• 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・46

    ■その他の音声的象徴行動 【要約】  身振りと音声模倣のほかに、重要な二、三の初期の音声的象徴行動がある。これらは、音声模倣と発達的に接続する関係にあり、本格的な言語習得過程の先行条件となるものである。 《半個人的な言語的表示》  それは形式的にだけ言語であり、機能的にはなお個人的な性質の強い象徴行動であり、ピアジェ(Piaget,1945)はこれを“半個人的な言語的表示”とよんだ。 ⑴Lという子

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・45

    ■言語音声の習得(省略) ■オノパトペ 【要約】  “オノパトペ”は、人間の音声以外の音や声(物音や動物の声など)に対する模写的な音声を意味する。オノパトペはその機能において、音声模倣とはかなり違っており、言語獲得以前の子どもの場合には、とくにそうである。  幼い子どもは、音声模倣その他の困難な学習を通じて、言語という集団的記号体系の形式と用法を習熟するのに、多くの時間と労力を費やす。彼らは身振り

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・44

    《音声模倣と自発的使用》 【要約】  上述の問題は、模倣された音声が子ども自身の自発的で、ある程度その場に適合した(意味的な)談話の形成にどのように寄与していくのかという、言語発達問題の核心につながっている。ここには顕現的な音声模倣とその音声の意味的―自発的な使用との発達的な関係だけでなく、観察学習の場合もふくまれている。  岡本(1961)は、Nという女児を追跡観察して、きわめて興味のある事実を

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・43

    《音声模倣と意味》 【要約】  ギョーム(Guillaume,1925)は、音声模倣はその音声が子どもにとって意味ないし意味の縁辺を伴っているときだけ生じるのであり、意味からまったく離れた音声の模倣ということはありえないという。レオポルド(Leopold,1939)も、自己の追跡観察を基礎として、模倣される音声は意味の理解できるものに限られていると述べ、ピアジェ(Piaget,1945)も、意図的

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・42

    《同一視説》 【要約】  “同一視”とは、他者と自己を混同することをいう。精神分析の創始者フロイト(Freud) は、親に対する子どもの同一視が人格の基本要因であることを主張し、その後の人格理論、社会心理学、さらには学習理論をふくむ行動理論に大きな影響を与えている。フロイトの場合には、同一視を、愛着に原因するもののほかに、攻撃に原因するものと防衛に原因とするものに分けたが、今日の多くの理論が愛着的

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・41

    ■音声模倣の機制 【要約】  語の形成は、喃語活動にふくまれる音声の自然の固定化によって達成されるとは考えられない。幼児は、必要な語を形成するさいに、新しい音声を習得する必要がおこってくる。さらに、多くの異なる音声を組み合わせて作られてくる反応を習得する必要があるが、これは模倣以外の方法で達成されるとは考えられない。  音声模倣の機制については、大きく分けるとつぎの二つの説になろう。一つは、音声模

  • 五歳女児の「叫び」

     《ママ、もうパパとママにいわれなくてもしっかりと じぶんからきょうよりか もっともっとあしたはできるようにするから もうおねがいゆるしてゆるしてください おねがいします ほんとうにもうおなじことしません ゆるして》  上の文は、両親に虐待死させられた(殺された)5歳女児の「反省文」である。ママは25歳、パパは33歳、女児が必死で「ゆるして」と叫んでいるのに、この両親は許さなかった。・・・だから、

  • レビュー:【通関士過去問題集 2018年版】その1

    毎日1か月以上毎日勉強し、やっと全体が見えてきて今が一番楽しいときかもしれません。その分、参考書や問題集が「解説不足」と感じることも多くなってきます。課税価格の計算問題で、どれを加算すべきか加算すべきでないか、このあたりが自分が正確に理解できてないところです。特に「金型」についてです。 外国へ金型を無償で送ってものを製造してもらって、それを輸入する場合、課税金額に当然ながらその金型代金(金型の取得

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・40

    《連続発達説》 【要約】  音声模倣の発達が連続的だとする見解は二つに大別することができる。一つは、音声模倣が出生後きわめて早期から認められるとする見解であり、もう一つはほぼルイスの第3段階から生じるとするものである。  前者に属する連続発達説はピアジェ(Piaget,1945)によって代表される。彼は生後ほぼ2ヶ年間の感覚運動期における模倣の漸次的で連続的な発達を認めている。感覚ー運動期の六つの

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・39

    ■音声模倣の発達過程 【要約】 《音声模倣の開始期》   音声模倣は0歳2ヶ月から早くも始まると(Hoyer and Hoyer,1924;Lewis,1951;Stern u.Stern,1907)があるかと思うと、0歳9ヶ月~0歳10ヶ月になってはじめて音声は模倣されると(Darwin,1889;Delacroix,1924;Guillaume,1925)もある。 《非連続発達説》  開始期に

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・38

    3 音声模倣 【要約】  言語習得がとりわけ音声模倣に依存していることはいうまでもない。言語発達が学習現象であるといわれるおもな理由の一つは、それが音声模倣を経てはじめて達成されるというところにある。  擬音あるいは擬声(オノマトペ)もまた、一種の模倣音声であるが、言語的ではない点で、言語的な模倣音声と区別され、この両者の発達的な連関を調べることは興味がある。  最後に、音声を用いる初期象徴行動の

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・37

    《発達的連関についての諸説》  大きく分けると三つの考え方があるようである。  第一は、音声と身振りとの間に連関は認めるが、相互の経験的な因果関係を問題にしない立場である。音声がもともと、人間においては行為を伴い、両者が生得的に密接に結合していることは認めるが、この2種の反応のもたらす結果から経験的に音声の効果がすぐれていることを知るために音声が優位になるとは考えず、人間ではもともと伝達の手段とし

  • 萩生田氏発言の《波紋》

     東京新聞5月31日付け朝刊(6面)に、《「赤ちゃんはパパよりもママ」「育児を知らない」「時代錯誤」・萩生田氏発言 波紋》という見出しの記事が載っている。  「赤ちゃんはパパよりママなのか-。自民党の萩生田光一幹事長代行(54)が講演で、母親による育児が前提の子育て論を展開し、波紋を広げている」という書き出しである。「萩生田氏の発言要旨」を私なりに要約すると、以下の通りである。 ①(ゼロ~2歳の乳

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・36

    ■身振りと談話 《音声的伝達の利点》 【要約】  音声による伝達の基本的特徴はつぎのようである。 ⑴聴覚刺激以外の感性刺激は、空間性ないし対象性が比較的大であるが、聴覚刺激はその時系列性ないし線状性のゆえに、事象の記号として、事象とそのものと区別がつけやすい。⑵聞き手が聴覚刺激源に対してとっている方向にかかわりなく効果が生じる。 ⑶聴覚刺激は他の感性刺激と同時に与えられても、それらと混同されたりそ

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・35

    ■身振りによる伝達の限界  身振りで非現実事象を表示することは可能であるが、音声行動と比較すれば大きな制約がある。そのおもな理由としてつぎの三つをあげることができる。 ⑴大部分の身振りは、それが行われる事態に依存して表示の一義性を達成する。 ⑵身振りで高度に抽象的な事象を表示することができない。 ⑶身振りの単位は言語の単位(語)と同じではなく、談話と等価の単位である。個々の身振りは文や句のように連

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・34

    ■自発的身振りの発達 《身振りと“内的言語感覚”》 【要約】  レベス(Revesz,1956)によれば、音声が“内的言語感覚”の影響を受けるようになるとき、音声言語行動が形成される。これと同様に、身振りもこの要因の関与によって、象徴化を開始するという。それは身振りの形ではあるが、一種の“言語的行動”である。レベスは、音声と身振りとが共通の“言語的”基礎に立って発達すると考え、音声と身振りとの間に

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・33

    ■絵画的身振り 《絵画的身振りの意味》 【要約】  他者の身体運動を自己の身体運動で模倣しようとする傾向は0歳10ヶ月~1歳0ヶ月ごろからみられる。子どもの絵画的身振りはこのような人間行為の模写にはじまるようである。この場合、模写の媒体となる身体部位は、はじめのうちは一定せず、相互交換的にある範囲のものが用いられる。たとえば、足の運動を手や身体全体の運動で模写するといったぐあいである。これは子ども

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・32

    ■表情 【要約】  表情は本来、内的・情動的状態の自然的な表出であり徴候であるが、音声言語行動の未発達な時期には、外的事象の表示手段としてもある程度利用される。聾幼児では、音声的手段をほとんどもつことができないために、表情を表示の手段として用いる傾向が強く、急速に発達する。一般に、聴児が音調によって与える影響の多くが、聾児では表情で伝えられるが、その上に、外的表示にも使われる。聴児は音声言語行動に

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・31

    ■提示 【要約】  身振りは、その表示方法の上で2種類に分けることができる。一つは、現前場面に依存せずに、対象ないし事象そのものを模写的にあるいは象徴的に絵画化する仕方であり、もう一つは、現前場面に依存する対象ないし事象を指摘する仕方である。後者の典型的な場合として指示行為があるが、これと同種の行為として“提示”がある。  指でさし示すのではなく、物を実際に手にして、あるいはその物のかたわらへつれ

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・30

    ■指示 【要約】  対象そのものの絵画化を伴わない象徴的身振りの典型的なものとして、指示行為をあげることができる。単に対象に手を伸ばす動作、あるいは注視と到達行為との協応が開始されるのは0:3~0:5であり、比較的個人差はない。はっきり指示の徴候が認められるの行為は0:10~0:11にはじまり、その時期にはかなり個人差がある。しかもそこには到達行為と区別しがたいものがふくまれているのである(Leo

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