• 江戸川柳 色は匂へ  「け」 検校(けんぎょう)

     証文を焼いて検校縁を組み 検校=盲人の位の一つ座頭、勾当、検校。検校まで出世するには相当の年月がかかるが、約千両を京都に収めれば検校になれた。そのために高利貸しをして金を溜め込んだ。 ざがしら【座頭】と読めば、一座の長である人。特に、人形浄瑠璃(じょうるり)・歌舞伎(かぶき)などの一座の首席役者。 ざとう【座頭】と読めば、 1. 盲人の琵琶(びわ)法師の位。勾当(こうとう)の下。 2. 頭髪をそ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ま」 枕蚊帳(まくらがや)

     よく寝れば寝るとてのぞく枕蚊帳  枕蚊帳=幼児用の小さい蚊帳  幼子が寝付いてくれるとほっとする。が、あまり静かに長いこと寝入っていると心配になって蚊帳越しに覗いてみる。大丈夫と確かめて夕食の支度にかかる。 母親の愛情を感じる。 ある時はさしみにかける枕がや なんて、利用の仕方もある。

  • 5・7・5アラカルト  川柳21

     我執捨てきってぽつんと酌む夜寒    日向久悦 歳を重ねてくると我執はかなり小さくなることは事実である。しかし、捨てきるところまではなかなか難しい。捨てきったつもりでいて、何かの拍子に我がでる。まあ仕方ないか。 我執が小さくなっていくと元気も小さくなり、その分孤独感が大きくなっていくようである。 もう少し長生きして、「我執を捨てきって」ぽつんと一杯飲んで、どのような感慨が襲ってくるのか体験してみ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「や」 役 人

     役人の子はにぎにぎをよく覚え   役人=幕府の役人と諸藩の係りの武士を指す。 武士がすべての権限を握っていた江戸時代は、役人の裁量でいかようにも事が運ぶので、役人への賄賂は大流行であった。 赤ん坊にまで袖の下の生き方が伝わってにぎにぎをよく覚えることであろうという風刺にとんだ一句である。 武士や封建制度に対する痛烈な批判であったために寛政改革のころにはこの句は人目につかないように削除された。 今

  • 江戸川柳 色は匂へ  「く」 件の如し(くだんのごとし)

     泣く娘そばで件の如しなり  件の如し=証文の最後に書く決まり文句。  親が年季証文に名を書いている横で、身を売られる娘が泣いている。江戸時代とは庶民にとってはこんな時代であった。  江戸川柳を調べていると奴隷のように金でやり取りされた庶民の姿が彷彿とする。江戸時代がよかったなどという人は何を見て江戸がよかったというのであろうか。  近頃、明治維新を否定するような発言をする人が出てきたが、彼は庶民

  • 5・7・5アラカルト   川柳20

     溶けてゆく淋しさ盃に沈め    村山白雲  何かの拍子に淋しさが急に襲ってくることがある。  いつも一緒にいる妻が都合で家を空けて一人になると思ってもいなかった淋しさが家中に満ちる。  こんなはずではなかったと思いながら淋しさをかみしめる。  盃に沈めた淋しさを一気に飲み干す。  そんな年齢があることを思い知る。  歳を取るということはこういうことなんだと自覚して生きなければなるまい。

  • 5・7・5アラカルト   川柳19

     引く網へ北方領土の藻がからみ    上田金松  思った以上に現政権は頑張っている。首相の行動も積極的で新しい方向が明るい見通しで「なかなかやるじゃない」というのが今の私の心境である。  しかし、外交面に目を向けると拉致の問題にせよ。中国や韓国との問題にせよ。北方領土の問題にせよ。日本の力はこんなところである。  かつての、富国強兵は平和な時こそ力を入れるべきことかもしれない。戦争は絶対にしてはい

  • 5・7・5アラカルト   川柳18

     停電はいや原発はもっといや   綾織省吾  2011年3月11日の震災で原発事故の問題が現実になった。50数年前から、原発の問題を声高に叫んでいたが政治は聞く耳を持たなかった。  手のつけようがない放射能廃棄物の問題とこれから幾らかかるかわからない事後処理や原発廃棄の問題も今の政治能力では効果的な方法が打ち出せないようである。  原発についての本気の取り組みの姿勢が見えない。  嘘から嘘の情報を

  • 5・7・5アラカルト   川柳17

     トンネルの切れ目切れ目で過疎が昏れ   進藤一車  昭和の40年代頃から過疎の問題が少子高齢化と一緒に世間の話題になっていた。その頃の状況をうたった川柳が上記の一句である。  あれから、50年過ぎても政治は無策である。やっと地方創生などと政治能力のなさをさらけ出して慌てている。  誰だったか人気のあった首相が市町村の大合併をやって、過疎の地方はいよいよ過疎になって見る影もない。  自然の姿が美し

  • 5・7・5アラカルト  川柳16

     不渡りと五輪音頭が入り乱れ   後藤閑人  東京オリンピックは、1964年(昭和39年)10月10日(後の体育の日)から10月24日の期間にかけて日本の東京で開かれた。  五輪音頭に踊って一攫千金を夢見た人が多くいたが本当に儲けたのは限られた人だけで、大多数の人が不渡りを手に大変な生活をした。  さて今回の2020年の東京オリンピックで笑うのは誰だろう。 スポーツの夢を食いものに一儲けする賢いや

  • 江戸川柳 色は匂へ  「の」 後 添 のちぞへ

     後ぞへは支度も里もないをいれ  後妻を迎えるのは江戸時代でも大変だったようである。支度がどうの里がどうのと言っていては来てはない。条件なしの元気者が一番である。だから、相手も再婚者や水商売の女が多かった。  後添の連れてくるのは女の子  江戸時代では離縁の際、男児は父、女児は母が引き取るのが原則であった。  落語などでは、江戸では独身男性が多かったので大奥勤めや水商売上がりや後家さんは再婚に不自

  • 江戸川柳 色は匂へ  「う」 瓜 実(うりざね)瓜実顔の略

     瓜ざねを見せてかぼちゃと取っかへる  今も昔もある替え玉作戦である。見合いの時には瓜実のような細面の顔を見せ、いよいよ婚礼となるとまん丸いごっつい顔のかぼちゃと取り換える。  見ましたは細面だともめる也  ということになる。  現代では替え玉で問題になるのは運転免許試験や入学試験で事件になることはあるが、結婚ではもうそんなことはない。  それに近いことは、写真修整の技術がレベルアップして、写真替

  • 5・7・5アラカルト   川柳15

    子を還えす犠打ばっかりで夫婦老い  正谷柳筇子(りゅうきょうし)  ホームランを打つわけでも、クリンヒットを打つわけでもない。ただ相手を進塁させる犠打に徹して役割を果たして一生を終える。  子どもたちを世に送り出し、一歩一歩前進し、成長していく姿を見ることは親にとってこの上ない喜びである。  犠打こそ、親にとっての最高の勲章である。  夫婦の満足感が伝わってくる。ごくろうさん。よかったですね。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「む」 虫 歯

     物や思ふと人の見る虫歯やみ  「しのぶれど色に出にけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで」平兼盛  男は様にならないが、女性がうつむき加減に物思いにふけっているように見える様子は、それが虫歯であろうと腹痛であろうと男の心を引き付ける。不思議な心理である。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ら」 羅生門

     草履取君命で行く羅生門  羅生門河岸=吉原の東側のはずれの通りの名。西側の西河岸と同じく切見世がある。切見世は江戸吉原の最下級の女郎屋。1軒1妓が原則。切(きり)とは時間売りの意。1切(ひときり)100文が相場であった。  主人が妓楼に行くとお供は共部屋で主人の帰りを待つ。物わかりのよい主人は金をやって切見世へ行かせる。粋な計らい。  羅生門河岸うでづくで引あげる  羅生門の渡辺の綱とは反対に男

  • 江戸川柳 色は匂へ  「な」 投込(なげこみ)

     なげこみと言て生花しかられる  投込=共同墓地の異称。死んだ女郎や行き倒れを葬る所。  三ノ輪の浄閑寺、新宿の成覚寺などは投げ込み寺と呼ばれていた。  生け花でいう「投げ入れ」を投げ込みと言ってしまえば大変な違いである。このような間違いはよくあることで、結婚式で使う言葉と葬式で使う言葉を取り違えた例が記憶に残る。 「お日柄もよく」「ご愁傷さま」「ご会葬」などなど。  穴ほりと言って門松しかられる

  • 江戸川柳色は匂へ  「ね」 念仏講

     とるもうしとらぬも損な念仏講  念仏講=真宗の信徒の定期集会。掛け金をして講中の死者に弔慰金を贈る。  死んで弔慰金をもらうのは嫌だが、といって長生きして掛け金を出すばかりでは損をする気分だ。  掛け金は現在の掛け捨て生命保険に似た心理だ。    死にそうもないので念仏講を退き    そのとたんに亡くなった知人を知っている。    掛け金はお布施と思い生かしてもらっていることの感謝にしよう。

  • 5・7・5アラカルト 川柳14

     スポーツをギャンブルにして国貧し   樋川すみ枝  競輪、競馬、競艇とスポーツ三大ギャンブルから、パチンコ、野球賭博とギャンブル依存症で職を失い、家庭崩壊を招いた日本人が50万人にのぼるこの時期にいよいよ真打登場で「カジノ法案」が衆院予算委員会を通過した。  公営でギャンブルを公認していくことの問題点を深く考えていかないと国を潰すことになりかねない。  収益の一部を依存症対策に充てるということで

  • つぶやき56  575と性格傾向

     たまに時間つぶしに575と性格傾向について考えることがある。 1 赤い椿白い椿と落ちにけり      河東壁梧桐 2 子には子の悲しみがある虫の墓     一  車 3 山寺の石のきざはしおりくれば   椿こぼれぬ右の左に         落合直文  黒板に書いて、あなたの好きな作品を一つだけ選んでください。  俳句や短歌を選んだ人はどちらかというと「花鳥風月」を好み天地自然に関心が向きやすく、

  • 江戸川柳色は匂へ  「つ」 通

     やぼにしてゐる事だよと通なやつ 通=遊びや生活において垢抜けして洗練されていること  先輩の一人にとても通ぶって後輩の面倒を見る男がいた。昼間のお勤めは粋なスーツで、夜の宴席では和服に雪駄という格好で、会を取り仕切り後輩の面倒をよく見た。  いくら通ぶっても通からははるかにかけ離れていた。男気があって自分の金を気前よく使って、きれいにさっぱりと遊ぶのではなく。  あとの見返りを計算して、労働組合

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