• 【蜘蛛の糸】

     今にして思えば  取り敢えずの蜘蛛の糸  お釈迦様も、お忙しかったに違いない  地の底で  やっと膝をつけられるようになった頃  唐突に  それは目の前に落ちてきた  おもわず  しがみついてしまった  闇になれた眼には  それが何であったのかよく分からなかったし  何でも良かったのかもしれない  後悔はしていない  そのとき、生きる事を選んだのだろう   

  • 【ラブレター】

    遠い貴方へラブレター 書いてみようか やめようか ひとりぼっちのこんな夜は ずんと想いが膨らむよ 星でも数えて見ましょうと 空を見上げてみたものの 暗い帳のその影で クスクス笑っているばかり いいのよいいの ひとつだけ 気紛れ星が顔をだす 逢いたい気持ちが溢れても なんとも出来ない もどかしさ あぁ・・一日が長すぎる

  • 【日にち薬】

    それはね きちんと飲み忘れないようにね 効きかたはさまざまだけど・・ ゆっくりでも確実に効いて来るもんなんだよ 忘れることはできないさ 忘れちゃいけないこともある それでも 確実に 空を海を山を川を 体で感じたくなるようになるから そうしたら もうなにもこわくない そうなんだ こわいものなんかなくなっちゃうんだから

  • 【恋のシナリオ】

    二人が出会って恋をして 二人は二人の恋のシナリオを書き始めるの 二人は二人の世界を作っていくのだけれど 二人は別々に二人の世界を書いていくので 二人は恋をしているのに、とても悲しい 気がついてしまったの もう、一緒に歩けない さようならを言った 涙が止まらない

  • 【ふたたびの】

    その昔 ひとつの恋が終わりを告げた 若さ故の悲しさで 将来が何も見えぬと二人で泣いた としつきは 物語 心のひだに織り込んで そうして日々を生きてきた ひさかたぶりの邂逅に はずむ気持は束の間で 恋の欠片をとりだして 差し出す人はかなしくて ふたたびの 恋の終わりを知りました 暑い夜、ひとりでビールを飲んでると、いろいろなことが蘇ります。 結構長い人生・・・いろんなことがありました。

  • もうすぐ父の命日です あの日は雨上がりの暑い日でした それから 45年のときが流れました 父はおじいちゃんになるまえに 亡くなりました。 笑顔の優しい人でした 歌の大好きな人でした 覚えています 赤い表紙の童謡の本を買ってきて 私たちに教えてくれたことを 大きな体で踊りを踊ってくれた事を 本が好きで 歴史の話や世界の話を沢山してくれたことを けれども 父は 酒飲みでした 大酒のみでした 酔って暴れ

  • 【貝】

    嵐の夜に 砂浜に  押し上げられた小さな貝は 潮の音を聞きながら 眠ります いつか 必ず 優しい 大きな波が 迎えに来てくれるはず 波に抱かれて 水底へ 帰る夢見て 眠ります 蒼い海は目の前なのに 私ひとりじゃ帰れない 涙が砂を濡らします

  • 青春

    サムエル・ウルマンの「青春」の詩にこんな一節があります。 「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う。(中略)青春とは怯懦(きょうだ)を退ける勇気、安易を振り捨てる冒険心を意味する。ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる」 そうね、ちょっと勇気が出ますね。 それから、あるアンケートによると、 好かれる老人の一位は身奇麗に

  • 二十歳の頃

    その頃は、某県の出先事務所の職員でした 古色蒼然とした洋館で、入り口に「〇〇郡役所」なんていう看板が残っていました。 そこで飲食店関係の税金の仕事をしていたのです。 思い出しても、考えても、若くない仕事でした。 そして、仕事場の人たちもみんな若くなくて、 それはそれで とても可愛がってくれたから、居心地は悪くなかったけれど、 もっと生き生きとした職場に行きたいとずっと思っていました。 配属先は自分

  • 【好き】

    好きって、最近誰かに言った? 好きって、最近誰かに言われた? 好きって、良いよね ただ 好きなんだもん なんのこだわりもないし なんのきまりもないし 好きって 素直に言っちゃおう 好きって 素直に受け止めよう そう もう いいよね そんな自由をもっても良いよね たまたま買ったカレンダーの絵 「にわぜんきゅう」さんは知らなかったけれど この絵を見ると自然に顔がほころんでくる。 切り取って額に入れた、

  • 【いつでも】

    生まれたての新しい血が 心臓から  体中を巡って、また戻ってくるのに 18秒しかかからないんだって いつでも、どんなときでも 新しい私が、体中を駆け巡っているんだね

  • 【思い出】

                            たぶん それはまだ小学生の頃 夏休みも終わりに近いある日 小さな妹を抱いた母が 突然 散歩に行こうと言い出した 何故そんなことを言い出したのか、わからない けれど 大勢の兄弟の中で 一番母と接触の少なかった私は 嬉しくて 一緒について歩いた 何の話をしたか 何も覚えていない ただテクテクと 歩いた 段々空が暗くなって 田んぼの中の小高い山が 黒くぼん

  • 【パシフイック・ホテル】

    洗濯物を干しながら 青い空を見上げていました ふっと 風が後ろ髪を撫でてゆきました 振り返ればその先に 二十歳のわたし パシフィック・ホテル 夏も終わりに近いころ プールサイドに座ってた 恋人たちがさんざめくその中で 二人並んで座ってた 少しだけ冷たくなった潮風が水面を渡り 二人して足をゆらゆら水面をゆする こころゆらゆら 恋の予感がしあわせだった 秋風がたち 木枯らしが吹き そうして季節は過ぎて

  • 【常盤露草】

    夢うつつ行き交う路地に白き露草

  • 【水平線】

     海は、空を写す  恋する乙女のように   いつか この思いが届きますように  ぽっかり浮かんだ白い雲は  空の欠伸   そんなときは、のたりのたりと波を揺らして   おやすみなさいと 子守唄  空が 激しく 怒り 嘆くとき   狂おしく 波はうねり 叫び 泣く     あぁ これほど 空を恋しても  決して交わる事は出来ない   一本の線  

  • 【夜の電車】

    夜の電車 窓に映る顔 自分だと気づくまで 数秒かかる ふっと 顔をなぞってみる 皺の数など 数えてみる そして 悲しくも 納得せざるを得ないのだ 夜の電車 暗闇の中を走る

  • 【雨の日に】

    雨の日に 海を見に行く 雨ならば 誰もいないそんなとき 海は自分を取り戻す そんな気がしたから 雨は静かに降り続け 空と海とがぼんやりと混じりあい それはとても秘密めいていて 雨は優しく降るけれど それはやっぱり冷たいけれど もう少しだけ佇んでいよう 今日のような雨の日の海が 私は好きだ

  • 新しい朝

    今朝は雨 散歩にでも行こうかと早起きしてみた。 それなのに、今朝は雨 ほんの2週間前までは、毎日何をしていたのだろう・・同じ時間なのに 毎日毎日新しい朝 毎日毎日繰り返す、新しい朝

  • 【ひとりくらし】

    一人暮らしが長すぎて 自問自答の毎日で 確かな答えはなんなのか どこかで答えを見つけようと テレビを見たり 本を読んだり それでも、現実世界とはかけ離れ やはりひとりで自問する それでいいの? これでいいの?