• 未曾有の特ダネ。

    「どうも初めまして。私、芸能ジャネの担当酒井と申します。桧原清吾さん、この度は私共の取材に快くOKを頂き誠にありがとうございます」 面会室対面に座る老人はチラッとこちらに目をやっただけでやがてつまらなそうに仏頂面で天井の一点を凝視した。 無理も無い・・・社長直々の命令とは言え我ながら随分と悪趣味な仕事だ。 桧原清吾死刑囚、今から27年前世間を震え上がらせた連続殺人犯。 命乞いをする被害者をノコギリ

  • 予知能力。

    ・・・私、知ってる。 もうすぐ鉈を持った強盗がこのコンビニにやってくる。 強盗の振り回す鉈で店員さん一人とお客さん二人が大怪我。 突然の夕立で立ち往生してた私は、今から五分後に偶然鉢合わせする彼氏の車に乗り込む事でその難を逃れるのだ・・・ 「予知能力」 オカルト超嫌い! 幽霊=妄想!超能力=厨二病!UFO=焼きそば! と、徹底して通って来た私がこんな妙な事に目覚めたのは今から三年前。 病院のベッド

  • 最後のトリック。

    『良く此処まで辿り着けたね・・・そうです、私がサイレント・リバーズです』 真っ暗な山奥、何処と無く寂寥感と薄気味悪さ漂うもう随分昔に廃墟と化したであろうボロボロの工場。その地下室に灯る明かりは俺のすぐ後ろに立つ敏腕探偵・多川静の持つ小さなペンライトのみ。 声の主は多川とその助手である俺、土屋誠が何年も前から追い続けて来た連続殺人鬼、サイレント・クラウズ。 薄汚れた地下室にポツンと置かれたスチールの

  • よいこのうた

    僕はゼロとイチで作られた特別な子供らしい。たくさんのゼロとイチで作られた特別な子供らしい。『君は言うことを必ず守る良い子だ』僕は『センセイ』と呼んでいる。僕はほめてくれるセンセイが大好きだ。僕には約束事がいっぱいある。前に一度だけそんな約束事の一つを破ってしまったんだ。決して僕から発言してはならない。『僕もセンセイ達みたいにこの部屋を出てみたい』ちょっと驚いた顔をしたセンセイは僕に優しく微笑みなが