• 広島とグラウンド・ゼロ

    私がはじめて広島平和記念公園を訪れたのは、もう30年ほども前でしょうか。 そこには、こんな碑がありました。 「安らかに眠ってください。 過ちは繰り返しませぬから」 かつて、この碑文をめぐって「主語がない。誰が過ちを犯したのか、誰が誤っているのかをはっきりさせるべきだ。」という議論があったのを思い出しました。 はじめてこの碑の前に立ったときに、なぜ主語がないのか、はっきりとわかりました。 この碑の前

  • 急募!クール・ジャパンのクールビズ

    クールビズというのが、おかしな方向に進んでいるように思います。 ビジネスの場の服装である以上、フォーマルな感じは崩さず、なお、自分にも涼しく、人にもさわやかさを感じさせることが必要でしょう。 くだけた服装やリゾートウェアをスーパークールビズというのは、いかがでしょうか。 ジーパンに至っては、工員さんが体を守るため厚手のデニム生地で作ったのです。暑苦しいことこの上もありません。 女性の夏の服装はバラ

  • 渡り廊下の祈り(病棟の七夕)

    2013年7月、私が急な病で入院していた時の出来事です。 東京カベナント教会のブログ「重荷をおろして」に掲載したものですが、七夕を控え、再度投稿しました。入院時の思いのままに、原文そのまま投稿しています。(虎猫)  私が入院しているのは大きな大学病院です。病棟が道路をまたいで建っており、その間を透明なガラスで覆われた渡り廊下がつないでいます。 七夕を控えて、その渡り廊下に幾本もの笹がおかれました。

  • 人生は駅伝

    人生はマラソン? 1人の力で最後まで走り抜くマラソン? そうではない。 私たちは駅伝の選手。 前の世代の人の「たすき」を受け継ぎ、人生の走路を走り、 次の世代に「たすき」を手渡していく。 私たちの世代のゴールを目指して走りぬく。 でも、それは、世の中のゴールではない。 自分の力で及ばないことは、私たちの後の世代に託そう。 そのようにして私たちも前の世代から「たすき」を渡されたのだから。 2017年

  • 明るい高齢化社会―「子育てお助け隊」

     急に歯が痛みだした。困った。夫は出張中。息子はまだ1歳。この町に来て日も浅く歯医者さんの場所も知らない。何よりも息子をどうしたらよいのだろう。 お隣のおばあさんの姿が見えた。 私は、歯が痛いと伝えようとしたが、声も出せないほどの激痛。 うう、と言いながらほっぺたを押さえるのが精いっぱい。 「どうしたの、歯が痛いのね。困ったね。私も今日は出かけるところだったから。でもちょっと待ってね。」 おばあさ

  • 花の招き

    梅雨の楽しみは、紫陽花の花です。 昨日も、散歩の途中、赤青紫に咲いた姿を見ました。 以前は、この時期になると必ず、息子と一緒に京王線沿線の高幡不動の見事なアジサイを見に行きました。 ご近所でも、よく見かけて、まだ小さかった息子が「アジサイ!」と叫ぶと、その家の方がニコニコとほほ笑んでくださいました。 梅雨を見ると、あの可憐な花が、さまざまな色の着物をまとって咲くさまを思います。 ひたむきに咲く姿が

  • 梅雨の宝石

    あなたの涙を私にください。 輝く宝石にしてあげましょう。 宝石に包まれた私を見て あなたの笑顔を取り戻してください。 そして、あなたの笑顔で まわりの人を輝かせてください。 ビルの谷間の紫陽花より 丸の内のビルの一角です。2012年6月に東京カベナント教会ブログ「重荷をおろして」に投稿していたものですが、梅雨入りにあたり、再投稿いたしました。 この写真も詩も、私のお気に入りです。 虎猫

  • 医師の力

    虎猫が、かつてオーケストラのマネージャーをしていたBさんから聞いた話です。  演奏中に突然大きな音。団長のコントラバス奏者が急に意識を失って倒れてしまったのです。大きな音は、団長さんとコントラバスの両方が倒れた音でした。 Bさんがあわてて駆けつけてみると、客席にいたお医者さんと看護師さんが駆け上がって介抱を始めておられました。 うめき声をあげて苦しむ団長さんに看護師さんが懸命に呼び掛け、お医者さん

  • 石の力

    古来、石は戦争の武器としてごく当たり前のものでした。戦場で手軽に調達でき、無尽蔵にあったからでしょう。 少年ダビデは、ひと振りの剣も持たず、主の御名によって、ぺリシテの巨人の勇士ゴリアテを石つぶての一撃で倒します。ミケランジェロのダビデ像のように、革ベルトに石をはさんで振り回し、勢いをつけて投げたものです。  古代ローマの市民軍では、市民が自分のお金で武具を用意しました。お金持ちは馬を養って騎兵に

  • 訓戒の力

    入院していたときのことです。 お見舞いに来ていた小さなお兄ちゃんと妹さんらしい女の子が病室の廊下をバタバタと走っていました。 私は、お兄ちゃんの前で、さっと手を横に挙げてストップさせ、しゃがみこんでお兄ちゃんにそっと言いました。「ここは病院だよ。御病気の人も、おじいちゃんもおばあちゃんもいるんだよ。走らないようにしようね。」 お兄ちゃんは大きくうなづくと、走るのはやめてゆっくりと歩きはじめました。

  • 喜びの力(悪性リンパ腫体験記)

    「悪性リンパ腫です。」 妻と一緒に来るように言われ、診察室で告げられたのがこの言葉でした。 「リンパの癌です。治療法は世界的に確立しています。ただし、再発の可能性の高い病気です。それでも、医学の進歩は日進月歩です。希望を持って治療に取り組んでください。」 入院した時に、同じ病棟の女性の患者に声をかけられました。 「どの薬を使うか、吐き気などの副作用をどう抑えるか、それはお医者さんの仕事。お医者さん

  • 「人事を尽くして天命を待つ」ことの意味

    「人事を尽くして天命を待つ。」 よく聞く言葉です。 この言葉の本当の意味は何でしょうか。 例えば、信仰心の厚い人が「すべてを御手に委ねます」という場面を想像します。 「天命を待つ。」ということでしょう。 しかし、その前に「人事を尽くす」ことが必要です。 人事を尽くして、なお、自分の力ではどうしようもないことを、神様に委ねるのです。 自分の信仰をいわば自慢にし頼りにして「必ず主が助けてくださる」と思

  • 「頑張って」はいけない。

    本当につらい思いをしている人に「頑張って」という言葉はどう受け止められるでしょうか。これ以上頑張りようもない人にとって、心を突き刺す刃となりかねません。 私は中学生になった時、母をがんで亡くしました。 そのとき「お母さんは心の中で生きているんだからね。」と言葉をかけられて、泣きました。励ましの言葉に感動したからではなく、あまりの不快さに耐えられなかったからです。 「震災でボランティアが『あなただけ

  • それでもなお人を愛しなさい。

    それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条 ケント・M. キース (著), Kent M. Keith (原著), 大内 博 (翻訳) この不思議な表題の本を図書館で見つけて、読みました。 何を読もうかと思っている皆さんにぜひ一読をお勧めします。 原題は The Paradoxical Commandments 「逆説の十戒」というべきものです。 高校時代のケント・キー

  • 寄り添う力

    これは、2012年3月生まれて初めて車椅子に乗ったときの体験です。 東京カベナント教会ブログ「重荷をおろして」に掲載していたものです。 生まれて初めて車椅子に乗りました。 急な喘息発作で病院に行きました。地下鉄駅から病院までのわずかの距離もふらふらしながら、本当にたどり着けるか、という感じでした。 病院では診察前にまず検査が必要と言われましたが、私が立つのも困難とみられたのでしょう。 「車椅子を用

  • 新緑の池

    杉並区の善福寺公園は、善福寺池を中心に、憩いの場として整備され、1961年に公園として開園しました。なお名前の由来となった善福寺は江戸時代には廃寺になって現存せず。この地区の地名としてだけ残っています。 昔の善福寺池は、井の頭池(井の頭恩賜公園)・三宝寺池(石神井公園)と並び武蔵野三大湧水池のひとつにも数えられ、 水量が豊富で江戸時代の水道 ・神田上水の補助水源として利用されたといわれています。

  • 思いやりの希望(子供の日に寄せて)

    黒柳徹子さんが「子供の権利 思いやりの心が希望を生む」として投稿された記事があります(2013年5月2日朝日新聞15面「私の視点」)。 抜粋して紹介します。 「世界各地の難民キャンプは不条理だらけでしたが、希望もありました。 コートジボワールのエイズに感染した施設の子供たち 『心配しないでください。絶望はしていません。』 インドの破傷風の少年 『あなたの幸せを祈っています。』」 「私はこれまで行っ

  • 「手遅れ」という言葉はない。

    A さん。ゴールデンウィーク前に失敗をしでかした、と伺いました。 ようやくGWに突入したものの、GW開けに職場に復帰するのが辛い、もうちょっと注意すればよかったのに、もう手遅れではないか。そのように後悔されていると聞きました。 プロフェッショナルには「手遅れ」という言葉はありません。 解決すべき現実があるだけです。 過去を悔いても何も生まれません。現状を冷静に見つめ、いつまでに何をするか、自分だけ

  • いつか菜の花畑で~東日本大震災を忘れない~

    2013年3月、あの日から2年たったときのこと、ちょっと体調を崩して10日間ほど入院しました。 病院で「いつか菜の花畑で」というマンガを読みました。3.11の後の人々を描いた漫画です。 病棟の図書コーナーに置いてあったので、なんとなく手に取って読み始め、あふれる涙に耐えられずにいったん書棚に戻しました。 また忘れがたくもう一度手にとりましたが、やはり読み続けられなくなりました。 三度目、覚悟を決め

  • ガザの洗礼(使徒の働き第8章より)

    私はエチオピアの女王陛下カンダケ様に使える宦官です。 女王陛下の身の回りに仕える官僚は去勢された宦官に限られます。 畏れ多くも女王陛下との関係を疑われてはなりません。また子をつくるものは自らの一族の繁栄を考えて、女王陛下への忠誠を軽んじかねないからです。 私のように家柄も後ろ盾もない者にとって、宦官となることは栄達のためのごく限られた道だったのです。 覚悟を決めてこの道に入り、幸いにも女王陛下のご

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