馬渡裕子の盆栽クラシックカー
馬渡裕子の頭の中で、亡き父君の大事にしていた盆栽と国産車のミニカーコレクションが、震災を契機に(あのとき庭にあった父君の盆栽は倒れ、海岸沿いのあまたの松林や車は浪に呑まれた)化学反応を起こして、江戸と現代が地続きになったようなハイブリッドな新作が生まれた。これまではタイトルと絵が連動して腑に落ちる、... 続きをみる
馬渡裕子の頭の中で、亡き父君の大事にしていた盆栽と国産車のミニカーコレクションが、震災を契機に(あのとき庭にあった父君の盆栽は倒れ、海岸沿いのあまたの松林や車は浪に呑まれた)化学反応を起こして、江戸と現代が地続きになったようなハイブリッドな新作が生まれた。これまではタイトルと絵が連動して腑に落ちる、... 続きをみる
柏崎ICを下りたら、綺麗に舗装され塵ひとつない道が山中の門出へ通じている。柏崎と言えば海岸には原発が並ぶ町だから、道路のような公共施設には十分過ぎるお金が投入されているのだろう。車窓にはかってどこにでもあったが、今は得難いものになった美しい農村風景が展開する。 門出の山里が生き生きして見えるのは、和... 続きをみる
ギュスターヴ・モローの作品は、30年近く前、パリのギュスターヴ・モロー美術館で見ている。パリ9区に立ち並ぶ古寂びた石造りのマンションのひとつが当の美術館で、大きな看板が立っている訳でもなく、地図を見ながらあちこち歩き回た末にようやく見つけ出した。852年から死去するまで暮らした邸宅がそのまま美術館に... 続きをみる
主がシオンの捕われ人を連れ帰ると聞いて わたしたちは夢を見ている人のようになった そのときには、わたしたちの口に笑いが 舌に喜びの歌が満ちるであろう 種の袋を背負い、泣きながら出て行った人は 束ねた穂を背負い 喜びの歌をうたいながら帰って来る (詩編126) シャガールの幻想的な絵の背後には、ディア... 続きをみる
追求の矛先は他者、自己に関わらず、情け容赦なく厳しくなければならない。しかし、その厳しい追求でほとんど壊滅せられた人間性の空洞には光が満ちていなければならない。ルオーの版画の輝くばかりの白とは、この希望の(愛の)光の圧倒的な確かさの表明であらねばならなかった。ルオーが白黒のリトグラフを選んだ、そして... 続きをみる
この展覧会の企画意図は、ゴッホの空白のパリ時代を美術史的に価値づけることにあるようだ。ただ、そのことを新たな発見を通して強調しても、やはりパリ時代の作品はボルテージが低いなと感じたのはわたしだけであろうか。田舎では一番と言われていた画家が、大都会に出て来てそこで活躍する新進画家たちと交わる中で、「自... 続きをみる
震災後まもなく、英国の陶芸家から突然のメールが飛び込んで来てびっくりした。東北の陶芸家たちのことを案じて、「窯炊きエイド」という組織を立ち上げたというメールである。「東北には古くからの伝統を受け継ぐすばらしい窯がたくさんある。彼らは無事か?」という言葉に、これまでローカルでやってきたことに、突然のス... 続きをみる
2月の終わり、宮城県北の陶芸家宅を訪れた。車一台がようやく通れる幅のどろんこ道を抜けると、S氏の美意識の世界が奇跡的に実現された夢のような風景が広がっていた。縁側に布団を広げた藁葺きの陋屋、向かい側の段々畑を覆う白い雪が午後の日に輝いていた。手前の小屋の荒々しいばかりの土壁が否応なしに目に飛び込んで... 続きをみる
正直、伊藤若冲は、すでに70年代初め、「奇想の系譜」で脚光を浴び有名人になっていた辻惟雄先生の講義を受けて以来、TVでも何度も取り上げられ、何度か実物も見ているし、もう驚かされることはないと思っていた。まあ、若冲さんが仙台までせっかく来てくれたので、わたしも行ってみましょうというところか。(それにし... 続きをみる
意図通りにできるようになったら、こんなつまらないことはない。しかし、精進してそうなることが美に近づく道であると多くの者が思っている。ただ美の宇宙の広大無辺さの中で、自らの思い込みを堅固にしているのに過ぎないのに。夜郎自大の折り紙細工師たちが跋扈する世界。しかし、大海の中のちっぽけな堡塁にしがみついて... 続きをみる
東山魁夷展を十一月の展示最終日に訪れた。現代日本を代表する超メジャーな日本画家であるだけに、マスコミの報道も頻繁に行われ、誰もがよく見知った画家の作品の実物を一目見ようという人たちが連日押し寄せ、地方の美術館としては高い集客実績となったと思う。私が訪れたときも駐車場は満杯状態で、入り口で空きを待って... 続きをみる
芹沢は、染織家の道を選ぶ前の若い頃、油絵を描いていた。その数少ない作品のうち2点、「柘榴」と「樹木」を描いた作品が展示されていた。後者の作品は、工芸デザイン家としての才覚を予見するような絵で、芹沢の工芸デザインのオリジナリティーが、自然の景物の綿密な写実をベースにしていることを物語っている。絵の脇の... 続きをみる
宮城県美術館で丸沼芸術の森所蔵の「オルソン・シリーズ」から水彩と素描120点が展示されていた。あと1日で終わりという土曜日に回ってみたが、気持ちを高揚させるような生命感に満ちた作品はない。若い時に少なからずロマンテックな思いで見ていた「クリスティーナの世界」が、随分と計算され組み立てられた作品だと知... 続きをみる
日の出前の暗闇の中で目を覚ました。篠突く雨の音に混じってかすかに笛や太鼓の音が聞こえる。初めは幻聴かと思ったが、だんだん近づいて来て、音の輪郭がはっきりしてきた。もうこうなると寝てられない。傘をさして夜明け前の薄暗がりの中、外に飛び出した。音のする場所に着いて見ると、なんと獅子舞の集団であった。しか... 続きをみる
相馬駒焼は、様々な面から生存の条件を狭められてきた。一つには経済的な問題が横たわる。15代はまず地元の人に求められなくては窯は維持できないと言う考えから、中央まで販路を広げることをしなかったが、4万足らずの人口の中で生き残っていくことは容易ではなかった。それでも10年近く前までは、地元の建設業、役所... 続きをみる
女優の松坂慶子さんはオディロン・ルドンの花の絵が大好きなのだそうだ。日曜美術館を通してそのことを知った。その中でゲストの舞踏家田中泯がこの花を評して「正面を見せながら後ずさりしていくような」と言っていた。世阿弥の「秘すれば花」という言葉の蘊奥をついているようでもあって、この絵にふさわしい言葉に出会っ... 続きをみる
ひとつの窯が今、およそ390年続いた歴史に幕を引くか、否かの瀬戸際に立たされている。「相馬駒焼」をご存知だろうか?「相馬焼」なら知っているよ、という方は、たいてい浪江市の「相馬大堀焼」を思い描いているのではなかろうか。「相馬駒焼」は、いわゆる相馬中村藩の「御留焼」であったがため、明治以降も他地域には... 続きをみる
京都に来たら、まずは京都国立博物館の常設館の中央の展示場に無造作に置かれた中世の仏像群に対面するのが習いとなっていた。特別仏像が好きな訳ではないので、単純に恐いもの見たさなのだ。ところがなんと常設館はすっかり取り壊されていて、工事現場の囲みには新しい常設館のモダンな竣工パース等が掲示されていた。がっ... 続きをみる
日曜美術館でアルプスの画家ジョバンニ・セガンティーニが取り上げられていた。ずいぶんと懐かしい名前だ。高校の時、一巻ものの西洋美術事典の粗末なすり色の小さな絵になぜか心惹かれた。小さいときから空に近い屋根の上やら木の上が好きだったせいかもしれない。 高校では山岳部に属し、休日ともなれば山登りに明け暮れ... 続きをみる
そこを出たらきっと自由の天地がある。「当局」の厳しい検閲や抑圧も確かにあったであろう。しかし、「放浪者」(映画ではモスクワから来た詩人アンドレイ・ゴルチャコフ)はむしろそう思うことで自発的に祖国を離れたに違いない。だが、そこにあったのはコミュニティが崩壊し、個々バラバラになってしまった「近代人=末人... 続きをみる
「最後の河を渡ることのできない老人にはどんな運命が待ち受けているのだろうか。何もない。取り残され死ぬのみである。困惑しているかのように見える一匹の犬だけが見捨てられた男をみとるために残される。男はノマドの習慣を受け入れるしかない。彼の旅は終わったのだから。」(The harvest of the s... 続きをみる
展示場に入ってすぐに14歳の時の作品があった。もうこれだけ見て脱帽だった。対象が発する生命感をキャッチする能力はこのときからずば抜けていると思った。若い頃は探偵小説作家〈地味井平造〉としても活躍した。「煙突奇談」という作品の出だしを展示ケースのガラス越しに読んだが、煙突の上の死体いう奇想天外な始まり... 続きをみる
音楽のコンサートなんて何年ぶり、いや何十年ぶりだろうか? 近くの喫茶店でライブ案内のチラシをふとみかけて 予定の時刻に会場に赴いた。 彼が30代といってもいいぐらい若々しいのにまず驚いた。 マラソンを欠かさずしているという。 言葉は筋肉質でないと風景をつれて来れない。 そんな言葉が浮かんだ。 かって... 続きをみる
「杜の未来舎ぎゃらりい」が実行委員としてボランティア参加した「杜の都のクラフトフェア」が、全国から多様なジャンルの42工房を迎えてサンモール一番町のアーケード街で開催された。同種のクラフトの催しはこれまで仙台にはなかったので、当初集客が心配されたが、社用族のいない休日、いつもなら閑散として場末の街と... 続きをみる
今年初めて藤沢野焼祭を最後まで経験した。いつもは第1日目の夜9時頃には現地を離れていたが、今回は午後3時作品の窯入れに始まり、11時過ぎまで窯炊きをして、近くの町施設で1泊することになった。8時間ほどの俄陶芸家体験だが、日頃体を使うことが少ない軟弱の身には実にハードだった。炎天下35度を超す猛暑の中... 続きをみる
当ギャラリーが企画し、近年の藤沢野焼祭参加、受賞作品31点を東北工業大学一番町ロビーで展示した。藤沢野焼祭は岩手県藤沢町で35年続いた祭り。毎年平均千点の参加作品があったとしたら、地元を中心に3万を超える膨大な作品が蓄積されていると考えると、ここに展示できたのは実に微々たる数だが、普通の人が持ってい... 続きをみる
横尾忠則が北斎をテーマにした対談集の中で俵屋宗達へのオマージュを捧げている。宗達は琳派の先駆けとして知られるが、尾形光琳とは隔絶した個性だというのが横尾の意見。光琳はヨーロッパの印象派、アールヌーボー、そして現代のデザインにも大きな影響を与えている。ロジカルに組み立てられた装飾性やデザイン性はユニバ... 続きをみる
美術館の絵は全体のコンポジションを把握できる位置、つまり真っ正面から見るのがベストポジションであるとの近代的鑑賞法から抜けられない。この展覧会でも、はじめはそうであったが、しばらく眺めていてからどこか違うと気付いて、右から左へと歩みつつ、ときどき立ち止まり、目線を前や後ろに移動させながら見た。すると... 続きをみる
杜の未来舎企画の馬渡裕子の個展が今日から始まった。シュールな「現代俳画」を描く画家(それはそれで魅力的だった)から、本格的な「物語(reci)」を編む画家へとステップアップした姿を見るのは嬉しい限りだ。グラフィカルであった作品はピクトレスクな作品へと、着実に深さと力量を増した。「遠い朝」はおそらく、... 続きをみる
「ゴーギャン展」は、木曜日の平日の午前中にも関わらず、あふれんばかりの人で、絵の前に二重三重に張り付いた人波の後ろから一瞥してさっと通りすぎるしかなかった。これではとても絵を見たとは言えない。半分以上は、60過ぎと思しきシニアたちで高齢化社会を改めて実感させられた。 ゴーギャンについては正直なところ... 続きをみる
美術館を出ても須田国太郎の2枚の絵(「村」「隼」)が頭を離れない。こんなことはめったにない。ひょっとして1989年、銀座でモランディの絵に出会って以来のことかもしれない。須田の作品は、随分前画集で見た尻尾を振っている赤い目の犬の作品が記憶に残っていたが、本物を見たことはなかった。そしてその時はちょっ... 続きをみる
八月とは思えないような梅雨空、藤沢町に着く頃はどしゃぶりかな、と思っていたら、金成インターを降りる頃には薄日がさして雨の気配は全く消え、会場の藤沢中学校についた5時過ぎには、すっかり晴れて、鰯雲やら、鱗雲やらが空いっぱいに広がって、涼しげな秋空の趣となっていた。今年は不況の影響か否かは分からないが、... 続きをみる
この展示会の中心的な作家、故宮城輝夫さんとは何度かお会いしたことがある。もっとももう20年ぐらい前のことだ。その頃、某デザイナーと共同で借りていた事務所は、デザイナーがデパート系ギャラリーの企画運営をまかされていたこともあって、企画展が近づくと画家の卵たちのたまり場状態となって夜更けまでアルコールも... 続きをみる
時代や地域によって多様な展開を見せる「染付」の器を短い時間で概観できる良い機会だった。最も心引かれたのは元時代の「青花蓮池魚藻文壷」。完成された中国の水墨画がイリュージョン(バーチャルリアリズム)の現出に主眼があるとしたら、この元時代の「染付」も同じ目的を持っていると思う。ただし前者は写実性、後者は... 続きをみる
雨の日の会場、明日が最終日とあって、思ってたより人が入っていた。実は会場に来るのは2度目である。最初に来たときは、正直言って、心に迫ってくる絵はなかった。どこかもの足りない、この感じは何だろうと思った。唯一の例外は木下晋の「女の顔」であったが、それは素晴らしい絵を見たときの感動とは別次元のものであっ... 続きをみる
「メディアテーク混んでたみたいだけど、話題の幻の群像大作、どうだった?」 「陰影で骨格や筋肉が描かれているのだけど、リアルな存在感にどれも乏しいんじゃないかな。東京美術学校時代、黒田清輝が酷評したのもむべなるかなだね。写実主義や印象派の画法を自家薬籠中のものにした黒田から見たら、許し難いと思うよね」... 続きをみる
室町時代、筆線を重視する中国画壇から見れば「逸」とされる牧けいの水墨画が好まれ、そこから日本人の感性に会った水墨画が誕生し、発展していく過程が一望できる展示会だった。いろいろな発見があったが、長谷川等伯が情感の画家であること、しかも、その情感が近代人のものであり、レンブラントとの近親性を感じたのはう... 続きをみる
今回のメモリサイクルによる半導体製造装置、材料需要は息が長い?
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