• 読書録③ ヘッセ 「シッダールタ」

     この本を初めて読んだ時、僕は22歳で、今更そう言ってしまうと空しいようだけれど、はっきりと僕は「恋」をしていた。 それは空の太陽のように燦然と世界の万物を照らし出すような恋ではなく、何かの化学反応によって地上に生まれた、妖しく謎めいた青い燃え上がりに似ていた。 自然のあるがままに慣れ合うのでなく、お互いに強くあろうと、自立した個人であろうと、その恋にはそういう風に、最初からどこか無理なところがあ

  • 読書録① 宮本輝 「ドナウの旅人」

    「ドナウの旅人」は初めて読んだ宮本輝の作品だった。 僕自身3年前の冬にドナウの流れる東欧の国々を一人旅したことがあり、本屋で偶然目にしたそのタイトルに強く興味をひかれて上巻を手にしてみた。 ドナウの旅人〈上〉 (新潮文庫) 新潮社 本 作者の宮本輝は凄く昔の人だというイメージを勝手にもっていたけどWikipediaによれば 生年月日: 1947年3月6日 (70歳) と割と戦後生まれの方だったから

  • 読書録 「我孫子武丸 殺戮にいたる病」

    名作と有名なのでずっと読みたかった一冊。 叙述トリックを駆使した小説で、最後に種明かしされたときは頭の中がハテナでいっぱいに。 意味が理解できたとき、 文章の中での違和感が解消された。 殺人者は夫 母とは夫の実母 妻は息子を疑っているが息子は無実 息子は父の罪を知っている 整理すると結末は簡単なのに、読書をうまくミスリードして最後までミステリーを楽しませてくれる。 描写がグロすぎて再読はしないけれ

  • 読書録 「宮部みゆき 誰か」

    ドラマ化されていた杉村三郎シリーズの第1作目。 シリーズ物のしらず、名もなき毒を先に読んでいました。 派手な事件が起きるわけでもなく、杉村三郎は頭の切れる刑事というわけでもない。 事件に関わる人たちの人生を深く描きながら真相に近づいていく。 梶田さんの人生を辿ることでいろいろな人の過去が明らかになり、 普通に見える人もいろいろな人と絡み合っていきているんだなぁと改めて考えさせられる。 梶田姉妹の関