノミクス』が始まる11年に比べ、40万世帯(50.2%)増えたことが野村総合研究所の調査で分か... 続きをみる
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2017年2月25日(土) 晴 東京新聞2月24日付け夕刊(1面)トップには「首相『妻は名誉校長辞任』『児童らに迷惑かける』 『森友学園』予算委で応酬」という見出しの記事が載っている。また、翌日25日付け朝刊(1面)トップ記事は「森友学園への国有地売却『交渉記録既に破棄』財務省 保存1年未満と規定」... 続きをみる
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安倍首相は、「森友学園」への国有地売却に関して「私や妻、事務所を含めて一切関わっていない。関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と明言した。《一切関わっていない》ということが、《土地売買の「取引」に》ということであれば、当然のことであろう。一国の首相がそのような「取引」に直接に関わるはずはないか... 続きをみる
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「自閉症スペクトラム」の原因が「脳の機能的障害」であるか否かという問題にかかわりなく、生育上の環境、とりわけ育児法のあり方が、「自閉症状」(行動特徴)に多大な影響を及ぼしていることは明らかである。 20世紀初頭、アメリカの行動主義心理学の創始者・ジョン・ワトソンは、以下のような育児法を提唱した。 〈... 続きをみる
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テレビ番組、とりわけコマーシャルには醜悪な画像が満ちあふれている。コマーシャルの値段は1本15秒で15万円(×視聴率)といわれている。仮に視聴率10%番組のコマーシャルは1秒あたり1000円という計算になる。そこでそれを支払うスポンサー(並びに制作担当者たち)は、その15秒間に可能な限り多くの情報を... 続きをみる
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2017年7月12日(水) 晴 大相撲名古屋場所三日目、横綱・稀勢の里は前頭二枚目・栃の心に敗れ1勝2敗となった。このまま土俵を続ければ、負け越すことは必定、たとえ勝ち越しても横綱の成績としては不本意な結果に終わるだけだろう。敗因は「左大胸筋損傷、左上腕二頭筋損傷」が全治していないことにある。そこで... 続きをみる
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相模原殺傷事件から半年が過ぎ、またまた様々な論議が蒸し返されているが不毛としか思えない。民主主義を標榜する社会において、事件を引きおこした容疑者の主張・言い分につゆほどの道理・真理はないからである。容疑者の「優生思想」は、一顧だに値しない代物であり、論議するほどの価値はない。にもかかわらず、「社会に... 続きをみる
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「日本語はどういう言語か」(三浦つとむ著・季節社・1971年)通読・2
第二章 言語の特徴・・その1 非言語的表現が伴っていること 1 言語の「意味」とは何か 【要約】 ・言語の意味が何であるかの言語学者の説明は、大きくわけて二つになる。その一つは、話し手、書き手の側にあるものとしてその心的状態と表現である言語との関係において説明するやりかたであり、いま一つは、聞き手、... 続きをみる
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「日本語はどういう言語か」(三浦つとむ著・季節社・1971年)通読・1
第一部 第一章 絵画・映画・言語のありかたを比べてみる 1 絵画と言語との共通点 【要約】(注・原文は敬体文) ・言語も絵画も、人間の認識を見たり聞いたりできるような感覚的なかたちを創造して、それによって相手に訴えるという点で(作者の表現であるという点で)共通な性格をもっている。 ・絵画や写真は、客... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・71《完》
(三)滑稽美 懸詞による旋律美、協和美の観察は、もっぱら美の形式に関することであった。 音声Sを媒介として喚起される概念をA、Bとする時、AとBの対比は、懸詞の美の質的価値を決定する基準となる。AとBとの対比を、角(ASB)によって表す時、角(ASB)は、極小から極大まで様々なものを見出すことができ... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・70
(二)協和美 ● 獨ぬる床は草葉にあらねども秋くるよひは(つゆけかり)けり(「古今集」) 「つゆけかり」という語は、一方に心の憂愁を意味すると同時に、上句の比喩を機縁として文字通り「露けかり」の想を伴い、両方が響き合って、一つの複雑な観念を表出する。二つの想が相対立し、相糾錯するところにこの歌の美を... 続きをみる
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日本相撲協会は20日の臨時理事会で、白鵬に来年1月の給与全額と2月の給与半額を、鶴竜に1月の給与全額を不支給とする報酬減額処分を科したという。あわせて、伊勢ヶ浜親方は理事辞任(降格)、八角理事長も任期3ヶ月の報酬全額返上ということで、事態は収まりそうである。その結論は、先だって行われた横綱審議委員会... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・69
ロ 懸詞による表現美 (一)旋律美 懸詞による表現美は、二つの点から考察できる。その一は、懸詞を契機とする思想展開の上から。その二は、展開された美の質的相違の上から。 今、特定の音声をSとし、Sを媒介として喚起される概念をABとする時、概念の対比を次のような図形で表すことができる。 A S↗ ↘ B... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・68
文が思想の統一的表現であると考える時、それがどのような形式で表されるかは、国語の特質を考える上で極めて重要な問題である。 懸詞を含む文の統一性がどのようなものであるかを明らかにすることによって、懸詞の表現における機能を明らかにしたい。 ● 梓弓(はる)の山辺を越えくれば道をさりあへず花ぞちりける 上... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・67
三 懸詞による美的表現 イ 懸詞の言語的特質 懸詞とは一語で二語に兼用し、あるいは前句後句を一語で二つの意味を連鎖する修辞学上の名称である。 ● 花の色はうつりにけりな徒にわが身世に(ふる)(ながめ)せしまに(「古今集」) 「ふる」は「経る」「降る」の二語に、「ながめ」は「詠め」「長雨」の二語に兼用... 続きをみる
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元横綱・日馬富士の暴行問題が明るみに出てから一ヶ月余り、ようやくマスコミのメディアスクラムは鎮まったようである。それにしても、連日、貴乃花部屋の周辺にたむろして「親方!一言!」などと叫声をを上げる姿は見苦しい。その情景を見ながら、スタジオに集まった面々が「ああでもない、こうでもない」と井戸端談義をす... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・66
三 屈折型 a↗↘b→c→d 例えば「猿!」と呼ばれている人を振り向いて見ると、なるほど猿によく似ている。この滑稽感は、顔そのものや猿の概念、事象が滑稽なのではない。人間と猿との連想があまりに意外であり、もっともだという同感が伴った場合に滑稽に感じるのである。このように、聞き手が概念を通して予想外の... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・65
二 語の美的表現 語は以下のような過程的構造形式を持っている。 《起点》(具体的事物、事象) ↓ 《第一次過程》(概念) ↓ 《第二次過程》(聴覚映像)) ↓ 《第三次過程》(音声) ↓ 《第四次過程》(文字)) 従って、語の美的表現ということは、上の過程的構造の美的構成を意味する。語の美的表現に必... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・64
次に、リズムはどのようにして美の要素となるのだろうか。 リズムは一般にその基本単位が群団化して、より大きなリズム単位を構成する。国語におけるリズム形式の群団化の方法は、音声の休止である。言い換えれば、リズムを充填すべき調音を省略することである。|はリズム形式の限界すなわちリズムの間(ま)、○をリズム... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・63
第六章 国語美論 一 音声の美的表現 言語の美は、絵画における美のように視覚的要素の構成の上に成立するものではなく、言語過程といわれる主体的表現行為の上に構成されるものであり、それは身体的運動の変化と調和から知覚される美的快感に類するものである。従って、言語美学の考察は、まず第一に言語の体験、言語の... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・62
四 詞辞の敬語的表現の結合 敬語表現を理解するためには、まず話し手(甲)、聞き手(乙)、素材および素材に関連する人(丙・丁)、それらの相互関係を明らかにしておく必要がある。 (一)まず表現素材について、これを構成する要素を明らかにする。すなわち丙、丁の関係を考える。今、「見る」という事実を例にとれば... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・61
次に敬辞を列挙する。 一 「ます」 動詞連用形に付き、「花が咲きます」「本があります」「御座ります」となる。 二 「です」 形容詞終止形に接続して、「山が高いです」となり、また動詞終止形に接続して、「花が咲くです」「本があるです」となり、体言に接続して。「花です」「駄目です」となる。これは、単純な陳... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・60
三 言語の主体的表現(辞)に現れた敬語法 言語における主体的なものの表現も、場面の制約を受けて敬語となるが、これはもっぱら、主体の聞き手に対する敬意の表現となる。 ● お暑うございます。 ・・・ございませう。 ● お庭を拝見します。 ・・・ました。 上の「ございます」「ございませ」「ます」「まし」が... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・59
詞に関する敬語が、素材的事実の特殊な概念的把握の表現であって、話し手の敬意そのものの表現ではないということは、敬語の構成法(表現過程の形式)を考察すれば明らかになることである。その構成法を例示する。 その一 「あげる」「くださる」「いただく」 その一は、概念の比喩的移行である。素材的事実に存在する上... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・58
ロ 素材と素材との関係の把握 甲は話し手、乙は聞き手、丙丁は素材的事実、丙および丁は素材的事実の成立に関与する人とする。丙丁と話し手甲との関係を問題外として、丁と丙が同等ならば「丁が丙にやる」だが、丁が丙より上位なら「丁が丙に下さる」となり、丁が丙より下位なら「丁が丙に差し上げる」とならなければなら... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・57
その二 お・・になる お・・になられる 「お書きになる」「お書きになられる」等と使用される。これらの表現が敬語となるのは、「る」「らる」の場合と同様、ある事実の直叙を避ける方法に基づく。「なる」は「白くなる」「暖かくなる」の「なる」であって、他者がある行為において実現するという表現で、「書く」「読む... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・56
次に、詞としての敬語は、全く素材の表現に関するものであることを、敬語の構成法の上から明らかにしようと思う。 敬語の語彙論的構成法を考察することは、(敬語の対象を追求することではなく)ある事実が話し手によってどのように規定され表現されるかを明らかにすることである。すでに述べたように、言語の表現機構は①... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・55
事物の概念的把握による語の構成は、語彙論に属するから、敬語的表現(敬語的構成)は語彙論に所属しなければならない。敬語的系列は語彙的系列である。この見解は、文法体系の組織に関連して、重要な結論を導く。 「咲くだろう」という語は詞と辞の結合で、「咲く」という事実の概念に話し手の「だろう」という推量が加わ... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・54
次に、敬語はどのような理由で、国語の特性と考えることができるかを明らかにしようと思う。それを日本民族の美風の現れなどと、民族精神の云々をする前に、敬語の語学的特質を究める必要がある。敬譲の表現は外国語にもある。従って、国語における敬語の特質が奈辺にあるかということが問題になってくる。 国語の敬語は、... 続きをみる
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「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・53
二 言語の素材の表現(詞)に現れた敬語法 イ 話し手と素材の関係の規定 詞は、事物(素材)の概念的把握によって成立するが、その中から敬語というものを特に取りだして区別するのはどのような根拠によるものか、について述べたい。 それにはまず、詞の成立する過程(素材の概念的把握)の種々な形式についてあらかじ... 続きをみる
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私は昨日、以下のように書いた。 〈はたして、最初に引退を申し出る横綱は誰か。その人物こそ「汚名返上」という品格を備えた、本来の横綱に値する力士だということになる〉。 そして今日、横綱・日馬富士は引退を届け出たという。賢明な判断だと思う。引退で、すべてが「水に流された」(免罪された)わけではないにして... 続きをみる
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