• 「家族」 新たな生活 2

       営業が始まるとすぐに客が集まり出し、コーヒーと軽いサンドウィッチを楽しむ。決して安い価格ではないが、調度品は見合ったものを設え、コーヒーも自家焙煎された豆を注文を受けてからミル挽きし、一杯一杯丁寧にドリップされ、コーヒーフレッシュは使わず、生クリームが提供される。  言うまでもなくコーヒーフレッシュはミルクの代用品で、広く一般化したフェイク食品である。水と油を様々な添加物を加えミルク風に仕立

  • 「家族」 新たな生活 1

     朝、綾香が目覚めると、身体にフィットしたスポーツウェアを身に纏い、出かける準備をしている英子の姿があった。  「おはよう綾香ちゃん。私ね、これから30分ぐらい自転車に乗ってくるからその間少し待っててね、お腹空いてたらご飯用意してあるから食べててね」  楽しそうに出かける英子を、綾香は自転車置き場まで見送った。    自転車置き場は屋内にあり、他に数台の自転車と工具、部品が綺麗に整理され、まるで小

  • 壊れた写真と出来上がった小説

    昨日はカレーも食ったし、ラーメンも食ったし、ネギも収穫したし、ニンジンも抜いたし、酒も飲んだし、一杯写真を撮ったのに、パソコンに移す時にエラーが発生して、折角の写真が全部壊れてしまった。 もう十年ぐらい使ってるデジカメだし、そろそろダメなのかなあ。 従って今日は菜園の記事はありません。 あしからず。   それはさておき、構想一か月、創作期間約二か月(短っ!)で完成したちょっとエッチな恋愛小説が完成

  • 「家族」 旅立ち 4

     食事をしながら綾香は、  「今日、初めて富士山見たんです。綺麗だったぁ~。それにね海も初めてみたの。そのとき思ったんだけど、地球って本当に丸いかも知れないなって、変でしょ、私。地球が丸いなんて見たこともないし、感じたこともないし」 と微笑む。英子はうなずきながら話を聞き、  「そうね、綾香ちゃんが自分の目で見て、感じることが大切よね」 と、忘れかけていた大切なことを、自身に言い聞かせるように話し

  • 月夜の女⑤

    拓弥は頭をかきながら、神妙な表情で理井に向かう。 「わかったよ。種明かしする。」 「そうして頂戴」 理井は拓弥の申し出に対して、紋切調で対応する。 「VRの新製品の実験をしてるんだよね。一般人を使って。なので、さっきの映像とか昨日の映像は、全部バーチャルリアリティでやっていたの。」 「拓弥は昨日突然大きなケダモノに変身したわ。」 「それもVRなんだよね。ダイナミックVRっていう手法を用いている。あ

  • 「家族」 旅立ち 3

       英子は運転をしながら綾香に話しかけるが、返事はするものの自分から積極的に話すことは何もなかった。  車は市街地を外れ、森の中にある建物の敷地に停まった。山の麓に丸太で造られた建物は、温もりを感じ辺りの景観を壊すことはない。  中に入ると1階はギャラリーで、販売用写真や非売品の写真、金色に塗られたレコード盤などが展示され、美術館、博物館のような趣である。奥には50席ほどのカフェも併設されている

  • 「家族」 旅立ち 2

     少女は普通列車を乗り継ぎ、住所と同じ名前の駅に降り立ったが、写真の風景などどこにも見当たらない。  交番に入り写真集に出ていた住所を尋ねると、対応した初老の警察官は、住所、氏名、生年月日など多くの質問をし、入った無線に返事をしてその場所をようやく教えてくれた。それはただ、ロータリーを挟んで目の前であるだけだ。  少女が礼を告げ交番を出ると、警察官は少女が尋ねた写真館に電話を入れ、  「捜索願いは

  • 「家族」 旅立ち 1

     夜明け前の暗がりの駅ホームで、始発電車を待ち、一人の少女がベンチに腰を降ろしている。  中学を卒業した翌日に、使い古したザックを背に家を出た。この時期はまだ冷え込み、手を丸めては息を吹きかけ擦り合わせ、膝を小刻みに動かしている。15年もの間過ごして来たが、生まれ育った土地を離れる寂しさはない。  学校の成績は優秀であり担任は進学を勧めたが、本人は希望せず就職も決めていない。親が進路相談で学校を訪

  • 月夜の女④

    『平穏な時間軸に宙と無があって、それを司る闇の番人がいたとして、君は僕にとって天使になるだろうか?それとも悪魔?』 理井は上りゆく月を見上げる。膝小僧を少しさすりながらスカートの裾を少し気にした。 『じゃぁ、有限の暗闇の中に平穏な水平線。そこに浮かんでいるのは雲?それとも船?』 理井は彼が自分の前から突然消滅したあの瞬間にさかのぼり、過去に繰り返した彼の不思議な質問をいくつか思い出していた。 「本

  • 小説

    おはようございます 趣味で小説(二次創作)書き始めました(*ˊ˘ˋ*) ど素人で下手だけど書けたらブログに載せていこうと思います

  • 月夜の女③

    彼女は名前を、北野理井(きたのりい)と言った。茶褐色のヒールを履きこなしたかと思うと、パタパタとスリッパのようにも扱ってみせる、少しあどけないところがあった。年齢は24歳。身長は150センチ後半で細身のスーツが良く似合うタイプだ。 昨日までの現実を想像の彼方に追いやり、長い髪を細いリボンで結うかのようにまとめて髪の毛の中にそれを押し込んで目立たなくしてしまった。 通勤電車に乗ると理井と同じような恰

  • 月夜の女②

    「君にとって僕は死神なんだよ。君の死ぬまでの残り僅かの時間を預かって、夜の闇の世界からやってきた。」 僕は月あかりの中に少し涙ぐむ彼女を目の前にしてそう告げる。彼女はその意味がよくわからないらしく、冗談でも言っているのだろうかと言うような、不思議な表情を浮かべて少し空を見上げる。 「今日のこの時間、きっと忘れないと思う。」 「君にとって僕は単なる死の宣告人だよ。そうだとしても、そのように言うのかい

  • 月夜の女①

    「このまま時間が止まってしまえばいいのに。」 彼女は僕にそうやって睨み返しながら言った。 「なんで?なんで私があなたと別れなきゃならないの?意味がわからない。」 彼女は長い髪を振り回しながら僕に背を向けた。 窓からは月あかりが部屋中に注ぎ込まれていた。 「ねぇ、あなたと私、人生のどれくらいの長い時間を一緒に過ごしたのか、わかってるのかな?」 彼女は手を後ろ手に組んで僕に背を向け続けた。 「何が、何

  • 晩御飯

    鶏もも一枚、いもとかぼちゃの天ぷら、チーズ、セブンの茹で玉子、しめじと海苔の味噌汁。 なんか今日歩いていたら突然、なんというか簡単にいうと「リア充みんな爆発すればいいのに」みたいな気持ちになり、鶏もも一人で一枚食べちゃうもんねー! となりまして。 ほんとはピカタにでもしようと思ってたんだけど、頭がぱーんとなってめんどくさくなりました。 焼いただけなのも美味しいねー。 へー糖質オフかあ、と思って買っ

  • 我々は「アリ」である

    名前はまだない。 君にも名はない。 死ぬまで誰も名付てはくれないだろう。 なぜなら私も君も「蟻」だからだ。 我々にはアイデンティティなど必要ないのだから。 巣を出て、仲間の作った道を辿り、餌を見つけて帰ること。それが役目だ。 サボる仲間もいるが、私には関係はない。 体の動く限り仕事をすること、 それが私の生きる意味だ。

  • 甲子園 2

    今日は家族が待ちわびたドラフトの日 家族はみんな緊張していた 原辰則が指名された時である 余談ですが 私の中学のクラスメイトも甲子園のマウンド踏みましたが 指名はありませんでした 原監督率いる東海にボロ負けです。 話を戻します 脱線してご勘弁 家族誰しも同じ思いである 指名されますように 無情にも どの球団も指名は無かった 兄は諦めた 俺の野球人生はここでおしまい 進学させてね おふくろ 母一人の

  • 甲子園 3

    今日は甲子園の決勝戦 彼は冷えた缶ビール片手にテレビに釘付けである 母校の野球部が久しぶりの甲子園での活躍 監督はチームメイトで特に仲のいい奴だ マスメディアが彼の偉業を褒め称える 母校の大活躍 後輩達の活躍 嬉しくないはずがない 前の晩 監督であるチームメイトに激励のメールも出した ついに優勝である  奴が母校の優勝監督  長男は複雑な心境だ  妻は留守である 二人はいつもすれ違い  妻は陶磁器

  • 甲子園 1

    人のいい亭主であった  男前であった 家族思いの父でもある 一家の大黒柱である 働き者の妻もいる 妹思いの兄がいる 可愛い妹二人がいる 家族の平和が突然音もなく崩れていく 父親が離婚届テーブルに残し 蒸発である  人のいい父親の性格に付け込んだ悪人達に嵌められた 膨大な借金が家族に残された 妻は働いた 妻は田舎の親戚頼り借りられるだけ借りる  夫の蒸発前にも貸してるのに返す当てあるのかと親戚に問い

  • ドッペルゲンガー

    「ドッペルゲンガーに会うと死ぬ」 一度は聞いた事がある話だと思う しかし本当に死ぬ訳では無いのだ 今日は僕の友人が ドッペルゲンガーに会った話をしよう 最初は双子の妹が出来たみたいと 嬉しそうに僕に話してきた 確かに目元の感じは似ていたが 瓜二つとまではいかなかった しかし友人の日常も少しずつ 歪み始めていった ある日 「いいなぁ、いいなぁ」 そう言って2人で 同じ服を買ったそうだ 「いいなぁ、い

  • Web作品一覧(1000字)

    QBOOKSで1,000字や3,000字の掌編を書いています。 昔はもっと賑わっていた時期もありましたが、だんだんと参加人口が減っている。 人口が減っている原因の一端を担っているかもしれないのでなんとかせねばならぬのです。  みなさんもどうですか(なんとかしようとしている)。  以下、リンクです。 1000字  第50回 「ヲニト」(掲載時タイトルミス)(2013.09)  第51回 「オッケーオ

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