ショートショートのムラゴンブログ

  • 昔話(眠れぬ子どものために)

    むかしむかし、おじいさんとおばあさんが仲睦まじゅう暮らしていました。 ある日、おじいさんが山仕事にでかけると、沢のほとりにそれは可愛らしいカエルがおりました。 おじいさんはカエルのことがすっかり気に入って、うちに連れ帰りました。そして流しの下にそっと入れてやりました。 おじいさんは、流しに行ってはカ... 続きをみる

  • BlueMoon

    エ?い、今のナニ? サヤカちゃんの鼻からのぞいていたのは、ハナミズじゃない。アオバナですらない。 様子をうかがうように片方の鼻の穴からチロリと垂れて、ボクが気づいたその瞬間、スッと鼻の中に消えた。 白っぽくてブヨブヨしてスライムみたいなナニカ。 目の前のサヤカちゃん、全然知らんぷりして最近見た映画の... 続きをみる

  • バベルの犬

    わ~ん、また! どうして家ン前にフンしちゃうかなぁ。せめてネコみたいに砂かけてほしいよ、バッチイなぁ。 あっちの道端、こっちの草原。見境もなく。許さ~ん! そんなわけで、「おいイヌ畜生!俺んちの前でフンすんじゃねぇぞ!」と伝えたくて、研究を始めたんですよ。 エ?飼い主に直接言えって?わかってないなぁ... 続きをみる

  • 幽霊役者

    某放送局、重役会議室。部屋は重苦しい空気に包まれていた。 社長が暗い声で報告した。 「ハリウッドからリメイクのオファーがあったのは事実だ」 重役たちがため息を漏らした。まさか開局以来初の大ヒットドラマがこんな事態を招くことになるとは。 数カ月前、2時間ドラマ『本当にあったら怖い幽霊の話スペシャル』を... 続きをみる

  • AUTOMATIC

    頭が痛い。なんだか今日は調子が悪い。残業はとりやめにして帰るとしよう。 無理して出勤するのも、もうじき終わりだもんな。二週間もすればオーダーしていた俺型ロボットが届くことになっている。 ロボットが届いたら通常の勤務はヤツにまかせて、俺は自宅でのんびりするつもりだ。 難しい事態が発生したときだけ、自宅... 続きをみる

  • 六月のエロス

    幼稚園の頃だったろうか。 雨に濡れたアジサイの歩道。三つ編みの少女がまんまるの目をして指さす。 足もとには車に轢かれた食用ガエル。 見て見て、カエルさんだよ。 ボウルいっぱいの野菜サラダをぶちまけたみたいだった。 そんな記憶の断片がどうしてボクにはエロいんだろう。 (最後まで読んでいただいてありがと... 続きをみる

  • グロック17

    人目を憚ることなく路上で抱擁するシーン。 地下駐車場車内で舌を絡めた濃厚なキスシーン。 しなだれかかってラブホテルに入る直前のシーン。 無垢材のエグゼクティブデスクに並べられていく、妻の浮気現場をとらえた写真を俺は茫然と見つめた。 「この男の素性は?」 探偵は淡々と報告した。 「キタザキシンヤ。31... 続きをみる

  • テーブルクロス

    「準備いっすか?」 同僚の声にうなずく。 宴会場の全員の視線がボクに集中する。 ボクの目の前には四角いテーブルが置かれている。家族で囲めるほどの大きさのテーブルだ。 真っ白なテーブルクロスが掛けられ、その上には四人分のディナーがしつらえてある。 中央にはオードブル、そして赤いバラ。カゴに入ったワイン... 続きをみる

  • ガッカリ砂漠

    砂漠だ。 見渡すかぎり砂。 行けども行けども砂。 砂!砂!砂!砂ばっかし! いつから彷徨ってたのか、さっぱり思い出せない。 腫れ上がった目が赤くチラつく。乾いた舌が硬直しヒビ割れて痛む。 妖女がむせび泣くような風の音とともに砂ツブが流れ、できたばかりの足跡を消していく。 誰にも知られず死んでしまうん... 続きをみる

  • 誕生日のスケッチ

    アパート階段下の集合ポストを開けると、夕刊と一緒に郵便が入っていた。 今日はボクの誕生日。きっと役所から届いた『誕生日通知書』だ。 部屋に入ると、早速ミシン目に沿って隅を切り取って通知書を開いた。最近では情報保護のために通知書はみんなこんなだ。 開いてみるとはたして『誕生日通知書』だ。 ボクの氏名、... 続きをみる

  • よりにもよってジャバ課長

    朝、目を覚ましたら課長になっていた。朝、目が覚めたら虫になっていた小説があるが、虫のほうがまだましだ。 うちの課長、ブクブク肥満して脂ぎって、ジャバ・ザ・ハットそっくりなのだ。しかも、性格が悪い。 「やめてもらっていいんだよ。ま、ボクの忠告も素直に聞けんようじゃ、どこの会社も通用せんがね」 なんて平... 続きをみる

  • ブロフェルドの置き土産

    「覚悟はいいかね、ボンド君」 詰襟ネールジャケットの禿頭の男が、ペルシャ猫撫で撫で囁いた。 この男こそ、世界犯罪組織スペクターを牛耳るエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドである。 米ソの宇宙船が消える事件が頻発、第三次世界大戦の危機迫る中、黒幕がスペクターであることを突き止め、ここに潜入した。 日本の... 続きをみる

  • パウダー

    シトロエンDSの運転席から見たワタナベの家は、昭和30年代の民家を再現したような懐かしい雰囲気だった。 ワタナベの妻は、私が探偵であることを承知のうえで座敷に通すと、水屋箪笥から切子のグラスを取り出し、麦茶のボトルとともに卓袱台に置いた。 「お気遣い、ありがとうございます。できれば麦茶よりもジュース... 続きをみる

  • 足音

    気配に気づいてキーボードを叩く指を止めた。 息を止めて様子をうかがう。 やっぱりだ。足音が聞こえる。 ゴトリ。ゴトリ。 その間延びした音は人間の足音じゃない。 奴らだ。それも一匹じゃない。二匹、いや三匹はいる。 ゴトリ。ゴトリ。 こんなこともあろうかと警戒し、キーボードの傍に置いていたオートマチック... 続きをみる

  • ボクはカメレオン

    「あんたって、葉っぱの上では葉っぱ色、岩の上では岩の色。自分の色なんてないじゃないの」 遠くからルリアゲハがヒラヒラ冷やかしました。 悲しくなって母さんに聞きました。 「ボクのホントの色はどんな色?」 「かあさんと同じ色だよ」 色はわかんなかったけど、ぐっすり眠れました。 女の子を好きになりました。... 続きをみる

  • # ショートショート
  • 愛しのSandy Bridge

    えっと、今どき、自作PCってやってもさ、以前ほど安上がりでもないんだな。むしろ市販の安売りPCやBTOのほうが安いこともあるくらい。 自分好みのパーツを選べて、自分の使用目的に最適のPCを組み上げることができるってメリットもあるんだけどね。 なんといってもまずCPU。 今年1月、Sandy Brid... 続きをみる

  • いつも同じじゃないしいつまでも同じじゃない

    っこうええことゆうなぁ。 散髪屋のオヤジがひとりごちた。 土曜日の昼下がり、客はボクひとり。鋏の単調なリズムにウトウトしていたところだった。 珍しいこともあるものだ。ここのオヤジがひとりごちるなんて。 「いらっしゃいませ」「どうぞ」「いつもどおりで?」「おつかれさまでした」「3500円です」「またお... 続きをみる

  • 【twitterショート140字×3】惚れ薬大作戦

    惚れ薬を買いました。これでやっと片思いの彼とラブラブ~! 彼のグラスにこっそり、ガラスの小瓶に入った薬をポトリポトリ。 何も気づかず飲み干しました。しめしめ。 数分後、彼、突然アタシに微笑みかけたの。やったぁ! 「すみません。その瓶を譲ってくれませんか。なんだか無性に愛おしくて」 惚れ薬を買いました... 続きをみる

  • あんたホントにガッカリだよっ

    おんや?ここは? 気がつくと毎日見馴れたオフィスにいた。でも人っ子一人いない。 今日は日曜日だっけ?日曜になんでボク一人、ここにいるんだ? はは~ん、これは夢だな。夢じゃなきゃ、オフィスにどうやって来たのか、なんで来たのかくらい、おぼえているはずだもん。 あれあれ?なんでボクは真っ裸なんだ?パンツも... 続きをみる

  • ハシビロコウ

    ハシビロコウという鳥は、一篇のショートショートである。 置物のように動かない。 動かない。 動かない。 動かないということが奇妙で、思わず見入ってしまう。 これは本当に生きているんだろうか。それとも本当は置物なんだろうか。 「鳥」と見せかけて、実は「置物」なのか、 「置物」と見せかけて、実は「鳥」な... 続きをみる

  • 心霊写真

    しばらく連絡とってなかった友だちがボクのアパートを訪ねてきた。学生時代、ずいぶん仲がよかったヤツだ。 近況やら思い出やらうだうだ話していたが一体こいつ、何の用で来たんだろう? 「何の用って、聞きたい?オレさぁ、今、心霊写真持ってんだぜ」 「エ?マジで?」 「マジマジ。まちがいなく本物なんだよ。だって... 続きをみる

  • 三枚の油絵

    神戸カマイタチ事件って知っておるかね? 五十年も前、神戸市内のアパートで若い女性が肉片になって発見された事件。未だに犯人は捕まっておらん。 あの犯人は、わしかもしれん。 わしは若い頃、絵を描くのが好きで、デッサンや水彩を楽しんでおった。 二十歳になって油絵というものに挑戦してみた。当時、恋していた女... 続きをみる

  • ナルシスト

    ボクってさあ、ナイーヴなとこあんじゃない?で、夜眠れなくなっちゃうこととかあるわけ。 そんなとき鏡の中の自分を見ちゃう。惚れ惚れとしちゃうんだよなぁ。どうしてこんなに男前に生れたんだろ。 まず、この涼しい目元。目ヂカラがあって、魅き込まれちゃうよね。 シュッとした鼻筋。ワイルドな口元。精悍な顔立ち。... 続きをみる

  • 『すっぱいブドウ』の教訓

    広~い野っ原を散歩していると、大きな葡萄の木を見つけました。 たわわに実った葡萄の房から、芳い香りが漂ってくるではありませんか。うわ~、美味しそう。 でも高いとこに実がなってて届きません。ボクは前脚を思い切り蹴り上げて後ろ脚で立ち上がりました。 おやおや、それでもまだ届きません。 よぅし、ジャンプ!... 続きをみる

  • おばあちゃんの思い出

    休みの日。最近やっと時間にゆとりができたんで、のんびりと部屋片づけをすることにした。 久しぶりに奥の部屋の押し入れを開けてみてびっくり。下の段の奥、古着の詰まった衣装ケースの隣におばあちゃんが座ってるじゃないか。「おばあちゃん、ゴメンゴメン」 正座したまま、丸く固まったおばあちゃんを引きずり出した。... 続きをみる

  • 走馬灯

    なんだこの暗い場所は? 空間と言ったほうがいいだろうか、そこに自分は浮かんでいる。 背を丸めた姿勢で、手足をすぼめてフワフワ浮いているのだ。 「みんなのことは忘れないからね。さよなら」 前方から聞いたことのあるビロードみたいな声がした。 ミナコ先生!花束を抱えたミナコ先生が目の前で涙目で微笑んでいる... 続きをみる

  • ジンジョリーナ・ジョリーの陰毛

    都内某高級ホテルのスイートに3時間滞在後、ジンジョリーナ・ジョリーは次の宿泊先に移動した。 今年度マカデミー賞まちがいなしという評判の3D映画『アジャパー』の主演女優にしてセックスシンボル、それがジンジョリーナ・ジョリーだ。 ホテル搬出口から侵入、従業員の制服を拝借して着替え、宿泊エリア最上階のスイ... 続きをみる

  • 13日の金曜日

    「今日ってぇ、13日の金曜日だよネ。ミユユ、怖い~い」 「美結ちゃん、大丈夫さ。ボクがキミを守るから」 「嬉しいキョホ!アキラ君、いるから怖くないもん」 助手席の美結ちゃんがウルウル目でボクを見守ります。美少女フィギュアそっくり、カワユ~い!! 今日は、美結ちゃんと初デート。買ったばかりの新車で、こ... 続きをみる

  • 歯車

    「マサルさん、大丈夫?」 社長室を退出してフラフラと歩き始めたボクを、レイコがこっそり追いかけてきた。 ボクたちがつきあっていることは社内では秘密だが、いてもたってもいられなくなったらしい。 「あ、ああ。大丈夫さ」 と言ったものの、とても大丈夫な状況じゃなかった。 こんなにも簡単に人生が狂い始めるな... 続きをみる

  • 粗忽先生

    学校にまにあわない! 教師のくせにまた遅刻です。校門駆け抜け、職員室にダッシュ。もう職員会議が始まっている頃です。 「スミマセン!寝坊しましたっ」 と駆け込んだ職員室はガラ~ン、校長先生も教頭先生もだ~れもいません。 え?先生全員寝坊? 仕方ありません。出席簿を手に教室へ。 「みんな~、おっはよー!... 続きをみる

  • 母の日三題

    母の日。母さんに真紅のカーネーションの花束を手渡しました。 「まあ、ありがとう。わたし、この花だ~い好き」 バリッバリッバリッ、ムシャムシャムシャ。 「アハハハ、母さん、そんなふうに食べちゃダメだって」 ボクは花野菜ドレッシングをかけてあげました。 バリッバリッバリッ、ムシャムシャムシャ。 ♪母さん... 続きをみる

  • ミジンコ

    ちっちゃいことばかり考えていたら、ミジンコになっちゃいました。 いやソレ、困るなぁ。小さくってもさ、カナブンくらいはないと。 きっと夢だろうって、頬をつねろうとしたんですよ。でも、ミジンコの頬ってどこ? ま、手もオールみたいに長くて届きそうもないのであきらめました。 水の中をピンピン進んでいくと、キ... 続きをみる

  • 参加型増殖ショートショート『恐怖の狼男』

    狼男が出た? 休日の昼日中に? 金田巡査と石橋巡査は半信半疑、通報のあった結婚式場に急行した。 「通報、本当ですかね?」 「狼男なんて、実在するもんか。イタズラに決まってるさ」 とはいうものの、二人は拳銃に実弾が充填されているのを確認、安全装置を解除した。 もし本物なら、銀の弾丸でないと死なないんで... 続きをみる

  • 人気プロゴルファーの気持ちがちょっとだけわかる気がしました。

    あ~あ、疲れた。年度末の報告書類やらで残業残業、今日も遅くなっちまいました。 電車の客はマバラになって、座席にドッカリ腰掛け、窓外の闇をボ~ッとながめていました。 おや? 窓の外、数メートル先にぼんやりと白い顔が浮かんで見えます。 車内の客が映って見えてるんでしょう、周囲を見回しました。 それらしい... 続きをみる

  • マトリョーシカ

    オヤ、こんなところにマトリョーシカが。 窓辺に置かれた愛らしい人形を手に、思わず微笑んだ。 花柄模様のロシア民族衣装サラファンに赤いヴェールの女の子。すべて手塗りの丁寧な細工だ。 いったい、この中にいくつの人形が仕込まれているのだろう。 腹部の切れ込みを探し開こうとする。 エ? 木製のそれは実に頑丈... 続きをみる

  • 今日以外全部オトナの日

    甍の波と雲の波 重なる波の中空を 橘薫る朝風に 高く泳ぐや鯉のぼり 「イラカノナミってなに?おじいちゃん」 「ヤネの上のカワラがナミみたいに見えることだよ」 「おうちのヤネ、平らだよ」 「今じゃスレートのヤネばかりだものな。むかしは、せまいロジをはさんでミンカがならんで、ニホンガワラがかさなって、リ... 続きをみる

  • short/『温もり』

    南風が吹くと、季節が変わる。 ほんの少し前までの、寒風吹き荒ぶ、荒れ狂う冬の海は姿を消し去り、潮の流れさえも変わるように香りが季節を次へと運ぶ。 窓辺に立つと、沈む夕陽が一面の海をオレンジ色に染めるのが見えた。 ふわりと。 背に温もりが。 在る。 「何見てるんだ」 彼の言葉に、視線の行方を変えること... 続きをみる

  • 未来の伴侶、お教えします

    「キャ~!アタシ、ヒロシとゴールインするんだわ!チョ~嬉しい!」 OLが封筒から取り出した写真を胸に大はしゃぎ。 「ンハハハハハハ、わしのパワーは無限大じゃ」 占い師は呵々大笑した。胸元にロザリオ、名前はジンジャー寺井なんてインチキ臭さプンプン。だが、もしやホンモノ? いよいよ、次はボクの番。対面し... 続きをみる

  • おまえうまそうだな

    新調したスーツに身を包んだボクを含めて社員十数名。社長の話が始まった途端、入社したことを後悔した。 「諸君、わが社は今年度ゼロからスタートする。だからこんなもん要らない」 社長はボクの履歴書をビリビリ破り捨てた。エ~! 「名前がなんだ?経歴がなんだ?ここでこれから君たちが何をなすか?それがすべてだ」... 続きをみる

  • ハヤブサシュンタロウの秘密

    『瞬幹線開発プロジェクトチーム』のチーフ北崎が、取材陣を東京駅ホームへと誘った。 従来の新幹線となんら変わらぬホームに停まっているのは、これまた従来の『500系のぞみ』となんら変わらぬデザインの車両だ。 記者たち首をかしげて、北崎に口々に質問した。 北崎さん、これって新幹線じゃないんすか? 新幹線と... 続きをみる

  • はってはがせるタイプです

    ボクが今年使い始めた中で、意外なくらい便利なステーショナリーがコレ。 『はってはがせるスティックのり』。 スティックのりがポストイットの粘着剤っていう、それだけっちゃそれだけなんですけど、これがなかなかのスグレモノ。 ポストイットがあったら十分じゃない?という声も聞こえてきそうですが、ポストイットに... 続きをみる

  • ロジャー・ボンドの墜落

    緊急の任務で呼び出され、飛び乗ったチャーター機。上空一万メートルを飛行中、乗務員がロジャー・ボンドを急襲、機外に蹴り出した。 空を舞うロジャー・ボンド。パラシュートもなしで一万メートルを落下していく。まさに絶対絶命! 前にもこんなことがあった。ムーンレイカー号事件の時だ。あの時は先に落下していく敵の... 続きをみる

  • カブトエビ算

    仕事から帰ると、カズオが窓辺でじっとしていました。 「どうしたの、カズオちゃん。ランドセルをおっぽり出したまんまで」 カズオがふりむきます。プラスチックの水槽を覗いていたようです。 「あ、ママ、おかえりなさい。またカブトエビが減っちゃったんだ。どうして毎日数が減ってくの?」 ちゃんと教える時がきたよ... 続きをみる

  • お父ちゃんによるとこの世界は

    「なぁ、お父ちゃん、なぁ!やめようやぁ」 「なんやタカシ、うるさいなぁ」 空港の出発ロビーの椅子にどっかり座ったお父ちゃんは、DVDポータブルプレイヤーで映画見とる。 なんや、またゴジラかいな。お父ちゃん、特撮怪獣映画、ごっつ好きやねん。 「ボクら乗る飛行機、絶対墜落するねん。乗んの、やめとこ。なぁ... 続きをみる

  • ヨーデル食べ放題

    「パパ、遊園地がいいよぅ」 「ママは温泉でゆっくりしたいわぁ」 ジュンもママも好き勝手なことを言いながら、旅行代理店のパンフレットを次々とめくっています。 「アハハハ、二人ともヨクバリだなぁ。よく相談して決めなさい」 ボクは腕組みをしてソファにどっかりと座ります。 ここ半年、プロジェクトを会社から任... 続きをみる

  • お父さんだって闘っているのだ

    畳に正座して、ボストンに歯磨きセットやら下着やらタイツやらを詰め込んでいると、背後に妻の気配がした。 「あなた、またお泊まりですの?どちらへ?」 「富士方面。詳しいことは教えられない。3日くらいの予定だ」 「いつも行き先をハッキリおっしゃいませんのね。なんのお仕事をされてるのかさえ」 「またその話か... 続きをみる

  • 少年モザイク

    父さんがカチッて紐を引っぱると、電気が消えて常夜灯だけになった。 「おやすみなさい」 フスマを閉じて父さんが茶の間に戻ると、ボクはワクワクし始める。 父さんと母さんが大人のドラマ見てからお風呂済ませるまでの小一時間。 それがボクのお楽しみタイムだ。 その時間、ボクは紅三四郎になって凶悪な格闘家と戦っ... 続きをみる

  • ドリーミン~夢の続き

    やったぁ! ボクは思わず、ガッツポーズ! 何がスゴいって、今、ボクは昨日の夢の続きを見ているのだ。 いつも児童会の集まりがあった神社の境内。ボクは初恋のミユキちゃんと二人きり。 ボクは小6に戻ってるんだけど、体は大人。 ミユキちゃんも小6なんだけど大人っぽい。しなやかな身体にフィットした地球警備隊の... 続きをみる

  • 人生とコミック雑誌

    ボクが勤めていた総合病院、一般外来窓口はずれの階段下に、自販機コーナーがある。 コーヒーや清涼飲料水、テレビカードの自販機と数脚の椅子があって、隅にはこじんまりと読書コーナーが設置されていた。 休憩時間に、紙コップのコーヒーを啜りながら、棚のコミック雑誌を読むのがボクの楽しみだった。 大手の漫画雑誌... 続きをみる

  • ハイは一回でよろしい!

    リポタミンのCM撮影終了後、休憩していると共演の平井信さんから呼ばれました。 「ちょっと、アレはないんじゃないの?」 「エ?アレってなんすか?」 「アレに決まってんだろ、鈍いなぁ。ファイト一発のタイミングだよ」 「エ?ダメっすか?」 「ダメでしょ~。ボクが『ファイトオオオ』って言ったら、三つめの『オ... 続きをみる

  • 黄金山英吉のヒミツ

    エー! どうしてワタシが?正直、ビックリした。 一緒に入社試験を受けた渡辺さんや長沢さんのほうが成績がよかったはずなのに。 黄金山(コガネヤマ)工業の最終面接に一両日中に来るようにと電話で言われのはワタシだけ。 十人並みのワタシがなぜ? 最終面接の日。通されたのは社長室。社長の黄金山英吉本人が待って... 続きをみる

  • アキレスと菓子

    「君が新入社員の森永君かね。入りたまえ」 専務に促されるまま、重役室のフカフカの絨毯に足を踏み入れる。 マホガニーの会議テーブルの向こう、高層ビル群を見下ろす大窓を背景に、社長が革張りの椅子に腰を沈めていた。 「森永倶梨子?この業界にうってつけの名前だ。ま、問題がないわけじゃない。いずれもわが社のラ... 続きをみる

  • わぁい、全部お菓子じゃないかぁ

    「ねぇ、起きて。起きてごらんよ、グレーテル」 先に目を覚ましたヘンゼルがグレーテルを揺さぶって起こしました。 「ああ兄さん、よく寝たわ。ここはどこ?」 ヘンゼルが部屋を見わたしてから、困った顔で言いました。 「それがわかんないんだよ。どうやら迷ってしまったみたいなんだ」 二人は窓から外をながめました... 続きをみる

  • 檜屋橋四丁目の幽霊

    会社の歓迎会がお開きになって同僚たちを駅で見送ったあと、ボクひとりだけになった。 歩いて帰っちゃうか。 普段ならタクシーを使うとこだけど、酒が入るとフラフラ小一時間歩いて家に帰りたくなる。 人通りがほとんどなくなると、ボクは口笛を吹き始めた。 酔ってあれこれ吹いていると、忘れていたメロディとかがふと... 続きをみる

  • そしてママは整形を続ける

    リサ&ガスパールの赤いお弁当箱にタマゴ焼きを詰めていると、マユが目をこすりながら起きてきた。 テレビではちょうど女児連続殺人犯逮捕の中継をやっている。都会の事件だが、同じ幼い娘を持つ親として心を痛めていた事件である。 「おはよう、寝ぼすけさん。顔を洗って来なさい。朝ごはんができているよ」 「パパ、マ... 続きをみる

  • 話さんか、ジジイ!

    ええ、ええ、話しますとも。確かにワシは隣の爺さんのポチを殺しました。間違いございません。 なぜ、殺したか?そりゃもう憎くて憎くて。 裏の畑でポチが『ここほれワンワン』鳴くままに、隣の爺さんが掘れば大判小判が出るわ出るわ、あっというまに大金持ちじゃ。 ポチを借りてワシが掘ったら、蛇やら百足やら蟇蛙やら... 続きをみる

  • 『桜の樹に宿る精霊』5 (小題:桜)

    カテゴリー;ニコタ創作 幾星霜。 桜の樹に宿り、人を見送る。 我、桜が精霊にあり。 ✿ 桜並木というものではなく、川沿いに一本。その川に乗り出すように倒れこむように生えている古木の桜。 毎年、今度こそ枯れてしまって花を咲かすことはないんじゃないかと町内の人は話すけれど、その話が聞こえているのかいない... 続きをみる

  • ツチオーネの恩返し

    ある日突然、宇宙人がやってきた。 宇宙をはるばる地球まで来たくらいだから、人間なんかよりずっと進化した生物だ。 もちろん、宇宙人が自分たちのことを『ウチュージン』なんて言いやしない。 彼らは自分たちのことを『オーリョーシ』と呼んだ。そして、人間のことを『ツチオーネ』と呼んだ。 彼らオーリョーシは人間... 続きをみる

  • とある医療施設、研究棟の一室で、オレは博士と会った。 「見ましたぞ、抗争事件のニュース。お気の毒でしたなぁ」 博士が右手を差し出して、ハッと気づき気まずそうに手を引っ込めた。 「これは失礼、握手はできませんでしたな」 「ああ。命が助かっただけでももうけものさ」 オレは上着のポケットから両手を出した。... 続きをみる

  • だって野菜がキライなんだもん

    RRRRR・・・カチャ。 「ハ~イ、こちら電話相談室。今晩の担当はマダ~ム・ヤビン子よ。迷える小羊さん、いらっしゃい。まず、お名前を教えて」 「あの・・・えっと、ドラえもんってことでお願いします」 「ドラえもんさんね。じゃ早速お悩みをどうぞ」 「野菜が苦手なんです」 「まったくダメ?」 「ええ。食べ... 続きをみる

  • 安藤VSメカ安藤

    渡した書類から、息を切らしているワタシに視線を移すと、課長の銀縁メガネがキランと光りました。 「安藤さん、付箋入れて返したとこ、直ってないじゃないですか。それも3箇所」 え?3箇所? 「スンマセン。すぐ直して持ってきます」 「安藤さん、詰め、甘すぎですよ。第一、この書類、今朝までに訂正して再提出のは... 続きをみる

  • ずっとウソだった

    「船長!ヤバイです。この船、タイタニック号はもうじき沈没しちゃいますよ」 「おい1等航海士!そんな大きな声で沈没なんて言っちゃイカン。風評被害を生んじゃうだろ。言葉を慎みたまえ!」 「でもこの船が氷山と衝突したのはもう乗客みんな知っているんですよ」 「まさかあんなでかいのがなぁ。千年に一個の巨大氷山... 続きをみる

  • 飛行船ボナパルト

    向こうからすごく大きなカタマリが近づいてくる。 まっすぐボクに向かってくる! アレは、アレはクジラだ。 クジラがとてつもなく大きいことは、ボクたちハコフグだって知っている。 でも今まさに、ソイツがまっしぐらにボクに迫っているんだ。 ああ、飲み込まれてしまう! その大きな大きなカタマリはボクのすぐ上を... 続きをみる

  • オマエたちはすでにクローンに包囲されている

    「じゃ、一本だけ。先やっちゃおう」 「いいですねぇ。先輩、どうぞ。プレミアムでいっすよね?」 「おっすまない」 プシュ!グビッ、グビッ、プハ~!! 「ウマいねぇ、日の高いうちから外で飲むビール。ク~、最高」 「ねぇ先輩、知ってます?うちの会社で実験してるの。どうやらクローン・・・」 「シッ。おい、会... 続きをみる

  • パンツ・デラックス

    「人生はパンツである。中身がわからないから面白い」(ヤビシ=トラビシ) 初めて女の子を好きになったのは小学2年の夏休みだった。 父に連れられて見に行ったマジックショーでアシスタントガールをやっていた女の子だった。 小さな公民館のステージの端っこで、お化粧をしてチャイナドレスを着ていたっけ。ボクくらい... 続きをみる

  • 『ニワトリがさきかタマゴがさきか』(ヴァッキーノ)さん用

    博士「ついに完成したぞ」 助手「おめでとうございます、博士。で、この装置、一体何なんですか?まるでピタゴラスイッチに出てくるお父さんスイッチみたいじゃないですか」 博士「チープな外観だが中身はスゴいぞ。これはな、飼い主(オーナー)の心をペットに転送する装置じゃ。名付けて」 助手「名付けて?」 博士「... 続きをみる

  • 『にじ』を考える

    『にじ』(新沢としひこ作詞・中川ひろたか作曲) 庭のシャベルが一日濡れて 雨があがってクシャミをひとつ 雲が流れて光が差して 見上げてみれば ラララ 虹が虹が空にかかって 君の君の気分も晴れて きっと明日はいい天気 きっと明日はいい天気 洗濯物が一日濡れて 風に吹かれてクシャミをひとつ 雲が流れて光... 続きをみる

  • 七人の侍

    ズバシユ ズバシユ 鉞のヌラヌラと妖しい刃紋が空を舞い、血飛沫が散る。悪の手下どもが次次と倒れ重なつていく。 風呂入道、憤怒のあまり不動明王と見紛うばかり。懐より筒笛をいだし、天にも響けと鋭く吹き鳴らす。 悪の郎党を斬り捨てていく七人の侍たちを照らしていた皓皓たる蒼光が俄かに途切れた。 おや雲かと見... 続きをみる

  • ハダカの女王様

    アタシ、ピッカピカの新しい服が大好き。他の娯楽なんか興味がないし、政治とか戦争とかそういうの、全然関心ないし。 綺麗な服を身につけて披露して、みんなから綺麗ねぇって褒められたら最高に幸せなのよね。衣裳やら装飾品にお金を湯水のように使ったの。 そしたら、経済効果ってヤツかしら、お城のまわりの町は大きく... 続きをみる

  • ニシキヘビ

    家に帰ると、お茶の間にニシキヘビがゴロンと横になっていました。 「アレ?女房はどこだ?」 ニシキヘビが頭だけ、ボクのほうに向けて答えました。女房そっくりです。 「あ、さっき食べちゃいました」 そういえば、ニシキヘビのお腹が不格好に膨れています。ちょうど女房の大きさでしょうか。 「ダメじゃないか。飼い... 続きをみる

  • 特報!!『虎犇秘宝館』が、ついに映画化決定しました!

    特報!全国数十人のファンの皆様のご要望に応えて、ついに、『虎犇秘宝館』のシリーズ映画化が決定!! 第一弾!来春全国ロードショー大公開!「ゆけゆけ矢菱君~矢菱君、猛反省の巻」(仮題) うそなう というわけで、深酒しながら『ゾンビーランド』なる映画を見てグ~スカ眠りこけ、エイプリルフールをのがしてしまっ... 続きをみる

  • うそつきビンタ君

    (とある研究所の一室。秘密基地のような機械音。博士と助手は人体模型ほどの大きさのロボットを見つめていた) 「博士、なんか怪しげなロボットを作りましたね」 「おい、勝手にさわっちゃいかん!これはじゃな、人間の言葉を聞いて嘘をついているのを感知するとビンタをはるロボット、名づけて『うそつきビンタ君』じゃ... 続きをみる

  • アカリちゃんにプロポーズ!

    宝石をちりばめたみたいな眼下の夜景。けだるいジャズピアノ。 ボクの冗談に、目の前のアカリちゃんがクスクス笑いで首を振った。イヤリングがキラキラ輝く。 ナイトラウンジの薄明かりに、ドレス姿のアカリちゃんだけ明るく浮かび上がって見える。 会話がふと途切れる。 よし、チャンス! アカリちゃんの前に指輪の入... 続きをみる

  • 白雪姫になっちゃいました

    夕飯中、玄関ドアをカンカン叩く音がした。覗き穴の魚眼に人の姿はない。 おや?玄関ドアを少し開けた途端、隙間から小人たちが入ってきた。 赤や緑や黄色の頭巾に衣裳、小犬ほどの男たちが、ハイホーを歌いながらスキップで次から次へと。 「おい、勝手に入るな!・・・せめて靴くらい脱いだらどうだ?」 小人たちが歌... 続きをみる

  • 1分でわかる『坑内カナリア理論』

    オシエロ君・オネダリちゃん「こんにちは~、モロダ博士~!」 モロダ博士「おやおや、オシエロ君にオネダリちゃんじゃないか。ずいぶん久しぶりだね。今日も今日とて自己解決を放棄してあなたまかせの他力本願かね?」 オシエロ君「うわっ相変わらず辛辣だなぁ。博士は『坑内カナリア理論』って知っていますか?」 博士... 続きをみる

  • ねがいごと

    今日はカレーにするかな? 食品棚を覗いて物色する。SIOもいいし、ミルクシーフードも捨てがたい。やっぱり今日はノーマルにしとこう。 何段にも積み重なったカップヌードルから、ノーマルを引っこ抜いた。 わびしいなぁ。深夜警備のバイトで食いつないでいる、安アパートでひとり暮らし。当然、車もバイクも彼女もな... 続きをみる

  • 魔神が泣いちゃいました。

    金ぴかのランプをコシコシすると、モワワワワ~ン! 白い煙が立ちのぼり、アラビアン衣裳の魔神が現れました。 「インシャラ~!御主人様、あなたの願いごとを三つかなえてさしあげましょう」 イヤそりゃあもう、絵に描いたような魔神です。 これなら間違いありません。 「おっと、よく見たら、アナタ、矢菱虎犇さんじ... 続きをみる

  • Find the River

    電車に飛び乗って流れ流れて気がつくと、アタシは岡山にいました。 別居中の夫が不倫をしていただなんて・・・怒りにまかせてtwitter で暴露してしまった。 ああ、もう忘れてしまおう。あれは昔、昔のこと。 おや、川沿いを歩きに歩いて、ふと気がつくと、おじいさんが団体で釣りをしていました。 「おじいさん... 続きをみる

  • 危険戦隊5デンジャー

    5デンジャーを知ってるかって? おやおや、どこで聞いてきたんだい、え?今週末、ショッピングセンターのホリデーイベントでヒーローショー? 懐かしいなぁ、パパが子どもの頃、5デンジャーブームだったからねぇ。 パパが最初に5デンジャーを知ったのは、引ったくり事件だったかなぁ。 町の駅裏路地で、自転車に乗っ... 続きをみる

  • 深~く愛して

    妻の不貞を知ってしまった。 鏡台の奥に隠してあった小さな手記を盗み読んで。 そこには、私との結婚前につきあっていた書生への思いが書き綴られていた。 私との縁談をことわりきれず、思いを寄せる男性をあきらめて嫁に来たとしても、それは過去の話である。 それを許せぬ狭量な夫ではない。 手記を捨てずに大切に隠... 続きをみる

  • パブロフの犬

    「博士、博士のデスクの上にある、そのベルは?」 「ああ、これかね。実験に使っておるベルじゃよ。君は『パブロフの犬』の実験を知っておるかね」 「ええ、犬に餌をやるときにベルの音を鳴らすと、ベルの音を聞いただけで唾液が出るようになる、アレっすね」 「うむ、条件反射の実験じゃな。百聞は一見にしかず、実際に... 続きをみる

  • わたしはコレでやめました

    駅近くの安アパートの一室、寝息をたてている愛人の寝顔をじっと見つめた。 もう終わりにしよう。本気でそう思った。 半年前、レイコは臨時従業員としてうちの社に雇われた。几帳面な仕事ぶりを評価され、契約期間が延長されて今に至る。 レイコは、大人の男性とのアバンチュールに憧れていたし、僕は若い女性を求めてい... 続きをみる

  • バチバチするのはイヤ

    アタシは冬が 大キライ。 独身のアパート暮らし、しかも低血圧。早朝、フトンから出る時は泣きたい気分だ。 とりわけキライなのが静電気。 服を脱ぐときバチバチ!車のドアを閉めるときもドアノブを触るときも、バチバチ、バチバチ! 一日中、何かを触るたびにビクビクしている。 若い頃からそうなんだけど、二十代後... 続きをみる

  • 過飽和寝てまっせ!

    (2010年1月6日初出。2011年1月21日、バカいわシアターで朗読していただきました。) 電流電圧抵抗と磁界、ルネサンス絵画と印象派、多角形の内角外角、図形の証明、バスケットのルール、動名詞とto不定詞、「平家物語」序文、用言の活用、オーケストラの編成、合唱曲の歌詞、世界恐慌と世界大戦・・・ ボ... 続きをみる

  • 今年もサンタがやってくる

    (2008年12月25日初出。2010年12月31日、バカいわシアターで朗読していただきました) 朝食の食卓で、顔を紅潮させて息子が私に聞いた。 「ねえ、パパ、今年もサンタさん、来てくれるよね?」 息子の声さえキンキン頭に響く。 疲れているのだ。 「パパ、サンタさん、僕にもプレゼントもってきてくれる... 続きをみる

  • 王様はパンジーがお好き

    皆様御存知の王様、それはそれは花が大好きです。三度の飯よりオハナというくらい。 国中から美しいと評判の花を片っ端から集めて、ガーデンをお作りになりました。 ガーデンの花を次から次へと、毎日、毎晩、飽きることなく愛でておられます。 さて、今宵もガーデンより爺が王の間に呼ばれております。 「これ爺、苦し... 続きをみる

  • 王様はパン〇〇がお好き

    皆様御存知の王様、それはそれは○が大好きです。三度の飯よりオ○ナというくらい。 国中から美しいと評判の○を片っ端から集めて、○ー○○をお作りになりました。 ○ー○○の○を次から次へと、毎日、毎晩、飽きることなく愛でておられます。 さて、今宵も○ー○○より○が王の間に呼ばれております。 「これ○、苦し... 続きをみる

  • 本当にあったら怖い3分間クッキング

    (お知らせ)今回のお話には、残酷な描写が含まれます。×で文字が伏せられている箇所は、放送規制のピー音を表しています。 (テーマ曲『おもちゃの兵隊のマーチ』) 「皆様、こんにちは。『3分間クッキング』の時間です。本日教えていただくのは天才料理研究家、小練逍雲先生です。先生、よろしくお願いします」 「ハ... 続きをみる

  • カノッサの屈辱

    1月25日~28日は『カノッサの屈辱』の日。というわけで、2009年1月9日にアップした『カノッサの屈辱』を再アップしました。 1075年、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世は、支配戦略の一環として、各地の司教を再三、任命した。 この教皇の権威を無視した行為に立腹した教皇グレゴリウス7世は、ハインリヒ4世... 続きをみる

  • おくすり効いてます?

    飾り気のない一室に、太った女は通された。リノリウムの床に応接セットだけ。 「どうぞ掛けてください」 カルテを抱えた白衣の男が、後から部屋に入ってくると女に座るよう促した。 女がドッシリ腰を沈めると、男は正面に座った。そしてクリップボードに留めたカルテをめくり始める。 しばし空調の音と太った女の鼻息だ... 続きをみる

  • 拷問シチャウゾ!

    『オ目覚メカネ、地球人君』 いかにも宇宙人って感じの耳障りな声に、目を開けると、ゆらゆら揺らめく炎の中に、上のイラストみたいな宇宙人がいた。 『プププププププ、ワレワレハ宇宙人ダ』 わかっている。それにしてもチープな宇宙人だ。3体まとめてピアノ線で吊ってるみたいな。 『ココハ、ワレワレノ円盤ノ中ダ。... 続きをみる

  • タイムストッパー

    「オヤジさん、何コレ?」 時々ひやかしに覗く骨董屋で、古びた真鍮の懐中時計を見つけた。 「ソレ、売り物じゃないよ」 おっ、いっぱしに動いてるじゃないか。横に付いたネジを引こうとした。 「ダメダメ、時間が止まっちゃうから!」 「そりゃそうさ。針をいったん止めて、時刻を合わせるんだろ」 「だからやめ」 ... 続きをみる

  • アイちゃんにごほうび

    パパが家に帰ってきた途端、ママが大喜びで飛びつきました。 「おいおい、ママ、いったいどうしちゃったんだい?」 「パパ、すごいのよ!アイちゃんが、アイちゃんが立ったの!」 「なんだって!」 二人は大急ぎで家の中へ入りました。壁によりかかって座っていたアイちゃんが笑いました。 「パパにも立ってみせてごら... 続きをみる

  • キャタピラー

    「戦車の音がするのよ。ガラガラガラガラって。耳の奥でずっと。賢一、おまえは聴こえないかい?」 病院ベッドに上半身を起こした母が真っ青な顔で言った。 「耳鳴りだよ。年のせいさ。明日、ドクターに診てもらいなよ」 先月、母が目眩を起こして倒れ救急車で運ばれた。腰をひどく打っていたのでそのまま入院となったが... 続きをみる

  • 胡蝶とアカギレ

    なんでもない夕方、職場に電話がかかってきた。相手は警察だと名乗った。 仕事帰りに警察署に寄ってほしいと言う。何の用かと尋ねたが署で説明すると言う。 取り急ぎ警察署に行くと、別室に案内され年配の警察官から説明を受けた。 妻が踏み切り事故で死んだ、遺体の確認をしてほしい、そういう説明だった。 また別の部... 続きをみる

  • 近頃流行りのオレオレ

    電話に出ると、男の声がした。 「ゴホゴホ、ごめんごめん。オレだけど。風邪こじらしちゃって、声、ガラガラで別人みたいでしょ。携帯、落っことして壊しちゃったんだよね。今、代わりの携帯。番号違うんだよ。ゴホゴホ、父さん、番号メモってくれる?」 番号をメモして復唱する。 「じゃ、切るから。すぐかけなおしてよ... 続きをみる

  • からだにピース!

    今日1月13日は、『ピース記念日』。 昭和21年の今日、高級タバコ「ピース」が発売された。当時10本で7円、朝の五時からたばこ屋に行列ができて、発売九時を十五分過ぎたときには売り切れたという。曰く、「もともと平和ってものは手に入れるのが難しいからしかたがありません」(井上ひさし『東京ローズ』より) ... 続きをみる

  • Everybody Hurts

    なじみのファミレスでブラックを啜りながら、文庫本を読み耽っていた。 何気なく目を上げると、近い席に若いカップルが座っていた。 ブラックをひとくち啜り、活字に戻ろうとしたがダメだった。本を見ているふりをして、目の端でカップルを観察した。 女の子は、両手で顔を覆ってテーブルに埋めたまま、微動だにしない。... 続きをみる

  • 転送してくれ、スコッティ(2011年バージョン)

    2011年、ついに念願の物質転送装置が完成した。 「おめでとうございます、博士」 「君のおかげじゃよ、猫田君」 博士と助手は手をとりあい、喜びを分かち合った。 だが、内心は違っていた。 猫田は、2009年のあの一件を思い出していた。 博士は猫田に物質転送装置テレポッドを見せた。 「フフフ、物質転送装... 続きをみる

  • 明日の重さ

    最近、とんでもないことに気がついた。 体重を量ると、その体重はどうやら翌日夜の体重なのである。 たいして普段と変わりない食事を摂っているにもかかわらず、体重がぐんと増えることがある。 すると翌日、突然の接待で遅くまで飲食することになる。 あるいは普通に食べているのに、ぐんと減ることがある。 その翌日... 続きをみる

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