• エッセイ 良書について

    良書に解はない。その代わり、よくよく吟味された問いがある。      〇 何かにつけ、正解を求めずにいられない人は、まだ、学校を卒業できずにいる人である。      〇 本を読みたいが、何を読んだら良いのかわからないというのは、今の多くの人の悩みのようである。岩波文庫は一部を除いて、新潮文庫はある本を除いて、角川、文春、講談社、PHPなどの文庫のある本には、とても良い本がある。まずは、自分にとって

  • 妄想 森鴎外  を読む

     森鴎外の「妄想」はエッセイのようであり、私小説、詩のような部分もある。鴎外は夏目漱石ほど人気はないが、漱石より魅かれるところがある。  下部に挙げる文脈でそのわけが判ったような気がした。文中のハルトマンはエドゥアルト・フォン・ハルトマンのことだと思われる。  形而上学と云ふ、和蘭寺院楽(オランダじゐんがく)の諧律(かいりつ)のやうな組立てに倦(う)んだ自分の耳に、或時ちぎれちぎれのAphoris

  • エッセイ きれぎれ草 3

    歎異抄 たましいの奥底に墨で大書されたような文言。 これはどんな人間のたましいにも応ずる。 善人だろうが悪人だろうが。 「たとへ、法然上人にすかされまいらせて、念仏して地獄に堕ちたりとも」 「すかされ」という俗語が、肉体的に痛切と言っていいくらいの血の匂いがする。 なんという奥深さだろうか。 親鸞の手振りや口調まで伝わってくるようだ。 親鸞にはもう一つ美しい言葉がある。 「弥陀の本願はひとへに親鸞

  • 「幸福について」ショーペンハウアー 新潮文庫

    ショーペンハウアーは幸福について独特の考えを持っていました。ショーペンハウアーの隠れた思想に貴族主義があります。精神の貴族として繊細な感じやすい精神を持った人間は、できるだけ俗悪な人々との交渉を避けて、安逸な静かな生活を送るように心掛けるべきだと言います。弟子のニーチェの考え方とは相容れないものです。ショーペンハウアーを最初に認めた人はゲーテでしたが、彼は、そのゲーテを私の見解と正反対の生き方をし