• 江戸川柳 色は匂へ  「た」の3 鯛 4 大伽藍(だいがらん)

    ひだを直しながら鯛の先へ立ち    威儀を正して進物にする鯛。  江戸時代の鯛は、めでたい魚とされ祝に送る習慣があった。特別の魚である。 まだうごく尾へ奉書の紙をかけ    祝いの儀式、ありがたく頂戴。  奉書=上意を奉じて侍臣・右筆(ゆうひつ)らが下す命令の文書。 鯛ぐらいただうんうんと御あいさつ  賄賂流行時代、鯛ではねえ。うんうん。 鯛肩身釣るまで待つと夫人なり    女の実利主義、まつわ、

  • 江戸川柳 色は匂へ  「よ」の3 吉野山 4 吉原(よしわら)

    吉野山十七文字ではほめたらず   字余りで褒めたんだ。  参考 貞室の俳句「これはこれはとばかり花の吉野山」は一字多い字余りの句である。 吉野山むだ花の咲く四十年   南北朝の戦で花見どころではなかった。 4 吉 原 吉原の方へ死んでも枕をし    北枕のこじつけ、男の性か。  参考 江戸で唯一の官許の吉原は、男の社交場でもあった。男の関心は常に北(吉原の異称)にあり、死んでも北枕になって吉原の方

  • 江戸川柳 色は匂へ  「か」の3 鏡 4 学問

    おはぐろが喰いつくやうに鏡を見   真剣勝負の顔だ。怖いぞ。 参考 おはぐろ液を口の中に垂らすと異様な味がするので慎重を要する。 月食に向って下女はぬり立る     曇りかがみを手で拭いて・・・ 鏡へむかい鼻など下女つまみ     つまんでもたこうはならんで 鼻息で近目鏡をくもらせる      まったく、メガネがくもる。 4 学 問 学問とはしごは飛んでのぼられず   すべてが継続の力に欠ける時代

  • 江戸川柳 色は匂へ  「わ」の3 若旦那 4 わっち(私)

    若旦那夜はおがんで昼しかり     昼主人、夜家来 たいへんですね。 いふ事を夜きく下女は昼きかず    頭上がらないな、まあいいか。 若旦那さまと書いたを下女おとし   親父に拾われたら大変だぞ。 4 わっち みづからをすててわっちをご寵愛   わっちの方がおもしろいや。  参考、みづから=身分ある女の自称 わっち=中以下の町家の女の自称 屋しき中わっちが思ふやうにする   あやつられるバカ殿様

  • つぶやき 114  捨てることも拾うことも難しい

     蔵書の整理をしようとしたのであるが自分が気に入って買った本はそう簡単に捨てることはできない。  手にするとついつい残してしまう。  そこで、娘に頼んで蔵書の整理をしてもらった。  娘は思い切りよく捨てる捨てる。あっという間に本箱2つ分4割がた整理してしまった。  まあ、スッキリしましたね。自分ではできない整理です。  流石にノートやメモは、もうしばらく手元に置いておくことにした。  ノートを手に

  • 江戸川柳 色は匂へ  「お・を」の5 大三十日(おおみそか)

    大晦日首でも取って来る気也    いざ出陣、無事のお帰りを。  参考、江戸時代の大晦日の意味を知らないと落語の鑑賞はできない。庶民の支払いは盆と暮れの二期払いか、年4度の支払いとなっており、決済の時期が長かった。  だから、掛け売り代金を取り立てる方も代金を支払う方も、首を取るか取られるかの真剣勝負であった。井原西鶴の世間胸算用「掛け取り上手の五郎左衛門」や町人の生活の悲喜哀歓が伝わってこない。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ぬ」の3 抜身 4 濡れの幕

    抜身の中へ飛込むは湯番也     湯屋での喧嘩はつい笑っちゃうね。  抜身=抜いた刀。転じていわゆるふりちん。 義朝はぬき身をさげてうち死し   侍や暴力団員の抜き身は命がけ。 4 濡れの幕   ぬれの幕=濡れは情事の意。歌舞伎で男女の痴態を演じる場面。 ぬれの幕などで仲人返事させ    仲人の作戦。にくいね。 ぬれの幕下女のび上り叱られる   夢中になってしまったわ。 元禄前句附 15 (前句)

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ち」の3 地女(ぢおんな)4 乳

    地女にびれつくむす子高がしれ   大胆に金を使えよ。色道を極めれ。 参考 地女=素人女、地ものともいう。びれつく=色気を出す。でれでれする。 「ち」の4 乳 かりた子に乳(ち)さがされてちぢむなり  かあさんじゃない。姉さんだよ。くすぐっ                      たあ。 乳の黒み夫に見せて旅立たせ      分かりましたか。了解。 いい縮み嫁の乳首がすいて見へ     大胆な嫁だ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「と」の3 湯治 4 富

    一チ弐もく湯治がえりはつよく成り   退屈は碁を強くする。 湯治場で何にも知らぬ残念さ      勝負事・芸・博打、知らないよ。 湯治から帰ってわるい芸がふえ     花札も強くなったぜ。 「と」の4 富 一の富どこかの者が取りは取り    誰かが取っているはずだからなあ。  参考=一の富は寺社で行う富突と称する富くじの第一の当たり。富札は壱歩で、百両富・千両富などがある。政治が大衆一般を動かす手

  • 江戸川柳 色は匂へ 「へ」の3 下手(へた) 4 部屋持

    下手将棋袖を引かれてねめまわし    えっ。いい手、それともあぶない手。 生きかわり死にかわり出る下手役者   役が多くて、目が回るよ。 4 部屋持 部屋持の細い日なたに桜草    桜草の鉢植えとはいじらしいねえ。  参考=部屋持とは個室を一つ持つ遊女。座敷持より場所が悪く日当たりもよくない。斜めにやっと差し込む出窓に桜草の鉢植えを置くのが吉原で流行した。 元禄前句附 10 (前句)痛まぬほどにつ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ほ」の3 ほころび 4 牡丹餅(ぼたもち)

    ほころびを笑ふは内儀ぬふ気なり   縫ってくれるんだ。ありがとう。 ほころびと子をとりかへる壱人者   子守りたのむよ。はあーい。 4 牡丹餅 ぼたもちをいさぎよく喰ふ嫁の里    つきもの(姑)が落ちたのかな。 ぼた餅も砂糖しだいで息子喰い     実利主義者。うまくいけばそれもよし。   参考=ぼた餅は醜婦の異名。砂糖は持参金。 ぼたもちとぬかしたと下女いきどおり  愛しさの裏かも。難しいぞ。

  • 江戸川柳 色は匂へ  「に」の3 二十七(にじゅうしち)

    功成り名とげて身退く二十七     よくがんばったね。これからが大変だよ。  参考=老子「功成リ名遂ゲ身退クハ天ノ道ナリ」 二十七歳は遊女の年季の明ける歳。  親の苦境を救う目的を立派に果たして勇退していく、若い時は玉の輿に乗るチャンスもあるがそんなことはめったにない。二十七歳の意味を知らないと分からない川柳が多い。 仕合さ年を四五年置て行き       22・3で身請けされたのね。 二十八歳無沙

  • 江戸川柳 色は匂へ  「は」 はずかしさ

    恥しさ知って女の苦のはじめ      江戸封建の女の定め。男尊女卑。 物の味一日知れぬはづかしさ      初めてのお歯黒の日です。 あごばかり出してゐてさえ恥かしい   婚礼の丸綿緊張しますわ。 恥しさつい三月たち四月たち      はやく公開して祝ってもらえると。 元禄前句附 4 (前句)あまり淋しく文の徒書(むだがき) まだ若き法師に角(すみ)の跡有て あまり淋しく文の徒書   角=角前髪の

  • 江戸川柳 色は匂へ  「い」の4 意見

    わがどらを先へ話していけん也   わしもわかいときはなあ・・・      どら=無軌道な金使い、とくに遊里での乱費をどらを打つと言う。 来るとまづ異見巧者は蔵へ呼び   さすが、誰にも見られないように。 長意見小便ひまをもらって出    あのう、あのう、でそうなんです。 人に言ふ異見を聞いちゃ一人前   江戸にも寅さんが居たんだ。 むりな意見は魂を入れかへろ    仙人でも無理じゃない。器用なこと

  • 江戸川柳 色は匂へ  「す」の2 捨 子

    今すてる子にありたけの乳をのませ    親心。せつない。 泣くよりもあわれ捨子のわらひ顔     泣けるなあ。貧しいこととは。 拾はるゝ親はやみから手をあはせ     江戸の貧富の格差だ。 元禄前句附 1 (前句)寝るほど寝ては心よきもの 百億の黄金も下戸はもち腐(ぐさり) (前句)寝るほど・・・  どんなに財産を持っていても酒が飲めないやつは可哀そうだよ。酔ってぐっすり寝て、気持ちよく目覚めるこ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「せ」の2 蟬

    つかまると蟬は地声で鳴ている     あれが地か。 蟬のなく下に子供が二三人       よく見かけた昭和。 蟬がなき出すとお世話になりました   通り雨、もう大丈夫だ。 江戸川柳  前句附  冠附(上五) 沓附(下五)  江戸川柳を鑑賞するときはその表現形式を知っておくとよいようである。中でも代表的なのが前句附である。点者(選者)がお題を出し、それに対して五七五の十七文字で応える。読み上げる時は

  • 江戸川柳 色は匂へ  「も」の2 孟子 3 物思(ものおもい)

    おっかさん又越すのかと孟子言ひ   お前のためだよ。がんばろう。 習わぬ経を覚へたで孟母越し     目的達成。さて、次はどこへ。 荘子のは夢が花野をかけ廻り     荘子は夢に蝶。芭蕉は枯野を・・・。 3 物 思 掃く先をやうやうと立つ物思ひ    さっさとどいてよ。あんたあ。 母おやもともにやつれる物思ひ    娘のことは娘にまかせなさい。 のびた首ちゞめて鷺の物おもひ    一本足で何考えて

  • 江戸川柳 色は匂へ  「ひ」の2 人魂 3 緋縮緬(ひぢりめん)

    間に合はぬ医者人だまを道で見る   遅かったのね。成仏を。 上戸の人玉やったらに跡を引     酒のみはこれだから。いや。 人魂の頓死と見えて矢のごとし    はやかった。光陰矢の如し。 人魂も労咳やみはぶらぶらし     ぶらぶらと栄養ばかりとりまして。 金もちの人魂行きつ戻りつし     残した金が気にかかる。 うねくって飛ぶ人魂はしうとばゞ   曲がって、厳しいばゞの影 間ぬけな人魂ひるてん

  • 江戸川柳 色は匂へ  「し」の2 始皇帝 3 叱る、呵る

    いさめるとあなだと始皇おどす也   禁固、投獄、情報で潰す現代。  始皇帝=秦の皇帝、焚書坑儒を命じた独裁者。昭和10年代の日本の軍閥政府も禁固し、投獄し、また、危険な戦地に配属した。 3 叱る、呵る 女房をしかりすごしてめしをたき   なんであんなに叱ったのか、後の祭り。 女房をしかると膝でべそをかき    べろべろばあ。よしよし。金坊よ。 しかられるたびにむす子の年が知れ  もう、いくつになっ

  • 江戸川柳 色は匂へ  「み」の2 水茶屋 3 神子(みこ)

    水茶屋の娘の顔でくだす腹    腹をくだすまでお茶を飲む馬鹿。  水茶屋=葉茶屋・料理茶屋・色茶屋・出会茶屋などに対してお茶を飲ませる茶見世。浅草の二十軒茶見世が有名。  今も昔も美人を置いて客を呼ぶのは同じ。 さわらば落ちん風情にて茶やはやり   誤解させる方が悪いのか。誤解する方が悪いの                    か。 水茶屋でせいいっぱいが手をにぎり   純なお方。朗報があるよ。

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