• 一厘のドラゴン(いちりんのどらごん) 1

     水平線のはるか彼方、じわりと光が溢れてくる。墨を流したような海と空が、ゆっくりと群青色に染まっていく。どこに身を潜めていたのだろう。巨人のような白い雲があちこちにそびえ立つ。今日も暑くなりそうだな。海岸の大岩にあぐらをかいて、黒髪の少年はぼんやりと思った。  彼は夜明けの空を見るのが好きだった。鉄杭島(てっくいじま)を無限に囲う青い海の果てから、朝日が迎えに来るのを心から待ちわびていた。いつも眠