ショートショートのムラゴンブログ

  • あの素晴らしい愛をもう一度

    ♪命かけてと~誓った日から~♪ いきなり外でセールスマンが歌い始めた。 な、何なんだ?何のセールスだ? 僕はドアを開けた。セールスマンの思うつぼだった。 「あなたの大切な一日をもう一度取り戻しませんか?いや、何度でもご提供できるんです。あなたが望むだけ!」 パンフレットを渡して、セールスマンがまくし... 続きをみる

  • 理想の貴女と

    結婚相手を紹介してほしい?理想のタイプは?・・・う~ん、そんな従順な娘、今どきおらんだろう。 芸能人では?・・・え?矢菱真里?いい趣味してるね、君。 僕と妻とのなれそめを聞きたい?イヤイヤ、参考になど・・・ どうしても?仕方ないなぁ。 僕が妻の詩織と知り合ったのは、「お見合い」なんだ。 部長から「折... 続きをみる

  • 28年後のパンチラキック

    小学校の同窓会も宴たけなわ、一人がビールを持って近づいてきた。 「矢菱君、僕のこと覚えてる?」 「えっと、岡崎君・・・だっけ?」 正直、記憶にあまりない。とてもおとなしい子だった。 「うん、岡崎真人。僕は実は矢菱君と話したかったんだ」 僕は、岡崎君みたいなおとなしい子は苦手タイプだった。もしかして、... 続きをみる

  • 疾風になれ!!

    目を細めて彼方を見やる。コースに陽炎が揺らめいている。 アスファルトに漂う逃げ水の向こうから車が近づいてくる。 も、もう戻ってきたのか!何という速さだ!! 車影が見る見る大きくなっていく。 と、耳をつんざく轟音とともに、疾風が目前を駆け抜けた。 キャ~~! レースクィーン・コスチュームのアイドルグル... 続きをみる

  • 杏子サン

    未来。 自宅に戻り自動車から降りる。車が自動で車庫入れを始める。 便利なものだ。おかげで一般人には車庫入れができなくなったけれど。 玄関ポーチに立つと、「ただいま」と呟く。音声認証装置が私の声を確認して開く。 「開けゴマ」でも音声認識するのに、つい「ただいま」と呟いてしまう。 ドアが開くと、杏子サン... 続きをみる

  • 開けてくれ

    知ってるかい?ミルフォードって男の話。おや、知らない?じゃ、話してやるから一杯おごってくんな。 海運王ミルフォード。 二つの大戦で軍艦を売りさばき、戦争が終わってみれば北イングランドで指折りの富豪になっていた男。 自分以外、身内さえ信用できず、友人もなく、生涯独身をとおした男。 儲けた金はすべて名画... 続きをみる

  • 肉食指南

    広大なサバンナを風が吹き抜ける。立ち枯れた、丈の高い草が波打つ。草藁の匂いが鼻をくすぐる。 頭をもたげ周囲をうかがう。風下の、まばらに繁る灌木の下、僕をじっと見すえ、獣が横たわっている。 メスライオンだ。 逃げおおせるに十分な距離がある。だが、安心は禁物、隙を見せたら飛び掛かってくるぞ。 僕は再び草... 続きをみる

  • ちんぷんかんクッキング

    (往年の特撮映画で宇宙空間を表す電子音~料理番組のOP曲が重なる) スタジオアナ「QP、QP、こちらマヨネーズ、おちぶれ地球のしょぼくれ地球人の皆さんにお送りする『ちんぷんかんクッキング』、なんと人類初の宇宙お料理番組を、ちぺっと放送しちゃおうなんて画期的に企画しちゃったりなんかして~!宇宙船、宇宙... 続きをみる

  • 急性老化症候群

    生来の引っ込み思案で損ばかりしてきた。大学2年まで女性とつきあったことさえなかった。そんな私に一大転機 が訪れた。 私が「急性老化症候群」という極めて稀な症例であることを医大のドクターが告げたのだ。20歳頃老化が始まる のは一緒だが、通常の2倍の速度で老化が進む不治の病らしい。私は慌てた。 「私の寿... 続きをみる

  • 蜜の味

    BGMはハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスの『蜜の味』。ビートルズもカバーしたスタンダードナンバー。軽やかなスイングは、今の僕の気分にピッタリだ。 彩子が僕に微笑みかける。レストランの間接照明が彼女の顔を仄かに染め、白熱灯がイヤリングとネックレスをキラキラ輝かせる。 惚れてまうやろ~!! 今... 続きをみる

  • 月にいちばん近い寺

    昔々 といっても数十年前の話です。 村の裏手の山の頂きに、ポツンとお寺がありました。 満月の夜、その寺に男が忍び入りました。 「小さいながらも立派なお堂だ。きっとお宝があるに違いない」 蝋燭を灯すと、思ったとおりです。仏像が荘厳に浮かび上がりました。 仏殿も床もまた、塵ひとつなく磨き上げられておりま... 続きをみる

  • SOAP密林

    ひさびさの18禁です。よい子はスルーでお願いします。 酔っぱらって、その気になって、ふらりとソープ街に寄った。 眩しいネオンの中、ひときわ目立つ巨大な店・・・SOAP密林?今日はここにしてみるか。 入口の自動ドアに文字。 『警告 18歳未満の方のアクセスは固く禁じられています。あなたは18歳以上です... 続きをみる

  • 秋色妄想

    運動会の閉会式。朝礼台に校長登壇。 「皆さん、ワタクシは開会式の挨拶で皆さんに三つの約束をお願いいたしました。覚えているかな?・・・」 そ、そこからかよ!この校長、話がやたらと長い。 三つの約束だけで15分。続けて、実施した全競技演技について順番にコメントを始めた。 そのあとはたぶん、総括、地域来賓... 続きをみる

  • 老人と雲丹

    「もしもし、俺だよ、俺」 「どちら様じゃ?」 「じいちゃん、俺だよ!孫の声、忘れたのか?」 「ええと、ヒロシか?」 「そうそう、ヒロシだよ。俺、事故起こしちゃって、相手に怪我させちゃって」 「お、おまえは?怪我はないのか?」 「あ、ああ、かすり傷程度、なんてことないさ。でも相手の治療費が大変で」 「... 続きをみる

  • 恐竜100万円

    子供の頃、僕は恐竜が大好きだった。 父に買ってもらった『恐竜図鑑』で、片っ端から名前を覚えたものだ。ステゴザウルス・・・ブロントザウルス・・・トリケラトプス・・・ティラノサウルス・・・プテラノドン・・・。世界の国旗、新幹線の駅名、野球選手、自動車・・・子供ってのは、何でもスイスイ覚える。それが僕の場... 続きをみる

  • # ショートショート
  • もう悩み無用

    「ええっと、何だっけ、アレだよ、アレ・・・眼鏡だっけ?眼鏡どこだ?」 「洗面所にあったよ。父さん、最近、物忘れ、ひどいんじゃない?すぐに物の名前が出てこないのは痴呆の徴候だからね!朝から、リモコンだっけ?朝刊だっけ?眼鏡だっけ?これで3回目」 「そうだっけ?」 中3の一人娘、奈々子が呆れて、俺を無視... 続きをみる

  • タイムカプセル君

    「虎馬さん、虎馬さん」 部屋の隅っこから気の弱そうな男の声が聞こえてきた。ん?誰もいない・・・貧乏学生のアパートの一室、畳だけ。 「ア、僕、見えないと思いますよ。見た目はただの空間ですから」 「な、何だ?幽霊か?透明人間か?」 「いえいえ、私、タイムカプセル君です。遠い未来に開発されました。私という... 続きをみる

  • な~んちゃって!

    事件は意外な結末を迎えた。 ミレニアムスターを盗もうとした怪盗ケイオスがいとも簡単に逮捕されたのだ。 国立博物館の通気孔から逃げようとして身動きできなくなって。 世界最大のダイヤ、ミレニアムスターの展示を目玉とする宝石展が国立博物館で開催された。その会期中にミレニアムスターをいただくという犯行声明を... 続きをみる

  • 忘却の薬

    過去の失敗や恥ずかしい記憶をクヨクヨ気にして、失敗を恐れ、好機を逃してしまうことの繰り返し・・・僕が一歩踏み出せない性格なのは、失敗の傷跡が痛むせいだ。すべて忘れられたらどんなに楽だろう。 「できますよ、それ」 カウンターの隣で飲んでいた男が僕に言った。言われて初めて僕は、愚痴をブツブツ呟いていたこ... 続きをみる

  • 絵マニュアル夫人

    昔、洒落た輸入雑貨をネット販売する会社に勤めたことがある。 会社社長は女性だった。彼女のことを皆、絵マニュアル夫人と呼んでいた。 社長室の書架に自己啓発本やハウツー本がひしめいていたのだ。 『今すぐわかる商取引』『成功のための会議進行』『絶対うまくいく会社管理術』・・・ こっそり読んでほしい本も混じ... 続きをみる

  • 商店街パンデミック!

    わが商店街で「新型インフルエンザ予防講習会」を急遽おこなうことになったので参加するように! 回覧板で知らされた講習会は、商店街に軒を連ねる店主全員、半ば強制参加だった。シャッター通りにまっしぐらの、『しばらく休みます』や『貸し店舗』も少なくない地方商店街だ。数少ない店主の都合を聞いて日程調整してもよ... 続きをみる

  • 岡本さん、救済。

    僕が家から一歩外に出ると、皆が皆、気づかれないように僕を盗み見て、悪口を囁き合っている。それでも勇気を奮って話し掛けると、ひどい赤面、滝のように汗が流れ、緊張のあまり喘いでしまう。 家に戻って鍵をかけ、外界を遮断したときの安心感といったら!でも、このままじゃダメだ。勇気を出して人と関わらなきゃ現状を... 続きをみる

  • 0→1→2

    深夜、窓の外は漆黒の闇。 山間の終点駅を出発して6両編成特急電車は、渓谷の崖に沿った線路を、整備基地に向かって回送運転中でした。 私は、先頭車両運転席で前方の闇を見つめ、明日の休暇の算段をしていたんです。 突然、車内電話が鳴り出しました。最後尾の車掌室、野崎さんからです。 「おい、ふざけてるのか?」... 続きをみる

  • おのぞみの箱

    むか~しむかし、正直爺さんが、一人つつましゅう暮らしておりました。 ある日、爺さんが畑を耕しておりますと、鍬に何やら硬いものがカチン! 掘り返してみると大きな箱です。 「いったい何が入っとるんじゃろう?」 茶箱ほどの箱のフタをとると、中から婆さん登場です。 正直爺さんに相応しい老け具合、ほどほどの器... 続きをみる

  • 薬の顛末

    「オ、オエ~・・・博士、実験大成功じゃないですかぁ!おめでとうございます、ウップ!」 「丹平君、実験台になった君のおかげじゃよ~ん!」 「じゃあ博士、ホレール3をください!本物の淳子ちゃんに試させて!お願いじゃよ~ん!」 「丹平君ったら、お、ま、せ、さん!コノコノォ!」 ・・・って訳で翌朝早速、淳子... 続きをみる

  • ホレール3

    中学校から家に帰る途中、いつものように丹平は惚田博士の研究所に立ち寄った。 そして、いつものように冷蔵庫を勝手に開けて爽健美茶をゴクゴクゴク・・・ すると研究室から惚田博士の声がした。 「完成じゃ!完成じゃよ~!!」 研究室では博士が小躍りして喜んでいる。 「完成ですか?ついに?」 博士がうなずく。... 続きをみる

  • そもそも

    「アタシたち、『カントール超限集合論』のレポート難しくってぇ~、あのぉ、今晩アタシたち、矢菱さんのアパートに教えてもらいに行っていいですかぁ?」 「ええ、僕でお役に立てれば」 大学2年の秋、講堂から出た矢菱は後輩女子3名から声をかけられた。前期のレポートを教授からそれなりに評価されて以来、ずいぶん株... 続きをみる

  • パラレル教科書

    新しい担任が教科書を次々配布していく。 「お~い、いいかぁ、ページめくって落丁・乱丁ないか調べろよ~」 生徒たちがまっさらの教科書を列の後ろへと回す。真新しいインクの匂いに気持ちまで引き締まる。 突然、窓から数名の男たちが乱入した。デニムベストに赤ヘルメット、「スターどっきりマル秘報告」みたいな間抜... 続きをみる

  • で、出た~!

    幽霊屋敷にひとりで住んでいるゴラン男爵が、取材依頼に快諾してくれたので、早速、僕は男爵の屋敷を訪問した。 大広間の暖炉の前で、男爵は車椅子に座っていた。ポマードで撫でつけた髪、カイゼル髭、いかにも男爵である。ガウンから覗いた手足や顔は、蝋人形のように青白かった。 挨拶もそこそこに、幽霊屋敷に起こる現... 続きをみる

  • 組み立てロボ

    アラスカ永久凍土層が融解して、地中から金属の箱が偶然、発掘された。 偶然、発掘された・・・ あの時はそう思ったのだが、今考えてみれば、必然だったのかもしれない。永久凍土が溶けだすほどに温暖化現象が進んだ時に、その時に箱が発掘されるように、すべて仕組まれていたのかもしれない。 箱はゴミコンテナにそっく... 続きをみる

  • 時間狩り

    (2008年11月16日初出。 2009年9月18日に、トッシー・ほったまの「ばかだなぁ~♪って言われたい」で朗読していただきました。) 「将軍様、誠に残念なことですが将軍様の余命は、長くてあと半年でございます。短ければ四ヶ月かもしれません。」 将軍の宮廷でドクターが告げた。 「こうして、真実をお告... 続きをみる

  • 救世主

    住みなれた惑星を失ってピコフェムト星人は宇宙へ旅立った。ピコフェムト星人7億人を乗せた巨大宇宙都市ウトキスモは、長い長い航海の末、故郷の惑星と似た「地球」を発見した。 司令官「プクプク博士、地球に知的生命体は存在するのか?」 博士「ポクポク司令官、サル型生命体『人間』が繁殖して、環境を破壊、他の生命... 続きをみる

  • BLIZ

    ブリッツ。僕のブリッツ。 あんまりにも僕が寂しそうだからって、ママが買って来てくれたんだ。 猫はあきらめて・・・と何度も何度も言っていたけど。 赤いリボンを首に飾ってあげた。艶やかな黒毛によく映えた。 なんで子猫ってこんなに可愛いんだろう? か細い鳴き声・・・バランスを崩しながら駆け寄る仕種・・・僕... 続きをみる

  • おばあちゃんのポチ

    (2008年11月23日初出。 2009年9月4日と11日に、トッシー・ほったまの「ばかだなぁ~♪って言われたい」で朗読していただきました。) ピロロロロ・・・ピロロロロ・・・カチャ 「はい、こちら『犬猫なんでもテレフォン相談センター』、本日の担当、ドクター野々村ですう」 「もしもし、こちらの電話で... 続きをみる

  • 時間よ止レマ

    しまった!居眠りしちゃった・・・! 時計を見上げると午前0時55分・・・勤務交替して、コーヒー飲んで・・・デスクでうとうとしちまったらしい。 青くなってコントロールセンター内の同僚を見渡す。誰も僕の様子などおかまいなしだ。居眠り、バレなかったんだ!僕は胸を撫でおろした。 僕は引継報告書を抱え、所長の... 続きをみる

  • いそしぎ

    待ち合わせの店で待っていると、約束の時間に彼女は現れた。 彼女が店に入ると、スポットライトが当たったみたいに客が注目した。 スッキリとした目鼻だちに男たちは本能的に反応する。 ドレスに包まれた豊かな胸に男たちは本能的に反応する。 その両方を兼ね備えた高級クラブのホステス嬢が現れたのだから無理もない。... 続きをみる

  • 束ねられた男

    団塊ジュニア世代、大病院で生を受けた私は、生まれた瞬間から束ねられる運命だったのかもしれません。 サトウヒロシという平凡な名前、背丈も体格も人並み、顔も目立った特徴もなく、何をやっても平均点でした。 「田中君たち、その調子よ!」 「おい、鈴木たち、早く列に戻れ!」 先生はいつも優等生か問題生徒の名前... 続きをみる

  • 創作料理の女

    電車まで時間があったので地元の駅前食堂に初めて入った。 ネチャつく黄ばんだメニューを開くと、隅っこに『創作そうめん』があった。 僕はそれを頼んだ。 『創作そうめん』か・・・そういえば数年前、この町で『創作料理の女』とつきあったことがあったっけ・・・ 彼女の名前は那須香(ナスカ)。 何回目かのデートの... 続きをみる

  • こわい

    夜中に突然、玄関前でタイヤの軋む音。 車を降りる音がして、足音が近づいて・・・玄関戸をガンガン叩き始めました。 「おらぁ!おんのわかっとんねんぞ!出てこんかい!」 こんな夜中に取り立てです。 女房も、女房にしがみつく子供たちも涙目です。 「居留守使うから夜来たんじゃ、オラ!きっちり金返さんかい!」 ... 続きをみる

  • 額縁効果

    額縁効果・・・小説の技法。語り始め・語り終わりが額縁となり、本筋となる物語をその中で語る入れ子構造。 病院の待合室。 受付を済ませて振り向くと男が座っていた。私を見上げ、会釈する。 待合室のTVでは、怪盗七面鳥事件について喋っている。男が私に話しかけた。 「御存知ですか?怪盗七面鳥・・・私は担当の警... 続きをみる

  • カニタマ

    得体の知れない事象に遭遇したとき我々は、既知の何かを手がかりに認識せざるを得ない。 襲来した宇宙人は頭部がカニに似ていた。そして胴体はタマゴにそっくりだった。 それで、カニタマ星人と名付けられたのである。 ある日突然、空からカニタマ星人が雨あられと降ってきたのだからたまらない。 数に圧倒された我々は... 続きをみる

  • オークション

    「早い者勝ち!憧れの冴子さん出品中!!」 迷惑メールの中にそんなふざけたメールが混じっていた。ついデキゴコロでオークションへ。 「かみおかんで・・・さえこ・・・」・・・検索! ・・・エ!まさか?・・・あるじゃないか、神陸出冴子!!わが社案内ブースの美人! 写真3枚がアップされている。 全身、真横、顔... 続きをみる

  • 焼津の半次

    嫁「お祖父ちゃん、コレ使ってくださいな・・・ あ、お祖父ちゃんテレビに向けてもダメですよ。テレビのリモコンじゃありません。 コレ、携帯電話ですよ、ケータイ、デンワ。 あ、電話交換手さん呼んでも出てきませんよ。有線じゃないから。いつの時代ですか! タカシさんの携帯とワタシの携帯の番号、入れておきました... 続きをみる

  • 暴走会議

    8時20分のチャイム。 今朝も、私立満潮女子高校職員室で朝の職員会議が始まる。 職員一同起立、礼、着席。 校長「お早うございます。・・・今朝はまず大変な事件をお知らせしなくてはなりません。たった今、警察から連絡が入って・・・本校の貯水タンクの中に薬物が混入されていたそうです。昨晩、深夜に本校2年南バ... 続きをみる

  • 福引抽選会

    行きつけのスーパー銭湯に行くと、感謝祭福引抽選会というのをやっていた。 前回利用時に抽選券を一枚貰っていたので店員に渡して、私は早速ガラポンを回した。 ガラガラガラガラ・・・コロン!・・・転げ出した玉は金色だった。金玉キラリだ! 「大当た~り~!!ドリーム大賞で~す!」 恥ずかしいくらいの大音量で鐘... 続きをみる

  • 中年ガラパゴス

    「・・・単身赴任二年がやっと終わりました。 中間管理職スタートのワンステップ、地方支社での二年は正直、長かった。 支社行きを拒否して、莫大な住宅ローンを残したまま退職もできないし、中学生の娘は転校を拒否、結局、単身赴任です。都会から隔絶した、聞いたこともないこの町へ来るはめになりました。 支社長を務... 続きをみる

  • メリーゴーラウンド

    ヤノベケンジ氏をリスペクトして ナレーション 「よい子のみなさ~ん、こぉんにぃちはぁぁ!(子供たち『こぉんにぃちはぁぁ!』)さあ、お待ちかねの人形劇ですよ!主人公は、わんぱくパッ君と朗らかラン子ちゃん!今日もみんながワックワクの大冒険しちゃうよ~!おやおやぁ、話しているうちにやって来ましたよ~!」 ... 続きをみる

  • 鬼ごっこ

    僕の心には、一人の女の子がいた。 女の子といっても、女学生・・・中学に入学したばかりだろうか?・・・閑散とした電車にぽつんと座っている。サラサラの黒髪が化粧っ気のない整った顔を包んでいる。夏の制服がすがすがしい。少女は背中の窓外を流れる景色を見ていた。風が彼女の髪をふわりと撫でる。彼女はゆっくりと正... 続きをみる

  • 金庫破り

    「うちの大金庫は侵入開錠不可能、難攻不落!どんなプロの金庫破りが来てもヘッチャラだもんね~!かかってこんか~い!」 頭取が挑発的に豪語するもんだから、やって来ました泥棒3人組。 全身黒タイツの信楽焼福狸みたいな親分、貧相な子分、そしてアトムみたいなチビッコ少年ロボットだ。 親分「よ~し、銀行には侵入... 続きをみる

  • 自分探し

    目が覚めると車の中、ここがどこで自分が誰なのか、全く記憶がなかったのです。 駅ビルの地下駐車場に停めた4WD車の運転席に座っていました。バックミラーを覗くと、見知らぬ男の顔です。これが私? ダッシュボードを覗くと思ったとおり運転免許証がありました。さっきの男、つまり私の顔写真、そして名前。 タニグチ... 続きをみる

  • 未来予想図

    「やっぱり、ダメだ。梨里子ちゃんとうまくやっていく自信がない。梨里子ちゃんは、ママと二人きりで支え合う生活が全てだったから・・・僕は梨里子ちゃんからママを奪う存在に過ぎない」 高層住宅の狭間、小さな公園。僕は梨里子のママと砂場に沿ったスロープに手を添えて並んで立っていた。主婦とビジネスマンに見えるに... 続きをみる

  • アイテノミー

    「来た!伏せろ!」 同胞が叫ぶ。聳え立った壁面と壁面の狭い空間に潜んだ我々を、巨大な生物が見下ろす。巨大生物の邪悪な眼が我々を凝視している。同胞が震えているのがわかる。 「大丈夫だ。俺たちから奴は見えても、向こうからこっちは暗くて見えない」 確かに見えない。が、巨大生物は我々がここにいることを確信し... 続きをみる

  • 愉快誘拐

    誘拐犯から再び電話がかかってきたのは事件発生から8時間後だった。 「それで?金はできたか?5000万・・・」 5000万・・・何という金額だろう・・・ 「早く準備しろよな。お子さんを無事にお宅に帰してやりたいんでね。・・・警察には連絡してないだろうな?」 「そんなこと絶対にしていない。子供は・・・子... 続きをみる

  • 狐狸ゃ馬鹿試合

    昔々、とっても化けるのが上手なキツネとタヌキがいました。キツネもタヌキも自分の方が上手いと言って譲りません。ある日タヌキはキツネに手紙を書きました。 「化かし合いの勝負、受けて立て。化けてお堂に来い」 挑戦状を叩きつけられたキツネは早速、木の葉を頭に乗せて変身です。 「ヘンシーン、トォッ」 虚空を回... 続きをみる

  • 嗚呼、血吸う蜥蜴の怪

    午前の空きコマ、文芸サークル仲間の雑記ノートの一頁に短編ホラーを書いたのが、すべての始まりでした。 午後の講義中、けたたましいサイレンの音、救急隊が駆けつけキャンパスは騒然となりました。サークルの後輩女子が担架で運び出されたのです。 ・・・後輩女子は僕の書いた短編を読んで失神、昏倒したんです。 僕の... 続きをみる

  • 竹田君の話

    先週、竹田君に再会した。20年ぶりだった。 それが失礼な奴で、駅ビルでばったり会ったんだが、笑って逃げやがった。 竹田君は中学の時からいつもニコニコしていた。真ん丸顔でニコニコしているから、スマイルマークにそっくり。 エスカレーターで2階に上がる竹田君を見かけたので声を掛けた。お得意の満面のスマイル... 続きをみる

  • 『孤高』2

    「自覚なしっていうのは、一番厄介なんだよ。何か引っ掛かってるもの、あるでしょ。母親、友達、恋人、固有名詞の名前でもいい。気になる人を言ってみて」 彼女の言葉に、基樹は無意識に“白木さをり”という名を口にした。 彼女の腕が離れてゆく。 (俺、今、何つった!?) 「そうじゃないかと思った。私、何処かで会... 続きをみる

  • 帰郷

    (文章塾投稿文) 目を覚ますと電車の中。初恋の彼女が目の前に座って、僕の寝ぼけ顔を見てクスクス笑っていた。 談笑のあと、彼女は僕の手の甲をそっと撫でて降りていった。 僕は次の駅で降りて生家へと向かう。昔のままの懐かしい道を歩いて。 玄関の鍵を開けた途端、眩しい灯が目を射た。 「ハッピバースディ!」 ... 続きをみる

  • 『孤高』1

    スタジオを、静寂が支配していた。 「今日は、止めましょう」 カメラマンの声に、周りが一瞬凍りつく。 「待って!」 俺は慌てて、スタジオを去ろうとする彼女に声をかけた。否、叫んだと言った方が正しいかもしれない。 「待って下さい。もう時間が取れない。今日撮って下さい」 そう言った声は明らかに上ずっていた... 続きをみる

  • ええいいですよ

    ハイッ今晩は!やってまいりました、週末深夜、焼酎ジョッキを呷りつつハイテンションの虎犇がお送りするエロショート!!18歳未満の方はお引き取りいただくか、こっそり読みなさい。 お医者「糠六さん、不整脈ありますね。心筋梗塞とかの用心してくださいよ。まあ、最近ではそんじょそこらにAEDありますから安心です... 続きをみる

  • 無限の猿

    オシエロ・オネダリ「博士、モロダ博士!」 博士「おお、オシエロ君にオネダリちゃん、久しぶりじゃのう。自己解決を放棄して他力本願の質問責めに御再訪か」 オシエロ「博士、相も変わらず辛辣だなあ」 オネダリ「今日は博士の研究を冷やかしに。自由研究の足しになればと思って」 オシエロ「何ですか?この巨大コンピ... 続きをみる

  • アナゾンから来た女

    ペロリン便でアナゾンから小包が届きました。 玄関に置かれた箱、トラックが入るほど巨大です。 アナゾンの箱、クソとバカがつくくらいクソバカでかいですものね。 期待にうわずった指先でガムテープを剥ぎ、オープン! 箱の底を覗くと、間違いない、注文の女です。 ダンボール板と一緒にビニルシートでパッキングされ... 続きをみる

  • 大局を見ず

    大局を見渡して、今日を生きる。今日のあなたの一手一手が大局を組み上げていくのである。だが人はとかく大局を見失って、日常の瑣事に目を奪われてしまいがちである。 宝暦年間、木曽川治水工事における不正の嫌疑をかけられ、野村惣兵衛と笠井茂右衛門は切腹の沙汰と相成った。身柄預かり人邸宅にて、切腹を数日前に控え... 続きをみる

  • エリカの星(B)

    膨らみ始めた胸に両手を組んで、エリカ、星空を見上げて祈るの。 「お星さま、お願いです。エリカを、エリカをどうか幸せにしてください」 キラキラン! 星が瞬いて見えたのは、お星さまがうなずいてくださったのかしら? それともエリカの瞳いっぱいの涙のせいでしょうか? エリカ、薄幸の美少女。 エリカは中学生。... 続きをみる

  • エリカの星(A)

    膨らみ始めた胸に両手を組んで、エリカ、星空を見上げて祈るの。 「お星さま、お願いです。エリカを、エリカをどうか幸せにしてください」 キラキラン! 星が瞬いて見えたのは、お星さまがうなずいてくださったのかしら? それともエリカの瞳いっぱいの涙のせいでしょうか? エリカ、薄幸の美少女。 エリカは中学生。... 続きをみる

  • 僕たちのプレゼン

    「パパ、今晩は大好物の鰻丼よ。ファイト!」 愛妻が左頬にキス。 「パパ、がっばってくだちゃい」 愛娘が右頬にキス。 今朝は、妻も娘も大サービス。今日、ついにプレゼンの日が来たのだ。僕たち部署が数ヶ月間練った企画が採用か、不採用か・・・ボスが判断するのだ。 企画会議室に入ると、ボスが深々と椅子に座って... 続きをみる

  • イソップ相談室

    【サイト説明】 ようこそ、イソップ相談室へ。 当サイトは、あなたのお悩みに無料で即答するサイトです。 イソップ寓話には、教訓や叡知が満ち溢れています。当サイトでは、あなたの質問に「イソップ・コンピュータ」が自動的にイソップ寓話を用いて即答いたします。 さあ、Qの空欄に、あなたのお悩みを書いてクリック... 続きをみる

  • 白い部屋

    目が覚めると、白い部屋の中、壁にもたれて座っていた。 床も天井も白で統一された、何ひとつ置かれていない部屋は、まるで白いキューブの中のようだ。 かすかな空調の音が間断なく聞こえる。見上げると小さな吸排気口があった。腕さえ通るまい。 白い天井は全体が淡く光っている。太陽光に似せた照明らしい。 私はいっ... 続きをみる

  • 地下刑務所

    モーガン爺さんの冤罪が晴れて、地下刑務所から釈放される日。 刑務官に付き添われ中央管理エリアに向かう道々、獄中から受刑者仲間が声をかけた。 「爺さん、おめでとう!」「達者でな、爺さん!」「爺さん、俺のこと忘れんなよ!」 骨と皺くちゃの皮ばかりの腕を上げて、爺さんが満足げにうなずく。 管理エリアでは愛... 続きをみる

  • ゲシュタルト崩壊

    臨床心理士として日々カウンセリングをしていると、いろいろな人間と会うことになる。人格崩壊を起こしているクライアントも少なくない。正直、立て続けに相手をしていると、こちらまで崩壊してしまいそうで、気が滅入ることもない訳ではない。今回のクライアントのような贅沢な悩みばかりではないのだ。 クライアントの青... 続きをみる

  • 蚊取線香

    「膨満船長、大変です。直ぐに司令室まで来てください」 膨満船長は、「針灸鍼(はりきゅうしん)」ルームで施術中にドクター古井戸の緊急連絡を受けた。 「お春さん、ちょっと行ってくるぞ」 IBM社製ロボット鍼灸師「お春さん」に施術をやめさせると、膨満船長は服を身にまとい、「針灸鍼」を後にした。 司令室に入... 続きをみる

  • 究極ソース

    ソースをからめて一口大の肉を口に入れる。 ガイド「いかがですかな?ヒョットコソースのお味は?」 私は正直に答える。 私「うまい。実にうまい。肉の味を損なわず、みごとに旨味を引き出している」 妻「主人の言うとおりですわ。おいしさが口の中にパッと広がって、そして後味もスッキリ・・・花火のようだわ」 ガイ... 続きをみる

  • 夫婦ゼンマイ

    郊外へ向かう国道を左折して、ガソリンスタンドにイン。溌剌とした若い店員2名が愛車を取り囲む。 「現金で、ガソリン満タン」 ・・・沈黙。 「早く取り掛かってもらえないか?」 店員が顔を見合わせてから、オロオロ言う。 「ガソリン満タンと言われても・・・」 「私にはガソリンを売れないと?」 「い、いえ・・... 続きをみる

  • 幼い頃の僕の密かな楽しみ・・・それは、三面鏡だった。 親が出掛けたお留守番の時間、僕は三面鏡を開いた。正面の鏡に両側の鏡が映るように、狭く、狭く。そして、その隙間に頭を差し入れて見渡すと異世界が広がった。 まるでガラス張りの小部屋が果てしなく広がるホールだ。その小部屋の一つ一つに僕が存在し、僕が見つ... 続きをみる

  • 秘め事『教師』2

    うなじに息がかかる。後ろから抱き締められて、ベッドに沈む――。 自分が信じられない。 高校教師になったのに、勤め先の制服着る男子生徒とホテルに居る。 私は何故、則之を大学生だと思ったんだろう…。 去年の夏、私は彼と出逢った。お酒の出る、夜のお店。 そうだ。 自分自身が面接の時、大学生であることを確認... 続きをみる

  • 秘め事『教師』1

    ―見られている― 夏休み直前の、慌しい昼下がり。 職員室前に立つ、その生徒に気付いた。 どこにでもある県立高校の、当たり前の風景。男子生徒がそこにいても、何の問題もない。 でも…、私は違う。今度こそ、それを自覚した。 「何か、用か?」 数学の男性教師が生徒に声をかけている。 階段を下りての場所からで... 続きをみる

  • どうする虎犇

    今さら言うまでもなく、私、虎犇という人間は、良識ある知識人であり、偏見のない博愛主義者である。世界の諸民族・宗教・文化への寛容を持ち合わせる人間である。その範疇に食文化もまた含まれるわけである。 例えば、昆虫食。 昆虫は完全食品である。良質の蛋白質、豊かなビタミン、ミネラル。神経系はグルタミン酸に富... 続きをみる

  • エクシーの肖像

    資産家、大池滝太郎の邸宅前に黒塗りの車が停車した。 後部座席より降り立ったのは鑑定家、荒巻鮭児である。白手袋の両手で梱包された絵を抱いている。 専門家たちの綿密なる鑑定を終えて「エクシーの肖像」は依頼人滝太郎のもとに戻ってきたのだ。 応接室で鮭児が待つほどもなく、滝太郎は紫のガウン姿で現れた。グラス... 続きをみる

  • 通知表

    ダイニングのテーブル。向かい側に座ったママがじっと白い紙を見つめている。 無言・・・ 日頃意識したこともない掛け時計の秒針のコチコチがハッキリ聞こえる。息が苦しいくらいの緊張。いつもの一家団欒は今日のここにはない。 ママが紙から視線を僕の顔に移す。僕は思わず肩をすくめる。 テーブルの真ん中、僕の方に... 続きをみる

  • ふえるワカメちゃん

    2222年日曜日の6時半、それはまだ続いていた。 かもめ第三小学校から下校、自宅玄関引き戸を勢いよく開け、四畳半にランドセルを投げ込む。今日も今日とて中島たちと草野球だ! カツオ「あれ?ワカメ・・・帰っていたのか?」 ワカメ「あ、お兄ちゃん」 勉強机で本を読んでいたワカメが振り返る。ワカメは確か掃除... 続きをみる

  • 刹那い寓話

    タンタンタン、タンタタンタンタン、タンタンタン、タンタタンタンタン・・・ この体が自然にウキウキ動き出してしまうリズムはなんだ? これは、これはサンバの名曲中の名曲「ブラジル」の前奏だ! 目の前には白い扉。両開きの隙間から眩しい光が差し込んでくる。僕を呼んでいる! そんな僕に使用許諾書が突きつけられ... 続きをみる

  • 既知との遭遇

    宇宙暦6×6×年6月6日、惑星探査船ハッピースワンⅢ世号は、惑星ナウ・ヤングに着陸した。 今回の惑星探査の目的は唯ひとつ。地球外知的生命体の探索である。 数ヶ月前、無人探査機によって惑星ナウ・ヤング地表に600mに及ぶ、謎の直線の写真が撮影された。その直線を明らかにすること、それを作った生命体を発見... 続きをみる

  • 私たちの願い

    地球防衛軍基地の司令室に全隊員が召集されていた。一同、大型テレビの緊急報道番組を見つめている。 「ニュースを繰り返します!東京都心に巨大カプセルが落下。歌舞伎町歓楽街のビルをなぎ倒して出現したクレーターの中心に半分埋まったカプセルは、薬のカプセルにそっくりですが、とにかくデカい!」 アナウンサーの声... 続きをみる

  • 「プ・・・」 彼女が吹き出しそうになるのを我慢している。涼しい目が笑いをこらえて涙目になってる。カワイイ。 彼女はアイドル顔負けの男心をくすぐる幼な顔にして、スタイル抜群。 僕の冗談を面白がって、いつも吹き出しそうになるのをこらえるのがくせだ。 「プッ」 肩を震わせて我慢してる・・・でも、そこがカワ... 続きをみる

  • 水晶玉

    「水晶玉」メイキング・エピソード 洒落たガラスの小瓶を知人からいただいたの、ビー玉を入れて飾ったら涼しげでしょう、と妻が言うので、昨日の仕事帰り、ビー玉を求めて100円ショップに寄った。玩具コーナーからガラス製品コーナー、文具コーナー・・・置いてありそうな棚を片っ端から探したが見当たらない。 若い女... 続きをみる

  • 終わりなき報復

    深夜、サルディが屋敷に到着すると、ブラッコは書斎に直接招き入れた。 「長い一日だな」 年老いたブラッコが溜息をついた。目の周りに刻まれた皺が深い。今日一日で五歳は老けた。 「レ・オーニの野郎、戦争でもおっぱじめる気でさぁ」 ブラッコは長年、シンジケートのボスとして君臨してきた。街は実質ブラッコが支配... 続きをみる

  • 七夕二題

    ヴェガとアルタイルを結ぶ星間トンネルを連絡船『カササギ』は帰途についていた。トンネルは16光年離れた二星をわずか45分でつないでいる。だが、トンネルが使えるのは一年に一度、7月7日の夜だけだ。 ヴェガ星人との愛の交歓を終えた大勢のアルタイル星人たちが船内に座っていた。ある者は、先刻別れを惜しんだヴェ... 続きをみる

  • 立ち上がれダック

    耳をつんざく轟音。また母艦に敵ミサイルが命中したのだ。非常回転灯が艦内を赤く染め、警告音がけたたましく鳴り響く。 「ママ!」僕は叫んだ。 宇宙防衛軍母艦マザーが反乱軍戦闘機の奇襲を受けて多大な損傷を受けて惑星の海に沈んでいく。 僕を母艦甲板のステージに留めていた固定装置が解除され始める。 「ダック、... 続きをみる

  • しやわせ販売中

    「宝くじが当たった!」「好きな人と結ばれた!」 今、そんな歓喜の声とともに、全国で話題となっている「しやわせのはなくそ」をもう御存知でしょうか。 インターネットのクチコミから広がり、昨今ではTVや雑誌でも取り上げられた、この幸運のはなくそ。 その驚くべき開運効果はもとより、なんと6歳の虎美ちゃんがは... 続きをみる

  • 望絶の庵貘

    3:15AM 書道家貘庵(ばくあん)は、目を覚ますなり突き上げてくる嘔吐に便所に駆け込み激しく吐瀉した。夕餉に食した全てを吐いたであろう。口をすすぎ、汗ばんだ体を拭い、妻を起こさぬよう縁側で暫し休む。 3:45AM 今度は激しい便意を催す。貘庵、恥ずかしながら便秘である。一週間以上お通じがない。ここ... 続きをみる

  • 不発弾

    不発弾処理班の二人の男が自衛隊のトラックから降り立った。警察、自衛隊、工事現場関係者たちが全員敬礼する。二人の噂を知らぬ者はなかった。不発弾処理のプロ中のプロ、ヤッホー山田とアッホー坂田である。 「わてらが来たからには鬼の黒棒です。すぐに半径300㎜以内から退去してください」 「わ・・・わかりました... 続きをみる

  • ワレワレ詐欺

    近未来の日本。 首相官邸危機管理センター内の情報連絡室に、首相を先頭に国防大臣、側近がドヤドヤなだれ込む。到着を待ちかねていた博士が駆け寄る。 博士「深夜に申し訳ありません。わが国、いや、全人類始まって以来の大事件ですぞ・・・」 概要を電話で聞いていた首相が尋ねる。 首相「博士、最初に宇宙からのメッ... 続きをみる

  • マイハニー

    眩しいくらいの夏の朝。我が家の花壇は、ポーチュラカを最前列に、日日草、サルビア、ヒマワリと咲き誇っている。生け垣のキョウチクトウの花までが夜中の雨に洗われてみずみずしい。雨露が急激に蒸発しているせいであろう、庭一面、湯気が立つほどモワンと暑い。蜂たちの絶え間ない羽音がさらに暑さを増幅している。私は顔... 続きをみる

  • 完壁なる侵略

    カランコロン・・・ ドアベルが嗚って、背広姿の先輩が街外れの喫茶店に入ってきた。店内に客は僕一人きり。管野美穂と萩野目洋子が表紙を飾る週間誌を慢然と眺め、暖かい珈琲を綴っていた。僕は、先輩を見つけると手を拳げて合図した。店内には李節がら、X'masソングが流れている。 「よお、久しぶり。元気か?」先... 続きをみる

  • 美術館泥棒

    資産家大竹三太夫の私設美術館「雲仙国際造形ミュージアム」に、美術館泥棒「ブラックジャック」から犯行予告が届いた。三太夫は警察に通報するとともに名探偵金田一玉三郎を雇った。 「金田一です。あなたが館長の大竹さんですか?」 「いえ、以前は館長をしておりましたが若い者に譲っております。ですから、私は旧館長... 続きをみる

  • ○○○○

    昔、ちょっと物知りを鼻にかけた和尚さんがおりました。 この和尚さん、齡五十ばかりの頃に具合を悪くしまして、町医者に診てもらいました。ひととおり診た後に町医者が尋ねます。 「それで和尚様、○○○○はございますかな?」 ○○○○?和尚さん、この言葉を御存知なかった。だが、物知りを自負する和尚さん、つい、... 続きをみる

  • 抜き打ちテスト

    「よ~し、じゃあこれから抜き打ちテスト、始めるぞ!」 「ええっ」 僕たちは鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔を互いに見合わせた。 「ええっじゃないだろう?そこは!わ~いと言いなさい。よ~し、じゃあこれから抜き打ちテスト、始めるぞ!」 「・・・わ~い・・・」 「よ~し、じゃあ問題を・・・」 長谷川先輩が勇... 続きをみる

  • 気になる

    「そうしたいのはツインピークスだが」 「部長、それを言うならヤマヤマ!」 7秒もの凍った空気。定例会議の出席者全員が沈黙、微動だにしない。そして、部長の小さな小さな舌打ち。えっ・・・?お、俺が悪いのか?部長!俺はツッコミでナイスフォローしたんじゃないか・・・感謝されこそすれ・・・それは責任転嫁という... 続きをみる

  • 霊気、感じます?

    厚い雲が低く垂れ込めた空の下、高層集合住宅が重苦しく並んでいる。 そのうちの一棟の一室に霊能力者は招き入れられた。 白装束に大きな数珠を首に下げている修験者とその弟子の若者である。 その部屋は老夫婦の二人暮らし。婦人が霊能力者をリビングへと連れて行く。リビングで新聞を見ていた夫は来訪した二人を見て軽... 続きをみる

  • あめふりくまのこ

    おやまにあめがふりました あとからあとからふってきて ちょろちょろおがわができました いたずらくまのこかけてきて そうっとのぞいてみてました さかながいるかとみてました なんにもいないとくまのこは おみずをひとくちのみました おててですくってのみました それでもどこかにいるようで もいちどのぞいてみ... 続きをみる

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