そして僕たちのこれからのムラゴンブログ

  • 悔しいけど……日にち薬

    また久々に書こう。 大事な人の死も、日にち薬が忘れさせてくれる。 そんなことを息子の死に際して聞いた時、そんな馬鹿な。一生こんな悲しみから抜けられるか!……って心の底から思った。 でも悔しいけど……それは真実。 逆に言えば、大事な人の死という事実の束縛から脱する方法はそれしかない。 僕もいい環境の仕... 続きをみる

  • 日にち薬では完治せぬ病

    子供を失ってから結構な月日が流れた。 低空飛行ながらも、家族はそれぞれに日にち薬が効いてきた……気がする。 だけど、完治はしない。永遠に。分かっていることだけど…… 世の中に流れてくる悲しいニュース。 子供の無垢な命が失われるたび、自分の子供のことを思い出す。 うちの子供の死も……僕にとっては人生最... 続きをみる

  • 我が家には訪れない春

    息子が通っていた仏教系の高校からもらった香典代わりの高価な線香がそろそろ尽きる。 甲子園で何回も優勝している有名校。 息子も、ブツブツいいながら甲子園の応援に駆り出されていたな。 ……と、ふとそんなことを思いながら、仏壇に向かって手を合わせる。 彼の遺骨はまだ仏壇の横に置いてある。 お寺の住職さんが... 続きをみる

  • たった年間300人の親として

    ボーっとネットを見てたら、一つの記事が興味を引いた。 去年の中高生の自死者が、一気に80人も増えて380人ほどだったという。 少子化で子供が減っていく中、自死を選ぶ子供が増えている。 でも、たったの300人……20000人強の年間自殺者数の中での300人。 一番夢と希望を持つであろう、その年代にうち... 続きをみる

  • 夢の中でやっと逢えた!

    今朝見た夢は、本当に幸せな夢だった。 息子にやっと逢えたんだ。それも長い時間、濃密に。 舞台はウチの能登の実家の部屋。 まるで当たり前のように息子が生きて座っていた。 もう感無量になって抱き締めて、何度もごめんって謝った。 抱きしめて、頭をいっぱい撫でた。 温かかった。生きていた。 たくさん話をした... 続きをみる

  • いっそあの娘を恨めたら

    今日ぼんやり、テレビの刑事ドラマを見ていた。 不慮の事故で幼子を亡くした母親が犯人で…… 事故を起こした相手を殺した殺人事件の話。 涙腺が弱いのか、ぽろぽろ泣いてしまった。 ウチの息子の自殺の引き金を引いたのは、息子の彼女だ。 悪い子じゃないのは分かってるけど…… ネットを禁止にしておけば、彼女と会... 続きをみる

  • 絶望を残して……僕は救えなかった

    テレビのニュースで、取手市のかわいい女の子がいじめで自殺したと聞いた。 担任もグルになってのいじめ……どんなに辛かったことだろうか。 親は助けてあげられなかったんだろうか 世の中に絶望しての、死の決意……本当に気の毒でならない。 ウチの息子は、ちょっと違うんだけど……年上の彼女からのきつい仕打ち。 ... 続きをみる

  • 三回忌を迎える君へ

    早いね。あの日から2年が過ぎた。 あの日の君の『決断』は、正しかったのか……僕には分からない。 ただ、全ての歯車が狂ってしまって…… 君という存在が、家族にとってどれだけ重要だったか思い知らされている。 君の妹は、もうずっと不登校だ。多分もう立ち直れない。 何か書き遺してあげて欲しかったな。 僕とマ... 続きをみる

  • もうすぐ三回忌

    今年もやってくる。あの日がやってくる。 木枯らしが吹く、秋の終わりを告げる季節。 寒風の中、人生で一番泣いたあの日がやってくる。 TVの中では、今日も小6の女の子が自殺か……との報道。 なにも変わらない。変えようとしても変わることはない。 昨日も、今日も、明日も、明後日も……子供たちは自分で命を絶っ... 続きをみる

  • 基本的な解けない疑問を抱いて

    今日も犬の散歩で、尻尾を振って走る犬の背を追う。 追いながら、ふと何度も浮かんでは解けない問いが浮かんでくる。 なんで息子は、死を選択したのだろう。 彼女とのけんかが引き金なのは分かっている。でもそれだけじゃない。 死を選択するには……例え突発的であれ、もっと理由があるはずだ。 高校受験での挫折、そ... 続きをみる

  • 君の名を世界へ~僕が創作を続ける理由~

    さっき、ついちょっと思い立って、自分のHNをエゴサーチしてみた。 眉丈千羽じゃない、メインの活動名だけど…… そしたら海外の人が、僕の作品を紹介してくれてる記事に当たった。 日本語が分からない人にも、一応作品のコンセプトみたいなのは分かってくれてるんだなぁ、と妙な考えを抱きつつ、自分の記事に目を通す... 続きをみる

  • 深まりつつある季節

    また秋が来た。 食欲の秋、芸術の秋…… 世間にとっては楽しい季節だろう。 でもこの季節は、僕にとっては……哀しい記憶を呼び覚ます季節だ。 土気色になった息子の肌。首にくっきりと残る首吊りのあと…… 生まれて初めて乗る救急車。一生懸命心臓マッサージをしてくれる救急士さん。 皮肉なことに、消防署が家のす... 続きをみる

  • 笑顔は玄関の君の写真だけ

    歯車が狂ったまま、家族という車輪は回転し続けている。 娘は相変わらず僕に心を開いてくれようとはしない。 たった数年前までは、笑顔であふれていたうちの家庭。 いまでは誰ひとり笑うものはいない。 笑い声は聞こえるんだ。 居間からのテレビ番組に笑う妻と娘の空虚な笑い。 心からの笑顔は……心からの笑いはもう... 続きをみる

  • 抜け殻……と思っちゃダメなんだけど

    相変わらずの低空飛行の毎日が続く。 なにも良くなったところもなくて、かといって悪くなったところもない。 死んだ子供は帰ってこないし、嘆いたってどうなるもんでもない。 ショッピングモールで見かける幸せな家族、親子連れ…… もう僕には手に入らない至福の時間。 みんな……一寸先の人生が闇かもしれない……そ... 続きをみる

  • 釣れたね、良かったね

    いー君が行きたかった場所。 魚を釣り上げた時のうれしそうな笑顔。 釣竿を持って歩いて帰る帰り道……『パパ、また行こうね』の言葉。 あの日の約束は果たされぬまま。 でも、昨日いー君を連れて、釣り公園に行ってきたんだ。 たくさん釣れたね。 竿は2本出した。僕の分と、いー君の分。 たくさん釣れたね。天気も... 続きをみる

  • もう拳は振り上げられないから

    娘の不登校が続く。 完全なインターネット依存症……になってるように感じる。 出口が見えない…… 当然だろう、もうあの頃の『家族のあるべき姿』はもう手に入らない。 4人の家族の中の1人が死んだ。 そう、それはものすごく大きなこと。 残された3人は、一生言えない大きな傷を負った。 もう心から笑うことも、... 続きをみる

  • 君がいた部屋の窓の向こうに

    いい天気の日々が続く。 いー君の部屋は『あの日』のまま。 なにも増えていないし、なにも減っていない。全てはあの日のまま。 部屋のドアを開けるたび、彼の懐かしいにおいがする。 天気のいい日は換気をしてあげるんだ。 窓の外には、月桂樹の新緑の若葉。 冬の間に、カイガラムシにやられてしまっている枝を、僕が... 続きをみる

  • 君の横には彼はいなくて

    不登校の中学校の娘が、最近子供の時に抱いてたお人形さんと寝るようになった。 幼児返りなんだろうが仕方ない。 いー君が生きていたときは、良く小競り合いがあって泣かされていた娘。 いま、娘の横にはだれもいない。喧嘩する相手もいない。 ただお人形さんだけが、彼女の支えなのかもしれない。 兄妹……この世でた... 続きをみる

  • 増えない君のレパートリー

    君が好きだったカラオケに行く。 そう、君が行く3日前も、パパ……カラオケに行きたい。君はそう言ったね。 時間が遅かったからまた今度行こうね、って言ったけど…… あの時無理して君を連れていけば、運命は変わったのかな。 悩みを打ち明けて、君の話を聞いて思いとどまらせることができたのかな。 いまとなっては... 続きをみる

  • 必要じゃなかったのかな

    遺伝子……DNA…… ふといろんなことを考える。 世の中、必要じゃないものは淘汰されていく。 物事、道具……そして生命。 必要なものだけが選別されて、世の中に残っていく。 僕は生れてはいけなかった命だ。 発生した時点でエラーだった産物。障害者。 そんな僕が、頑張って……健常者に負けないように働いて結... 続きをみる

  • 君の部屋はあの時のまま

    もうどれくらいになるんだろう…… 1年半になるのかな。 息子の部屋は、いまもなおあの時のままにしてある。 今日は天気がいいから、部屋の窓を開けて換気してある。 片付けられるはずがない。片付ける理由もない。 片付けたって、新しい人が使うわけじゃない。 いつ奇跡が起きて、息子が生き返って帰ってきてもいい... 続きをみる

  • ゆがみ ~全てはあの日から~

    全て額膜行かず、ちぐはぐな日々が続いている。 娘は結局3学期、引きこもりのまま終わってしまった。 新学期からどうなるのかもわからない。 まあ……大好きだったお兄ちゃんが、あんな形で死んだら、そりゃ色々歪むよな。 僕は結局、会社にわざと障害を知りつつ苦手な場所を押し付けられ、復職はポシャってしまった。... 続きをみる

  • 家族という名の壊れて止まった時計

    娘の不登校は続いている。 正直手の打ちようがない、厳しくすれば何かあったら困るし。 さりとて、このまま堕落して思い詰めればやはり…… 夫婦ともども正直手が出せない。 でも、この小さな女の子の心をえぐった大きな爪痕を考えると…… 自分も思春期に大好きなお兄ちゃんを失えば……たぶん正気でいられないと思う... 続きをみる

  • 前向いて立ちあがってんじゃねえ

    ちょっと息子の生前の彼女のツイッターが気になったので、のぞいてみた。 息子とのおそろいのアクセサリーの画面が、ゲームの画面に変わっていた。 分かってる…… 彼女もいつかは息子を忘れて、前を向かなきゃいけないってことを。 でもな……でもなぁ。 まあ1年ちょっと……ちょうどいい時期なのかな。 当然僕らは... 続きをみる

  • 全力で笑えているのかな

    あっという間に年末…… テレビのバラエティ番組が充実してきた。 階下のリビングから、妻と娘の笑い声が聞こえてくる。 いいこと……なのかもしれない。 悲しみを忘れる事が出来ているのなら。 たった一瞬でも……あの日の事を忘れられずにいられるのなら。 君が居なくなった家。 何かが欠けてしまった家。 少しで... 続きをみる

  • 止まらない止められない連鎖

    あんまり暗いこと書いてても仕方ないので、少しこの場から離れていた。 家庭は少しずつ、彼の掛けた日常に慣れ始めている。 僕もまた、なんとか障害を引きずりつつずっと生きている。 知らないうちに、沢山の新しい人のブログが生まれている。 それぞれがものすごく悲しい物語。 それが止まることなく、新しくどんどん... 続きをみる

  • 狂ったままの歯車

    ずっと体調が思わしくない。 妻も何か憔悴しているような感じがする。 娘の不登校状態は続いている。 あることがきっかけで、何もかもがうまく回らなくなっている。 家族が一人欠けること……ものすごく大きな意味があるんだな、と思う。 正直自分も立ち直れない。立ち直れるほど強くない。 ふさぎ込む娘に掛ける言葉... 続きをみる

  • 潰えた沢山の名前と沢山の物語

    昨日は自死者の合同法要に行っていた。 去年と同じく素晴らしい法要だった。 自死に向き合う関西僧侶の会の皆様には、本当に感謝したい。 もちろんのこと……息子に会えるのでは、と思ったけどやっぱり霊感もないしダメだった。 でも、法要開始時に、消えるはずの無い電燈が一瞬消えたり…… 法要の終わりに、自死者の... 続きをみる

  • 蒙古斑

    日付が変わった。 今日は自死に向き合う関西僧侶の会の方々が開いてくれる、自死者の合同法要の日だ。 思えばもう1年になる。早かった。 思い切り泣いてこようと思う……最近自分の気持ちを吐き出す場所が無かったから。 ふと息子の事を思い出していたんだ。 彼が死に踏み切る数日前…… 彼がカラオケに行きたいと言... 続きをみる

  • また君に逢えたら

    ことしも、自死に向き合う関西僧侶の会の皆様が開いてくださる法要に来週参加する。 去年はまだ子供を失ったばかりで、ゆっくり考える余裕がなかったけど。 ある研究のお手伝いをした僧侶の方の話では、法要中に沢山の自死者の人が姿を見せてくれるんだとか。 霊感のない僕には解らないけど…… でも、会える気がするん... 続きをみる

  • 君が居なくなって1年

    日付が変わった。 今日で1年になる。 色んな事を考え、悩み、迷い、生きてきた。 あの悪夢の日からもう1年が過ぎた…… 嘘であって欲しい。 息子がいなくなったなんて嘘であって欲しい。 そう思っている自分がある。 でも、すでに出された結果は覆らない。それは痛いほど分かっている。 これまで子供と過ごした1... 続きをみる

  • 湧きあがる黒い感情

    どうしてだろう…… 自分の中には、2つの自分がいる。 近所の……街角の……母親に連れられた小さい男の子。 それを見て優しく温かい心になる自分。 子供が元気な親が憎い……湧きあがる黒い黒い感情。 もちろん後者の方の気持ちを認めちゃダメなのは分かっている。 でも、うらやましいんだ。 生きている男の子を育... 続きをみる

  • 勝手に回り出す日常の歯車

    いー君がいなくなって、もうすぐ1年だ。 それなりに僕たちは落ち着きを取り戻し、日常の歯車を回し続ける。 『恋人と親は悲しむが、3日とたてばもと通り』 ……そんな歌があったな。生きてることが辛いなら……だ。 3日は大げさだけど、彼が最初からいなかったかのように…… 日常の歯車は非情に回り続ける。 これ... 続きをみる

  • 君の望みをかなえに行くよ

    『パパ、面白かった。また連れてきてな』 大きな魚が釣れた時の君の笑顔、夕暮れの中を歩く僕たちの姿。 海に行こうって約束してたよね。またこの釣り場に来ようって。 あんなに楽しみにしてたはずなのに…… 約束守れなかったね。 仕方ないよ、君がいなくなってしまったから。 でも、行こう。 水曜日、君の遺骨ペン... 続きをみる

  • 2カ月後……きっと君に会えることを信じて

    そういえば、今年も自死に向き合う関西僧侶の会の皆さまが、12月に法要を執り行ってくれるそうだ。 今年も出席しようと思う。 法要を行ってくださった、1人の僧侶の方とじっくりお話しする機会があった。 その方のお話では、複数の方から『会場に亡くなった方々が沢山帰ってきておられるのが見えた』との参列者の人た... 続きをみる

  • 全ての人の魂の戦い

    ここ数日、ちょっと厄介なことになっている。 弁護士さんが動いてくれて、現在はある準備を進めている。 会社関係者が見てるかもしれないから、詳しく書けないんだけど。 あの場所、あの時間、あの空間に僕ははっきりと見えたんだ。 半透明で部屋の隅にたたずむ君。 ものすごく悲しそうに立っていた君。 崇高な魂を穢... 続きをみる

  • 娘の夢~きっとかないますように~

    いま、嫁に娘が本を借りてきた事を起こして聞いたんだ。 嫁にいろいろ話を聞いた。 娘はカウンセラーになりたいという夢を持ったそうだ。 素晴らしいことだと思う。 二度と……お兄ちゃんのような、悲しい最期を迎える人が出ないように。 一人でも多くの人を救えるように。 ちょっと僕は嬉しくなった。 夢を追おうと... 続きをみる

  • 理由を求めて

    娘が、学校から1冊の本を借りてきていた。 『人はなぜ死のうとするのか』 あまり見たくはない本だ……でも、娘は娘なりに、何も自分に書き残さずに逝ったお兄ちゃんの心を知りたいのかもしれない。 もしくは、まさか自分が……いや、そんなことは考えたくもないけど。 でも僕は、娘にその本を読むなと止める権利はない... 続きをみる

  • こんな思いはして欲しくないから

    いまニュースで、夏休み明けの中高生に自殺が多いというニュースをやっていた。 どんな特徴的な前兆があるとか…… ウチのリビングは微妙な空気に…… 僕らに取ったら手遅れなんだけど、前兆に気付いて止めてあげて欲しい。 普通の家庭の人は、でもこんなニュース見ても他人事なんだよね。 まあ、仕方ないのかもしれな... 続きをみる

  • 当たり前に回り出す日常

    みんなきっと心の底では、まだあきらめ切れていない。 妻も娘も…… でも、いー君がいない生活が当たり前のこととして流れ始めている。 今日は僕が留守番、妻と娘はボーリング。 僕はボウリング100点出せないボーイだから、やらない。 でもいー君は、ちょうど去年の今頃、ボーリングに行ってたんだよね。 家にだれ... 続きをみる

  • 4つのどんぶり

    昨日は嫁の帰りが遅かったこともあり、インスタントのカレーうどんにしようということになった。 まあ、味は調整されたものだから悪くない。 でもなんかもの足りない。 ご飯もたいてないし、何か冷凍食品はないかな……と冷蔵庫をあさる。 ふと、視線が食器棚に目が行った。 家族分買った、緑のどんぶり。 3つはリビ... 続きをみる

  • 明日は初盆

    明日は、初盆の日だ。 準備は全部妻がしてくれた。こういうときは本当に頼もしい。 参加するのは、ウチは両親だけにしてもらった。 また嫁の一族が、大挙してやってくるからな。 正直、しんみりした雰囲気で迎えたいんだけど…… また妻の一族でワイワイガヤガヤうるさくなるんだろうな。 もう半年以上がたつのか……... 続きをみる

  • 命を見送る

    昨日は友達と、ちょっと遠出のドライブに行ってきた。 滋賀県の山の中の小さな渓流のそばの村。 せっかくだから、アユの塩焼きがあるから食べてみようよ、ということになったんだ。 店員さんにアユの塩焼きを注文した。 『今、網で捕まえてきたんですよ』 店員さんが、サービスなのか笑顔で言った。 そこには生きたま... 続きをみる

  • 君の選択~17年の延長戦~

    自転車で、いー君が去年の今頃元気に通っていた駅までの道を走る。 僕の通う駅は、地元の高校の子たちも利用するんだ。 手をつないで仲睦まじく歩く高校生カップルの姿に胸が痛い。 でも…… 去年の今頃は、ああやって歩いていたんだよね。 彼女と仲良く……将来も夢に見ていたのかな。 いー君は前にも書いたけど、本... 続きをみる

  • 並行世界の君におめでとうと花束を

    珍しく熱が出て寝込んでいる。 熱でうなされて眠っている間、ちょっとした夢を見た。 見たこともないチャペルでの結婚式の光景…… そこにいた新郎は、まぎれもなくウチの息子だった。 可愛いお嫁さんと一緒に、教会から出てきてみんなに祝福されていた。 とても幸せそうな2人の笑顔…… 周りの祝福の中、僕だけが何... 続きをみる

  • 「しんかんせん」のスプーン

    台所でフォークを探していた僕の目に、懐かしいものが飛び込んできた。 「しんかんせん」のスプーン。 生前、幼稚園時代にいー君がお弁当に使っていたフォークだ。 たぶん気にしなかっただけで、ずっとフォークの棚のところにあったのだろう。 いー君がいつも大切に使っていたフォーク…… 十数年経た今でも、印刷がは... 続きをみる

  • 何も伝えることはなかったのかい?

    いま……初めて気づいた。 遅い……遅すぎる。自分の朴念仁ぶりが嫌になる。 そうなんだ……いー君は、妹になにも書き遺していない。 僕たち両親だってかろうじて3行の遺書だ、それでもあっただけましかもしれない。 妹は……なにも書き遺してもらえなかった。 いー君、あわてん坊だし、余裕がなかったんだよね。 せ... 続きをみる

  • 主なき室外機

    窓の外を自室から眺める。 カラスザンショウの樹と……いー君の部屋のエアコンの室外機。 もうおそらく動くことはない。 主なき部屋のエアコンの、主なき室外機。 いー君は優しい子だったから、電気代がもったいないってめったに使わなかったっけ。 それでよく熱中症になって、学校を休んだんだよね。 いや……分かっ... 続きをみる

  • 百万回のありがとうを君に

    今日はちょっとした本に出会った。 知り合いが教えてくれた青い小さな冊子。 精神科医の先生が書いた、ありがとうは魔法の言葉……みたいな薄い本だ。 ありがとう……幸せです、ありがとう…… 自己暗示をかけるかのように、何度も何度も書き連ねられていた。 そうなんだ忘れていた……哀しさだけでいろんなものを見失... 続きをみる

  • 歌を継ぐもの

    お世辞にも上手と言えないわめき声のような歌が、リビングから聞こえてくる。 いー君の妹の声だ。 スマホを買ってやったから、そこから動画を見てイヤホンをして一緒に歌っている。 いー君も歌が好きだった。 いつもイヤホンをして歌っていたっけ。 妹は正直近所迷惑レベルの下手さなので、なんとかしたいが…… まあ... 続きをみる

  • 梅雨が明けたら釣りに行こう

    パパ、また田舎の港に釣りに行きたい…… 生前のいー君が良くいっていた言葉だ。 うちの田舎の能登半島……そこから先端へ進むと、そこは魚の宝庫だ。 関西では一日20匹釣れたら上出来なのに、人口の少ない田舎だから、港の堤防から水面を見ると、魚影で真っ黒になっており、撒き餌をしようものなら波しぶきが立つくら... 続きをみる

  • 蒼き抜け殻

    僕の寝室は荒れたままだ。 あの時から時間が止まっている。 何せ急な葬式だったから、家の雑多なモノは葬式の時に寝室に全部押し込んだ。 そして、部屋の中には…… まだいー君が中学校の時に来ていた、青いジャージの上下がそのままになっている。 そろそろ手をつけなくちゃとは思ってる。 手をつける……なぁ。 ど... 続きをみる

  • 君が毎日通った軌道の上で

    毎日毎日…… もう何か月同じ電車で同じ場所に通っているんだろうか。 これまでの人生ほとんど自動車通勤だった僕が電車にこれだけ揺られるのは、社会に出たての銀行員の頃以来だ。 心の中で割りきれているはずなのに…… 息子と同年代の子たちを見ると、何となく胸が痛いんだ。 かすかに見覚えのある、通学用バッグ。... 続きをみる

  • 梅雨空と短編小説の君と

    今日の遺族会も有意義だった。 やっぱり、こういう集まりって大事なんだ。 弱音を堂々と吐き出して、沢山の人と分かち合いが出来る場所。 自死遺族と言っても、それぞれの人が、それぞれの物語を持っている。 亡くなった人たちの歩んだ道も、多種多様なんだよね。 それぞれがそれぞれの一生という物語を、書き終えて命... 続きをみる

  • さあ、遺族会へ行こう!

    明日は遺族会だ。 多くの同じ境遇の人たちが集まり、力いっぱい泣ける日。 詳細は会の約束だから話せないけど…… 僕よりとっても辛い人たちが、沢山たくさんいるんだ。 僕は少し……いー君の現実を飲み込めたような気がする。 もうだれにも頼らずに歩いていく力があるような気がする。 でも、伝えたいんだ。 僕とい... 続きをみる

  • もう恋なんかして欲しくない

    夢を見た。 娘が……まだいるはずがないと信じたいけど、台所で彼氏とスマホで話していた。 僕が話しかけると、ムッとした表情で電話を切った……ただそれだけの夢。 でも起きてから、ものすごく怖くなったんだ。 そう……いつかは娘もまた、恋をするということ。 いー君は、恋をしたゆえに死んでしまった。 きっとた... 続きをみる

  • 16時間前の印鑑

    人の明日の生死なんか、誰にもわからない。 どんなにその人を愛し、慈しんだって……生死を何とかするなんて出来ない。 僕たちは……大切な子供をなくすことで、それを学んだようにと思う。 妻が生きて、動いて、話している…… 娘が生きて、動いて、話している…… そして生きたまま今日という一日を終える。なんと素... 続きをみる

  • 誰も悪くないとは言うけれど……

    今日もまた、小さないー君を自転車に乗せて駅まで向かう。 今日もまた、小さないー君を膝に乗せて電車に乗る。 今日も作業所のカウンセラーさんといろいろお話をしていた。 亡くなったいー君の話になって…… 気持ちは分かるけど、決して僕が悪いわけじゃない、誰が悪いわけじゃない……と。 それは、自死遺族の分かち... 続きをみる

  • とっても小さな君を連れて

    電車に乗る時、街を歩くとき…… いつも僕の横には、いー君がいる。 いつも左手を伸ばして、いー君と手をつないでいる。 自転車に乗る時は、いつもいー君を後ろに乗せている。 いま僕といつも一緒に行動しているいー君は、5歳くらいの小さな頃のイメージ。 電車で横が空席の時はちょこんと座ってニコニコしているいー... 続きをみる

  • 一緒に歌おう!

    今日は当分平日はもう休めなさそうだから、フリータイムのカラオケへ。 もちろん首には、いー君の遺骨ペンダント。 カラオケが大好きだったんだ、いー君は。 好きな歌もよく覚えている。 カラオケボックスに入ったら、まずはいー君が好きだった歌を流すんだ。 そして時々合間に、いー君のよく歌っていた歌を流す。 も... 続きをみる

  • 聞こえなくなった君の足音

    そういえば…… 最近は2階のいー君の部屋から聞こえてくる足音が、めっきり聞こえなくなってきた。 2匹のワンコ達があらぬ方向を向いて尻尾を振りだすこともなくなってきた。 君の気配が薄くなっていっているんだろうか。 僕はこの前自死遺族の研究をしてらっしゃる、某大学の助教授さんのところへ協力に行った際、い... 続きをみる

  • 君がいない、当たり前に流れゆく時間

    決して忘れているわけじゃない。 決して悲しくなくなったわけじゃない。 僕、妻、娘、そしてわんこ2匹…… いー君の姿が見えない空間が、徐々に当たり前の様になっている。 みんな普通にそれぞれの時間を過ごし…… 時々リビングに掲げた、君の大きな写真を見上げては静かに微笑む。 君の姿はない。 でも、君は間違... 続きをみる

  • 瞬時に堕ちた君、抗う僕のコピー

    なんでこんな動画見ちゃったんだろう…… でも見ずには居られなかったんだよね。 youtubeで、首を吊った男の子の動画を見た。 本当は忌避すべきかもしれないんだけど。 こういう場だから詳細は避けよう。細かいところまでは書かない。 でも、僕の大切な子供が…… 見つけたときには横たわって土気色になってい... 続きをみる

  • 君に本当は言ってほしくて

    今日は僕の誕生日。 去年の今頃からは、創作に声優さんを起用するようになってから一気に人脈が増えた。 午前0時と同時に、沢山の人からのおめでとうのメッセージ。 本当に嬉しいんだ。 やっぱりたくさんの人から祝福されるのは…… でも、肝心のいー君がいないのがさびしくて…… 君の不器用なおめでとうが欲しかっ... 続きをみる

  • 明日を気にせず生きれる世界

    昨日は、ちょっと早いけど月命日でお坊さんにお経をあげに来てもらった。 大きいお寺だから、来てくれるお坊さんはその時スケジュールが空いているお坊さんが来てくれる。 昨日は住職さんだった。 息子が死んだときに来てくれて、それ以来。 お経が終わった後、少しお話させてもらう。 お子さんが無くなったことはとっ... 続きをみる

  • 少しの時間だけど『君』でいてほしい

    いつもと変わらぬ、京都発奈良行きの快速電車。 僕は窓側の席をとり、電車の発車を待つ。 夕方4時だ……一人で2人掛けの椅子に座れないことは分かっている。 毎日いろんな人が座るんだ。 外国人の人、年配の男性、妙齢の女のひと。 もう誰でもいいんだ。興味とかそういうの無くなっちゃった。 シャカシャカシャカシ... 続きをみる

  • 妻の横顔

    ずっとここまでは、いー君と僕とが向き合うだけの世界…… 心に余裕がなくなっていたように思う。 最近になってようやく少し回りが見えるようになってきた。 最近妻の横顔を眺める時間が増えた。 どんな気持ちなんだろう……最後のSOSをスルーして死なせてしまった気持ちって。 たぶん悔いても悔いきれないんだろう... 続きをみる

  • 君はきっとそこにいるから

    もうすぐいー君が逝って半年になる。 ものすごくこの半年……とっても長くて、そしてとっても早かった。 一生癒えない心の傷だけど……ちょっとだけ冷静にいろいろ考えられるようになった。 朝、新聞を取りに行ったときに、ふとあるものが目に入った。 僕たち家族全員の名前と住所が入った表札の銅板レリーフ。 もちろ... 続きをみる

  • 子供がいなくなった子供の日

    ちょっと所用があって、近隣の大きなショッピングセンターに行ってきた。 子供の日……いつも、こういうところにいー君たちを連れてきてやっていたっけ。 周囲を楽しそうに笑いながら、親子連れが歩いていく。 かつては僕たちも、そんな時代があったんだ。 無尽蔵の家族で過ごす時間があると思っていた。 無尽蔵の笑顔... 続きをみる

  • 時計が止まった洗面所にて

    たぶん家族のみんなはみんな気づいてる。 気が付いているけど、誰も言わない。 錆ついたままの時計の秒針には、誰も手をあえて触れない。 『あの日』から、洗面台の横の棚には彼のパジャマと着替えが置きっぱなしになっている。 無論、いつまで置いていたって、着替える主はいない。 それでもそのまま、服は置いたまま... 続きをみる

  • 立ち止まって雨に濡れて

    長い長い悲しみという大雨の時期は終わった。 再び太陽が顔を見せ、遺されたものは少しずつ日常を歩みだす。 太陽に照らされた道を歩いていこう。 僕たちの過ぎた道に黒雲はとどまっている。 歩かなきゃ…… 前に進まなきゃ…… でも分かってる。当たり前のことなんだ。 終わらない雨はない。 そして、終わらない晴... 続きをみる

  • たくさん周りに落ちている『ごめんなさい』

    朝、駅へ向かう朝日を浴びた道で。 たくさんの人種渦巻く、京都駅の雑踏の中で。 僕は相変わらず、いー君に対して『ごめんなさい』をたくさん呟いている。 いー君からも僕たちに対して、『ごめんなさい』がたくさん聞こえてくる。 こんなはずじゃなかったのに。 こんなはずじゃなかったのに。 家族が家族として、当た... 続きをみる

  • いつか来る着信のために

    娘が中学校入学。早いもんだ。 いー君の時は、さんざんもめたが……スマホを買ってやることにした。 もう正直なところ、勉強ができるとか成績が下がるとか……そんなことはどうでもいい。 生きてくれさえいてくれればいい。 堕落しようと、荒れようとも……娘にはずっと放恣のままでいいから生きてほしい。 とにかく生... 続きをみる

  • たくさんの悲しみはあるけれど

    最近少し落ち着いてきたような気がする。 酷薄なわけでも無神経なわけでもない。少し割り切れてきた。 悪魔に魂を売ったって、いー君は生き返らないということ。 そんなことしたって、いー君は喜ばないこと。 いつまでも泣いていたって、いー君は生き返らないってこと。 いつまでも泣いていたって、いー君は喜ばないっ... 続きをみる

  • 君の妹の入学式

    昨日は娘の入学式だった。 彼女の晴れ姿……いー君はちゃんとどこかで見ていてくれたよね。 まさか思ってもいなかったんだよね、君がいなくなってしまうことなんか。 生意気な態度をとる妹を、ときどき君は叩いて泣かせていたっけ。 そのたびに怒られ役にしてしまって、ごめんねいー君。 君の大切な妹は、もう中学生に... 続きをみる

  • 日の当たる眠るべき場所

    今日は復職訓練はおやすみ。 息子の月命日のお坊さんの手配をお願いするついでに、お寺の納骨堂の見学をさせてもらった。 大きなショッピングモールに隣接した、古い大きなお寺のビルの中に、納骨場所はある。 今すぐに納骨というわけじゃないけど、100万円で永代供養だし、どこかでお願いしなきゃならないからね。 ... 続きをみる

  • 僕たちがいれたスイッチ

    いー君最後の方は思い詰めさせてしまったのかな……そんなことを感じる。 いまでこそ円満だけど、去年の今頃は夫婦間が険悪だった。 嫁が一方的に僕を無視した。完全無視……家庭状況は最悪。 2月から4ヵ月間……僕が精神病院の閉鎖病棟に入るまで。 理由はものすごくつまらないことだったんだ。 僕が趣味に没頭して... 続きをみる

  • 合流する魂の河

    そうだよね……言われてみれば。 最近自分も、ずっといー君のことで頭がいっぱいにならなくなった。 僕たち家族も、少しづつ日常を取り戻しつつある。 やらなきゃいけないこと。乗り越えなきゃ前に進めないこと。 僕たちの中で止まっていた4か月の時間は、あまりにも長かった。 忘れたわけじゃない。愛さなくなったわ... 続きをみる

  • 動き出す……新しい形

    ここ最近、少しずつ家族のみんなが立ち直ってきた。 ちょっとした笑いが起きるようになった。 笑いに包まれる時間も増えてきた。 ……みんな、いー君の死を忘れたわけじゃない。 みんなそれぞれに、彼の死を解釈して飲み込んで……新しい未来に歩き始めているんだと思うんだ。 いー君は、家族がみんなでいるリビングに... 続きをみる

  • 君が好きだったあの場所へ

    明日は一日フリーになったから、早起きできれば、いー君が生前好きだったカラオケボックスに連れて行ってやろうと思うんだ。 英語の歌が得意で、いつもどや顔で歌っていたいー君。 いまは彼はマイクを握れないけれど…… でも、カラオケで彼が好きだった歌を流してやるんだ。 いつも3時間パックの終了時間を気にして歌... 続きをみる

  • 君の横顔

    ここ数日、ずっと寝込んでしまっている。 1日で立って動けるのは、6時間あればいい方。 ずっと眠りに就いているから、沢山の夢を見る。 リビングのいつもの座イスに座っているいー君がいた。 なんか、こちらを見ずにずっと憮然とした表情で、リビングのテレビを見ていた。 やっと逢えたのに、僕の言葉には一切答えて... 続きをみる

  • 君が思い出になる前に……

    もう歌手名も忘れたけど、運転中、信号待ちの右側のレーンからスピッツの『君が思い出になる前に』……が大音量で流れてくる。 車の窓を全開にして、大音量で……マナーが悪いドライバーだなと並行しつつも、なんかいろんなことを思い出して、涙が自然とこぼれてきた。 この曲……僕が昔乗っていた車でよく流していたんだ... 続きをみる

  • 立ち上がることが苦しくて

    ここ数日、熱を出して伏せっている。 ずっとへんな時間に目覚めては、再び眠りに落ち…… そして目覚めてすぐ忘れてしまうような夢を見る。 どんなに長く眠っても、全然いー君に会うことはできない。 自分の心を奮い立たせて、前向きなことを言ってみても…… 子供を事故でもなく、自分の力不足で失った事実は永遠に変... 続きをみる

  • 冷蔵庫の一角を占めるもの

    今日になって気付いたことがある。 冷蔵庫の一角にまったく減ることのないものが存在している。 缶のチューハイだ。 僕は下戸だからアルコールは駄目なんだけど、嫁は仕事から帰ってくると、いつも嬉しそうにチューハイを飲むことが楽しみだったんだ。 でも…… 『あの日』から、一本も減ることはない。 そうなんだ。... 続きをみる

  • 自然に君はここにいるから

    今日は本当はいつもお世話になっている、京都の自死遺族会の分かち合いの日だった。 ちょっと悩んだんだけど…… 今日はいかない、という選択をしたんだ。 自分の子供の死を、まだ受け入れ飲み込み切れていないのに、ほかの人の辛い記憶を聞くことは辛いと言えば辛いんだよね。 自分の想いを吐き出せる機会を逸したこと... 続きをみる

  • 君が紡いだ美しき短編小説

    今日も寝たきり。立ち上がることさえできない。 ASD特有の虚脱症状なのは分かっている。人並みに何か一生懸命になると精神力の燃費が悪いから、必ずこうやって魂が抜けてしまう時間が来るんだ。 時計がどんどん時を刻み、意識を失っては起きて、動かなきゃ……と思いながらまた意識を失う。 リビングのソファに飾られ... 続きをみる

  • 届かなくて 聞こえなくて

    ここ数日、また寝た切りが続いている。 ちゃんとそばで見てくれていることは分かっているんだ。 でも、手を伸ばしたって君を抱きしめることができない。 話しかけたって、耳には直接君の言葉は届かない。 なんとか前に向かおうとする心だけが空回りして…… 元気な心身の時に比べて、数時間たっているだけで1日の体力... 続きをみる

  • 新しい家と、走り回る君

    今日ぼんやりと、いまの家に来た最初の日を思い出していた。 うちは本来新興住宅地の中に建っていた、モデルハウスだったんだ。 僕らがの家の区画だけが、狭いながらも庭がある分、縦に車を2台止めなきゃいけない変形の駐車場になっているんだ。 モデルハウスだから、他の家より玄関の証明とかがオシャレになっている。... 続きをみる

  • 君のおみやげ

    いー君の小学校の時の修学旅行は、伊勢志摩だった。 いまも……僕の寝室のテレビ台の上には、いー君の伊勢志摩のお土産が置いてある。 『いつまでも元気でね お父さん お母さん』 ……と人形の入った、小さな置物。 見るたびに、胸が締め付けられる。 買ってきたときといまとでは、その意味合いは違うから。 いつま... 続きをみる

  • 副機長を信じよう

    思えばあれから、乱れていた心が少し安定してきたかもしれない。 むかし主治医だった先生が、いい言葉を言ってたのをこの前思い出した。 人間の身体っていうのは、飛行機の機体みたいなものだ。 それを心という『パイロット』が操縦している。 機体はほとんどが、画一的だけどみんなそれぞれの機体に、『クセ』を持って... 続きをみる

  • やっと逢えたね!

    昨日の夜……とっても嬉しいことがあった。 夢の前後はわからないけど…… 僕たち家族全員で大笑いしているシーンだった。 (こんなに心の底から笑ったの……いつ以来だろう) とっても心が幸福感に満たされていたんだ。 楽しくて……楽しくて…… 嫁も娘も心の底から、笑っていた。 そしていー君も、心の底から笑っ... 続きをみる

  • 君が通った真っ白な道を

    朝7時。 今日もいー君が乗っていた自転車に乗って、駅へと向かう。 いー君が学校へ行くために毎日通った、人気のない朝の光を浴びた真っ白な道。 辛い時もあったよね。希望に満ちあふれた日々もあったよね。 僕が君が去年の今頃感じていた、朝の光る風を同じように受けている。 本当に素直で、まっすぐな子だった。 ... 続きをみる

  • お弁当ごちそうさま。

    どんな気持ちで食べたんだろうな…… お昼休み、昼食の時間。 いつもと変わらない、嫁のお弁当。 結婚してから18年。いつもと変わらないおかずの編成だ。 とりあえずローテーションでハンバーグとかいろいろ詰めてあって。 そして、余ったスペースをブロッコリーで埋め尽くす。 たぶん、いー君への高校時代のお弁当... 続きをみる

  • 振り向けばいつでも君はいて

    もう3月…… いー君がいない月日はどんどん流れていく。 あの動画を思い出して、時々見ることで…… いまは少し割り切れるようになった気もする。 振り向けば、いつも君は笑顔で手を振っていてくれる。 別に遠くに行くわけじゃない。いなくなるわけじゃない。 今日もうちのリビングは平常運転…… わんこが走りまわ... 続きをみる

  • 確かに……ここにあったもの

    いままで、全然気がつかなかった。 ツイッターの息子の彼女のアカウントのヘッダー画面。 ヘッダー画面って、自分のアイコンとはまた別の背景写真みたいなもんだ。 自分の大切な写真や画像を置く場合が多いんだよね。 僕だったら、僕が作った鬼太郎の目玉の親父の絵。 本当は、この絵を自分を自分の人生最期の投稿にし... 続きをみる

  • WALKING TOUR

    僕が若いころ見て、心に残った動画。 そして、自分がいまの様な心の時に思い出した動画。 大切な子供を失った人…… 大切な愛する人を失った人…… この動画を見てほしいんだ。 https://www.youtube.com/watch?v=SRVFNGVnJWY 僕がこの動画に出会ったのは、パソコンのイン... 続きをみる

  • ひよこのお姫様に託した夢

    いま、いー君が最後まで夢を託していた彼女のお絵かきを、リアルタイムで見ながら彼女の声をきいている。 ツイキャスって言うのか、便利な世の中になったもんだ。 描いてるところを見てるけど、うまいもんだ。 いー君の学校の授業で書いた人生の夢は、『彼女に一生自由に絵をかかせてあげたい』 だったんだよね。 そし... 続きをみる

  • 撓んでいく運命の輪

    僕と妻が作った、一つの大切な命。 その一つが壊れたことにより、沢山の人の運命が変わっていく。 死に向かって突き進む人が、見落としてしまう大切なこと。 それは、遺されたたくさんの人たちの運命をも変えていくこと。 今日……息子と付き合っていた女の子が、学校を退学したと聞いた。 いー君と出会い、未来を誓い... 続きをみる

  • 小さな君の瞳には

    今日は、障害者職業訓練はおやすみ。 久しぶりにゆっくり寝ていられる。 リビングから、妻の怒鳴り声と娘の泣き声。 寝坊したか学校に行きたくないか……なんかゴネているみたい。 娘にとって、お兄ちゃんはとっても大切な存在だったんだ。 僕には弟がいるけど、15歳くらいから、たったの一言もしゃべっていない。 ... 続きをみる

  • 天まで届け、カラスザンショウ

    今日はまだ風は肌寒いけど、暖かい日差しが一日中降り注いでいた。 ベランダへと出てみた。 僕の部屋と、いー君の部屋はベランダをはさんで隣同士。 『あの日』のままで、あえていー君の部屋の時間は止めてある。 いー君が、ずっとのんびりお昼寝ができてくつろげるように。 ベランダの外では、また大きな庭の一本の樹... 続きをみる

  • # シニアライフ
  • # ハンドメイド
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