• 5・7・5アラカルト 川柳23  

     もう眠いどんな川でも渡ります   八木蛙生  ばぁちゃんが健在の時によく言っていた。 「あん馬鹿たれが、嘘八百ばかりで万に一つも本当の事がねえ。」 そのばぁちゃんは、仲人口で100組ほどの縁談をまとめた。  同じ嘘八百でも人を幸福に導くものは嘘も方便で笑って済ませる。国民の生活を苦しめる嘘八百には断固として戦わなければならない。 「生まれた土地は荒れ放題、今の世の中右も左も真っ暗闇じゃござんせん

  • 5・7・5アラカルト  川柳22

     海に生き抜いて墓みな海へ向き   渡部銀雨  学校を出て初めて赴任したところが漁師町であった。  坂のある街の斜面の上の方にこの街の墓地がある。墓はみんな海に向かって、街並みを見下ろすように海を眺めるように立っている。  夕暮れになると墓に明かりがともり、だんだんと町が暗闇の中に浮かんで、やがて消えていく。  海に生きた男たちや彼らを支えた家族たちの物語が語り継がれていく。そんな漁師町で6年間を

  • 江戸川柳 色は匂へ  「す」 摺 鉢(すりばち)

     すりばちを借りて亭主のあらを言ひ  江戸の朝は摺鉢で味噌をすることから始まる。味噌汁をつくるにも味噌和えをつくるにも江戸の庶民にとってすりこ木とすり鉢は欠くことのできない調理具である。  朝帰りの亭主との一戦にとばっちりを受けたすり鉢は壊れてしまう。隣にすり鉢を借りに行くと隣の女房も経験者、かっかしている隣の女房に男とはそんなもんだと慰める。  負けてゐなさいと摺鉢かしてやり  すりこ木とすり鉢

  • 江戸川柳 色は匂へ  「せ」 関 所(せきしょ)

     関所前女をなぶりなぶり行き 関所=箱根、今切、碓氷、栗橋のような要衝で通行人を取り締まる役所。 なぶる=からかい、ひやかす、ばかにする 「入鉄砲に出女」を警戒していた当時は、特に女性に対する身体検査は厳しかった。関所に近づくと連れの男が「なぶりなぶり」歩き始める。まさかと思いながら女は不安の表情でいっぱいになる。  実際には不審な女がいれば関所婆がいて本格的に取り調べることになる。  御妾は箱根

  • 江戸川柳 色は匂へ  「も」 申し子(もうしご)

       申し子は夢ばかりでも出来ぬなり     申し子=神仏に願って授かった子。 「ばかな。」神や仏が夢枕に立ったからといってそれだけではないよねえ。江戸っ子の健全な庶民感覚。だから、聖母マリアの処女懐胎も江戸っ子は「ばかな。」の一言で終わる。    申し子は出居衆の顔にいきうつし    (出居=寄留者、実はこれの仕業)    申子の跡で年々申さぬ子    (神に願っての後は癖がついたのかなあ。続々

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ひ」膝 枕(ひざまくら)

      ひざまくらあながち寝入る気ではなし  べつに寝るために膝枕をするわけではない。好きな女の膝を枕にするだけで男と女のいい雰囲気だ。なんとも。   かげぼしの一つかくれるひざまくら  女の影だけが残るドラマを見るような風景。想像が広がる。  膝が肘になると雰囲気ががらりと変わる。   ひじをまげ枕として乳をほうばらせ  赤子の横に寝そべって添え乳する母親。いざというときはいつでも起きられる態勢で横

  • 侮れない のどごし生と スモークタン

    コロコロはコンビニよりもスーパーが好きである。しかし、コンビニでしか買えない商品は、やはりコンビニに足を運ぶしかない。 コンビニでしか買えない商品?例えばこれ! セブンイレブンで買えるスモークタン68g(^o^) 日本ハムファクトリーが製造する、知る人ぞ知るおつまみ界のレジェンド!! これが絶妙にこれと合う(#^.^#) 麒麟麦酒株式会社が世に送り出した、麦芽を使用しない発泡性醸造酒!なんとホップ

  • 頭痛薬 飲むのやめたら 頭痛なし

    大昔…コロコロが二十歳なる少し前の頃からだったろうか…。 原因不明の偏頭痛に毎日襲われるようになった。激痛ではなかったが痛みを感じない日はなかった記憶がある。 気がつけば毎日毎日当たり前のように頭痛薬を飲むようになっていた。 頭痛薬の種類は何でもよく、痛みが和らぐ事だけを願い、手当たり次第に頭痛薬を飲んだ。 バファリン、イヴ、ナロンエース、ノーシン、セデス、ロキソニン…もっとあったかな…。 頭痛薬

  • 江戸川柳 色は匂へ  「し」 蜆(しじみ)

     東下りまではつねの蜆なり  東下り=在原業平の東国への旅をさす。  本所業平橋のあたりは蜆の名産地で、業平蜆という。業平が来る前まではただの名前のない蜆であった。  それ迄は只の寺なり泉岳寺  (了 解)  美男美女蜆と紅に名を残し  (いいな、いいな)  業平蜆と小町紅、名をのこすのは日本だけではない。世界中で人の名前の付いた建造物や食べ物や衣服などがある。いずこも同じか。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「み」見 合(みあい)

     後生願ひのふりをして見合ふ也 後生願ひ=来世の安楽を願い仏を信心すること。 11月末の本願寺の御講には娘や息子を連れて参詣者が多い。  初めて赴任した土地では、小高い山の登り口に禅宗のお寺があり、町民の大多数が信徒である。山の南側斜面いっぱいに墓が立ち並び海を眺めている景色は流石漁師町であると感心した。  お盆には山の斜面いっぱいに灯がともされ夕暮れ時になると墓参りの人で路があふれた。  学校を

  • 江戸川柳 色は匂へ  「め」 目

     先ず目と目それから手と手口と口  このコミュニケーションが抜け落ちた現代は男女関係がうまくいかない。スマホでいくらやり取りしても、体温が伝わらない。  気があれば目も口ほどに物を言ひ  には、遠く及ばない。  先ず、いはずかたらず我心目で知らせ  コミュニケーションの初めは目から。そして手と手、口と口。 江戸の生き方を学び、恋の基礎基本を見直そう。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ゆ」夕涼(ゆうすずみ)

     かんざしで星の名をきく夕涼  夕方になっても暑さがのこる夏の夜。門口に縁台をだして夕涼み。 若い娘、いや若くなくてもよい。かんざしで星を指しながら、牽牛はどれ、織姫はどれ、などと・・・風流だねえ。今は星を眺める暇もない。いやだねえ。  星がふりますと雨戸をたてゝゐる             に・く・い・ふうりゅうだねえ。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「き」 生息子(きむすこ)

     生息子は連れに目ききをして貰ひ  生娘というのは聞いたことがあるが生息子という言葉は初めて知った。  何はともあれ初めての経験というのは、水先案内人がいる。  近くの先輩がその役目を果たす。江戸の世の生息子の最初の体験は、格子の中に並ぶ遊女を選ぶことであるが、初めてだから目がくらんで選ぶことができない。そこで先輩が選んでくれる。  これから、生息子がドラ息子へと成長していく母親泣かせである。  

  • 江戸川柳 色は匂へ  「さ」 酒

     忍ぶれど色に出にけり盗み酒  色に出る隠し事は困ったものだ。要注意。  土蜘蛛の身ぶりでなめるこぼれ酒  こぼれた酒を土ぐものように肘を張ってなめるのは、いやだねえ。  酒と女はにくくないかたき役  男にとって酒と女は立身出世の躓きになりやすい。敵役。 でも、でも・・・  世の中は色と酒とがかたきなり どふぞ敵にめぐりあいたい(太田蜀山人)  「立身出世が何でえ、こちとら男だい。」  「おっしゃ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「あ」 相 傘(あいがさ)

     相傘を淋しく通す京の町  相傘=相合傘、男女がひとつの傘をさすこと。  京都の町では、相合傘で通っても冷やかしたりしない。男女の仲については大人である。江戸では、相合傘が通れば、必ず冷やかしたものらしい。  相合傘の当人にとっては、どうであろう。ひやかされた方が、張り合いがあるのではなかろうか。それとも静かに大人の対応をしてもらった方がよいのであろうか。    京の相合傘と江戸の相合傘の二人連れ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「て」 出会茶屋(であいぢゃや)

     出合茶屋鏡を貸すがしまひなり  出合茶屋=密会のための貸席、上野不忍池畔に多く、池の茶屋、蓮の茶屋       などと言う。  乱れた髪、崩れた化粧、着物を整えて帰り支度が終了。今も昔も静かに人知れず繁盛した商売である。  ひそひそと繁昌をする出合茶屋  出会茶屋あやうい首が二つ来る  ことが公になれば、打ち首ものだ。あぶない、あぶない。  現代感覚の不倫というようなものではない。市中引き回しの

  • 江戸川柳 色は匂へ  「え」 閻 魔(えんま)

     なめ過ぎた丁稚えんまへ行かぬ也 閻魔=蔵前に焔魔堂があって、正月と7月の16日の斎日には、藪入りの少年店員が参詣するのが習。 藪入=奉公人が正月および盆の16日前後に、主家から休暇をもらって親元などに帰ること。また、その日。  人間誰も初めのうちは習慣に素直に従って生活をするが、その内に慣れてきて、生意気になると伝統も習慣も掟も無視して自分勝手に生きていく。  特に都会の享楽的な環境の中ではすぐ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「こ」 恋 婿(こいむこ)

     恋婿の下着はみんな直しもの  女の方が熱くなって結婚した時は、夫のことを第一に真心を尽くす。江戸時代では、自分の着物を仕立て直して夫の下着にするのが流行ったようである。  女心の哀れさと凄さを思わせる一句である。  結納がすんで娘のとこを上げ  箱入り娘の恋病、願いがかなって結納がすむとやっと元気な箱入り娘になる。恋病で寝込む時代は平和だよね。  現代は恋の闇路で何が起こるかわからない時代になっ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ふ」 封 切(ふうきり)

     箱入を隣の息子封を切り  両親が大切に大切に育てた箱入りの一人娘。親の知らぬ間に箱の封が切られており、封を切ったのは誰かと探してみると隣の息子だったりして、親同士はお互いにびっくり。そこで、  隣から腹帯をした嫁が来る ということに収まって、めでたしめでたし。 こううまくいけばいいのだが、  隣のが縁付いてからどらになり  どら=放蕩、道楽、道楽者。使用例=どら息子。  何か事情があったのか、箱

  • 江戸川柳 色は匂へ  「け」 検校(けんぎょう)

     証文を焼いて検校縁を組み 検校=盲人の位の一つ座頭、勾当、検校。検校まで出世するには相当の年月がかかるが、約千両を京都に収めれば検校になれた。そのために高利貸しをして金を溜め込んだ。 ざがしら【座頭】と読めば、一座の長である人。特に、人形浄瑠璃(じょうるり)・歌舞伎(かぶき)などの一座の首席役者。 ざとう【座頭】と読めば、 1. 盲人の琵琶(びわ)法師の位。勾当(こうとう)の下。 2. 頭髪をそ

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