• 5・7・5アラカルト  川柳16

     不渡りと五輪音頭が入り乱れ   後藤閑人  東京オリンピックは、1964年(昭和39年)10月10日(後の体育の日)から10月24日の期間にかけて日本の東京で開かれた。  五輪音頭に踊って一攫千金を夢見た人が多くいたが本当に儲けたのは限られた人だけで、大多数の人が不渡りを手に大変な生活をした。  さて今回の2020年の東京オリンピックで笑うのは誰だろう。 スポーツの夢を食いものに一儲けする賢いや

  • 江戸川柳 色は匂へ  「の」 後 添 のちぞへ

     後ぞへは支度も里もないをいれ  後妻を迎えるのは江戸時代でも大変だったようである。支度がどうの里がどうのと言っていては来てはない。条件なしの元気者が一番である。だから、相手も再婚者や水商売の女が多かった。  後添の連れてくるのは女の子  江戸時代では離縁の際、男児は父、女児は母が引き取るのが原則であった。  落語などでは、江戸では独身男性が多かったので大奥勤めや水商売上がりや後家さんは再婚に不自

  • 江戸川柳 色は匂へ  「う」 瓜 実(うりざね)瓜実顔の略

     瓜ざねを見せてかぼちゃと取っかへる  今も昔もある替え玉作戦である。見合いの時には瓜実のような細面の顔を見せ、いよいよ婚礼となるとまん丸いごっつい顔のかぼちゃと取り換える。  見ましたは細面だともめる也  ということになる。  現代では替え玉で問題になるのは運転免許試験や入学試験で事件になることはあるが、結婚ではもうそんなことはない。  それに近いことは、写真修整の技術がレベルアップして、写真替

  • 5・7・5アラカルト   川柳15

    子を還えす犠打ばっかりで夫婦老い  正谷柳筇子(りゅうきょうし)  ホームランを打つわけでも、クリンヒットを打つわけでもない。ただ相手を進塁させる犠打に徹して役割を果たして一生を終える。  子どもたちを世に送り出し、一歩一歩前進し、成長していく姿を見ることは親にとってこの上ない喜びである。  犠打こそ、親にとっての最高の勲章である。  夫婦の満足感が伝わってくる。ごくろうさん。よかったですね。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「む」 虫 歯

     物や思ふと人の見る虫歯やみ  「しのぶれど色に出にけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで」平兼盛  男は様にならないが、女性がうつむき加減に物思いにふけっているように見える様子は、それが虫歯であろうと腹痛であろうと男の心を引き付ける。不思議な心理である。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ら」 羅生門

     草履取君命で行く羅生門  羅生門河岸=吉原の東側のはずれの通りの名。西側の西河岸と同じく切見世がある。切見世は江戸吉原の最下級の女郎屋。1軒1妓が原則。切(きり)とは時間売りの意。1切(ひときり)100文が相場であった。  主人が妓楼に行くとお供は共部屋で主人の帰りを待つ。物わかりのよい主人は金をやって切見世へ行かせる。粋な計らい。  羅生門河岸うでづくで引あげる  羅生門の渡辺の綱とは反対に男

  • 江戸川柳 色は匂へ  「な」 投込(なげこみ)

     なげこみと言て生花しかられる  投込=共同墓地の異称。死んだ女郎や行き倒れを葬る所。  三ノ輪の浄閑寺、新宿の成覚寺などは投げ込み寺と呼ばれていた。  生け花でいう「投げ入れ」を投げ込みと言ってしまえば大変な違いである。このような間違いはよくあることで、結婚式で使う言葉と葬式で使う言葉を取り違えた例が記憶に残る。 「お日柄もよく」「ご愁傷さま」「ご会葬」などなど。  穴ほりと言って門松しかられる

  • 江戸川柳色は匂へ  「ね」 念仏講

     とるもうしとらぬも損な念仏講  念仏講=真宗の信徒の定期集会。掛け金をして講中の死者に弔慰金を贈る。  死んで弔慰金をもらうのは嫌だが、といって長生きして掛け金を出すばかりでは損をする気分だ。  掛け金は現在の掛け捨て生命保険に似た心理だ。    死にそうもないので念仏講を退き    そのとたんに亡くなった知人を知っている。    掛け金はお布施と思い生かしてもらっていることの感謝にしよう。

  • 5・7・5アラカルト 川柳14

     スポーツをギャンブルにして国貧し   樋川すみ枝  競輪、競馬、競艇とスポーツ三大ギャンブルから、パチンコ、野球賭博とギャンブル依存症で職を失い、家庭崩壊を招いた日本人が50万人にのぼるこの時期にいよいよ真打登場で「カジノ法案」が衆院予算委員会を通過した。  公営でギャンブルを公認していくことの問題点を深く考えていかないと国を潰すことになりかねない。  収益の一部を依存症対策に充てるということで

  • つぶやき56  575と性格傾向

     たまに時間つぶしに575と性格傾向について考えることがある。 1 赤い椿白い椿と落ちにけり      河東壁梧桐 2 子には子の悲しみがある虫の墓     一  車 3 山寺の石のきざはしおりくれば   椿こぼれぬ右の左に         落合直文  黒板に書いて、あなたの好きな作品を一つだけ選んでください。  俳句や短歌を選んだ人はどちらかというと「花鳥風月」を好み天地自然に関心が向きやすく、

  • 江戸川柳色は匂へ  「つ」 通

     やぼにしてゐる事だよと通なやつ 通=遊びや生活において垢抜けして洗練されていること  先輩の一人にとても通ぶって後輩の面倒を見る男がいた。昼間のお勤めは粋なスーツで、夜の宴席では和服に雪駄という格好で、会を取り仕切り後輩の面倒をよく見た。  いくら通ぶっても通からははるかにかけ離れていた。男気があって自分の金を気前よく使って、きれいにさっぱりと遊ぶのではなく。  あとの見返りを計算して、労働組合

  • 5・7・5アラカルト  川柳13 

     小用の妻へ肩貸す夜半かな   右近 志秋  誰もが一度は通る道。  健やかなるときも病めるときも変わらぬ誠実な態度で淡々と生き抜いた友を思い出す。  彼は親の反対を押し切って一回り上の彼女と結婚をした。彼が50代後半から彼女、妻が認知症を患い彼が60歳で定年退職をしたとき、妻は72歳で車いすの生活に入った。  彼は底抜けに明るく大らかに、青年時代のままの気分で妻の介護をやり抜いた。あっぱれ。  

  • 江戸川柳色は匂へ  「そ」  添乳(そえち)

     添乳してついせんたくが夢になり  電気洗濯機のない時代の主婦の生活の様子が想像できる。昭和の20年代の主婦は大変であった。炊事、洗濯、掃除に子育てと夕時には1日の疲れがどっと出て睡眠不足になってしまう。  洗濯機、電気釜、掃除機が出そろって家庭における主婦の仕事が激変した。  男でも簡単にできる家事が多くなって男性の家事への参加が増えてきた。男女共同参画の時代背景が整った。  主婦でなければでき

  • 5・7・5アラカルト  川柳12

          寿と書いて人それぞれの旅つづく  石原 伯峯                  季節の花300より  結婚、出産、年頭の祝辞、そして、喜寿、傘寿、米寿、卒寿、天寿と寿を背負って人生の旅は続く。若い時には奥の細道を芭蕉の足跡をたどって旅をしたいと思っていた。  傘寿を過ぎてはもうそれは無理だろう。せめて自分の住んでいる路地の細道を巡ってみるか。  みんな元気でいてほしいよな。

  • 江戸川柳色は匂へ  「れ」 蓮根

         れんこんはこゝらを折れと生まれ付                季節の花300より  れんこんのくびれた節々をここらを折れと見たところが人間の目の面白さである。蓮根のようにここらを折れと素直にやさしく生きている人々の集団は極楽のようなコミュニティーであろう。  母親は子どもに対して「ここらを折れ」と言わんばかりのくびれを見せて生きている。子どもはうまくくびれを見つけて折っていく。    

  • 江戸川柳 色は匂へ 「た」 大名

     大名の過去は野に付し山にふし 大名=将軍に直参の一万石以上の武士 野に伏し=野伏というと山に潜む盗賊の意  一番に蜂須賀小六のことを思い出した。講談や太閤記に出てくる小六は野盗の親分とされているが、単なる創作であるらしい。  しかし、このような創作が出てくる背景には江戸庶民の思いが隠されているのではなかろうか。  今でこそ、大名として何不自由のない生活をしているが過去は何をしていたのか分かったも

  • 江戸川柳 色は匂へ 「よ」 欲

     のぼっても峠をしらぬ欲の道  実感、いいねえ。人の欲望は際限がない。物欲、金銭欲に取りつかれると溜め込めば貯めこむほどためたくなるそうだ。  出世欲に取りつかれると「長」と名の付く職を登り始める。  色欲、食欲、名誉欲と数え上げればきりがない。しかし、よく考えてみると欲望があるから生きていく力が湧くのであって、問題は欲望をうまくコントロールできる心の習慣を身につけることである。  大欲は無欲に似

  • 5・7・5アラカルト 川柳 11

     味噌汁の匂い十歩の庭に風   村田 鯛坊(周魚)  一般庶民の生活は努力をしても味噌汁の匂いが十分に届く範囲内で生活をしている。  部屋数だけでも数え切れない。人の気配もない、まして味噌汁の匂いなど全くしない、庭だけで数百坪のある生活をしている人達には理解不能な世界である。  歩け歩けといつも言われるので勤めて歩くことにしている。買い物に出ても車を駐車場においてそのあたりを一回りして来る。  強

  • 5・7・5アラカルト 川柳 10

     血圧にかまっておれぬ腹の虫   山本一途  腹を立てると体に良くないということは分かっていてもついつい腹を立ててしまった時があった。仕事を離れて古希を過ぎたころから腹を立てることが少なくなった。  歳を取って怒りっぽくなっていく人とそうでない人との二つのタイプがあるようで、私は後者のタイプのようである。  なるべくなら腹を立てずに円満に穏やかに暮らしていきたいのだが、何かと腹の立つことが多い。

  • 江戸川柳 色は匂へ 「か」 かかさま(母様)

     かかさまがしかると娘初手は言ひ  初めてのナンパの時は、お母さんに叱られるからとういういしくお断りした娘も2度3度といい男から口説かれるとかか様の歯止めもきかなくなる。かか様の目を盗んで積極的にいい男に近づいていこうとする。  これは娘だけのことではない。  かかさんと言ふ内むす子まだ食える  これがかかさんからお袋と呼ぶようになるともう食えない息子になっている。大人になっていく入り口でこれを通

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