• 1000キロの引越し 最終章

    アパートに着いて目の前の生鮮スーパーで、また一人暮らしとは思えない量の買い物をした。 最終の新幹線で美緒子さんは帰ってしまうので今夜の夕飯と明日からの私のおかず準備をしてくれのである。 私は駅までの見送りがあるので晩酌はできないが、美緒子さんはひたすらキッチンで調理をしていた。 トントンとリズムカルな包丁の音と出汁の香ばしい香りやジューシーな香りに彼女の優しい愛情に包まれていた。 野菜たっぷりけん

  • 1000キロの引越し その6

    日曜の朝も快晴の秋晴れである。 前夜も明け方に激しく愛し合い、布団は二人の汗と愛液でまみれていたのでシーツも枕カバーも洗濯機に入れた。 美緒子さんは3日目にして手際よく我が家のように家事を進めていた。 ホテルではなく家の空間に二人でいることが不思議な運命も感じた。 終日快晴予報だったので布団もバルコニーに干したまま近隣を車で観光することにした。 車で一時間足らずのところに地元の紅葉の名所の情報を駅

  • 1000キロの引越し その5

    ぐっすり深い眠りから目覚めた。時間はちょうど8時ちょっと前、ベッドからゆっくり起き上がった。 とても天気が良かったので、いっぱいいっぱい愛し合った愛液にまみれたシーツと布団カバーを洗濯機にかけた。 南向きの広いバルコニーはいっぱい干せそうである。朝ごはんは昨日作ってくれた美味しい数々の料理に箸が進んだ。 なんてゆったりな朝の時間だろうと、それは主婦の美緒子さんの方が遥かに実感していた。 少し大きな

  • 1000キロの引越し その4

    夕暮れ時二人揃ってアパートを出て目の前のスーパーに向かった。 店に入りカートにカゴを二つ載せて揃って歩きだした。当たり前の夫婦の光景であるが、二人にとっては初めての事、特に美緒子さんは夢にまで見た、二人並んでの買い出しである。 「まるで新婚生活のスタートみたい」 はしゃぐ美緒子さんだった。いつの頃だっただろうか?美緒子さんの口癖の 「タカシさんに温かい料理をつくってあげたい!」「三日三晩ずっと一緒

  • 1000キロの引越し その3

    ちょうど時計は13時ちょっと前、引っ越し便が届くのが13時からなので掃除しながら到着を待った。 ワンルームの木造アパートではあるが、不動産屋さん的には、家具家電付きのデザイナーズHOUSEのフレーズだった。間取りも首都圏では考えられないくらいゆったりしている。 バスと洗面・トイレが別も嬉しかった。もともと新築でビカピカなので拭き掃除もそこそこに終わらせた。 少しお腹が空いたので、目の前のスーパーに

  • 1000キロの引越し その2

    ようやく途中一度乗り換えて目的地に到着した。美緒子さんも生まれて初めて降り立つ駅である。 秋晴れの青空に空気も澄んでいて心地良い風が吹いていた。 「タカシ〜とっても気もち良い~太陽も近い気がする・・・・」 とてものんびりしてしまいそうなくらいの気分であったが、すぐにタクシーに乗り込み、不動産屋さんへと向かった。 到着してそのままタクシーを待たせたまま鍵を受け取った。 新築の木造アパートであったが大

  • 1000キロの引越し その1

    引っ越し当日、 前日も遅くまで送別会が続き睡眠時間も3時間程度だった。 でも朝から気持ちは高ぶっていて眠気はあまり感じなかった。 いよいよ新しい生活地への引越しであり、実に長い長い1000キロ移動の旅である。 一人で行くはずの引越しであったが、いみじくも最愛の美緒子さんとの初旅行となった。 見送りにきたいとの連絡も何人かの人からかもらっていたが 「一人だから適当な時間で飛び乗るからわからない」 と