• 江戸川柳 色は匂へ  「み」見 合(みあい)

     後生願ひのふりをして見合ふ也 後生願ひ=来世の安楽を願い仏を信心すること。 11月末の本願寺の御講には娘や息子を連れて参詣者が多い。  初めて赴任した土地では、小高い山の登り口に禅宗のお寺があり、町民の大多数が信徒である。山の南側斜面いっぱいに墓が立ち並び海を眺めている景色は流石漁師町であると感心した。  お盆には山の斜面いっぱいに灯がともされ夕暮れ時になると墓参りの人で路があふれた。  学校を

  • 江戸川柳 色は匂へ  「め」 目

     先ず目と目それから手と手口と口  このコミュニケーションが抜け落ちた現代は男女関係がうまくいかない。スマホでいくらやり取りしても、体温が伝わらない。  気があれば目も口ほどに物を言ひ  には、遠く及ばない。  先ず、いはずかたらず我心目で知らせ  コミュニケーションの初めは目から。そして手と手、口と口。 江戸の生き方を学び、恋の基礎基本を見直そう。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ゆ」夕涼(ゆうすずみ)

     かんざしで星の名をきく夕涼  夕方になっても暑さがのこる夏の夜。門口に縁台をだして夕涼み。 若い娘、いや若くなくてもよい。かんざしで星を指しながら、牽牛はどれ、織姫はどれ、などと・・・風流だねえ。今は星を眺める暇もない。いやだねえ。  星がふりますと雨戸をたてゝゐる             に・く・い・ふうりゅうだねえ。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「き」 生息子(きむすこ)

     生息子は連れに目ききをして貰ひ  生娘というのは聞いたことがあるが生息子という言葉は初めて知った。  何はともあれ初めての経験というのは、水先案内人がいる。  近くの先輩がその役目を果たす。江戸の世の生息子の最初の体験は、格子の中に並ぶ遊女を選ぶことであるが、初めてだから目がくらんで選ぶことができない。そこで先輩が選んでくれる。  これから、生息子がドラ息子へと成長していく母親泣かせである。  

  • 江戸川柳 色は匂へ  「さ」 酒

     忍ぶれど色に出にけり盗み酒  色に出る隠し事は困ったものだ。要注意。  土蜘蛛の身ぶりでなめるこぼれ酒  こぼれた酒を土ぐものように肘を張ってなめるのは、いやだねえ。  酒と女はにくくないかたき役  男にとって酒と女は立身出世の躓きになりやすい。敵役。 でも、でも・・・  世の中は色と酒とがかたきなり どふぞ敵にめぐりあいたい(太田蜀山人)  「立身出世が何でえ、こちとら男だい。」  「おっしゃ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「あ」 相 傘(あいがさ)

     相傘を淋しく通す京の町  相傘=相合傘、男女がひとつの傘をさすこと。  京都の町では、相合傘で通っても冷やかしたりしない。男女の仲については大人である。江戸では、相合傘が通れば、必ず冷やかしたものらしい。  相合傘の当人にとっては、どうであろう。ひやかされた方が、張り合いがあるのではなかろうか。それとも静かに大人の対応をしてもらった方がよいのであろうか。    京の相合傘と江戸の相合傘の二人連れ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「て」 出会茶屋(であいぢゃや)

     出合茶屋鏡を貸すがしまひなり  出合茶屋=密会のための貸席、上野不忍池畔に多く、池の茶屋、蓮の茶屋       などと言う。  乱れた髪、崩れた化粧、着物を整えて帰り支度が終了。今も昔も静かに人知れず繁盛した商売である。  ひそひそと繁昌をする出合茶屋  出会茶屋あやうい首が二つ来る  ことが公になれば、打ち首ものだ。あぶない、あぶない。  現代感覚の不倫というようなものではない。市中引き回しの

  • 江戸川柳 色は匂へ  「え」 閻 魔(えんま)

     なめ過ぎた丁稚えんまへ行かぬ也 閻魔=蔵前に焔魔堂があって、正月と7月の16日の斎日には、藪入りの少年店員が参詣するのが習。 藪入=奉公人が正月および盆の16日前後に、主家から休暇をもらって親元などに帰ること。また、その日。  人間誰も初めのうちは習慣に素直に従って生活をするが、その内に慣れてきて、生意気になると伝統も習慣も掟も無視して自分勝手に生きていく。  特に都会の享楽的な環境の中ではすぐ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「こ」 恋 婿(こいむこ)

     恋婿の下着はみんな直しもの  女の方が熱くなって結婚した時は、夫のことを第一に真心を尽くす。江戸時代では、自分の着物を仕立て直して夫の下着にするのが流行ったようである。  女心の哀れさと凄さを思わせる一句である。  結納がすんで娘のとこを上げ  箱入り娘の恋病、願いがかなって結納がすむとやっと元気な箱入り娘になる。恋病で寝込む時代は平和だよね。  現代は恋の闇路で何が起こるかわからない時代になっ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ふ」 封 切(ふうきり)

     箱入を隣の息子封を切り  両親が大切に大切に育てた箱入りの一人娘。親の知らぬ間に箱の封が切られており、封を切ったのは誰かと探してみると隣の息子だったりして、親同士はお互いにびっくり。そこで、  隣から腹帯をした嫁が来る ということに収まって、めでたしめでたし。 こううまくいけばいいのだが、  隣のが縁付いてからどらになり  どら=放蕩、道楽、道楽者。使用例=どら息子。  何か事情があったのか、箱

  • 江戸川柳 色は匂へ  「け」 検校(けんぎょう)

     証文を焼いて検校縁を組み 検校=盲人の位の一つ座頭、勾当、検校。検校まで出世するには相当の年月がかかるが、約千両を京都に収めれば検校になれた。そのために高利貸しをして金を溜め込んだ。 ざがしら【座頭】と読めば、一座の長である人。特に、人形浄瑠璃(じょうるり)・歌舞伎(かぶき)などの一座の首席役者。 ざとう【座頭】と読めば、 1. 盲人の琵琶(びわ)法師の位。勾当(こうとう)の下。 2. 頭髪をそ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ま」 枕蚊帳(まくらがや)

     よく寝れば寝るとてのぞく枕蚊帳  枕蚊帳=幼児用の小さい蚊帳  幼子が寝付いてくれるとほっとする。が、あまり静かに長いこと寝入っていると心配になって蚊帳越しに覗いてみる。大丈夫と確かめて夕食の支度にかかる。 母親の愛情を感じる。 ある時はさしみにかける枕がや なんて、利用の仕方もある。

  • 5・7・5アラカルト  川柳21

     我執捨てきってぽつんと酌む夜寒    日向久悦 歳を重ねてくると我執はかなり小さくなることは事実である。しかし、捨てきるところまではなかなか難しい。捨てきったつもりでいて、何かの拍子に我がでる。まあ仕方ないか。 我執が小さくなっていくと元気も小さくなり、その分孤独感が大きくなっていくようである。 もう少し長生きして、「我執を捨てきって」ぽつんと一杯飲んで、どのような感慨が襲ってくるのか体験してみ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「や」 役 人

     役人の子はにぎにぎをよく覚え   役人=幕府の役人と諸藩の係りの武士を指す。 武士がすべての権限を握っていた江戸時代は、役人の裁量でいかようにも事が運ぶので、役人への賄賂は大流行であった。 赤ん坊にまで袖の下の生き方が伝わってにぎにぎをよく覚えることであろうという風刺にとんだ一句である。 武士や封建制度に対する痛烈な批判であったために寛政改革のころにはこの句は人目につかないように削除された。 今

  • 江戸川柳 色は匂へ  「く」 件の如し(くだんのごとし)

     泣く娘そばで件の如しなり  件の如し=証文の最後に書く決まり文句。  親が年季証文に名を書いている横で、身を売られる娘が泣いている。江戸時代とは庶民にとってはこんな時代であった。  江戸川柳を調べていると奴隷のように金でやり取りされた庶民の姿が彷彿とする。江戸時代がよかったなどという人は何を見て江戸がよかったというのであろうか。  近頃、明治維新を否定するような発言をする人が出てきたが、彼は庶民

  • 5・7・5アラカルト   川柳20

     溶けてゆく淋しさ盃に沈め    村山白雲  何かの拍子に淋しさが急に襲ってくることがある。  いつも一緒にいる妻が都合で家を空けて一人になると思ってもいなかった淋しさが家中に満ちる。  こんなはずではなかったと思いながら淋しさをかみしめる。  盃に沈めた淋しさを一気に飲み干す。  そんな年齢があることを思い知る。  歳を取るということはこういうことなんだと自覚して生きなければなるまい。

  • 5・7・5アラカルト   川柳19

     引く網へ北方領土の藻がからみ    上田金松  思った以上に現政権は頑張っている。首相の行動も積極的で新しい方向が明るい見通しで「なかなかやるじゃない」というのが今の私の心境である。  しかし、外交面に目を向けると拉致の問題にせよ。中国や韓国との問題にせよ。北方領土の問題にせよ。日本の力はこんなところである。  かつての、富国強兵は平和な時こそ力を入れるべきことかもしれない。戦争は絶対にしてはい

  • 5・7・5アラカルト   川柳18

     停電はいや原発はもっといや   綾織省吾  2011年3月11日の震災で原発事故の問題が現実になった。50数年前から、原発の問題を声高に叫んでいたが政治は聞く耳を持たなかった。  手のつけようがない放射能廃棄物の問題とこれから幾らかかるかわからない事後処理や原発廃棄の問題も今の政治能力では効果的な方法が打ち出せないようである。  原発についての本気の取り組みの姿勢が見えない。  嘘から嘘の情報を

  • 5・7・5アラカルト   川柳17

     トンネルの切れ目切れ目で過疎が昏れ   進藤一車  昭和の40年代頃から過疎の問題が少子高齢化と一緒に世間の話題になっていた。その頃の状況をうたった川柳が上記の一句である。  あれから、50年過ぎても政治は無策である。やっと地方創生などと政治能力のなさをさらけ出して慌てている。  誰だったか人気のあった首相が市町村の大合併をやって、過疎の地方はいよいよ過疎になって見る影もない。  自然の姿が美し

  • 5・7・5アラカルト  川柳16

     不渡りと五輪音頭が入り乱れ   後藤閑人  東京オリンピックは、1964年(昭和39年)10月10日(後の体育の日)から10月24日の期間にかけて日本の東京で開かれた。  五輪音頭に踊って一攫千金を夢見た人が多くいたが本当に儲けたのは限られた人だけで、大多数の人が不渡りを手に大変な生活をした。  さて今回の2020年の東京オリンピックで笑うのは誰だろう。 スポーツの夢を食いものに一儲けする賢いや

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