ss(現代・高等科編)のムラゴンブログ

  • 高彬ボーイ<73>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 二週間ぶりに瑠璃さんに会える───! 階段を駆け下り右に曲がる。 じれじれと信号を待ち、また走り出し、左に曲がったところで誰かとぶつかりそうになり慌てて止まった。 「すみませ・・・、あ、君たちか」 いつもすれ違う小学生の軍団だった。 「ごめん、怪我はない?」 「怪我... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<72>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ ───つまらないな・・・ 何度目になるのか、カウントすらしていないため息と共に心の中で独り言ちる。 少し寒さが和らいで来たとは言え、土手を渡る風はまだまだ冷たく、知らずに首をすくめてしまう。 陽は大きく傾いて長い影を作っている。 瑠璃さんと会えなくなって二週間。 一... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<71>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 込み入った話でもしているのか、高彬と奥野さんは向かい合って話し込んでいるように見える。 高彬はチラチラとあたしの方を見て、やがてこちらに走ってやってきた。 「瑠璃さん、お待たせ」 そのまま歩き出し、5歩歩いたところであたしは 「今のって、・・奥野さんよね」 思い切っ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<70>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「藤原くんのことが好きなんでしょ」 言葉に詰まるあたしに向けて、もう一度、同じ言葉を繰り返してきた。 でも、少し違ってたのはイントネーション。 一回目のが語尾が上がってたのに対して、今度のが語尾が下がる感じ。 そうなんでしょ、と決めつけて来た風にも思える。 「別に・... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<69>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「代田くん・・・」 この間のことがあってから、どうしても身構えてしまう。 いきなり抱き寄せられるとか、恐怖以外の何ものでもないし。 「今日、一緒に帰らないか?」 「え」 「この間の話の続きもあるし」 「・・・」 意味ありげな亜実の視線を感じつつ、まず頭に浮かんだのは... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<68>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃、どうしたの、具合でも悪いの?」 陽光が降り注ぐカフェテリア、亜実に声を掛けられて、あたしはノロノロと顔を上げた。 約束したわけじゃないんだけど、ランチは亜実と同席することがほぼ決まっていて、一足先に来ていたあたしはテーブルに突っ伏していたのだ。 「別に。ただ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<67>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「あれって、瑠璃さん・・」 「そう、観覧車よ」 「でも・・・」 「乗りたいの」 「・・・」 「観覧車に乗るのがクリスマスプレゼントじゃだめ?」 瑠璃さんはぼくの顔を覗き込みながら言い 「いや。もちろん瑠璃さんがそれでいいなら、だめってことは、ないけど・・・」 あやふ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<66>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 辺りはすっかり暗くなり、海面を渡り吹く風は昼間よりも更に冷たく、代田を前にかぁっと頭に血が上ったぼくにはもってこいだった。 瑠璃さんがついてくるのを背中で感じながら、ぼくの心は少しずつヒートダウンしていき─── していってたはずなんだけど、瑠璃さんの言葉にまたしても... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<65>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 速くもなく、遅くもない足取りで、高彬は歩いて行く。 高彬の数歩後ろを歩きながら、あたしの頭の中はグルグルと忙しく回転していた。 高彬、なんで急に態度が変わったんだろう? あたし、何か変なこと言った?それともした? そう言えば、高彬、さっき代田くんに何言われてあんなに... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<64>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃さんは、どうしていつもこうなんだ」 あたしに向き直った高彬が怖い声で言った。 暗がりのせいなのか、それとも怒ってるせいなのかよくわからないけど、普段より威圧感を感じてしまい、あたしは少しだけ怖気づいてしまった。 さっき代田くんを殴った高彬を見たからかも知れない... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<63>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 代田くんの顔が段々と近づいてきて─── 「・・・や!」 とっさにあたしは代田くんの身体を押し返していた。 代田くんの胸に自分の両手を突っ張り棒みたいに張らせて。 「瑠璃ちゃん」 聞き分けない子どもに言い聞かせるような言い方だった。 まるで私が悪いことしてるみたいなそ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<62>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃ちゃん、次はあれ乗ろうぜ」 横浜みなとみらいの一角にある遊園地「よこはまコスモワールド」は、家族連れやカップルで賑わっている。 代田くんが指さしたのはメリーゴーランド。 「・・・ねぇ、代田くん。それより早く買い物しましょうよ」 ついイライラとした言い方になって... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<61>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「お兄さま、平沼さんと言う方からお電話なんですけど・・・」 部屋のドアがノックされ、由良が顔を覗かせた。 「あー、うーん・・・」 我ながら、歯切れの悪い言葉が漏れる。 「また、お出掛けしてることにしますか?」 「頼む。そうしてくれ」 心得顔で由良は出て行き、実はここ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<60>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「あら?瑠璃お嬢さま、お出かけですか?今晩はお夕食はどうされますの?」 出掛ける準備をしているところで志乃さんに声を掛けられた。 夕飯か。 高彬はそんなに長い時間じゃないって言ってたけど・・ どうなるんだろ? 「うーん、食べるかも知れないから取っておいて」 「承知し... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<59>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「高彬さま。お電話でございます」 ドアの向こうから家のものの声が聞こえた。 参考書を閉じドアを開けると、女中が保留中のメロディが流れる子機を手に立っている。 「誰から?」 「あの、それが、警察署からで・・」 「警察?」 「はい・・・」 不審に思ったのはほんの一瞬、す... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<58>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ マフラーが川に流されたり、自転車で急斜面下ったりでうっかり忘れてたけど、そう言えばそもそもあたしは高彬に 「話したいことがある」 って言って呼び出したんだったわ。 今さら「何でもない」と言うのもおかしいし、どうしよう・・。 少し考えてから高彬の背中に向かいあたしは話... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<57>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「デート・・」 思いがけない高彬の提案に思わず足が止まってしまう。 デートって、あのデート?! 恋人たちがするって言う・・・ 数歩先を行き、少ししてあたしが歩いてこないことに気が付いた高彬は振り返り立ち止まった。 何とも決まり悪そうな顔をしている。 「いや、ごめん。... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<56>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ ギュッと目を瞑って高彬にしがみつき、心の中で声にならない叫び声を上げてるうち、ブレーキ音と共に自転車が止まった。 どうやら斜面は下りきったみたいで 「下りて!瑠璃さん」 急くような高彬の声に促され、あたしは自転車を飛び下りた。 スタンドを立てるのももどかしいのか、高... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<55>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「ど、どうしたんだよ、瑠璃さん」 ぎょっとしたような高彬の声がすぐ近くで聞こえ、顔を上げると目の前に高彬の顔があった。 あたしに合わせしゃがみ込んだみたいだった。 「誰かに何か変なことでも・・・」 「高彬が早く来ないからでしょ!」 「え、ぼく?」 「そうよ!あんたが... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<54>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 踏ん張らないと前に進めないくらいの風が吹く中、あたしは土手を目指した。 ビュービューと風音が耳元で鳴り、せっかくドライヤーで整えた髪が好き勝手に舞っているのが分かる。 告白日和とは言い難い天候だけど、ま、あたしらしいと言えばあたしらしい気もする。 マフラーの入った紙... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<53>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 電話が欲しいと伝言したのは自分なのに、突然の受話器からの高彬の声に、自分でもびっくりするくらいに心臓が跳ね上がってしまった。 だって、何だかいい声なんだものー! 高彬ってこんなに耳触りの良い声してたっけ? 高彬と電話したことってそんなにないのよ。 登下校が一緒だし、... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<52>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「何だよ、姉さん・・」 ふぁぁ・・とあくびをしながら融が言い 「融、今から高彬の家に行ってきてくれない?ちょっと伝えて欲しいことがあるのよ」 「今から?!姉さん、今、何時だと思ってるんだよ。夜中の12時過ぎだよ」 「え、ウソ」 言われて融の部屋の壁掛け時計を見ると、... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<51>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「出来た!」 部屋の中であたしは編みあがったばかりのマフラーを両手で掲げた。 志乃さんの手ほどきを受けながら、睡眠時間を削って編みに編んだこの5日間。 本当だったら棒針で編んで凝った模様とかも入れたかったんだけど、そこははなから諦めて、かぎ針で細編みだけ、編み目もガ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<50>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ まったく頭に来ちゃう! 何なのよ、高彬のあの言い草! まるであたしからもらうのを牽制してるかのようなことばっかり言っちゃってさ。 高彬め、そんなにあたしからの手編みのプレゼントが欲しくないのか。 なーにが 『瑠璃さん、そもそも不器用だろ』 よ。 女心なんてこれっぽっ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<49>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「高彬、・・・女の子と本屋さん入っていかなかった?・・・誰?」 「え・・・」 少し息の上がった声で聞かれ、口ごもってしまった。 女の子? 誰だ、それ。 一瞬、本気で考えて ────あぁ、大江のことか・・ と気付いた。 大江のこと「女の子」だなんて思って見たことなかっ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<48>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃ちゃん、昨日のセーターの話なんだけどさ」 隣に並んで歩く代田くんに突然言われ、あたしは不機嫌モード全開だったことも忘れて、焦りまくってしまった。 「俺が編んで欲しいのはさ・・」 ど、どうして高彬の前でそう言う誤解を招くようなこと言うのよ! 「色は青がいいかな。... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<47>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「おはよう」 普段通りの朝、玄関が開き制服姿の瑠璃さんが現れた。 一段と冷え込みが厳しくなり、瑠璃さんの首には大きなチェック柄の暖かそうなマフラーが巻かれている。 見たことのないマフラーで、ふと (まさか昨日、代田に買ってもらったのか?) と言う疑念が湧く。 昨日は... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<46>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「これなんて見やすくてお勧めだけど」 駅ビル6階の本屋の一角で、ぼくは一冊の参考書を手に取り差しだした。 「・・・うわぁ、本当!分かりやすーい。さすが、高彬さま」 パラパラとめくった後、パチパチと手を叩く仕草をされ、たかが参考書一冊のことで、と思わず苦笑が漏れる。 ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<45>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃ちゃん、買い物?」 代田くんに聞かれて、あたしは慌てて編み物の本を後ろ手に隠した。 「あぁ、うん、・・ま、ちょっとね」 悪いことしてるわけじゃないから隠す必要なんてないはずなんだけど、見られたくなって言うか・・ なのに代田くんは 「何?編み物の本?」 後ろに回... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<44>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃、早く食べないと冷めるわよ」 「・・あ、うん、そうね」 亜実に言われ、あたしは慌ててナイフとフォークを動かした。 「やっぱりスワンでのランチは最高ね。普段のおにぎりとは大違い」 背筋をピンと伸ばし、食事マナーの見本とでも言えるような優雅な手つきでビーフシチュー... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<43>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「・・・おはよう」 玄関のドアが開き、小さなあくび混じりに冬服姿の瑠璃さんが現れ、2人並んで歩き出す。 9月末から10月いっぱいは冬服への移行期間中で、生徒は夏用でも冬用でも、はたまたミックスでも自由に着て良い期間なのだけど、瑠璃さんは 「気温と相談して毎朝考えるの... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<42>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「好きだ。・・・瑠璃さんのことが好きなんだ」 そう言うとしばらく瑠璃さんからの返事はなく、もう一度口を開きかけた次の瞬間、瑠璃さんが息を飲む気配が背中から伝わってきた。 「あの、高彬・・」 「うん」 「今、何か言った?」 「え」 「あたしったらウトウトして眠りかけて... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<41>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 人工的な明かりがまったくなかったけど、満月のお蔭で歩くのには困らなかった。 背中の瑠璃さんが「ごめんね」「重くない?」と何度も言うので 「重くなんかないさ。それにおぶると言ったのはぼくなんだし、瑠璃さんが謝ることじゃないよ」 「でも、あたしがコケたりしたから」 「瑠... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<40>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 一日中、喧騒と言っていいほどの賑やかさに囲まれていたためか、土手がいつも以上に静かに感じる。 「皆、まだ盛り上がってるかしらね」 「多分ね」 炎の回りではしゃいだり、BGMに合わせて踊ったり、もしくは2人きりの世界に浸っちゃってる恋人たちとか。 そんな光景が目に浮か... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<39>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「学園祭、大成功だったわね」 「うん」 「学園祭実行委員長として大変だったでしょ、お疲れさま」 労うと 「どうも」 高彬は素直に頭を下げ 「でも委員の皆が色々やってくれたからね、そのお蔭だよ」 その、どこか作り込んだ声色にピンと来るものがあり 「まぁた、謙遜しちゃっ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<38>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「藤原くん・・」 そろりとドアが引かれ、遠慮がちな声が掛けられる。 「ごめんなさい、ちょっといいかしら」 「二野さん・・」 困惑した様子で高彬が言い 「あ、あたし、外行くわね」 2人の間をすり抜けるようにして廊下に飛び出した。 早や歩きで直線を行き、階段で曲がったと... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<37>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 後夜祭のキャンプファイヤーのため、生徒たちは皆、校庭に出ていて、校舎内は驚くほど静まり返っている。 遠く引き戸を開け締めする音が聞こえ、主務室に駐在する事務員のものかも知れない。 「あの・・」 ほの暗い室内、静けさ、高彬との距離─── その全ての緊張感に耐えられなく... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<36>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「お前、いつから俺にそんなエラそうな口聞くようになったんだよ。俺はお前が高等科に上がって来た時の剣道部の先輩だぞ。忘れたのか」 「もちろん覚えてますよ。権野先輩は先輩も先輩、大先輩です」 「だったら・・」 「何しろ剣道部に5年も在籍してたんですからね」 ・・・え? ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<35>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ びっくりしてるあたしに構わず、男はズカズカと部屋に入り込んでくる。 「え、え・・」 そのあまりに迷いのない足取りに、このまま掴みかかってこられるような恐怖を感じ、反射的に立ち上がってしまった。 あたしのすぐ横で男は立ち止まり、ジロジロと顔を覗き込んでくる。 「え、・... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<34>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「後夜祭のことなんだけどさ」 「うん・・」 「上からの参加も多いらしいよ」 「・・・そう」 実行委員長の立場としての発言に、あたしは言葉少なに頷いた。 一瞬だけ─── 後夜祭、瑠璃さんは誰と過ごすの?もし決まってないのならぼくと─── なんて、そんな甘い期待をしてし... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<33>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 何も答えないままスタスタと歩き出すと、高彬も当然のように歩き出した。 彼女持ちのオトコとなんか、絶対に口なんか聞いてやるもんですか─── そう決意して口を真一文字にしていると 「もしかしてお父上と喧嘩でもしたの?」 のんびりとした口調で高彬が話しかけてきた。 「もし... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<32>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 慌てて亜実の背中に飛び乗り、塀の向こうを覗くと──── そこには見知らぬ男が立っていて 「イッテェ・・」 と言いながら頭をさすっている。 見たところ二十歳前後の若い男である。 脇にはローファーが転がっており、あたしの投げたローファーがこの男の頭に命中したことは明らか... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<31>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「こらぁ!廊下を走るなぁ。誰だぁ?藤原かぁ?」 後ろから怒鳴り声が聞こえた。 あの語尾を伸ばす特徴のあるダミ声は、うるさ型で有名な学年主任に違いないわ。 捕まったら最後、延々と指導と称するお説教をされるに決まってるから、当然、無視して走り続ける。 校舎の一番端っこの... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<30>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「何が?」 ジロリと睨み付けたまま言うと 「何がって。朝行ったらいなかったじゃないか。志乃さんに聞いたら30分前に出たって言うし」 「そうよ」 「何かあったの?」 「別に。早く出たかったから出ただけよ。いけない?」 つん、とアゴをあげて見せる。 続けて 「あ、そうそ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<29>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 何もしゃべらないまま2人並んで歩く。 普段だったら、高彬の方から 「今日は何かあったの?」 とか 「この間のテスト返ってきただろ。どうだった?」 とか、何かしらの話題を提供してくれるのに今日はそれもなく、かと言ってあたしはあたしで動揺してるから、気の利いた話題なんて... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<28>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ このまま何も気付かない振りして「高彬ー」なんて言いながら駆け寄るか、それともどこかに身を隠してやり過ごすか。 考えること数秒。 あたしは、近くの大きな銀杏の木に近づいた。 太い幹が隠れるのには好都合だった。 実はね、高彬の告白場面に立ち合ったのって初めてじゃないのよ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<27>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃さん。・・と、水無瀬」 カフェテリアに入ってきた高彬はすぐにあたしたちに気付いた様で、まっすぐ席にやってきた。 いつも思うんだけど、高彬って本当に目聡いと思う。 千里眼って言うか。 剣道してる高彬をこっそり見に行こうと武道場行けば、すぐに見つかって声掛けられち... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<26>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「どうしたのよ、瑠璃。元気ないじゃない。あなたにしちゃ珍しくお弁当もひとつしか食べなかったし。何か悩み事?」 亜実に顔を覗き込まれ、あたしは大きなため息を吐いた。 「あらやだ。ほんとに悩み事なの?」 「別にそんなんじゃないけど。ただ・・」 「ただ?」 「・・・秋だか... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<25>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「高彬・・・」 呟くような声でぼくの名を口にした瑠璃さんは、次の瞬間、すっと目を逸らすと俯いた。 何事かを考えてるかのように目が泳ぎ、やがて顔を上げ、もの言いたげな目でぼくの顔を見て、その頬はうっすらと上気している。 「高彬・・」 「う、うん」 身構えて返事をすると... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<24>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 至近距離で瑠璃さんと目が合って─── 回りからは、シャワーの水音と代田たちの話し声が聞こえる。 ふいに瑠璃さんがカランを捻り、シャワーヘッドから温水が流れ出てきた。 びっくりしていると、瑠璃さんは唇の前で(しーっ)と指を立て(怪しまれるから)と声を出さずに言い、ぼく... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<23>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ どうしてここに代田がいるんだよ。 代田がぼくに気付いてないことを幸い、すぐに物影に身体を隠した。 ここで代田と顔を合わせるのはマズい。 誰と来てるかを当然、聞かれるだろうし、いや、目敏い代田のことだ、ぼくが何か言うより先に瑠璃さんに気が付かないとも限らない。 それは... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<22>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「あっ」 隣を歩いていた瑠璃さんの身体が傾いで、あっと思った次の瞬間、腕を掴まれていた。 反射的にぼくの手は瑠璃さんの肩を抱いていて、そのあまりの柔らかさと細さにギョッとしてしまった。 ふにゃっとしていると言うか・・・ 部活で後輩に稽古を付ける時に身体に触ることはあ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<17>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 更衣室の全身が映る大きな鏡の前で、あたしは(はぁ・・)と盛大なため息を吐いた。 鏡にはビキニ姿の自分が映ってるんだけど、サマになってないのよねぇ。 どうしたって、いつかの亜実のビキニ姿より見劣りしている。 胸?ウエスト?脚? どこが悪いんだろう? プールに行くことが... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<21>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「いい席があいてたわね」 白いイスをズリズリと引きながら、瑠璃さんはぼくの斜め前に座ると、同じく白い丸テーブルに両肘を付いた。 「・・・」 肘を付いたことによって胸の谷間が少し深くなった、ような気がする。 一体、どこを見ていたらいいと言うんだ。 無難なところで顔を見... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<20>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「お姉さんたち、やっぱり本当は付き合ってるんでしょう?」 瑠璃さんの腕に絡まるようにして一人の女の子が言い、回りの子もワッと囃し立てている。 「だっていつ見ても一緒にいるもの!」 「絶対に怪しい!」 子どもたちの追及は容赦がなくて、瑠璃さんは一瞬、気圧されたように黙... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<19>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 融と勉強をやりに、瑠璃さんちの応接間で融を待っていたら、ノックもなしに突然、瑠璃さんが現れた。 「瑠璃さん・・」 ソファに座るぼくの前に立つと、いきなり紙切れを差しだしてきた。 「一緒に行かない?」 「え?」 差しだされたチケットを見て、思わず固まる。 都心にある有... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<16>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「何それ、姉さん」 ポカンとした顔で、融があたしの頭を指さしてきた。 「暑さで頭がどうかしちゃったの?」 「うるさいわねぇ」 冷蔵庫から冷えたペットボトルを取りだすと、あたしはさっさと2階の自室へと上がった。 一口水を飲み、姿見の前に立つ。 頭にはミニーのカチューシ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<ミラクル番外編>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 瑠璃さんをすっぽりと腕の中に閉じ込めながら、ぼくはギュウギュウと回した腕に力を入れた。 「瑠璃さん・・」 泣きじゃくる瑠璃さんは小さな子どもみたいだった。 「怖かったんだから・・」 「ごめん」 瑠璃さんは手の平で涙を拭うと、ぼくの顔を見上げてきた。 涙に濡れる瑠璃さ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<18>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 瑠璃さんをすっぽりと腕の中に閉じ込めながら、ぼくはギュウギュウと回した腕に力を入れた。 「瑠璃さん・・」 泣きじゃくる瑠璃さんは小さな子どもみたいだった。 「怖かったんだから・・」 「ごめん」 瑠璃さんは手の平で涙を拭うと、ぼくの顔を見上げてきた。 涙に濡れる瑠璃さ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<15>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ さんざん歩き回っても高彬は見つからず、あたしは目に付いたベンチに腰を下ろした。 パーク内には相変わらず人が溢れていて、家族連れやカップル、友だち同士と、皆、楽しそうに笑いさざめきながら歩いている。 あたしみたいに一人ぼっちの人なんか、いやしないわ・・・ 一人でいるこ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<17>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ ───はぁ・・・ 大きなため息が出て、瑠璃さんに振り解かれた右手を何となくさすった。 急に手を繋いだりして、瑠璃さん、変に思ったかも知れないな。 パレード見て泣いてる瑠璃さん見たら、何だか堪らない気持ちになって、後先考えずに手を握ってしまったんだけど・・・ いや、パ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<14>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 手を繋いだまま、高彬は光のパレードを見ている。 あたしも何食わぬ顔をして通り過ぎて行くフロートを見る振りをしながら、でも、心臓はバクバクとうるさくって仕方がなかった。 繋いだ手を通して、心臓の音が高彬に聞こえてたらどうしよう・・・ 時々、高彬の指先が動いて、そのたび... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<13>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 太陽が西の空に大きく傾き、パーク全体が濃いオレンジ色に染まるようになると、吹く風に若干の涼しさを感じるようになった。 「だいぶ涼しくなったわね」 ベンチに腰掛けながら言うと高彬からの返事はなく、隣を向くと高彬はぼんやりと遠くを見ている。 「・・・」 「・・・あ、ごめ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<16>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃さん、ほら、もうパレードが始まってるんじゃないかな。音がするよ」 ぼくの言葉に瑠璃さんは、園内マップと音のする方の両方を落ち着きなく見て「あー」とか「うー」とか唸っている。 「何か探してるの?」 「うん。ちょっと行きたいところがあって。この辺りだと思うんだけど... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<12>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 洗面台の前で、あたしは鏡に映る自分の顔をじっくりと眺めた。 頭には大きな赤いリボンと耳が付いている。 高彬が「似合ってる」なんて言うから、すっかりその気になって付けてるけど、ほんとに似合ってるのかしら? カチューシャを直そうと両手を上げ、ふと手が止まった。 左手──... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<15>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「魔女がいっぱいで暗くて怖い場面が多いです。大丈夫ですか?」 ぼくたちの前に並んでいる小さな女の子がいる家族に、キャストがそう声を掛けているのが聞こえてきた。 「白雪姫と七人のこびと」ってそんなに怖いアトラクションなんだろうか? 「瑠璃さん、大丈夫?これ、怖いやつか... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<14>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「あー、楽しかった」 スタージェットを乗り終えゲートを出たところで、瑠璃さんは上空を旋回する小型ジェットを見上げながら呟いた。 「大丈夫だった?高彬は」 「うん、高低差なかったし」 「そう、良かった。これは暗くなってもう一回乗ったら、夜景が綺麗かも知れないわねぇ」 ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<13>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 向こうでミニーマウスが、じゃなかった、瑠璃さんが手を振っている。 飲み物と食べ物を乗せたトレーをテーブルに置くと 「わぁ!」 と瑠璃さんは目を輝かて、両手を打ち付けて見せた。 少し休憩しようと言う事になり、軽食が食べられる店に入ったのだ。 木陰になった屋外のイートイ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<12>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「次は何に乗ろうかしら。ねぇ、高彬は何がいい?」 瑠璃さんに聞かれ、園内マップを覗き込む。 今いるのがこの辺りだから、近くのアトラクションはと言うと─── イッツアスモールワールドはダメだし、ピーターパンもダメだし、ダンボなんて論外だし・・・ 「・・・」 ふと、自分... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<11>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 瑠璃さんの腕を絡められて、ドキっとする。 まるでスッキプでもしそうな程、瑠璃さんの足取りは軽く、たまたまの成り行きに味方されてたこととは言え、電車の中で誘ってみて良かったとぼくはしみじみと思ってしまった。 こんなことでもなきゃ、瑠璃さんと2人でディズニーランドになん... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<11>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 駅の改札を出たら、もうその辺りにはすでにテーマパークのムードが漂っていて、あたしは走り出したいような気分になってしまった。 テーマパークに向かってたくさんの人の流れがあり、高彬の横顔をこっそりと窺う。 「これは相当、混んでるのかも知れないわね」 慎重に言って見ると ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<10>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 翌朝、ぼんやりと目を開けたあたしは、見慣れない天井に一辺に目が覚めてガバっと飛び起きてしまった。 ここはどこ。 あたしは瑠璃だけど─── 「・・・」 あ、そっか、昨日は高彬の古くからの知り合いのおうちに泊まらせてもらったんだっけ・・。 手早く着替えて下りて行くと、も... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<10>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ ゴロンと横になると見慣れない天井が目に飛び込んで来た。 按察使の家に来たのはこれが2度目だったけど、前の時はリビングと守弥の部屋しか入っていない。 こんな風に客間用の部屋に通されたのは初めてだったし、もちろん、横になったのも初めてだった。 時間を潰させてもらうだけの... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<9>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「あ!流れ星!」 コンビニの入り口に近づいたところで、あたしは夜空に向かい指をさした。 「え?」 驚いたように顔を上げる高彬に向かい 「また流れるかも知れないから見てた方がいいわ。あたし、今、お願いごとしたもの。高彬、してないでしょ?良く見てるのよ」 早口で捲し立て... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<8>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 駅のロータリーに一台の車が進入してきて、あたしたちの側で停車するとヘッドライトを消した。 運転席から男の人が出てきて高彬に何か話しかけている。 高彬が持っていた荷物をすぐに取りあげると、男の人は後部座席のドアを開けて、高彬に向かい「どうぞ」なんて言っている。 その間... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<9>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「電車が動いてないってどういうことよ」 瑠璃さんは、まるでぼくが諸悪の根源であるかのように睨み付けてきた。 「どういう事って言われても、ぼくが止めたわけじゃないし」 「・・・」 「もうじき運転再開するんじゃないかな」 「でも、今、再開の目処はたってないって言ってたじ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<8>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「どうしたの?高彬、顔、赤いみたいだけど」 瑠璃さんはしばらくぼくの顔をじっと見ると 「もしかして日に焼けたんじゃな?」 どこか勝ち誇ったように言ってきた。 「は?」 思わず聞き返すと 「人には紫外線、紫外線言っておきながら、自分は全然、日焼け対策してなかったんでし... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<7>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 瑠璃さんを背中におぶった瞬間、その軽さに驚いた。 瑠璃さんのことは何度かおんぶしたことがあったけど、中等科に入ってからはなかった。 子どもの頃は一つ上の瑠璃さんの方が背が高かったし、多分、体重だって重かったんじゃないかと思う。 でも、今の瑠璃さんは軽いし、それに何だ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<7>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 高彬の背中にそっと身体を預けた次の瞬間、足が砂浜を離れ、ふわっと身体が宙に浮いていた。 肩に置いてた手に思わず力が入ってしまう。 「じゃあ歩くよ」 そう言うと高彬は歩き出し、バッグが置いてあったところまで来ると少し屈んでバッグを片手で持ち、そのまま自分の肩に掛けた。... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<6>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 昼間、あれほど人の多かった砂浜が、夕暮れの今はずいぶんと人少なになっていた。 地元の人なのか犬を散歩してるご夫婦や、ジョギングをしてる若い女性の姿がある。 高彬はカバンを足元に置くと 「瑠璃さん、波に足を浸しておいでよ。気持ちいいよ」 そう言って砂浜に腰を下ろした。... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<5>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 走り出したバスを見送る振りをして、隣の高彬をそっと盗み見ると─── バスになんか全く興味がなさそうに、高彬は空を見上げていた。 釣られて見上げると、夕焼け空に、バラ色の雲が浮かんでいる。 見惚れるほど、綺麗な空ではあるけれど・・・ 「・・・」 気が付かれないようにそ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<6>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 瑠璃さんのことが好きなんだ─── 一世一代の告白をし終えたぼくは、静かに目を瞑った。 後は瑠璃さんの返事を待つだけだ。 目を閉じたぼくの耳に入ってくるのは、遠くに聞こえる人のざわめきと、風に揺れる風鈴の音、上空を舞うカモメの鳴き声に、スースーと言う規則正しい寝息・・... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<5>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 瑠璃さんの様子を見た途端、軽い熱中症だとすぐに分かった。 夏の武道場で稽古してると、時々、こういう症状でぶっ倒れる奴がいるからだ。 のぼせたような赤い顔の瑠璃さんを抱き上げる。 さっきのビーチハウスに連れて行き、とりあえず風通しの良い日陰になっている縁側に横たえ、よ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<4>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「よし、皆、集まったようだな。幹事の代田に、副幹事の名関だ」 「皆さん、よろしく」 亜実が頭を下げ、拍手が起こる。 「では、これより葉山に出発する」 代田くんの号令を合図にバスは滑らかにスタートした。 窓からは抜けるような青空が見えて、朝の7時だと言うのにすでに陽射... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<3>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「あれは・・・マズいんじゃないかな」 マズイ? 「どうしてよ」 「いや、どうしてって言うか・・・」 口ごもる高彬に、ピンとくるものがあった。 さては高彬のやつ・・・ 「もしかしてクラゲ?」 心配性の高彬のことだから、きっと近年、大量発生しているとか言うクラゲのことを... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<4>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「ほんと助かるよ。毎年、夏休みが始まると思うんだ。ぼく、高彬と友だちで良かったぁって」 融がエヘヘ・・と鼻の頭を掻きながら言い、ぼくは 「何言ってるんだよ。融が泣いてすがりつくからだろ。ぼくだって忙しいんだぞ」 と融の肩をこずいた。 夏休みに融に勉強を教えるのがいつ... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<2>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「藤原・・・」 いきなりの高彬の登場に、代田くんはびっくりしたように目を見開いた。 高彬はずんずんと部屋に入ってきたかと思ったら、あたしの顔なんか見もしないで代田くんの真ん前に立った。 そうして 「残念だったな、代田。ぼくが来たから<3人きり>だ」 まっすぐに代田く... 続きをみる

  • 瑠璃ガール<1>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「瑠璃先輩。ちょっといいですか」 放課後、生徒会室に向かうため廊下を歩いていると、強ばった顔の下級生に声を掛けられ、内心 (またか) とうんざりしてしまった。 もうね、聞かなくても何を言われるかはわかってるのよ。 「瑠璃先輩って藤原先輩の何なんですか?」 下級生の子... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<3>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 「なぁに?」 至近距離で顔を覗き込んできた瑠璃さんは 「やだ、高彬。あんた、顔赤いわよ。熱でもあるんじゃない?」 そう言うとぼくの額に手を当ててきた。 いきなりのスキンシップにギョッとして、思わず手を振り払おうとした途端、更にギョッとしてしまった。 腕を上げた瑠璃さ... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<2>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 代田は瑠璃さんと同じクラスで、高等科の現生徒会長であり、更には初等科・中等科・高等科で構成される学園会の総裁も務めている。 スポーツ万能、成績も優秀で、ルックスも良好。 本人もそれは十分に自覚してるようで、押し出しが強く、先生からは信頼も篤く、生徒には人気があり、学... 続きをみる

  • 高彬ボーイ<1>

    ※本館「現代編」設定の2人です※ 昼休み、長い廊下を抜け、吹き抜けのロビーを歩いていたぼくは、ギョっとして立ち止まってしまった。 ここ高等科の校舎は、初等科、中等科の中では一番古い建物で、その分、作りが重厚と言うのか随分と時代がかっている。 ロビーの左右には内側に向かって婉曲した階段があり、その階段... 続きをみる

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