• 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・16

    《おわりに 愛着を軽視してきた合理主義社会の破綻》 ・この数十年、社会環境が、愛着を守るよりも、それを軽視し、損なう方向に変化してきた。 ・効率的な社会において、人間の根幹である愛着というベースが切り崩されることによって、社会の絆が崩壊するだけでなく、個々の人間も生きていくのに困難を抱えやすくなっている。合理主義に基づく社会の再構築は、みごとに失敗し、もっとも致命的な破綻を来しているのである。その

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・15

    2 いかに克服していくか ⑴安全基地となる存在 ・愛着の原点は、親との関係で育まれる。愛着障害は、そのプロセスで躓いている。それを修復するには、親との関係を改善していくことが、もっとも望ましい。 ・しかし、親の方も不安定な愛着の問題を抱えていることも多く、子どもに対する否定的な態度を改めようとしない親もいる。 ・何が起きているのかを説明し、ボタンの掛け違いを気づかせる第三者が必要になる。 ・その第

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・14

    《第6章 愛着障害の克服》 1 なぜ従来型の治療は効果がないのか 【難しいケースほど、心理療法や認知行動療法が効かない理由】 ・「心理療法」「認知行動療法」で効果が得られにくいのは、「愛着障害」という観点が 導入されていないからである。 ・愛着障害や不安定型愛着に対する治療は、未発達の分野である。治療者の一部を除いて、認識も経験も乏しい。問題意識もない。 【精神分析が愛着障害を悪化させるのは】 ・

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・13

    《第5章 愛着スタイルと対人関係、仕事、愛情》 1 安定型愛着スタイル 【安定型の特徴】 ・安定型の第一の特徴は、対人関係における絆の安定性である。自分が愛着し信頼している人が、自分をいつまでも愛し続けてくれることを確信している。自分が困ったときや助けを求めているときには、それに必ず応えてくれると信じている。  ・もう一つの特徴は、率直さと前向きな姿勢である。人がどういう反応をするかということに、

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・12

    《第4章 愛着スタイルを見分ける》 【愛着スタイルが対人関係から健康まで左右する】 ・それぞれの愛着スタイルは、「作業モデル」と呼ばれる行動のプログラムをもっている。それは、幼いころからこれまでの人生のなかで作り上げられてきた、行動や反応の鋳型であり判断基準である。 ・このプログラムの特異な点は、心理学的な解釈や行動選択に関わるだけでなく、ストレスに対する耐性のような生理学的な反応までも左右し、健

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・11

    【自分を活かすのが苦手】 ・不安定愛着型の子どもは、自分の可能性を試すことについて、過度の不安を感じたり、投げやりで無気力になったり、最初から諦めていたりしがちである。その結果、自分の可能性の芽を摘んでしまうことも多い。 ・愛着障害の人は、自分の潜在的な能力を活かせていないことが多い。 【キャリアの積み方も場当たり的】 ・回避型や不安型の愛着を示す若者の場合、キャリアの選択がなかなかできず、かとい

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・10

    【発達の問題を生じやすい】 ・子どもは愛着という安全基地があることで、安心して探索活動を行い、認知的、行動的、社会的発達を遂げていく。愛着は、あらゆる発達の土台でもあるのだ。愛着障害があると。発達の問題を生じやすい。 ・安定した愛着の子どもは、自分一人では手に負え合い問題に対して、助けを求めたり、相談したりすることがスムーズにできる。しかし、愛着障害があると、自力で対処しようとして極限まで我慢し、

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・9

    《第3章 愛着障害の特性と病理》 【愛着障害に共通する傾向】 ・愛着障害には回避型と不安型のような正反対とも言える傾向をもったタイプが含まれるが、その根底には、大きな共通点がある。 ・愛着障害は、素晴らしい能力とパワーをもっている。 【親と確執を抱えるか、過度に従順になりやすい】 ・親との関係をみるうえで重要なのは、愛着に問題がある場合、親に対する敵意や恨みといったネガティブな感情、あからさまな確

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・8

    【親の愛着スタイルが子どもに伝達される】 ・「親の不在」「養育者の交替」といった問題のないふつうの家庭に育った子どもでも、三分の一が不安定型の愛着パターンを示し、大人のおよそ三分の一にも、不安定型愛着スタイルが認められるのはなぜか。それは、親の愛着スタイルが子どもに伝達されやすいからである。 ・母親の愛着スタイルと子どもの愛着パターンは密接に関係し、母親が不安定型の愛着スタイルをもつ場合、子どもも

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・7

    《第2章 愛着障害が生まれる要因と背景》 【増加する愛着障害】 ・子どもの数が減り、一人ひとりの子供が、手厚く大切に育てられているはずの現代において、愛着の問題を抱えた子どもだけでなく、大人までも増えているという現実がある。 (虐待、育児放棄、境界性パーソナリティ障害、依存症、過食症、「草食系男子」) ・愛着の問題を抱えている子どもだけでなく、大人までが、この社会にあふれているという事実は、何を意

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・5

    【ストレスと愛着行動の活性化】 ・何か特別な事態が生じて、ストレスや不安が高まったときには、「愛着行動」が活発になる。それが健全な状態であり、自分を守るために重要なことである。 ・愛着行動には、さまざまなヴァリエーションがある。(幼い子ども→直接行動、フランクル→愛する人を回想する) ・愛着行動は、ストレスや脅威が高まった状況で、愛着システム(愛着を担う脳内の仕組み)が活性化された結果、誘発される

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・4

    【親を求めるがゆえに】 ・愛着を脅かす、もう一つの深刻な状況は、守ってくれるはずの親から虐待を受け、安全が脅かされるという場合である。この場合、子どもは親を求めつつ、同時に恐れるというアンビバレントな状況におかれる。しかも、親がいつ暴力や言葉による虐待を加えてくるかわからないといった状況は、子どもにとって予測も対処も困難である。ただ「自分は無力で悪い存在だ」という罪の意識や自己否定の気持ちを抱えさ

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・3

    【愛着の絆と愛着行動】 ・いったん、愛着の絆がしっかりと形成されると、それは容易に消されることはない。愛着におけるもう一つの重要な特性は、この半永久的な持続性である。(「母をたずねて三千里」のマルコ少年) ・愛着の絆で結ばれた存在を求め、そのそばにいようとする行動を、愛着理論の生みの親であるイギリスの精神科医ジョン・ボウルビィは「愛着行動」と呼んだ。(「ママ」と呼びながらべそをかく、マルコ少年の大

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・2

    《第1章 愛着障害と愛着スタイル》 【あなたの行動を支配する愛着スタイル】 ・愛着スタイルは、その人の根底で、対人関係だけでなく、感情や認知、行動に幅広く影響していることがわかってきた。パーソナリティを形造る重要なベースとなっているのである。 ・安定した愛着スタイルのもち主は。相手が助けになってくれると信じきっているので、実際にすぐに助けや慰めを求め。それを得ることができる。しかし、不安定な愛着ス

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・1

    《はじめに 本当の問題は「発達」よりも「愛着」にあった》 ・人間が幸福に生きていくうえで、もっとも大切なもの・・それは安定した愛着である。愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格のもっとも土台の部分を形造っている。 ・昨今。「発達障害」ということばが盛んに言われ、それが子どもだけでなく、大人にも少なくないことが知られるようになっているが、この発達の問題の背景には、実はかなりの割合で愛着の問題が

  • コウちゃんの「知的障害は重い」か?

     東京新聞5月27日付け朝刊(19面)に「コウちゃんのクラス」という記事が載っている。「コウちゃんのクラスは、肢体不自由の特別支援学級の七組。在籍児童はコウちゃん一人で。2010年の入学に合わせて新設された。以来深谷教諭が中心となり、コウちゃんの力を伸ばす指導に取り組んできた」とあり、6年間の交流学習、合同学習を通してコウちゃんが、着実に成長した様子が詳しく紹介されていた。中でも、コウちゃんとの交

  • 「自閉症児」の育て方(17) あとがき

    【あとがき】  現代では「哺乳びん」「紙オムツ」「ベビーカー」が育児の《三点セット》になっているようである。親にとっては、甚だ「都合のよい」便利で合理的な用品に違いない。しかし、育児は、それらに頼れるほど《便利》《安直》にできるものではない。子どもを「親の付属物」のように飾り立て、親もまた「スマートでありたい」という風潮はないか。若い親同士がスマホを見せ合いはしゃいでいる、子どもはベビーカーの中で

  • 「自閉症児」の育て方(16) いくつかの留意点(4)

    ⑷ 「自閉症児」(と呼ばれる子ども)の育児は、まず何を措いても、この「対人関係」に注目し、いつでも、どこでも、完全に「できる」ようになるまで、繰り返し「続ける」ことが肝要である。その具体的方法について、『言語発達の臨床第1集』(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館・昭和49年)では、以下のように示されている。(1章 言語発達の臨床 2.人関係を重視した言語臨床 4)指導方針と方法 ⑵人との活動)

  • 「自閉症児」の育て方(15) いくつかの留意点(3)

    ⑶ (5歳頃までの)「自閉症児」(と呼ばれている子ども)の実態を「遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表」(九州大学小児科改訂版)」(遠城寺宗徳・慶應義塾大学出版会・1977年)で評価すると、子どもによって千差万別の違いがあるが、《「運動」に比べて「社会性」「言語」に遅れがある》という特徴は共通しているようである。細かく見ると、「移動運動」「手の運動」に比べて「基本的習慣」「対人関係」「発語」「言語理解

  • 「自閉症児」の育て方(14) いくつかの留意点(2)

    ⑵ 子どもは、「学習」を通して成長・発達する。「学習」とは「学ぶ」ことであり、「学ぶ」とは「真似る」ことから始まる。子どもは生後間もなく《親》と出会い、その《親》とのかかわりを通して、《親》の言動を「真似る」ことによって、成長・発達していくのである。そのためには、《親》を認識し(見分け)なければならない。《親》が、他の事物と違って(自分に安心・安定・満足・喜びを与えてくれる)「特別な存在」であると

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