マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−7 走れマクミラ(再編集版)
(ヴラドの娘か? ほう、パラケルススの義理の孫でもあるのか。他の者ならそう簡単には持ち出させぬところだが、お主との因縁に免じて許してやるとするか。だが、ぞんざいな扱いをしたならば一生後悔することになるぞ) マクミラは、生まれかわってから初めてゾッとした。父を死よりツライ目に会わせた元凶を手にし、思わ... 続きをみる
(ヴラドの娘か? ほう、パラケルススの義理の孫でもあるのか。他の者ならそう簡単には持ち出させぬところだが、お主との因縁に免じて許してやるとするか。だが、ぞんざいな扱いをしたならば一生後悔することになるぞ) マクミラは、生まれかわってから初めてゾッとした。父を死よりツライ目に会わせた元凶を手にし、思わ... 続きをみる
「アポロノミカン!?」 「たいへんな時間がかかりましたが、神導書の修復はほぼ終わっております。神導書を見たもののほとんどが発狂するか人間以外に変化してしまうため、取り扱いには最高度の注意を要します。ですがマクミラ様なら・・・・・・」 「盲目の我になら、何かが起こる心配はないか! だが、この男は耐えら... 続きをみる
「魔道、いやマッド抜きで、これだけ損傷を受けた患者を救えるのですか?」ジェフは途方に暮れたように言った。 「現代医学の力など、端から当てにする気はないわ。さあ、ひさびさに祭祀を執り行うとするか」マクミラがハスキーボイスで続ける。 腕まくりをしようとした時、3匹がワンと一声吠えた。 「我としたことが・... 続きをみる
しかし、頭のいいマクミラはすでに気がついていた。 どうしようない人間界においても、ひとつの可能性が残されていたことに。 それは、こころよきものたちのネットワークだった。 ふところが深く優秀なリーダーの下には、よき人間たちが集まって開かれた議論が行われる。そんなときには、それぞれの実力がきちんと認めら... 続きをみる
勘違いしたものが優秀なものの足をひっぱるなどということはありえない神々の世界を知っているマクミラには、人間界の状況は全く理解しがたかった。まるで人間界においては、「不条理が条理」であるかのようだった。 そうした時、マクミラは人間界に送られる場での冥主プルートゥの父への質問を思い出した。 (人間どもの... 続きをみる
第五期に入って、KKK団は他の極右団体と連帯を図るようになる。 たとえば、1960年代に設立されたアメリカにおけるKKK団と並ぶ強大極右組織「ポシー・コミタータス」である。この団体のメンバーたちは、政治はローカルなものだと考えており、選挙で選ばれる各地の保安官こそ最高の行政官であり、カウンティと呼ば... 続きをみる
魔物狩りが一段落したマクミラは、ヌーヴェルヴァーグ・タワー最上階の自室で思い出していた。 1991年夏、聖ローレンス大学でのゾンビーソルジャーたちとの闘いで傷ついたクリストフの肉体をミシガン州山中に持ち帰った時のことを。 勝負に勝った「ご褒美をあげる」とナオミたちに約束したからには、彼女の友人を見殺... 続きをみる
「第一部 神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ 第二部のストーリー マーメイドの娘ナオミを軸とする神々のゲームを始めたばかりだというのに、再び最高神たちが集まらざるえない事態が起こった。神官マクミラが人間界に送られた後、反乱者や魔界からの侵入者を閉じこめた冥界の牢獄の結界がゆるんできていた。... 続きをみる
アポロニアに向かって、ケイトが伝える。(お忘れかい、マクミラ様が降臨してからヴァンパイアになられたことを) 今度はユピテルが思念を返す。(それと今回のことと、いったいどういう関係があるのじゃ?) (マクミラ様とナオミ様が闘った夜ですが、ペルセリアスの遺体が消えた理由はおそらくマクミラ様が持ち去ったの... 続きをみる
(たとえ堕ちたといえども四人は、まだ冥界の一員。神の存在のまま人間界に仮の肉体を持ってとどまれば、1~2年の命。ですが、人間界に長くとどまる別の手だてがございます) (それは、いったい・・・・・・) (魔界に伝わる秘技を使えば、次々と人間に乗り移り続けることで長い年月、人間界にとどまることができます... 続きをみる
遠く映るその影が太陽の黒点として知られる四次元空間、エリュシオン。 そこに鎮座するユピテルの支配するオリンポス神殿。ここは「光の眷属」でなければ、瞬時に蒸発してしまいかねない光と灼熱の空間。 いつものんびり飛び回る神殿の極楽鳥のリーダー錦鶏鳥と銀鶏鳥が、緊張から宿り木から離れようとしない。 大広間で... 続きをみる
(新たに助太刀を送れるのは、たしかに冥界からだけじゃが、わしはこうした時にそなえて布石を打っておいた) (ナオミの育ての父ケネスの背中のタトゥーでございますな・・・・・・) (さすがかつての「うらなうもの」よ。前もって準備しておいたものを使うのなら、新たな助太刀を送ることにはならぬ) ネプチュヌスが... 続きをみる
未だ何人も訪れたことがなく、今後も誰も訪れないであろう西インド諸島とアゾレス諸島の狭間、インド洋「バミューダトライアングル」。 その2万里を越える海底に、四次元空間につながる海主ネプチュヌスの城がある。 きらめく宝石のように飾り立てられた100の部屋は、マーメイド、マーライオン、セイレーンなど、海主... 続きをみる
だが、ここでも我の愛への呪いは生きていた。マクミラは、まるで我のイヤな部分だけを受け継いだかのような冷たい、だが美しい娘に成長した。ミスティラは、まるでひた隠しにしてきた我の弱い部分だけを受け継いだかのような、だがやさしい娘に成長した。 マクミラとミスティラを見ていると、自分のイヤな部分を見せつけら... 続きをみる
まだプルートゥ様への未練は断ち切れなかったが、人間界から来たとは思えぬオーラになぜか惹きつけられた。大将軍殿と思念を交わすようになって、秘密はアポロノミカンのせいとわかった。「串刺し公」と呼ばれたほどの情け容赦もない戦歴は、本来、無間地獄に落ちるほどの罪状にもかかわらず、同時に人民のために一片の私心... 続きをみる
(母と大将軍殿(註、ヴラド・ツェペシュはかつて冥界の大将軍)以外、誰も知らぬことじゃが、兄弟姉妹で一番不幸な将軍には知る権利があるやも知れぬ。これから言うことは他言無用。愛に「呪い」をかけたのは、我じゃ。我の「燃やし尽くすもの」という名は、サラマンダーの女王だからなのではない。愛を燃やし尽くす定めゆ... 続きをみる
スカルラーベがおそれながらと名乗り出る。(お待ちください。今度こそ私にも機会をお与えください)筋骨隆々とした体躯がふるえている。 (お前もか?)プルートゥが応じる。(魔女たちの力を考えればアストロラーベが加勢しても必ず勝てるとは限らぬ。よし、短気を直す修行をしてまいれ。ただし、お主らがマクミラとミス... 続きをみる
「第一部 神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ 第二部のストーリー マーメイドの娘ナオミを軸とする神々のゲームを始めたばかりだというのに、再び最高神たちが集まらざるえない事態が起こった。神官マクミラが人間界に送られた後、反乱者や魔界からの侵入者を閉じこめた冥界の牢獄の結界がゆるんできていた。... 続きをみる
(なんじゃ?) (ほとんど戦闘能力を持たぬミスティラを送り込んでも、足手まといにはなっても助っ人にはほど遠いかと) (それでは誰が適任と申すか?) (妹の汚名をそそぐは兄の使命かと) (うるわしい兄妹愛よのう) 愛か? またしても、ここで・・・・・・思わずアルトロラーベが、独り言の思念をつぶやく。 ... 続きをみる
いつも不機嫌なプルートゥの顔が、なぜか機嫌よさそうに見える。 (これより我が名にかけて、ミスティラの裁きをおこなう。アストロラーベよ、代理の神官として神事を執り行うがよい) ミスティラをかわいがっているアストロラーベに、この役は酷であった。 しかし、マクミラ無き今、最高位の神官の地位をついだミスティ... 続きをみる
(我が足下にひざまずくがよい。これよりミスティラの裁きをおこなう)冥界中にプルートゥの思念が響き渡った。 呼びつけられたのは、ミスティラの父で「吸い取るもの」“ドラクール”こと、かつての大将軍ヴラド・ツェペシュ、さらに母で「燃やし尽くすもの」サラマンダーの女王ローラ。いつも通りヴラド・ツェペシュと並... 続きをみる
リギスの唄姫の名称は、ダテではなかった。 おお、ケルベロスよ、ケルベロス 三匹の息子を人間界に送った冥界の魔犬 今日も三つの頭で何思う 今宵、四人の魔女たちが 別れた己の息子らにメッセージを伝えに はるかかなたの人間界へ行こうではないか おお、冥界の守り神よ、冥界の守り神 マクミラと共に生きるキル、... 続きをみる
ルールを変えるそもそもの発端となった四人の魔女たち。話は、マクミラが人間界に送り込まれて妹ミスティラが後をついだときにさかのぼる。 経験不足から来る自信不足の彼女は、実力不足を露呈した。その結果、冥界の結界がゆるみ、魔女たちが氷結地獄コミュートスの牢獄を抜け出した。その魔女たちが、魔犬ケルベロスと対... 続きをみる
冥界は、精神世界を管轄するために元々魔界からの波動攻撃を受けやすい。侵入する大物魔物たちをかたはしからコキュートスの牢獄に閉じこめた結果、ここ数千年は「平和」が保たれていた。 かつての冥界親衛隊長ブラド・ツェペシュとマクミラ親子の相性は理想的であった。足下からのオーラで百匹の魔物をたじろがせ、一睨み... 続きをみる
魔界の住人とのちぎりをむすんだドルガ、メギリヌ、ライム、リギスの四人は、本来、死刑宣告にあたる魂百万裂き刑を受けてもおかしくはなかった。 しかし、666年の禁固刑という驚くほど「寛大な」処置の秘密は、彼女たちの血筋にあった。 死の神トッドの娘ドルガは、プルートゥの遠縁であった。略奪婚により娶った豊穣... 続きをみる
肉を持つ存在の訪れを拒み、精神体の訪れのみが許される場所。 マグマ層とつながる地中深くに存在する4次元空間タンタロス。 そこに冥主プルートゥが支配する王宮があった。 大広間には大魔王サタン率いる魔界の6軍団、その下の66大隊、そのまた下の各々6666の悪魔を擁する666小隊が、冥界の親衛隊長ドラクー... 続きをみる
「第一部 神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ 第二部のストーリー マーメイドの娘ナオミを軸とする神々のゲームを始めたばかりだというのに、再び最高神たちが集まらざるえない事態が起こった。神官マクミラが人間界に送られた後、反乱者や魔界からの侵入者を閉じこめた冥界の牢獄の結界がゆるんできていた。... 続きをみる
「彼女は教官じゃない。オブザーバーだ。いいか、戦場でのオン・ザ・ジョブは普通じゃ行われない。初めての戦闘から常に本番なんだ。戦場は本番を訓練にできるほどあまくない。死ねば一巻の終わりだ。通常のオン・ザ・ジョブ・トレーニングじゃ、成功しようが失敗しようが死ぬことはないだろ」 「じゃあ、戦場では何が成功... 続きをみる
ケネスが続けた。「話を戻そう。俺は、奴らのカンザス攻撃の目的は三つ目の可能性が高いと思ってる」 「それは?」 「シミュレーションだ」 「シミュレーション?」 「味方の戦闘能力のチェックと相手の戦闘能力の情報収集が目的だ。様子見とシミュレーションの違いは、データ収集のためならいかなる犠牲もいとわない。... 続きをみる
「ケネス、だてに長年ネイビーにはいないね」 「ちゃかすんじゃない。学習能力のない奴はいつか命を落とすか、大切な仲間を失う。学習能力の高い奴だけが生き残れる。一度くらい勝ったと調子に乗っていると痛い目を見るし、逆に、敗北から財産を得ることもある。覚えとけ。襲撃の目的には、3つある。第一が様子見だ。序盤... 続きをみる
カンザスの闘いから1年経った1992年初夏のある夜、聖ローレンス大学学生寮で一人ぼんやりとしていたナオミの部屋の電話が鳴った。午前1時ちょうどだった。受話器を取る前から、ナオミには父ケネス・アプリオールからの電話だという確信があった。 「ケネス!」 「まるで電話がかかってこないわけじゃないだろ。なん... 続きをみる
「お前の妹ミスティラでは、まだ神官には力不足だったのだ。冥界の牢獄の結界が、ゆるんできている」 「やはりそうか・・・・・・だが、お主たちの実力では牢獄は簡単に破れないはず。何か、他にも理由があるだろう」 「四人の魔女が・・・・・・ドルガ、メギリヌ、ライム、リギスが、逃げ出した混乱に生じてわれわれも抜... 続きをみる
「う~ん、いいにおいがする。まずは腹ごしらえといくか」グリッドが突然気づいたように言った。 他の二匹もうなずくと飛び跳ねるやいなやストリート・ギャングたちを頭からバリバリ食べ出す。メンバーたちはあまりの恐怖に腰が抜けている。 「おい、お前の相手はこっちだ!」ダニエルはヒードンに言い放つと、セラフィム... 続きをみる
マクミラが一瞬の内にワイヤー入りの鞭を左右に振ると、右の鞭にナイフがからみとられ左の鞭に銃弾が取り込まれる。いつのまにか両方の鞭に炎が走っている。 「坊やたち、まだまだあまい」マクミラがつぶやくと鞭をさらに一振りする。 燃える炎が二人のストリート・ギャング団リーダーの頬を一撫でする。 アチッ、彼らが... 続きをみる
「マクミラ、今夜はどうするんだ?」ハーレーダビットソンFXSTSスプリンガ-・ソフテイルをフルスロットルで走らせる堕天使ダニエルが声をかける。 「セントラルパークに! 禍々しいオーラがふくれあがりつつあるわ」キルベロス、カルベロス、ルルベロスの3匹が合体した魔犬ジュニベロスにまたがったマクミラが深夜... 続きをみる
カンザスの戦いから2年、ここは1993年初夏のニューヨーク。 翌年に就任するルドルフ・ジュリアーニ市長の破れ窓理論*を応用した復興キャンペーンはまだ始まっておらず、経済は沈滞、治安は最悪で、文化も衰退していた。80年代中盤の株式ブームによって回復した経済も87年のブラックマンデーによってブームは終わ... 続きをみる
ところで、女はいちごのような唇で 蛇が身を焦がすように、体をくねらせ コルセットの骨の上から両の乳房を揉んで 麝香の香りがすっかりしみ込んだ言葉を、 流れ出るにまかせていた。 ――シャルル・ボードレール『悪の華』発禁の断章 恐れられたこの私の腕に一人の男をきつく抱くとき、 あるいは、内気なくせに淫蕩... 続きをみる
財部剣人です! おかげさまで第一部の再配信も終了しました。来週からは、第二部の再配信を始める予定です。さらに第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待。 「マーメイド クロニクルズ」第一部 神々がダイスを振る刻篇あらすじ 深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかね... 続きをみる
その時、孔明とナオミの帰りが遅いのを心配して、寮で待っていたチャックとクリストフがやってきた。 車のドアを開けて飛び出しきた二人はあまりの惨状に声も出せない。もはや勝負はついてしまったのか・・・・・・ ナオミはあきらめかけた。 「勝負は、まだついてない」 皆が声のする方を振り返ると孔明が立ち上がって... 続きをみる
その時、急ブレーキの音が響いた。 クライスラーのジープに乗ったビルがようやく駆けつけてきた。 「すまん。さっき、留守電を聞いた!」 「おそすぎ!」 ナオミが、絞り出すような声で言う。 「孔明、まだ生きてるか? オムニポーテントの俺様にまかしとけ」 うめき声だけだが、どうやら孔明もまだ生きているらしい... 続きをみる
ナオミは次々とゾンビたちを倒していった。 しかし、生体エネルギーを相手に打ち込むには多量のエネルギーを消費した。 いくらゾンビたちを救済しようと思っていても、すでに思考や判断能力を失った彼らの攻撃が止むことはなかった。負のエネルギーをはじき飛ばされたゾンビはもう再生しなかったが、ナオミと孔明はすでに... 続きをみる
闇夜に輝きが走った。 真珠の戦闘服に身を包んだ姿になると海神界親衛隊員時代の記憶が戻ってきた。人間界に来てから黒髪だった髪がマーメイド時代の栗色の巻き毛に戻っていた。 右手を高く差し出すと雨でアクアソードができた。 “ラウンド・スリー”! 戦闘準備完了だ。 「ついに目覚めたわね、ナオミ」マクミラがつ... 続きをみる
だが、ゾンビたちは腕だけではなく足も進化させていた。 折られた方の膝で地面をロケットのように蹴り出すと孔明を飛び越えてナオミに襲いかかった。 振り返った孔明は甲殻類の手を持ったゾンビが腕を車に突き刺すのを見た。 ナオミィー! わけのわからない叫び声を上げながら孔明はゾンビに向かって行った。彼らは、龍... 続きをみる
ゾンビたちはちぎられた腕や折られた膝や頭から泡を出しながら怪異な変容を遂げつつあった。 最初に倒されたゾンビがバネ仕掛けのおもちゃのように立ち上った。甲虫類のようなハサミがついた左腕が復活したのみならず首がふた回りも太くなっている。 他のゾンビたちも続々立ち上がる。 イカのようなぬるぬるした鞭のよう... 続きをみる
ナオミは、前方に太さ五、六メートルはありそうな銀杏の木があるのを確認するとゾンビに向かって走り出した。 ボロボロになった相手の緑色の顔を見ると逃げ出したい気分になったが勇気を奮ってスピードを上げていく。 ワン、ツー、スリー! かけ声をかけて飛び上がる。ゾンビの肩をジャンプ台にはるか先まで飛ぶ。 銀杏... 続きをみる
「だけど大道芸なら時間と場所を間違えてるんじゃない?」 「昼は美容のため睡眠を取ることにしてるの。わたしの実の父はヴラド・ツェペシュ。冥界の大将軍よ。人間たちは吸血鬼ドラキュラとかふざけたあだ名をつけているようだけど」ジャグリングを続けながらマクミラが言った。 「父親がドラキュラなら母親はサーカス団... 続きをみる
財部剣人です! おかげさまで第一部の再配信も来週からの最終章とエピローグを残すのみです。さらに第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待。 「マーメイド クロニクルズ」第一部 神々がダイスを振る刻篇あらすじ 深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を... 続きをみる
孔明の声で、ナオミは我に返った。 「いったいどうした。ゾンビみたいな奴が明日の会場に現れるって言うのか? まさか・・・・・・」 そう言いながら孔明も今まで感じていた不安の正体に行き当たってショックを受ける。 「ねえ、会場に急いで。イヤな予感がする」 深夜のローデン・オーデトリアムの周囲はひっそりと静... 続きをみる
「聞きたいことがあるんだけど、KKK団のビラの文句読んだ? 死への旅路が終わりを告げ、始まりの旅の幕を切って落とされるって部分があったでしょ。何のことかわかる?」 「読むには読んだが、まるでスフィンクスの謎かけだな」 ナオミは、小さい頃に朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の動物なあにという謎かけを夏... 続きをみる
深夜の聖ローレンス大学キャンパス。 もう六月も終わりに近いというのに、冷たい雨がしとしと降り続いていた。 ナオミとケネスのパトロールも、最後に講演会場のローデン・オーデトリアムのチェックで終わろうとしていた。 ナオミは、孔明との深夜パトロール中も心ここにあらずだった。 マウスピークスは精神状態が最悪... 続きをみる
そのまま死んでしまえたらいいなと思っていた。 だけど、ディベート仲間たちが噂を聞きつけてアパートをのぞきに来て話をしたり出前のピザを食べたりしてるうちに、このまま負けちゃうのがくやしくなって、それからはディベートと勉強に精を出すようになったの。 男性不信になってたから、時間だけはあったわ、ウフフ。 ... 続きをみる
「ナンシー・・・・・・」 「大丈夫。要件に入りましょう。こんなものがキャンパスで配られていたの」 青ざめた顔のマウスピークスがビラの下の方を指して言った。 ビラはKKK団が講演会の宣伝に作ったものらしかった。そこには、「アポロノミカンからの予言」という文字と共に ・・・・・・こころざしをおなじゅうす... 続きをみる
KKK団が聖ローレンス大学で週末に講演するというニュースは、キャンパスだけではなくカンザスシティ全体にあっという間に広がった。まるで街全体に、火薬の臭いが漂っているかのようだった。 白人のガールフレンドと手をつないでいた黒人学生がいきなり誰かから殴られたとか、あちこちで人種間対立が原因の「ヘイトクラ... 続きをみる
彼らの議論が白熱した頃、マウスピークスが、マーチン・マーキュリーとロイド・アップルゲイトと一緒に部室に戻ってきた。彼らは全米ディベート選手権優勝者ということで委員に選ばれたのだった。 「最悪の事態よ。委員会はKKK団にオーデトリアムの使用許可を与える決定をくだしたわ」 「どうしてそんなことが?」ナオ... 続きをみる
一九九一年六月。 聖ローレンス大学ではやっかいな論争が起こっていた。 「言論の自由」の観点からキャンパス内のオーデトリアムでKKK団に講演会を開く許可を与えるべきかという提案がなされたのだった。六〇年代あるいは七〇年代なら、「質の悪い冗談だろ」の一言で片づけられた提案について、大学当局、学生代表、K... 続きをみる
財部剣人です! おかげさまで今週トータル閲覧数が64万PV越えを達成、トータル訪問数も24万UU越えを達しました。第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待。 「マーメイド クロニクルズ」第一部 神々がダイスを振る刻篇あらすじ 深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡さ... 続きをみる
一九九一年一月、皮肉にも「弱虫」のあだ名の持つジョージ・ブッシュ大統領の開戦演説によって湾岸戦争の幕が切って落とされた。 西洋には「正義の戦争ドクトリン(just war doctrine)」と呼ばれる宗教上の教義に近い理論があり、大統領の開戦演説などにはこうしたレトリックが用いられてきた。 ブッシ... 続きをみる
一九九〇年十二月。 ナオミは、もう何ヶ月も気が気ではなかった。 八月のイラク大統領サダム・フセインによるクェート侵攻に端を発した国際情勢は、きなくささを増しつつあった。国連安保理事会の大量殺戮兵器の査察団の受け入れを拒否したイラクに対する多国籍軍による軍事介入は、時間の問題と見られていた。 いったん... 続きをみる
六年前に魔道がニューヨーク州オルバニーの邸宅で、ヌーヴェルヴァーグ・シニアに面談してから儂の人生が始まった。 彼は魔道に生命のすべての謎を解き明かす神導書アポロノミカンを見せようと言った。ヌーヴェルヴァーグが神導書を開いた瞬間、頭の中のプロテクターが吹っ飛んで脳髄が百パーセントの割合で機能しだした。... 続きをみる
人間の身体は六十兆個の細胞からなっているが、細胞の種類はたったの二百種類しかない。それが連絡を取り合って秩序の取れた状態を生みだしている。 不要になったり身体に害を与えるため「死ね」という指令を受けた細胞は、あらかじめ増殖や分化と同じようにすでに遺伝子に書き込まれている「自殺」のプログラムを起動させ... 続きをみる
儂が目指していたのは死人を別の存在として生き返らせることだったのじゃ。雷の晩につなぎ合わせた死体に電流を流すといった非科学的方法ではない。 儂が目をつけたのは、アポトーシスと呼ばれるいらなくなった細胞が消えて新しい細胞に取って変わられる過程じゃった。たとえば、オタマジャクシのしっぽが無くなってカエル... 続きをみる
「儂の力を試してみるかね?」 「不思議な波動ね。やさしさや憐れみを持たないくせに悪意や傲慢さもない。そのくせ、とてつもない凶暴さを秘めている。上陸寸前の台風、爆発寸前の活火山、あるいはメルトダウンが始まりかけた原子力発電所とでも言えばよいかしら」 「マクミラよ、気をつけて口を利くがよい。今の儂は脳髄... 続きをみる
うっかりすると殺し屋と間違われかねないアウトフィットだったが、知的な顔立ちを見れば大学教授のように見えないこともなかった。 「こちらこそ辺鄙な山奥にまでご足労願って恐縮です。日本語がお上手ですね。一度、早い時期に貴方に会っておきたかったもので」 魔道を一目見た3匹が唸り始めた。 「ヌーヴェルヴァーグ... 続きをみる
一九九〇年十月。 真紅のドレスをまとったマクミラの姿は、いつビックアップルの社交界にデビューしてもおかしくないほどだった。最高級サングラスの奥の閉ざされた両眼さえ彼女の美しさを引き立てはしても減じてはいなかった。 現実には、勝手気ままな生活と引き替えにマクミラは社交界の注目を集めるどころか、親しい友... 続きをみる
財部剣人です! 新年明けましておめでとうございます! 第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待。 「マーメイド クロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ 深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥... 続きをみる
なぜ、攻撃してこないのかしら? ナオミは思った。もしかして女だと思ってバカにしてる? その時、トーミの声が聞こえてきた。 ナオミ、違うぞえ。この龍、どうしてよいか迷っておる。心を読んでごらん。神界から来たもの同士、今のお前さんならできるはずだよ。 おばあ様・・・・・・ ナオミのマーメイドの能力が、瞬... 続きをみる
真っ赤になった孔明の顔が次に怒りで黒くなると、三人は後ずさった。 「ナオミ、逃げろ。まさかクリストフが孔明に触れられるとは思っていなかった」 チャックが、絞り出すように言った。 孔明が、構えをとる。 さっきまでとは比べものにならない禍々しいくせに、同時にあやしいまでに美しい龍がいた。 威圧感どころで... 続きをみる
ナオミは吹き出した。 「ハワイから来たと思ってバカにしているの。ファントム・オブ・ザ・キャンパスってわけ。あなたたち本当は演劇部?」 「冗談だと思うのも無理ない。だが、黒マントのあやしい人影が深夜にうろついているのは本当だ。大学のキャンパスなんて、変質者野郎にはたまらなく魅力のある場所らしい。さあ、... 続きをみる
一匹の真紅の龍が三匹の神獣たちと演武をしていた。 しなやかな肢体の銀狼。背後が見えないほど巨大な雷獣。そして、所狭しと飛び回る金色の鷲。 はるか昔、ネプチュヌス宮殿でゆうゆうと移動する海龍を見た記憶があるが、これほど見事なたてがみ、背びれ、鱗を見たことがなかった。 落ち着きを称えたブラウンの瞳と裏腹... 続きをみる
聖ローレンス大学は、カンザスシティ空港から車で三十分ほど東に行ったカンザスシティの東のはずれに位置していた。 空港からシャトルバスに乗ってミズーリからカンザスの州境に入ると、Ad astra per aspera. Welcome to the state of Kansas! (「星へ困難な道を。... 続きをみる
財部剣人です! 原作を読んで楽しみにしていた『ドクター・スリープ』を見てきました。最初の三分の一は、ややディーン・クーンツ的な乗り(超自然的なものにも何かしら説明をとってつける、それが実は私のような彼のファンにはたまらないのですが)でスティーブン・キングファンには?という感じかも、でも真ん中の三分の... 続きをみる
一九九〇年七月二十五日、ナオミは、アメリカの「心臓地帯」(ハートランド)と呼ばれる米国中西部にあるカンザスシティ国際空港に降り立った。 カンザスシティとはまぎらわしい名だが、市の三十パーセントの行政区がカンザス州に属しているだけで、実は大部分がミズーリ州に属している。ユナイテッド航空機外に出ると夏草... 続きをみる
五百四十五年前、トルコ軍の看守がマクミラの父ドラクールに同情を禁じ得なかったように、この一族には周囲の人間を惹きつける何かを持っていた。 ヌーヴェルヴァーグ・シニアが残したヴェニスのカーニバルの貴婦人の仮面を前に、暗闇の中でジェフは飾りのついた年代物の椅子にかけて思った。 あれほどの美貌、知性、才能... 続きをみる
「極右組織?」 「現体制をひっくり返す気もないくせに既得権益が侵されることには苛立ち、見当違いの八つ当たりをする卑怯者のクズどものことです」 「どうもあまりお友達にはなりたくない連中のようね」 「その分、良心の仮借なしに利用できるのではないですか」ジェフはニヤリと笑った。 良心の仮借? 情け容赦なく... 続きをみる
「はい、よろこんで。今のところテロ組織として認知される集団は世界で約二百九十に上ります。二十世紀のテロ組織はその目的により五つに分類出来ます。一番目は思想的背景を持つ革命指向型ですが、これは冷戦構造の崩壊に伴い衰退していくでしょう」 「わたしは冥界にいた時から知っていたけれど、それがわかっていたとは... 続きをみる
一九九〇年五月、マクミラは十八歳になっていた。 「マクミラ様、またゲームのことをお考えですね?」ジェフが言った。 「お前に隠しごとは出来ないわね。すでに勝ちが見えたゲームで果たすべき役割は何だろうと考えていたの。相手の動きが見えないうちは動きようがないとはなさけないわ」 「ご主人様なら、これはと思う... 続きをみる
財部剣人です! 第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待! 「マーメイド クロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ 深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いていた。今にも... 続きをみる
水と緑と空気と大地のエコシステムは、二十一世紀の声を待たずに完膚なきまでに破壊されようとしていた。オゾン層の破壊、地球温暖化、森林地帯の消滅などはほんの微熱に過ぎないほど、地球という「病人」の容態は悪化していた。警鐘を鳴らそうとする者には利益追求の権化の企業群と手先の政治屋たちによって、「狂信的な環... 続きをみる
会社の建て直しが一段落するとマクミラは、ヌーヴェルヴァーグ財団が所有する図書館で毎日を過ごすようになった。 名門大学の図書館に匹敵する蔵書数を誇るだけでなく、宗教、哲学、歴史、神秘学などの分野では世界有数の文献がオーディオ化されていた。しかも、盲目のマクミラのためにどんな言語で書かれた文献も短時間で... 続きをみる
列車がぶつかると、お化け屋敷そっくりのドアがギーッと音を立てて観音開きに割れた。終点に着いたのだ。 巨大なベッドに男が横たわっていた。 こぼれ落ちそうなほど巨大な両眼、不自然なほど高いワシ鼻、ナイフで刻み込んだような深いシワ。男は、南ドイツのバートヴァルゼーの魔女の仮面をかぶっていた。 ジェフが真っ... 続きをみる
気づくと机上で真っ黒なベビークリフが揺れていた。闇夜のように不吉な思いが広がった。 まあ、最後の願いくらい聞いてやっても罰はあたるまい。ベイビーの顔を見たらおいとましてこの会社の精算の算段でもすることにしようと思い直した。 「お名前は?」 「マクミラと言います」 「めずらしいお名前ですな。パパに似て... 続きをみる
一九七二年秋。ここ数ヶ月でジェフェリー・ヌーヴェルヴァーグが行った改革は見事の一言に尽きた。 賠償起訴を乗り切ったジェフは、遊休資産を次々有利な条件で売却し、リストラを徹底的に行った。さらにヨーロッパの製薬会社と提携話を成立させ、あっと言う間にヌーヴェルヴァーグ製薬の業績を回復させてしまった。 社内... 続きをみる
「つくづくおもしろい子ね」 マウスピークスは考える様子をした。 「『人生はただ歩きまわる影法師、哀れな役者だ』。聞いたことある? 」 「はい」夏海が持っていた教科書で見かけたことがあった。 「そう。でもわたしには、そこまでシニカルには考えられない」 「シニカルでしょうか?」 「文学的ではあるけれどシ... 続きをみる
少し歩いただけで足が痛み出す童話の人魚姫とは違って、ナオミの足は丈夫だった。少女時代の海岸遊びと訓練のたまものだった。 講演が終わるとナオミはゴムまりのように弾んで階段をかけ抜けた。 なぜ彼女はマウスピークスとの邂逅にそれほどまで興奮したのだろう。 悩み続けてきた問題の答えが与えられる予感を得たせい... 続きをみる
「一九五〇年代に政治演説研究をしていた英文学部所属の学者たちが始めたのがコミュニケーション学部の前身になったレトリック学部よ。古(いにしえ)の哲人たちは『思索』と『批評』の両方をしていたのに、いつのまにか批評は哲学者の仕事ではなくなった。英文学部を飛び出した学者たちは文学という虚構の言説の批評に不満... 続きをみる
一九九一年一月の最終金曜日。 ハイスクール最終学年になってもナオミはアイデンティティギャップに悩み続けていた。身長一六六センチ体重四十九キロと体格こそすくすくと育っていたが、人とマーメイドとしての精神の発達はいまだアンバランスだった。 頭の中にあったのは考えても答えのでない疑問の数々。 人間であると... 続きをみる
「おやおや、深海魚ならめずらしくないが。神界魚(ルビ)のご訪問とはね」 「おばあ様・・・・・・」 「こんな近くにまで来られるほど大きくなったんだね。でもマーメイドはやたらに涙を流すもんじゃないよ。別れはつらいかもしれないけれど新しい出会いのためさ。それに夏海とお前たちの運命はちゃんとつながってる。し... 続きをみる
強がりながらも夏海を失って、ケネスはすべてにどうでもよくなってしまった。 何をするわけでもなく飲んだくれているケネスにナオミが言った。 「ねえ、海に連れてって」 「うるせえ。そんなに行きたきゃ一人で勝手に行け。どうせクソ野郎に拾われたことを後悔してるんだろ。とっとと海の底に戻っちまえ!」 下を向いて... 続きをみる
財部剣人です! 第三部の完結に向けてがんばっていきますので、どうか乞うご期待! 「マーメイド クロニクルズ」第一部神々がダイスを振る刻篇あらすじ 深い海の底。海主ネプチュヌスの城では、地球を汚し滅亡させかねない人類絶滅を主張する天主ユピテルと、不干渉を主張する冥主プルートゥの議論が続いていた。今にも... 続きをみる
次の日、喪服のような服を着て夏海は出て行った。 以前出演したホノルルの舞台が評判になり自分目当ての客が増えたのを夏海はよろこんでいた。だが、数ヶ月前から、君には才能がある、チャンスをあげるからニューヨークに来ないかとある劇団に誘われて気持ちが揺れていた。 仕事から帰ったケネスは、置き手紙を見つけた。... 続きをみる
ナオミは、何ごとか考えている様子で言った。 「おもしろい?」 「はぁ?」夏海は間の抜けた声を出した。 「何をしたらいいか決めるのって、おもしろいかって聞いてるの」 「チョイス・イズ・トラジックってわかる?」 夏海は思わず微笑んだ。 「チョイス・イズ・チョラジック?」 「選択はいつも悲劇的と言うことよ... 続きをみる
プライマリースクール時代に、ナオミはどんな科目でも言われた通りに勉強する優等生たちの気持ちが理解出来なかった。 なぜそうなるのか? なぜ別の考えをしてはいけないの? なぜ答えが複数あってはいけないの? なぜ、なぜ、なぜ? 教師がいやがる質問ばかりをしては皆のからかいの対象になった。 マクベスに登場す... 続きをみる
「おい、六本指のシュリンプ!」 月曜日にナオミが学校に行くと、いつものようにオーエンがちよっかいを出してきた。ナオミは振り返った。 「なにか用? 女にしか威張れないウィンプ(注、口語でwimpは弱虫の意味)」 そう言ってナオミは足払いをかけた。 転んだオーエンには何が起こったかわからなかった。次に、... 続きをみる
一九八〇年九月。 ナオミはすでに七歳になっていた。 つやつやした肌は健康そうに見えた。大きな目が見る者が見ればわかる常人とは違う意思の強さを感じさせた。 マーメイドの記憶は断片的でも、使命を持って人間界に送り込まれたことは確信していた。寝床や白昼夢で、時々祖母トーミの声を聞いたからだ。 「元気かえ?... 続きをみる
夜中近くにもかかわらず電話が鳴った。恐る恐る受話器を取り上げる。 「社長、もう大丈夫です。集団起訴を起こした連中が訴えを取り下げると言ってます。被害者全員のむくみがすっかり取れて今までにないすがすがしい気分だと言うんです」 あまりの興奮で最初はわからなかったが、電話の主は最後まで残っていた父の代から... 続きをみる
ジェフの目はすやすやと眠る赤子に釘付けになった。 顔色は青白く死人のようだが唇はつやつやしていた。 女だな、彼は直感した。かすかに麝香の香りが辺りに漂っていた。 赤ん坊のあやしげな美しさに引きつけられてゆりかごに近づくと彼を睨みつける三匹の子犬を見つけた。毛並みのよいゴールデン・レトリーバーが一匹、... 続きをみる
よく出来たホラー小説では、非日常が日常に入り込む。 ドラキュラなら、吸血鬼伯爵がトランシルヴァニアの古城から大都会ロンドンにやってくる。フランケンシュタインなら、天才医学者がつなぎ合わせた遺体が雷の力で動き出す。オオカミ男なら、ルーマニアの銀狼にかまれた男が満月の夜に変身する。 だが、これは不自然と... 続きをみる
ジェフには何が起こっているのか皆目見当がつかなかった。 目の前の時空間がゆがみ裂け始めていた。星空が消え去って景色が真っ暗になる。 バキバキと焚き火に爆竹を投げ込んだような音を立てて裂け目が渦巻き冷たい炎が吹き出す。子どもの頃に絵本で見たファイヤー・ドラゴンが夜空に浮かび上がった。口から紫の煙をあげ... 続きをみる
ある作家が言った。 「ニューヨークの摩天楼は成功を象徴する屹立した巨大な男根だ」 この比喩に従うなら、十九世紀には巨大船舶、二十世紀にはジャンボジェットに乗って「アメリカの夢」を求めてやってくる移民たちは港に吐き出される大量の精子かも知れない。 しかし、彼らは知らない。 ほとんどが外に出た瞬間に命を... 続きをみる
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新生活 人に頼る「一歩踏み出す勇気」
新生活 うまくいかない日「それでも大丈夫」
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新生活 不安「そのままでいい一歩」 (2026年4月2日)
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ここまでの歩みを振り返る(2026年3月31日)
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