白雪姫になっちゃいました
夕飯中、玄関ドアをカンカン叩く音がした。覗き穴の魚眼に人の姿はない。 おや?玄関ドアを少し開けた途端、隙間から小人たちが入ってきた。 赤や緑や黄色の頭巾に衣裳、小犬ほどの男たちが、ハイホーを歌いながらスキップで次から次へと。 「おい、勝手に入るな!・・・せめて靴くらい脱いだらどうだ?」 小人たちが歌... 続きをみる
夕飯中、玄関ドアをカンカン叩く音がした。覗き穴の魚眼に人の姿はない。 おや?玄関ドアを少し開けた途端、隙間から小人たちが入ってきた。 赤や緑や黄色の頭巾に衣裳、小犬ほどの男たちが、ハイホーを歌いながらスキップで次から次へと。 「おい、勝手に入るな!・・・せめて靴くらい脱いだらどうだ?」 小人たちが歌... 続きをみる
オシエロ君・オネダリちゃん「こんにちは~、モロダ博士~!」 モロダ博士「おやおや、オシエロ君にオネダリちゃんじゃないか。ずいぶん久しぶりだね。今日も今日とて自己解決を放棄してあなたまかせの他力本願かね?」 オシエロ君「うわっ相変わらず辛辣だなぁ。博士は『坑内カナリア理論』って知っていますか?」 博士... 続きをみる
金ぴかのランプをコシコシすると、モワワワワ~ン! 白い煙が立ちのぼり、アラビアン衣裳の魔神が現れました。 「インシャラ~!御主人様、あなたの願いごとを三つかなえてさしあげましょう」 イヤそりゃあもう、絵に描いたような魔神です。 これなら間違いありません。 「おっと、よく見たら、アナタ、矢菱虎犇さんじ... 続きをみる
電車に飛び乗って流れ流れて気がつくと、アタシは岡山にいました。 別居中の夫が不倫をしていただなんて・・・怒りにまかせてtwitter で暴露してしまった。 ああ、もう忘れてしまおう。あれは昔、昔のこと。 おや、川沿いを歩きに歩いて、ふと気がつくと、おじいさんが団体で釣りをしていました。 「おじいさん... 続きをみる
5デンジャーを知ってるかって? おやおや、どこで聞いてきたんだい、え?今週末、ショッピングセンターのホリデーイベントでヒーローショー? 懐かしいなぁ、パパが子どもの頃、5デンジャーブームだったからねぇ。 パパが最初に5デンジャーを知ったのは、引ったくり事件だったかなぁ。 町の駅裏路地で、自転車に乗っ... 続きをみる
駅近くの安アパートの一室、寝息をたてている愛人の寝顔をじっと見つめた。 もう終わりにしよう。本気でそう思った。 半年前、レイコは臨時従業員としてうちの社に雇われた。几帳面な仕事ぶりを評価され、契約期間が延長されて今に至る。 レイコは、大人の男性とのアバンチュールに憧れていたし、僕は若い女性を求めてい... 続きをみる
アタシは冬が 大キライ。 独身のアパート暮らし、しかも低血圧。早朝、フトンから出る時は泣きたい気分だ。 とりわけキライなのが静電気。 服を脱ぐときバチバチ!車のドアを閉めるときもドアノブを触るときも、バチバチ、バチバチ! 一日中、何かを触るたびにビクビクしている。 若い頃からそうなんだけど、二十代後... 続きをみる
(2008年12月25日初出。2010年12月31日、バカいわシアターで朗読していただきました) 朝食の食卓で、顔を紅潮させて息子が私に聞いた。 「ねえ、パパ、今年もサンタさん、来てくれるよね?」 息子の声さえキンキン頭に響く。 疲れているのだ。 「パパ、サンタさん、僕にもプレゼントもってきてくれる... 続きをみる
皆様御存知の王様、それはそれは花が大好きです。三度の飯よりオハナというくらい。 国中から美しいと評判の花を片っ端から集めて、ガーデンをお作りになりました。 ガーデンの花を次から次へと、毎日、毎晩、飽きることなく愛でておられます。 さて、今宵もガーデンより爺が王の間に呼ばれております。 「これ爺、苦し... 続きをみる
皆様御存知の王様、それはそれは○が大好きです。三度の飯よりオ○ナというくらい。 国中から美しいと評判の○を片っ端から集めて、○ー○○をお作りになりました。 ○ー○○の○を次から次へと、毎日、毎晩、飽きることなく愛でておられます。 さて、今宵も○ー○○より○が王の間に呼ばれております。 「これ○、苦し... 続きをみる
(お知らせ)今回のお話には、残酷な描写が含まれます。×で文字が伏せられている箇所は、放送規制のピー音を表しています。 (テーマ曲『おもちゃの兵隊のマーチ』) 「皆様、こんにちは。『3分間クッキング』の時間です。本日教えていただくのは天才料理研究家、小練逍雲先生です。先生、よろしくお願いします」 「ハ... 続きをみる
飾り気のない一室に、太った女は通された。リノリウムの床に応接セットだけ。 「どうぞ掛けてください」 カルテを抱えた白衣の男が、後から部屋に入ってくると女に座るよう促した。 女がドッシリ腰を沈めると、男は正面に座った。そしてクリップボードに留めたカルテをめくり始める。 しばし空調の音と太った女の鼻息だ... 続きをみる
パパが家に帰ってきた途端、ママが大喜びで飛びつきました。 「おいおい、ママ、いったいどうしちゃったんだい?」 「パパ、すごいのよ!アイちゃんが、アイちゃんが立ったの!」 「なんだって!」 二人は大急ぎで家の中へ入りました。壁によりかかって座っていたアイちゃんが笑いました。 「パパにも立ってみせてごら... 続きをみる
電話に出ると、男の声がした。 「ゴホゴホ、ごめんごめん。オレだけど。風邪こじらしちゃって、声、ガラガラで別人みたいでしょ。携帯、落っことして壊しちゃったんだよね。今、代わりの携帯。番号違うんだよ。ゴホゴホ、父さん、番号メモってくれる?」 番号をメモして復唱する。 「じゃ、切るから。すぐかけなおしてよ... 続きをみる
なじみのファミレスでブラックを啜りながら、文庫本を読み耽っていた。 何気なく目を上げると、近い席に若いカップルが座っていた。 ブラックをひとくち啜り、活字に戻ろうとしたがダメだった。本を見ているふりをして、目の端でカップルを観察した。 女の子は、両手で顔を覆ってテーブルに埋めたまま、微動だにしない。... 続きをみる
2011年、ついに念願の物質転送装置が完成した。 「おめでとうございます、博士」 「君のおかげじゃよ、猫田君」 博士と助手は手をとりあい、喜びを分かち合った。 だが、内心は違っていた。 猫田は、2009年のあの一件を思い出していた。 博士は猫田に物質転送装置テレポッドを見せた。 「フフフ、物質転送装... 続きをみる
「じゃお父さん、お忘れにならないでくださいね」 「そう何度も言わなくてもわかるさ。2時30分。一階中央コンコースだな。忘れやしないよ」 「もうこないだみたいなこと、勘弁してくださいよ」 「ああ、わかっている」 妻は十分に念を押してから3階の婦人服売り場に向かった。私の方はいつものように大型書店へ向か... 続きをみる
あ~あ、退屈だなぁ。 ボクはどの教科も苦手なんだけど、算数なんてチンプンカンプンだよ。 眠い、眠い。昨晩はパパとママが寝た後、こっそり11PMを見てしまったからなぁ。 それにしても、新聞に「めくって、やぶって、ひとつき!」なんて書いてあったからドキドキ見てみたら、来年のカレンダーの紹介じゃん。 泣き... 続きをみる
大晦日、バイトを終えてアパートに帰ると紅白も終盤だった。 ひとり、年越しそばを食べていたら携帯が鳴った。父さんからだ。 「こんな時間までバイトか。大変だな」 「うん、割烹の仲居のバイトだもん、今が稼ぎ時なのよ。お正月は帰れないから」 「学校が始まるまで日にちがあるだろ」 「それじゃ旅費がもったいない... 続きをみる
「じゃ、ちょっとコンビニ行ってくるから。サボらずにやっといてくれよ」 上司はそう言って職場を出て行った。 正月早々、部下を呼び出して仕事を手伝わせといて、コンビニ~?やってられないよ、まったく。 Excelに入力していると、上司が階段を下りる足音がここまで響いてきた。このビルで働いているのは僕だけ、... 続きをみる
皆様、あけましておめでとうございます。 今年も『虎犇秘宝館』をよろしくお願いいたします。 2011年矢菱虎犇の目標は『ペースダウン』です。去年はなんかペースが上がってコントロールができなくなったんで、今年はテキトーに休み休みやっていきたいと思います。みなさん、見捨てずによろしくお願いします。 という... 続きをみる
おっと!ついウトウトしてしまったようです。吹雪が唸りをあげる中、橇の上でサンタクロースは眠気をふり払いました。 携帯を開いてみると、なんとまあ12月31日。大晦日ってのに何をのんきな。 クリスマスは一週間前とうに終わり競作も終わったというのに、まったく鬼が泣きます。 なんでこんなに遅くなったかって?... 続きをみる
アダルト福引?なんだそりゃあ? 「ウフフ、一年間の感謝をこめて、年に一度の大サービスよ。空くじなしの福引大抽選会でぇす!」 忘年会一次会で抜けて、行きつけのスナックバーのドアを開けると、店の雰囲気が変わっていてギョッとした。 店内、キラキラモールで飾りたてられ、ピンクの照明がいかがわしい。サックスの... 続きをみる
目も開けておられぬ吹雪の彼方に、何やら立っているモノがあります。 ザック、ザックと雪踏みしめて近づくと、なんとお地蔵様じゃないですか。 「お地蔵様、お地蔵様。どうか助けてください。このままじゃ年も越せません。死んじゃいます」 お地蔵様はアルカイックスマイルを浮かべたまんま地蔵みたいに動きゃしません。... 続きをみる
イブの朝食の食卓、顔を紅潮させた息子が叫ぶ。 「パパ、今年もサンタさん、来てくれるよね!」 うるさい。キンキン声が頭に響く。 「僕にもプレゼントもってきてくれるよね!」 黙ってくれ。トーストを一口かじって息子を睨み首を振る。 「いいや。おまえが寝てからパパがプレゼントを置いてるんだ。毎年、毎年」 息... 続きをみる
海上に眩い光が走り、沸き上がった波間からゴジラが出現!漁船を噛み砕き、尾でタンカーを真っ二つ。上陸しては放射能光線を市街地に吐き散らかし、自衛隊の戦車を溶かしの大暴れだぁ。恐るべし!恐るべしなんだけど、兇暴なくせに時節がらサンタ帽を被っているのはいかがなものか?
ホールに飾ったツリーに靴下をさげた。何てお願いしたの?大人から聞かれたけど答えなかった。ホントは『この世界がもっともっと面白くなりますように』ってお願いしたんだ。翌朝、靴下いっぱいに黒い箱が入っていた。大人が真っ青になって止めたが、僕はもう箱を開けていた。
「あ、降ってきたよ」真っ暗な冬空に彼女が両の掌を捧げ上げて回った。「ホワイトクリスマスね」眼を閉じたまま彼女が微笑む。微笑みが温かさとなって僕に伝わる。「本当だ。降ってきたね」僕もまた雪を見るために目を閉じた。僕たちを祝福して白い妖精が次々舞い降りる。
「ママ、今年も来てるよ。おばあさん、元気みたい」いつからだろう、身寄りのないおばあさんからクリスマスカードが届くようになった。最初は送り先を間違っていますよと電話で伝えた。それでも毎年送ってくる。相手は誰でもいいのかもしれない。私は娘と返事のカードを書き始める。
「イブの夜って御馳走食べてお酒を飲んで、すっごいロマンチック。でもクリスマス当日って残りもののボソボソしたケーキみたい。当のクリスマスが味気ないってなんかヘンだよね」ベッドに腰掛けた僕が呟く。枕に顔を埋めていた愛人が僕を見てクスリと笑った。「結婚と一緒よ」
イブの夜、太平洋上空を飛行する未確認飛行物体が撃墜された。米太平洋艦隊によって捜索がおこなわれたがその行方は杳として知れなかった。それから一週間ほど過ぎた元旦、ご来光を背負いザブザブ波をかきわけて宝船がやってきた。オヤ、七福神、ひとり数が多いんじゃないか?
まったく解せぬ。年の離れた若妻の出産予定日9月19日が迫っていた。しかし私は無精子症である。では誰が妻を?人を雇って調査したが浮気の気配はない。まさか処女懐胎?やがて妻が出産した。丸々とした赤ん坊は赤ら顔に白髭、ホウホウホウと産声をあげた。父親はあいつだ。
明かりを点けると白い部屋の真ん中にツリーが飾られ、赤い服の老人がそっと長方形の箱を立て掛けている。まさか!夢だ、夢にちがいない!そう思った途端、目が覚めた。ああ、やっぱり。しかし一体今のは何だったのか?長方形の黒い石板を見上げて、骨を握った猿人は首をかしげた。
「クリスマスが近づいたなぁって感じるのはどんな時?」「そうだなぁ、そりゃやっぱり店先がディスプレイされたり、通りがイルミネーションで彩られたり、クリスマスミュージックが流れたり」「僕は、毎日クリスマスの準備をしているYahoo!のロゴを見るときかなぁ」
やれ忘年会だ、クリスマス会だってんで食生活が乱れて胃が悪い。病院に行くと、胃腸はもちろん肝臓やら血圧やら尿酸値やらことごとく要注意マークを付けられた。予想外に悪いテストが返ってきたときの屈辱感。山ほど薬を出された。これじゃクリスマスじゃなくてクスリマスだな。
高気密・高断熱の邸宅の門に立った。オール電化だからもちろん煙突もない。窓も二重ガラスで密閉、ヘタに手を出せば警備会社が駆けつけるだろう。TV付きドアホンのボタンを押すか、押すまいか。結局、サンタクロースは宅配業者に出向きプレゼントの箱にお歳暮と書いて預けた。
「ちょっと待ったぁ!」サンタの背中が震え上がった。「僕がほしいのはこれじゃあないよ!これ、正規品じゃないし!」サンタの顔前にプレゼントを突きつけた。「ほらぁ、これワケありだよ。ダメじゃん!」「ゴメナサイ」中近東系のサンタがウルウル目で謝る。あんたもワケありか。
「小鳥の子どものクリスマスプレゼントは美味しい芋虫。芋虫の子には美味しい植物の葉。食物連鎖という偉大なる摂理なのだよ。さあプレゼントをどうぞ」父親が指さす先をじっと見つめて坊やは真っ青だ。ツリーに吊るした赤い靴下ははちきれそうで中身がモゾモゾと蠢いている。
ついにタイムマシンを完成した。僕は三十年前の自分の部屋にプレゼントを抱えて戻る。親からかまわれず孤独だった僕のために。部屋から僕の声。「大人になったら絶対にタイムマシンを作ってやる。僕がサンタになって戻るんだ」がんばれよ。僕は晴れやかな気持ちで現在に帰った。
「僕はサンタブーツミニ、隣の子はサンタブーツデラックス。パパ、どうしてサンタさんは差別をするの?」「いい質問だ。大人になったらよ~くわかるとだけ言っておこう。俺も子どもの頃、父に同じ質問をしたことがある。大人になったらその理由がよ~くわかるんだ」
【問題】サンタさんがクリスマスケーキ3000円を3割引、シャンペン1000円を半額、サンタブーツ1200円を2割引で購入しました。合計いくらでしょう?算数テストでこんな問題が出された。僕は「サンタクロースは存在しないので購入不可能」と解答欄に書きこんだ。
「先生、例の患者さんがみえました」「ああ、自分のことをサンタクロースだと思いこんでいる患者だな。まったく話にならん。通してくれ」「どうぞこちらに掛けて。何度言ったらわかってもらえるかな、君はサンタクロースじゃない。サンタは僕で、君はトナカイのルドルフなんだよ」
夫婦水入らずである。カルパッチョとローストチキン、辛口ワインを味わう。お笑いタレント総出演のダラダラした特番を見ながらブッシュドノエルと紅茶を楽しんだ。私「ごちそうさま」妻「お口に召しましたか?」私「うむ。難を言わせてもらえば元日の朝にはふさわしくないな」
箱を剥がすと純白のクリスマスケーキが思い描いたままの全身を露わにした。辛抱たまらず僕はナイフを突き立てる。躊躇うように凹んだクリームにゆっくりと刃先が沈み込んでいく。「大丈夫、大丈夫だから」根拠のない言葉を繰り返し僕はさらに律動を繰り返し、むりむり切り分けていく。
無機質な狭い尋問室に老人は拘束されていた。取調官が不敵に笑う。「おまえが本物のサンタかどうかすぐにわかるさ。見ろ、これは嘘発見器だ。おれの質問に必ずハイと答えろ。おまえの答えが嘘なら嘘発見器が感知してブザーが鳴る仕組みだ」その言葉に嘘発見器のブザーが鳴った。
玄関チャイムの音。ドアを開くとサンタがにこやかに登場、息子に大きなプレゼントの箱を手渡した。息子は目を輝かせて大喜び。配達オプションにサンタバージョンを加えるとは粋なサービスを始めたものだ。ただし箱に大きく書かれたAmazonのロゴは来年からやめてほしい。
「死者の丘」を発掘していた調査団が神殿の門に書かれたギリシャ文字を解読した。『メリークリスマス』。神殿の柱周辺の土壌を調査すると、炭化した柊や石化した蝋燭まで見つかった。古代ギリシャ人もクリスマスを祝っていたとは。世紀の発見に世界が驚いた。一体誰の誕生日なんだ?
医者が顔をしかめる。「この腹回り!このボコボコのむくみがセルライトですよ。まさにメタボリックシンドローム。悪いことは言わない。死にたくなかったら即、ダイエットなさい」白い髭を撫でながら老人は悲しい表情を浮かべる。ダイエットしたらこの仕事、サマにならねぇ。
♪恋人がサンタクロース♪背の高いサンタクロース♪私の家に来る♪・・・絵本から出てきたような、丸々したサンタのおじいさんが肩をすくめました。「おいおい、婆さん、その歌はやめてくれい。結婚して何十年になると思っとるんじゃ?恥ずかしくって体がかゆくなってくるわい」
朝のミーティングで忘年会幹事が挙手。「えっとご高齢の社員の皆さんの事情はわかっているつもりです。でもね、忘年会の出席がゼロなんて聞いたことありませんよ。つきあいも仕事のうちでしょ」恰幅のいい白髭の社員全員、赤ら顔を曇らせる。24日はまずいよ、幹事さん。
中央広場に人だかりが。事故か?タンクローリーが街路樹をなぎ倒し噴水に乗り上げている。ア!赤い点滅に照らされる横転した橇。トナカイたちがうなだれている。まさか。橇の下から這い出してきたのはサンタクロース!手には『新装開店』のプラカード。なぁんだ、新手の広告か。
夜中に目が覚めて居間の電気を点けました。おや!ツリーの前に箱を抱えた白髭のおじいさんがしゃがんでいるではありませんか。まちがいありません。「おじいさんは本物の?」「ああ、この箱を開けたら白い煙がモ~クモク、おじいさんになってしもうたのじゃ」ほぅら、やっぱり!
街頭で看板を掲げるサンタ、この時期ありがちだ。本物じゃなきゃ誰も見向きもしないさ。あれ?サンタ帽の後ろにジッパーのツマミ!ジッパーが後頭部、上着、ズボンを一直線に貫いている。ってことは全身着ぐるみサンタ?中身は一体?本物のサンタよりも気になってきた。
橇から降りると、疲れきった重い体に引きずるように家の中へ。ガウン姿の妻が眠そうな目で睨んだ。「まったく今何時だと思っているんだい。もう夜が明けちまったじゃないか。毎年毎年どこをほっつき歩いてるんだか」言葉とは裏腹に差し出された熱いスープが心の中まで満たしていく。
イブの夜にチャイムが鳴る。ドアを開けるとミニスカサンタの美少女が立っていた。やった!ついに願いがかなった!「外は寒いでしょ、さ、入って入って」招き入れた女の子、サンタの衣裳に合わせて白髭までつけている。「アハハハ、これは蛇足ってもんだよ」「、痛!何しやがる!」
風邪をひいてしまったサンタが無理して橇に乗ろうとすると、サンタの妻がトナカイの毛皮コートをかけてくれた。「おお、これは温かい。ありがとう」8頭のトナカイが一斉に振り向く。そしてサンタにフレーメン。8頭の鼻息が荒い。待て、待ってくれ!わしは牝トナカイじゃない!
弾丸は十数センチと迫っていた。ゴルゴル13の目に空港ロビーをスタスタ歩くサンタが映る。なるほどそれで一晩のうちに世界を回れるわけだ。サンタがゴルゴルの視線に気づき微笑みかける。メリークリスマス!サンタはゴルゴルの身体をよいしょと抱え横に移動、弾道からずらした。
「クリスマスパーティーにどうぞ」宇宙からメッセージが届いた。人類こぞって宇宙船でその惑星をめざす。到着すると宇宙人たちが盛大に歓迎してくれた。なんだか醜い。七面鳥にそっくりだ。「さ、人類の皆さん、お風呂にどうぞ、それからこちらのガーリックパウダーを全身に」
イブの夜ひとりツイッター、タイムラインをながめる。「濡れちゃったなう」「挿れるなう」「イクなう」「再突入なう」けしからん!まったく何をやっておる?twitter するかアレするか、どっちかにせんか!画面を閉じようとマウスを握ろうと思ったら別のものを握りしめていた。
「パパ、サンタさんいないんでしょ?だって世界中の子どもにプレゼントを配るなんて無理だもの」ここは父親の見せ所。「実はサンタにはサンタクローンがたくさんいるんだ」息子の目が輝く。「ママも言ってた!パパの出張中に来るオジサンはパパクローンなんだって。でも似てないなぁ」
「ホ~ホゥホゥホゥ!メリークリスマス。わしがサソタクロースじゃよ。さ、プレゼントだよ」「わぁ~い、ありがとう!リラックマだぁ・・・・・・ちょっと待った!これ、リラックマじゃないよ、イラックマだよ!」「それでよいのじゃ。なにせわしはサンタじゃなくてサソタなんだから」
昔のクリスマスはよかった。バイメタル電球の目を刺す点滅。ぼそぼそしたスポンジにバタークリームを塗たくったケーキ。まったりと鼻をつく蝋燭の焦げた匂い。懐かしい!今どきのクリスマスなんてダメダメじゃん!彼女がいてくれたら違うのに。彼女さえここにいたら最高なんだけど。
小3のクリスマス会。きよしこの夜を歌いながらプレゼントを回す。ちょうど奈々子の箱が回ってくる!はずだったのに、右隣のタカシのヤツ、奈々子の箱を渡さなかった。高校に入って奈々子と再会した。タカシとは別れたそうだ。その晩、奈々子からメールが届いた。「お待たせ」
僕が降り立った惑星は毎日が地球で言うところのカーニバルだった。胸弾むリズム、嬌声、汗、炎。強い酒を回し呷る。羽飾りの美女は僕の上でも踊り狂った。もうすぐクリスマスだという。平日でこうならどんなスゴイことに?その日がやってきた。静かな朝、人々は黙々と仕事に向かう。
イブの深夜、パトロール中の警官が大きな袋を背負った赤い服の不審者を呼びとめて職務質問した。「その袋を見せなさい」「これは子どもたちのための」警官が袋の中を懐中電灯で照らす。見るもおぞましい肉片の山。「なんだこれは?」「だからうちのピラニアの子どもたちのための」
サンタコスチュームのAKB48がシャンペンを抜く。AKBと俺だけの酒池肉林パーティー!のはずが、互いの話題について行けず気まずくなるばかり。俺は契約の1時間にもならぬうちにバーチャルブースを出た。そして杜子春のラストみたいに晴れやかな気持ちで妻の待つ家路についた。
新聞下の広告欄、尋ね犬の隣に尋ねトナカイの広告が出ていた。『スバルビル前でいなくなりました。特徴は赤い鼻です。ルドルフと呼ぶといななきます。見つけた方にはお礼にプレゼントを差し上げます。連絡先333-3964』どこの電話番号だ?フィンランドじゃないのかよ!
クリスマス前はしゃぐ友だちに腹が立った。だって両親、姉、僕、家族四人みんな誕生日が12月25日はないだろ。ケーキは一年一回きり。神様、お願いです。僕の誕生日を変えてください。翌日、産院から謝罪電話。「赤ちゃんの取り違えミスがありまして」いや、そうじゃなくって。
寒い寒い夜更け、窓の外を赤い何ががよぎったがど思うど、そいつが入ってきだ。今晩来るかもしんねと童子がドキドキしでだそいつが。「何しに来だ?」「ホウホウホウ、ヨイ子タチニぷれぜんと持ッテ来マシタ」「泣がないよい子に?ははぁん、ぬしは洋モンのナマハゲだべな!」
イブの夕方、祖父さんがいなくなった。ちょっとボケてきたかな。翌朝になっても戻らない。まさか祖父さんは。翌々日、自宅の電話が鳴った。「お宅のお祖父さんを保護しています」やっぱ徘徊か。心配かけて。「すぐ迎えに行きます。場所はどちらです?」「フィンランド日本大使館です」
「サンタクロースを殺ってくれ」ゴルゴル13は依頼を受け入れた。イブの夜空に銃声が響いた。「残りの報酬をいただこう」「本当に殺ったのか?これでクリスマスはなくなるのか?」「いや。たとえサンタを殺ったとしても、世界中の子どもたちの、心の中のサンタを殺すことはできない」
『矢追純一スペシャル~宇宙人は見た!』だって?懐かしいなぁ。にしても、「宇宙人は」?「宇宙人を」の間違いでは?その晩TVを視聴した。金色の金星人が声優の声で語る。「地球ヲ偵察飛行中、ワレワレハ橇デ飛ブ老人ヲ目撃シタ」大槻教授いつになく不機嫌だ。どこに引っ掛かっている?
続いてのニュースです。クリスマスを前にサンタクロースとトナカイの労使間交渉が決裂、トナカイは全面ストライキに突入しました。クリスマス中止も危ぶまれる中、サンタ側は対抗措置として奈良の鹿を雇ったもようです。奴ら、集団で子どもを襲うので気をつけてください。
小学五年生のクリスマス、父はサンタクロースに死刑宣告をした。「おまえももうわかっていると思う。ほしい物は自分で選んだほうがいいだろ。一緒に買いに行くぞ」その瞬間、近年次第に影が薄くなっていたサンタは完全に消滅した。わかっていた。わかっていたんだけどせつなかった。
雑踏の中、街角に立ち微笑む老人。本物のサンタクロース?「オジサンにも見えるんだね」いつのまにか隣に少年が立っていた。「いるんだよね、大人になっても見える人」どうやら俺は選ばれし人らしい。「あのお爺さん、あそこでバイト中、暴走トラックが突っ込んできて」そっちかよ!!
「今年はひとりぼっちのクリスマスにさよならできますように」僕は祈った。だが結局、誰も現れず、さびしく床に就いた。深夜、僕のフトンにすべり込む白い肉体。きめ細かい肌の温もり。夢中で豊満な乳房を揉みしだく。乳首を舐め、首筋をたどって唇へ。え?白い髭がこそばゆい。
ついに本物のサンタクロースが発見された!「サンタさんの絵を描こうとおじいさんいっぱい集めたら、その中に本物のサンタさんがいたんです。ギョギョッビックリでしたぁ~」発見したのは、絶滅したはずのクニマスを発見した、あのさかなクンでした。さかなクン、おてがら!!
25日の朝。「やったぁ!スピノサウルスのフィギュアだ!」「あたしのは夢ねこビーナスだわ!」兄妹二人とも大はしゃぎです。サンタさんにお礼の手紙を書くと言ってききません。「そうね、サンタさんだからフィンランドかな?」「ママ、サンタさん中国だよ。両方ともメイド・イン・チャイナだもん!」
イブイブ深夜、酔って帰った父は夫婦喧嘩の末、テレビを壊してしまった。その年の僕のクリスマスプレゼントはおあずけ。でも25日の朝、両親はなぜか仲よしに戻っていたんだ。テレビなしの一日、喋って笑って過ごした。あれから何年経つだろう、あのクリスマスだけは忘れられない。
イブの夜。贅沢坊や「サンタさん、僕は2台めのPCでいいや、最高スペックならね。あ、無線LANは当たり前だかんね」神の御心は生きとし生けるものに降り注ぐ。フンコロガシの子「××をください」翌25日朝、サンタクロースの故意の配達ミスによってお屋敷から悲鳴があがった。
「明日食べるものにさえ苦労しています。サンタさん、たらふく食えるようにして!」失職中の独身男が震える手を組んで祈る。サンタクロースは彼の願いを聞き届けた。翌25日、目覚めた男の枕元には、朝食・昼食・夕食、一つ星高級レストランのお食事券3枚が揃って置かれていた。
子どものほしい物が何でも見える男がいた。男は一年に一度、それを世界中の子どもに配っている。だがそれが見えない子が一人だけいた。配り終えた男はその子に尋ねる。「おまえのほしいものを教えてくれるかい?」子どもは男に飛びつき白髭に頬ずりした。「サンタさんに会うこと!」
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