小説のムラゴンブログ

  • 『あなたは私の花』④

    「え...あ!ごめんなさい!」 恥ずかしさでいっぱいになった。 「落ち着いて。」 椿の方を向けず立ち上がった。 「ハ〜・・・。 何があったのか知らないけど死のうとするのは違うんじゃないの?」 椿の言いたいことはわかっていた。 でもそれは 聞き飽きた言葉。 ("キレイ事"なら誰でも言える。) そう言いかけた口を閉じた。 エリカは鞄を持って軽く頭を下げ部屋を出た。 階段をおりて少し急いで靴を履いていた

  • ネクロポリスⅡ

    老人は暗い森で道を失った 少し歩くとツタの垂れ下がる桜の老木に出くわした 九分咲きの花びらが白々しく揺れている 幹には沢山うろが開いていて 一つひとつに少年たちの蒼ざめた顔が埋め込まれていた どいつも見覚えがあるけれど 思い出したくない顔ばかりだった 「とうとう来やがったな」 老人は無言のまま通り過ぎようとした ツタが腕に絡まり身動きもままならない 「貴様は過去を背負ったままここへ来たのか?」 顔

  • 狐憑き!(ボールペン画、狐)

    いじめっ子の続きのラストです。中学の卒業アルバムの写真の彼のポーズをモデルに描きました。少し下を向くだけでだいぶ表情のしくさが変わるものなんだなと驚きました。まるで、狐に憑かれたようなするどい眼差しをしていました。彼は野球部で髪型はボーズ頭に近い事も多かったですが、卒業のアルバムだけは髪をしっかりと伸ばしていました。最初は犬神や鬼のような感じにも見えましたが、狐のほうが知られてると思い、狐にしまし

  • 『あなたは私の花』③

    「あんた死のうとしただろ。」 椿の言葉に何も言えなくなった。 「まあ でも、運が良いのか悪いのか助かったけどな。あのなーー」 どうしてエリカがここに居るのか説明した。 「椿先輩が私を助けたんですね・・・。」 椿が言うことは理解したが ただ一つだけ分からない事があった。 「落ちたのになんでかすり傷だけ・・・。」 そう、エリカは確かに落ちた。 【死】を考えていたのだからかすり傷ですむはずがない。 エリ

  • 『あなたは私の花』②

    どのくらい時間がたったのか、 彼女は目を覚ました。 「ん・・・?」 ベッドの上で横になっている体をゆっくり起こした。 あの時落ちたはず、死んだはずの彼女は見覚えのない部屋にいた。 「起きた?痛いところないか?」 声のするほうをみると彼と目が合った。 呆然とする彼女の居るベッドに彼は腰かけた。 我にかえった彼女は、 「な、誰ですか?!なんでここに?!私死んーー」 言葉をさえぎるように彼はおでこに手を

  • 『あなたは私の花』①

    真っ白な地面にピンク色の花。 寂し気に 孤独のような・・・ まるであの頃の私をみているみたいで、涙が流れた。 ー2年前ー 放課後のチャイム、全身濡れた彼女、 積もる雪・・・ 1歩踏み出せば そこは【死】。 「最悪な人生・・・」 小さな声で呟いて涙を流しながら寂し気に微笑んだ。 ガチャ 「!?」 18時、この時間誰も来るはずのない屋上。 驚いて柵を間に扉の方を振り返った。 「・・・え、何してんの」

  • 食欲不振!(ボールペン画、鴉)

    いじめっ子、続きです。誰かをいじめたりすると良心が痛んだりして食欲がなくなると聞いたりしますが、彼の場合、食べ物の好き嫌いが多いようだったのでちょっと違うような気がしました。いじめっ子のように体内からよくないオーラを出していると自然と不吉な生き物が集まってくるみたいな事も聞きました。鴉(からす)達が粗末に捨ててこぼしている食べ物に群がってきました。中学の時、野外学習に行ったときの彼をモデルにしまし

  • 男子トイレ!(ボールペン画、蛇)

    いじめっ子のらくがきの続きで、スマホいじりで授業をさぼっています。だんだんと思い出してきて、そういえば、ちょっとずる賢い所のある子でした。小学生の頃は背が高くなかったけど、中1の時はずいぶん浸透も伸びて大人びた感じがありました。へびのようにじわじわとしたいじめ癖が目立っていたので、今回は動物霊の蛇を選びました。思春期に関係なく、蛇などの動物の霊に取りつかれたりすると、性格が変わったり性に対する意識

  • アイデンティティー!(ボールペン画、狸)

    小、中学校の頃にいた、いじめっ子だった、ハーフ系のクラスメートです。僕自身もいじめられて印象深い記憶の子だったので、当時のアルバムや写真を見ながら、描かせていただきました。家では、狸を金網の檻で飼っていたそうで、僕も、いじめられる前に、一度、見せてもらった事があって、彼の内面をイメージしてみました。ボールペン画の落書きです。 おはようございます。名古屋は夕方から雨だとか聞いて、朝から曇っているけど

  • エッセイ 嘘ということ

    法華経を持ち出すまでもなく、ウソには様々な効用がある。芸術の中でも、小説という大きなウソがある。ドストエフスキーの小説が、どれほどの迫真力とリアリティを持ったものであろうと、それらの小説群がまったくの絵空事であるのは明々白々のことである。 フロイトだったと記憶しているが、科学の弱点は、真理に対して従順なことであると言っていた。科学万能の世の中では、真実ではないことは、そのまま悪ということになってし

  • 墨田区在住です

  • 妹の絵の美術館16(小説 かべのこ編)

    妹が小説「かべのこ」の挿絵を描いてくれました。 小説に改めて挿絵を差し込みましたので、読んだ人も読んでない人もご覧になってもらったら嬉しい限りです。 かべのこ小説URL https://kiyohara.muragon.com/entry/314.html 俺「いや〜!イメージ通りでお兄ちゃんは嬉しいぞい」 俺「ミスドおごってやる」 妹「アザース!」 俺「いいことあるぞ〜♪」 妹「ミスタードーナツ

  • 吉野葛・盲目物語

    吉野葛・盲目物語   谷崎潤一郎   新潮文庫 まず「吉野葛」 谷崎潤一郎が、南北朝の歴史時代小説、 特に南朝を舞台にした小説をいつか書きたいと 友人の伝で吉野をともに巡り歩いた記録、 と言うか微妙にエッセイ風な覚書と言うか、旅行記と言おうか。 とにかくこの作品で目に付くのは 谷崎潤一郎が文豪と言われただけのことはあると思える 自然や事物を描写する筆力の見事さに尽きた。 たとえば古い手紙一枚が 「

  • 奏でるおひな様のマーチ!

    「ソアラの瞳は何色ですか!?」 3月3日ひなまつりの時に描いた直樹とソアラです。卵のからでつくったおひなさまたちが五人ばやしの奏でる笛や太鼓の音色の階段に乗って桃の節句を盛り上げております。 僕が描くもので、数少ない笑顔のある作品です。 おはようございます。今日は朝から雨で心も微妙な気持ちがしますが、花粉があまり飛ばないので少し気分が楽な感じと不思議な気持ちです。花粉をお持ちの方々、どうかくれぐれ

  • 三銃士(下)

    三銃士(下)    アレクサンドル・デュマ    竹村猛訳  角川文庫 ああ、これが三銃士の物語か。 要するに、なんでもかんでも女のせいだった話しか。 王妃の首飾りを取り戻す話も 王妃の「やっちまったー」を「そんなことありませんでした!」 にするため。 ダルタニャンが若気の至りで 惚れた女が行方不明になって探しに探しつつ さらに美人のミラディーにまた惚れて 騙してベッドインしたところ、 やっぱり自

  • 三銃士(中) 

    三銃士(中)  アレクサンドル・デュマ  竹村猛訳  角川文庫 物語がようやく佳境に入ったので、 読むスピードもなんとか早まった。 映画やドラマで有名な王妃の首飾りの物語から 物語はどんどん絡まりあい 王妃を守るという恋心からイギリスのバッキンガム公は (元恋敵)フランスのリシュリー枢機卿を負かすべく ラ・ロシェル包囲戦を展開する。 これ、歴史だとフランス国内のユグノー(プロテスタント)弾圧から

  • 三銃士 (上)

    三銃士(上)   アレクサンドル・デュマ  竹村猛訳   角川文庫 むー、本当にこの小説、モンテクリスト伯と同じ作者が書いたのだろうか? 歴史教師オーギュスト・マケが草稿を書き デュマは手を加えていただけらしいが、 大半はマケの書いた物語だったのかもしれない。 何度も何度も映画、ドラマ化されているから 間違いなく面白いのだろうとあたりをつけて読み始めたのだが だめだ、もう全然ダメ、 私の趣味にはま

  • こころの海に沈みたい!

    おはようございます。名古屋はまだこの時間、すっきりとしていない天気ですが、もうじき晴れてくる予報でした。昨日、配れなかった広告をなんとか今日中に配達しないとです。皆様、今日も1日よろしくお願いいたします。♡(*^_^*) オリジナル小説「少年の嵐!」の挿絵用に描いていたものです。 信男「明日から大嫌いなプールの授業が始まる。学校休みたいなあああ~~~。 (-_-) 三日月をくぐると向こうにはまた別

  • こころの長雨!(ながあめ!)

    おはようございます。名古屋は雨が昼からだと聞いてたのに、朝から降っていて、今日は広告配りに行けなさそうです。まだ余っているのに、天気に左右される仕事はつらいです。((+_+)) オリジナル小説「少年の嵐!」の毎回話しの表紙絵ように描いていたものです。心が沈んで、梅雨空の天気ように雨が降り注ぐ少年、薄影信男(うすかげのぶお)12才の心の嵐です。雨に打たれた鳥の形をしたチュウリップがうなぎに話しかけて

  • 青銅の基督 ー 一名南蛮鋳物師の死

    青銅の基督(せいどうのきりすと)ー 一名南蛮鋳物師の死                                                           長与善郎  1923(大正12)年                  青空文庫 長崎と天草の潜伏キリシタン関連遺産が去年世界遺産となって それまで「隠れキリシタン」と呼ばれていたものが ある程度の敬称にでも変わったのか「潜伏キリ

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