• 「そういうこともある 8」ユノ×チャンミン

    ~Cside~ 最初のデートで観る映画は肝心だと言うけれど、別に僕達はデートじゃないから。 なんて思いながら内心ドキドキしている。 でもこの人が観たい映画なんだし。 それに夏間近で見るには爽快感があって良さそうだ。 でもやっぱり男らしいと思った。 男らしいというかノンケらしいと言うか。 複合シアターには他にも沢山、恋愛ものとかもあるけれど、男二人で観るのは微妙なのかもしれない、 この人には。 「ま

  • 「そういうこともある 7」ユノ×チャンミン

    ~Yside~ 「129ページの二行目ですね。ここ誤植ですよ。分かりますか?」 電話の向こうで工場長が渋い返事をした。 表情は俺だってきっと変わらない。 今日は泊まりになるな。とお互い思ったからだ。 これだけページ数があるんだから、やるかもな、と思っていたけれど、まさか今日とは。 「行くんですか?」 隣から声をかけられて振り向く。 少し狼狽えた俺がいる。 「ああ、うん。お前は担当のやれよ」 「僕も

  • 「そういうこともある 6」ユノ×チャンミン

    ~Cside~ 「気持ちいーなあ」 自分より長い、黒髪が風に揺れている。 その横顔を見ると、この人はやっぱり格好良いなと思った。 「たまに来るんです」 切れ長の奥二重が、本当に気持ち良さそうに閉じられている。 その顔を撫でている潮風が羨ましくなった。 いつの間にかぼうっと見ていた僕に向かれて戸惑った。 「どした?」 笑われて綺麗な歯並びが見える。 下唇が厚い。 「あ、いえ」 今、僕はもしかしたら耳

  • 「そういうこともある 5」ユノ×チャンミン

    ~Yside~ 久しぶりに南山に行った。 「なんか、俺達がいた頃と変わんないな」 駅の近くの豆腐料理屋で大学の同級生と会う。 「ここら辺はな」 「でも、値段は上がったぞ」 俺がそう言うと、呑気な笑顔を向ける。そう言えば、こんなに優しい顔をしてる奴だった。 「食おうぜ」 「おー」 優しい顔をしている奴が箸を手に取る。 「でも、お前が結婚してないなんてな」 何気なく呟かれた言葉に、小さな鉄器に入れられ

  • 「そういうこともある 4」ユノ×チャンミン

    ~Cside~ 土曜日、本屋をぶらぶらしていたら、後ろから声をかけられて、驚いた。 「久しぶり」 「あ……久しぶり」 何となく気まずいのは、最後に見た時の顔が二人とも笑顔ではなかったから。 「元気?」 でも今は、そう言って僕に笑った。 僕も微笑む。 「うん」 「何見てるの?」 隣から覗き込まれた。 「ああ、楽譜?」 「そ。最近全然弾いてなかったから」 「そっか」 少し背が低い。出会った時はそんなと

  • 「そういうこともある 3」ユノ×チャンミン

    ~Yside~ 携帯電話を見ると、メッセージが数件と電話がかかって来ていた。 それに返す気にもなれず、服を脱いでいく。 とりあえずシャワーを浴びたかった。 面倒くさかったけれど、そのメモのせいで思い出したようにスーツをおざなりにハンガーにかけて、シャツはソファーに投げ捨てる。 酔いは、シャワーから出る頃にはすっかり醒めていた。 水の入ったグラスを持って、シャツを床に払ってソファーに寝転がった。 癖

  • 「そういうこともある 2」ユノ×チャンミン

    ~Cside~ 背後に散らばる格子に切られたエメラルドグリーンの空間を背に、長い指でネクタイを弛める姿は、本当に格好いいといつも思っている。 その並んだ空間は、フロアーの壁一面の硝子窓から見えるオフィスの明かりだ。 それを背景に、常に涼しい顔でパソコンに向かって時々は外回りに行く。 できる男っていうのは、ああいう人を言うんだろうな。 でも気が抜けている時は、驚く様なところもあったり。 この前は携帯

  • 「そういうこともある 1」ユノ×チャンミン

    *このお話にもしコメントを頂きましたら、それは全て最終回で返事を致します。 ~Yside~ 9号線に乗り換えた。 工場から直帰しようかと思ったけれど、やっぱり会社に一度立ち寄ることにした。 鞄にしまったネクタイをもう一度つけようかと思案してやめる。 暑い季節の到来を思わせる夕方。 何となく浮足立っている、地下鉄の窓に反射した自分を見ながら微笑む。 まだいるよな。 時間を見て頷いた。うん、いるな。