• 「樹影譚」丸谷才一 文春文庫

    丸谷才一は先年亡くなりましたが、現代小説家として、通好みの小説ファンが多かった人です。「小説家としては学問があり過ぎ、学者としては想像力があり過ぎる」と言われたほど博識な小説家でした。この小説はまだ女を知らない青年と可憐な生娘との初体験がテーマです。うぶ同士の若い男女の交渉はよく書かれていて、微笑ましくすら感じられます。フレッシュな性愛を描いた小説です。

  • 斑シリーズ 助けてよ。愛しさで気が狂いそう※GL小説

    「だから何であのクソババァがよくて、この私がダメなのよ!!!」  ヒステリックな少女の声に、道行く人々の誰もが肩を震わせ振り返る。  そう、ここは人の行き交う街中。  しかし興奮状態の五月女弦瑠(そうとめゆづる)の目には、そんな人々の視線など映りこむ余地はなかった。  弦瑠の視線はただ一点、自分よりも頭一つ高い身長を持つ、目の前の女性にのみ注がれていたからだ。  女性の名前は、教楽木意織26歳。

  • ラピスラズリの法※GL小説

     瑠璃の名を冠した国がある。  小さな島国ながらも独立国家として発展を遂げ、人々は豊かに平和な暮らしを送っている。  しかしその国には、他国には見られない一種独特の刑罰が定められていた。  死刑執行を、受刑者の一番愛しい者の手に委ねられるのだ。  切なくも美しい光を放つその刑法は、国名に因んでラピスラズリの法と呼ばれた。  此れはそんな瑠璃の国に生まれた、ある恋人達のお話。 「あたしには…出来ない

  • 斑シリーズ 斑歌※GL小説

    「銀も、金も玉も、何せむに、まされる宝、子に及かめやも…かぁ」  春暖定まらぬ三月の日曜日。 「お散歩がしたいの」と言い出した桧野さんに付き合い近くの森林公園に来てみたら、大小沢山の子供達が遊び回っていた。  多人数でボールを追いかけ回す者、少人数でシャトルを叩き合う者、一人でブランコを揺らす者など、子供達の様子は皆それぞれ微笑ましく、見守る大人達を穏やかな気持ちにさせてくれる。  それは桧野さん

  • 赤 い 糸

    偶然が重なり僕らは結婚した 彼女の知人の女性に「あなた達は赤い糸で結ばれたのね」 不幸にも最初の男女の契りの儀式から足を踏み外されたばかりの 女性の言葉は何処となく妙に重みがあった。 女性に慰めの言葉かけるなんて僕らには出来なかった 妻の家族は兄二人姉一人妹一人と未亡人 妻の父は妻が幼いころ海外赴任中に突然家族の元から旅立つ 未亡人は35歳 取り残された未亡人は黙々と働いて 平凡だが幸せだった過去

  • 血塗りの阿修羅像!(版画、落書き!)

    昨日に続いて「ダイビング!」のホラー小説のあきらです。 期末試験習慣で学校も早く帰れるのだが、不良ぐせのあるあきらは、勉強もほとんどせずふらふら遊び歩いています。この日は、ゲームセンターで夢中ですっかり遅くなっておまけに夕立の激しい雷や雨に襲われ、ふいに飛び込んだお寺のような小屋には、薄暗く陶器のような骨董品が沢山あった。奥には仏像のような巨大な人形も、陶器も含めお札のようなものが張られていた。

  • 夫の秘密

    夫の行動は速かった   証券口座の現金を秘かに妻に内緒の口座に振り込んだのである   成功を逃した愚かな敗北者達を嫌という程見て来た彼である   ある焼肉チェーン店に勤めるアルバイトの青年は   毎月のアルバイトのお金すべて注ぎ込むのが日課   博打中毒が青年を支配していた   その青年がたまたま株の先物投機で1億3千万手に入れました   青年は有頂天になり更なる欲が青年を破滅へと導きました  

  • 夢を買い続ける妻

    恋愛結婚してもう10年の月日が流れた共働きの夫婦である、 子供はいないが夫婦仲が特別悪いわけでない。 朝の食事の用意は夫の担当である、 朝彼が起きて台所に行くとゴキブリが俳諧している安アパートである こんなボロ家早く出なくては思う夫だが 二人には家を買うお金もない 妻は必ず宝くじを買い続けるのが日課の一部になっている  いつか大金当ててマイホーム おりしも安倍内閣誕生である 夫は直感した  今年は

  • 新妻の秘密

    昭和から平成になって間もない頃のお話です 彼は大手販売店の営業マン  やり手の営業マンではないが、それなりに仕事はこなしていた 誰にでも好かれる優しいマスクの男である 彼には会社に気が合う一人の親友がいる その親友が突然彼に見合いの話を持ちかける お相手は親友の親しく付き合っているアメリカの富豪の御曹司の従妹 白人の女性である  彼女は両親の反対を説き伏せて3年の約束で来日 あるサークルで彼を見つ

  • ハロウィンなんで※追記 G-STOPさんが!

    「あなたの身体を妹にくださらない?」 そういうと彼女は妹の顔を持ちながら私に近づいてきた。 ・・・逃げたい!でも逃げられない! 彼女の蒼い瞳を見た瞬間、不思議な力で動けなくなってしまっている。 動けない私を尻目に彼女は私の背後に陣取った。 そして姿の見えない背後から私に耳元でこう呟いた。 「いいでしょ?」 今の声は・・・妹の方 ※追記 G-STOPさんが素敵なコメントを下さったので載せちゃいました

  • 斑シリーズ 斑熱※GL小説

    「は…は…はくちんっ」  わたしの間抜けなくしゃみに驚いたのか、少し前を歩いていた意織ちゃんが立ち止まり振り返った。  見返り美人って、意織ちゃんのことを言うんだろうな。 「…桧野さん、風邪でも引いたんですか?」 「ん~。そうなのかなぁ。なんか最近足元がふわふわするのよねぇ」  わたしがそう言った途端、意織ちゃんの切れ長の眸が吊り上がった。  …コワイ。 「最近って、いつからですか…?」 「え?え

  • 斑シリーズ 斑の斑を埋めるもの※GL小説

    「んん…っ」  夜明け前の早朝。  太ももを伝うヒヤリとした気持ち悪さに、わたしは目を覚ました。  どうやら寝返りをうった拍子に、昨晩の行為の残滓が流れ出したようだ。  白くて濃密な、わたしと、そして彼女の――愛液。 「うう…全くヤリ過ぎなのよね~この娘は。二桁って有り得なくない?」  そうちぇっと口を尖らせつつも、傍らで静かな寝息を立てる美女を一度見てしまえば、そんな憤りも霧散してしまうから不思

  • 斑シリーズ 斑だけども一色※GL小説

    「…好きです。好きだ。……好き…」  ――にゃあ。  低く唸るような独り言に応えてくれたのは、飼い猫の不安げな鳴き声だけだった。   ――嘘臭い。  ある日を境に、私は言葉に信用を置けなくなった。  嘘をついた時、人は一瞬、或いはいつまでも良心を痛めるかもしれないが、だからと言って嘘をつけないという訳ではない。  傷つけたくないから、なんて綺麗な理由を自分勝手に仕立てては嘘をつき続けられるのが、人

  • それでも太陽は赤く染まる!第22回「陽のあたる場所!」

    自転車事故のせいで相手の(同中)先輩の梶谷に激しく追い立てられたひとし。ぼろぼろになった精神を早く落ち着かせようと書道教室にたどり着いたのもつかの間、ちょうど空いてて座った真後ろの席がさやかのおしゃべり好きな妹の美咲だった。からかいざまにはやし立ててくる美咲にひとしもつい苛立ちの熱が入ってしまい、結局言い合いになってるうちに先生に怒りの雷を落とされて、精神も安らげずやれやれと教室を後にする事に・・

  • 「エンジェルボール」飛騨俊吾 著(双葉文庫)

    舞台は広島県、そして因島。 主人公が活躍するのは「広島東洋カープ」 42歳のオヤジが広島東洋カープの守護神として活躍する物語。 但しそれはたったの一年間。野球を題材にした大人のファンタジ―。 2007年から2008年の物語・ <野球は知らなくても、興味がなくても、十分楽しめる!!> 双葉文庫の紹介文がこちら ***************** 1 トラック運転手をしながら小学生の息子二人と広島県因

  • テンシマテリアル※百合小説

    「嫌われたくないのよ」  クラスで一番モテる女子、原田寧々はそう言った。 「だからいっつも、誰にでも笑顔で対応するの」  微笑みの天使との異名を持つ彼女からは想像も出来ない、冷めきった顔で。 「恵まれた容姿だとね、敵も多いのよ。けれど、味方は多い方が良いでしょ?」  自分にとって利益を産むものならば。  そう付け足したところで、ウェイトレスがイチゴサンデーを彼女に運んできた。  私の烏龍茶はまだな

  • それでも太陽は赤く染まる!第21回「春台風美咲!」

    自転車の衝突事故でぶつかって相手の先輩の梶谷に死ぬほどの制裁を加えられたひとし。やっとの思いで逃れるように走り回り目的地の書道教室に到着し、心身の落ち着きを取り戻そうと入るもつかの間、そこにはまた新たな精神への障害が待ち受けていて・・・。 第21回「春台風美咲!」 トラウマの事故現場から逃げるように走ってきたひとしはある程度の場所まできて再び自転車にまたがりペダルを手あたり次第漕ぎまくった。どこを

  • 身長差八十センチメートル也。女の子×女の子※GL

    「レン。顔色がよろしくありませんわよ?」 「…あ?…あ~ミズキか。悪いが今日は遊んでやれないわ…」 「どうしましたの?レンからお元気を取ったら、可愛さしか残りませんわよ」 「んだそりゃ。…っつ。マジで悪い……今日はホント相手してやれない…ったたた…っ」 「レンっ?大丈夫ですのっ?ああ…どんどんお顔が紫に…お母さま!お母さまーっ!!」 *** 「………で、ミズキの母であり医者である私の元に連行されて

  • 身長差八十センチメートル也。疑似成長※GL

    「どうだ?いい眺めだろう。やっぱり高い所は気持ちいいだろ~?…なあオイ、何とか言えよガキ!」 「…ワタクシはガキではなくてよ。もうよろしいから降ろしてくださる?」  枯葉が華麗に舞う寒空の下。  ワタクシは、想い人のカラダの上に乗っている。  …と、ピンク色の想像は止めていただけるかしら?  上と言っても、その場所は肩であり、正確に言えば担がれている。  …そう、ワタクシは今、このムダに馬鹿デカい

  • はじまりの記憶※BL風味

       はじまりは何だったのだろう。  切り詰めた世界が直立を止め、不安定な浮遊感に足下を心地良く掬われた時だっただろうか。  溶けない氷の壁に囲われた部屋では、記憶の時計を巻き戻すことすら、不可の札を貼られてるけれど。  僕は伸びなくなった爪で引っかいては、それでも過去を抱き寄せようとして、ついには指が折れてしまった。  そして往生際悪く歯を立ててみれば、今度はそれが砕けてしまう。  嗚呼やがては

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