• 「Happy Yellow Birthday!~エピローグ2」D.O レイ ユノ ウニョク スホ チャンミン ソンミン

    「その檸檬がこれなんです」 楽屋で後輩に見せられたユノは、ソファーに腰かけたまま瞳の大きな目を瞬かせた。 「え、イーシン?なに?」 イーシンが本名であるレイは、今朝シウミンに「なんかギョンスが怒るからこれ誰かにあげて」と言ってそれを持たされた。彼はまたドラマの撮影に行ってしまい、シウミン抜きの音楽番組の収録になってしまった。 同じくドラマの出演をしているギョンスは、今日は一緒に現場にいる。今朝の一

  • 「Happy Yellow Birthday!~エピローグ1」D.O スホ セフン チャニョル

    *こちらを読まれる方は何のことやらだと思われますが、宜しければどうぞ。 肌の白い顔の青年がダイニングテーブルを覗き込んでいた。 首を捻りながら、一つ持ち上げて見る。 「あ!」 と、言われて、びくりと体を動かした。 スホは何事かと、紙袋から取り出した檸檬を握りしめたまま、怪訝な顔をした。 「だめです」 ギョンスが近寄って、スホの手の中のそれを奪い取る。 「え、何が?」 「兄さんはだめ」 「何?」 ギ

  • 「Happy Yellow Birthday!」D.O

    ――それを口に入れると顔をしかめると言う。 ギョンスはチャイムの音に振り返った。 可笑しい。 そう思わなかった自分に、艶々と色づいた質感のある唇の端を片側だけ上げた。 それはこのチャイムが、自分だけがここにいることを知っているからで、洗面を済ませ、自室に戻るところに不意打ちをくらっても、その表情だった。 ギョンスの予想通り、すぐにロックは解除されて、早すぎる冬の到来を思わせるマフラーを巻いた彼の恋

  • 「グレア」(病三種3)ドンへ ヒチョル

    遮るものがない、午後四時の光だった。 こんな状態で眠らないようにしている。メラニンが生成されて、肌が黒くなるのをメンバーは嫌がった、アイドルだったから。皆気を付けてはいたけれど、その中でも、色が薄い方だと思う、殆ど付いていないほど。その彼が、眠っていた。 終わりを迎えようとしているけれど、夏の日差しはまだ眩しかった。だけど、傾いている西日は温かな色をして、その質を変えていた。 移動車のバスの中だっ

  • 「カルチ」(病三種2)チャンミン ユノ

    訝しく寄せられた眉間を一瞥したあと、さっさと刺身の乗ったサラダを取り分けて、皿をその前に投げ出した。外観だけは高級感のある黒いテーブルはその摩擦だけで剥げてぼろが出そうだった。無駄に暗くした照明はそのためか、と思いながら返事をする余裕がなかった。 何も答えず、次に自分に取り分けて、隣のテーブルに戻る。酒の入った人間達は何のためにチャンミンが動いたのかも全く気にはしていなかった。ぱきっと割り箸を離し

  • 「レプラ」(病三種1)チェン レイ

    映ったものをまた映している。けれどこれが真実の姿のはずだ。いつでも忠実に物事を捉えようと努めていたから。手のひらで頬の表面を覆った。両手で両頬は隠された。だけど、その手から覗かせた部分は丸裸だった。それを消すように、顔の様々な場所をさする。でも、さすった傍から、肌は見えた。 病んでいる。俺の目には、とても出て、見えている。チェンはもう少しさすって、でも強くさすることはしなかった。肌には、外見にはと

  • 「Moon stories 3」キュヒョン×イトゥク

    *続き物なので一話からどうぞ。 「薬草だよ。薬草だよ」 頭上に大きなハサミを突き上げて、器用に箱を持って来る蟹をキュヒョンは無視した。言わなくても分かっているのに、おどけて言っているのだ。でも無視をするのもキュヒョンなりの冗談だった。それを蟹も分かっている。 「ひと箱下さい」 優しい相棒が乗ってやった。 「今日は早いね」 蟹が今まで挽いた薬草を回収しながら言った。確かにもうそのひと箱で今日の仕事は

  • 「Moon stories 2」レイ×シウミン

    *続き物なので一話からどうぞ。 「空違いますね」 振り向かず、シウミンは「そうだな」と応えた。それがどちらの国の空と違うのかは分からなかった。でもどちらの国とも違うのだから、言及はしなかった。 月がとても大きく見えていた。 金色に見えた。 「月餅食べないとな」 冗談は苦手なのだけれど、後ろから小さな笑い声が聞こえて少し安心した。 「さっきの焼き菓子美味しかった」 返事は独り言のようで、年上の自分に

  • 「Moon stories 1」チャンミン×ユノ

    「疲れたなあ」 クレーターの淵に、白い毛で覆われた柔らかい尻をぺったりとつけて、ユノが溜息をついた。 「今日はもういいんじゃないですか?」 その隣に立って、チャンミンはこちらも白い毛で覆われた自分の肩をとんとんと自分で叩いた。 「いや、それはだめだよ」 「冗談ですよ」 本気に見せかけた冗談を言うとすぐ言った通りに捉えてしまうユノの癖にチャンミンは溜息を吐いた。こういう融通の利かないところはもうずっ

  • 「グラウンドゼロレクイエム4」ユノ×チャンミン EXO

    11月6日 P.M.18:24 ユメコは、スーツケースを手に持ち、 肩で息を切らせている。 「はあ。ふざけんな」 あまり女性らしくはない言葉遣いがその口から出る。 怒りが頂点に達していた。 久しぶりに使った日本のタクシーでは、 運転手が気分が悪いと、ドームの少し手前でおろされた。 でも、服はこんなもので良かったかもしれない。 ノースリーブのワンピースに薄い上着。 全力で走った体は、それでも汗をかい

  • 「グラウンドゼロレクイエム3」ユノ×チャンミン EXO

    11月6日 P.M.16:35 『地震、大丈夫?』 短いメッセージだけでも、今朝からこれを何度も見ていた。 返事はもう最初に開いた時にされている。 「全く問題ありません」と、返した内容には、返事はない。 それは相手の性格からも、規則でしばられた日常生活からも通常だった。 チャンミンは、ドアのノックの前に、もう一度何となくその短い文章を読みたくなった。 でも、後ろから声をかけられて、それは思い止まっ

  • 「グラウンドゼロレクイエム2」ユノ×チャンミン EXO

    11月6日 A.M.0:25 『震源地 東京湾 震度5弱 北緯35.2度 東経139.7度 マグニチュード5.2』 同じテロップが繰り返し流されている。 日本語は習っているし、漢字は学校でも習っていた。 でも逸る気持ちのせいで、そのテロップでは数字しか目に入っていない。 スホは穴があくほど画面を見つめていた。 他のメンバー達は、地震の起きた直後は騒いだものの、マネージャーになだめられ、 もう慣れて

  • 「グラウンドゼロレクイエム1」ユノ×チャンミン EXO

    これはフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 20XX年11月6日  P.M.18:32  曲が流れているのに、ステージ上のアイドルが、それが耳に入らなくなることはない。 そんなこと常識だろ? カイは思った。 自分のダンスが卓越していることは分かっている。 だからメンバーの中で、誰よりも音楽に