気まぐれに1冊⑩ 『東京日記6 さよなら、ながいくん。』
―東京が雨なので「ながいくん」を連れて出かける。電車に乗り、用をたし、また電車に乗って家に帰ってきて、気がついてみると「ながいくん」の姿がない。しばらく茫然とし、それから「さよなら、ながいくん」とつぶやき、少し泣く― これは川上弘美さんの『東京日記6 さよなら、ながいくん。』に載っていた「十一月某日... 続きをみる
―東京が雨なので「ながいくん」を連れて出かける。電車に乗り、用をたし、また電車に乗って家に帰ってきて、気がついてみると「ながいくん」の姿がない。しばらく茫然とし、それから「さよなら、ながいくん」とつぶやき、少し泣く― これは川上弘美さんの『東京日記6 さよなら、ながいくん。』に載っていた「十一月某日... 続きをみる
東京都文京区では、「シニア入浴事業」という区民サービスを実施している。65歳以上の区民が、区発行の「シニア入浴カード」を区内4か所の公衆浴場(銭湯)に持参すると、1回100円(通常480円)で、年52回(月4回程度)利用できるというもので、文京区民である妻は、今年に入ってこの入浴カードを利用して銭湯... 続きをみる
この間、たまたま点けていたTV(NHKの大河ドラマのタイトルバック)に山口晃さんの絵が出てきた。それで久しぶりに『すゞしろ日記(弐)』を手にとってみた。藝大出身の人気画家(以下、親しみをこめて画伯)のエッセイ漫画=絵と吹き出しによるエッセイ集=とでもいうべきもので、これまで3冊出ている。私が持ってい... 続きをみる
岡本太郎の『沖縄文化論―忘れられた日本』(中公文庫1996年/親本は1972年に刊行)を読んだ時の衝撃は、今でも忘れられない。 1959年、岡本太郎は米軍占領下の沖縄の島々に足を踏み入れ、初めてその文化・風土に出会う。そこで体感した沖縄の本質を、岡本太郎はこの本で「何もないことの眩暈(めまい)」とい... 続きをみる
「私は、島に次第に近づいてゆく瞬間が好きだ」 岡谷公二氏の『島の精神誌』(1981/思索社)の冒頭はこのフレーズから始まる。島に渡り、島をめぐる島旅に魅せられた人なら誰でもこの言葉にうなずくに違いない。1万トンの大型フェリーであれ、100トン足らずの小さな連絡船であれ、港を離れ、未知の島に向かう時の... 続きをみる
関川夏央氏と山口文憲氏(以下敬称略)がファミリーレストランでうだうだしゃべっている雑談ネタをまとめた対談(筆談)集『東京的日常』を読んだのは、私が40歳になるちょっと前のことだった。2人ともいわゆる団塊世代ど真ん中、ウザーッとしたグチと自己憐憫にあふれたボヤキ節による対談は、ボケとツッコミのボヤキ漫... 続きをみる
図書館に『K2 2006 ―日本人女性初登頂・世界最年少登頂の記録―東海大学K2登山隊』という本があったので、借りてきた。 世界第2の高峰、ヒマラヤのK2(8611m)は、極端に登頂成功率が低いことから、世界で最も困難な山として知られている。2006年夏、東海大学山岳部創部50年記念事業のK2登山隊... 続きをみる
村上春樹の短編集『東京奇譚集』の冒頭に「偶然の旅人」という短編が収められている。このタイトルを見て、すぐに思い浮かんだのが『偶然の旅行者』(1988、監督ローレンス・カスダン)というアメリカ映画。ウィリアム・ハート扮する旅行ガイドブックのライターが、妻(キャスリン・ターナー)と愛人(ジーナ・デイビス... 続きをみる
1970年代の中ごろ、神奈川県鎌倉市に1年ばかり住んだことがあった。あちらこちらの都市を転々と引っ越し歩く生活を続けていた私が、そこで熱中していたことはと言えば、鎌倉の銭湯を調べることだった。 市内にある5軒の銭湯の番台の高さ、座っている人物の特徴、脱衣カゴやロッカーの位置利用者の服装と晨物の種類、... 続きをみる
今さら、と思われるかもしれないが、吾妻ひでおの『失踪日記』は傑作だ。 内容は-①マンガが描けなくなって失踪してホームレス生活(1回目)→②連れ戻されるが再び失踪してホームレス生活(2回目)。2回目の失踪でガス配管工事関係の肉体労働に従事→③ガス配管工の仕事をやめて漫画家の生活に戻る(漫画家としての半... 続きをみる
地下鉄丸ノ内線の御茶ノ水駅の階段を上ると、御茶ノ水橋と外堀通りのT字路交差点に出る。信号が赤に変わって東京医科歯科大学方向に歩きだしたとき、なんとなく周囲にオーラを放つ男性がこちらに向かってくる気配が…、と感じてすれ違った人を見ると、姜尚中(カンサンジュン)氏だった。 『負け犬の遠吠え』で一世を風靡... 続きをみる
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