トルストイの目というのは極めて格別で、詩人と行動家の両面を併せ持った人の目である。「戦争と平和」を読むと、人間をテキパキと区分けしていく実際家と、人間そのものに迫ろうとする詩人とが、そのまま同居している様が見て取れる。 通常の人間では、この相反する傾向は同居できないものだが、トルストイという偉人にお... 続きをみる
トルストイの目というのは極めて格別で、詩人と行動家の両面を併せ持った人の目である。「戦争と平和」を読むと、人間をテキパキと区分けしていく実際家と、人間そのものに迫ろうとする詩人とが、そのまま同居している様が見て取れる。 通常の人間では、この相反する傾向は同居できないものだが、トルストイという偉人にお... 続きをみる
近世日本国民史という膨大な著作を書いた徳富蘇峰の中でも、一番の傑作とされているのが、この「吉田松陰」です。松陰は行動家でしたが、ほとんどの行動は無惨な失敗に終わっています。鎖国の世にアメリカ渡航を企てますが、乗船を断られ、牢獄に入れられます。幕府の重臣に手をかけようとしてやはり失敗し、そのために安政... 続きをみる