• 「私の幸福論」福田恆存 ちくま文庫

    福田恆存は現代の作家です。演劇、翻訳、評論など多岐に渡って活躍しました。シェイクスピアの翻訳でもよく知られています。この書はわたしにとっては忘れられない本で、浪人時代の精神的な支柱になったということもあり、このおすすめ本の中に入れました。現実は確かに不平等である。だが、不平等だからと言って不平ばかり言っていても仕方があるまい。与えられた環境をそのまま是とし、そこから歩き出すべきであろうという著者の

  • エッセイ 自由という女神 「『罪と罰』考」

    「罪と罰」のラスコーリニコフは、自分で抱いた自由思想を全人格で実践した男である。そこには、何の妥協もないのであって、誰にも、それを止める力はなかった。そうして、凶行を遂げた後に、良心の呵責が容赦なく襲いかかっても、自由を追い求める彼の悪魔的な頑強な人格は、それによって、崩壊することはないのである。そうなのである。彼は、豊かな良心を持った殺人者という、一見、不可能と見えるパラドックスを、強硬に生き抜

  • ハムレット <高貴な自由精神の悲劇>

    ハムレットは復讐劇である。忠臣蔵がそうであるように悲劇に終わるより他はない劇である。ただ、ハムレットは非常に多弁で、内蔵助は非常に寡黙であるということは、また、別の話になるのだが。 ハムレットの自由精神は、比喩を使えば、いわば、復讐心という暗い感情を垂直軸にして、その回りを振り幅が非常に大きい螺旋状に下降する感情として運動していき、最後の大団円で、それが交わるように、描かれているように見える。そう

  • ドストエフスキーの時間感覚 <大胆な革新性>

    ドストエフスキーの小説、特に「罪と罰」以降の作品には、独特の時間が流れていることは誰も指摘することだが、それについての詳細な論は読んだことがない。 ここで少し、それについてかんがえてみたい。まず、ドストエフスキーの時間の扱い方だが、ドストエフスキーは、じつにうまく現実の時間を利用していることである。小説には小説自体の時間の進み方がある。例えば、トルストイやバルザックは、その小説の時間進行を妨げるよ

  • 「じゃじゃ馬ならし」シェイクスピア 新潮文庫

    性悪で、手の付けられないような気の強い女が、劇の最後には、素直でどこに出しても恥ずかしくないような立派な女性に変貌するというちょっと有り得ないと思えるような喜劇です。主人公の女は、まさにじゃじゃ馬を絵に描いたような女で、思いつく限りの性悪な悪事をしでかします。この女の教育係を買って出た男は、また、あらゆる手段尽くして馬を調教するようにこの女を教育します。そのとき、彼は、女性本来の自尊心を傷つけるよ

  • 「あらし」シェイクスピア 新潮文庫

    シェイクスピアの書いた最後の傑作と言われています。ミラノ公で魔術師プロスペローは、娘ミランダとともに、とある島で隠遁生活を送っています。島には様々な妖精たち、中にはキャラバンという性悪な怪物もいます。プロスペローは魔術を使い、ある船を難破させ、乗組員たちを全員島に漂着させます。ミランダの夫に相応しい男を見つけるためでした。全編に、すべてを見通したような抒情性が漂い、こう言って良ければ、安息で静謐な

  • 「ヘンリー四世」シェイクスピア 岩波文庫

    劇中、最も魅力のある喜劇人、太ったフォルスタッフの登場する史劇です。フォルスタッフの登場する場面は、どこでも空気が緩みます。フォルスタッフにはおよそ徳というものがありません。悪徳さえ身につけなかった男といっていいでしょう。生きていること自体が、愉快でしょうがないような人間です。何をやらかすにしても真っ当なことはできませんが、人を笑わせるツボだけは誰よりもよく心得ています。登場するたびに今度は何をし

  • 「ヴェニスの商人」シェイクスピア 岩波文庫

    金貸しのユダヤ人シャイロックが登場するシェイクスピアの中でも、よく知られた作品です。ユダヤ人の典型的な性格が描かれているとして有名になったのですが、劇の面白さは、むしろシャイロックが法廷で負けて退場した後の、恋人たちの語らいの場面にあります。ここでは、まったく手垢に汚れない生まれたばかりのロマンチシズムの典雅な発露があります。数多くのロマンチシズムの恋愛作品の中でも、殆ど唯一の、際立って幸福感に満

  • 「オセロウ」シェイクスピア 新潮文庫

    シェイクスピア四大悲劇の中で、もっとも家庭的と呼ばれている悲劇です。オセローは、愛を誓い合ったデズデモーナに嫉妬をするのですが、オセローの気高い心は、この嫉妬によっても、少しも傷つけられることはありません。策略家のイアーゴーの唆しに乗って、最後は、自分の手で最愛のデズデモーナに手をかけて殺してしまうのですが、それが、イアーゴーの讒言に過ぎなかったことが分ったら、いとも簡単に、自分自身にも手をかけて

  • 「マクベス」シェイクスピア 新潮文庫

    シェイクスピアの四大悲劇の中で、もっとも色調の暗い悲劇です。これは、マクベスが本物の悪人に他ならないことから来ています。王の高貴な血筋を断ったマクベスは、自ら、王位簒奪者になります。魔女の予言にいいように振り回され、権力をわがものとするために、殺し屋に暗殺を依頼します。マクベス劇中もっとも暗い場面です。マクベスは、魔女の予言を信じ悪に手を染めるのですが、自ら悪人となる道に賭けるように行動し、本物の

  • 「リア王」シェイクスピア 新潮文庫

    シェイクスピアの四大悲劇の一つです。リアは領地をめぐる話し合いの際、最愛の娘コーディーリアから、素気ない言葉を聞き、あっという間に信用のならない二人の姉に領地を与えてしまいます。この振る舞いが劇に正邪の反転したような狂気の性格を与えます。リアの怒りは自分の蒔いた種に他ならないのですが、自然力を思わせるようなその狂的な怒りには、何もかもを飲み込んで行く奔流のような抗し難い偉大な勢いがあり、われわれは

  • Bill / 映画

    BBC製作のイギリス映画。 「Bill」ではピンと来ないかもしれないが、Bill(ビル)はWilliam(ウィリアム)のニックネーム。 イギリスで有名なウィリアムといえば...そう、偉大なる劇作家ウィリアム・シェイクスピア。彼がこの映画の主役だが、、、従来イメージするような格好良く、シリアスな彼のイメージは早々に忘れ去ることが必須! というのも、この映画、歴史ものなのにとびっきりコメディーなのだ!

  • 「ハムレット」シェイクスピア 新潮文庫

    「生きるべきか死ぬべきか、それが問題なのだ。」など、シェイクスピアの作品の中でも、名文句、名台詞に溢れたあまりにも有名な作品です。作中、あらゆるものを突き抜けたように感じられるハムレットの自由感情は、世界中のどのような文学と比べても比類がありません。運命の自然力と人間の自由とが渾然と一体になった、世界文学の最高峰に立つ作品です。

  • シェイクスピアの四大悲劇や名台詞(セリフ)を断捨離

    英和対訳 シェイクスピアの名せりふ 100 (安西徹雄 著) 今年・平成28年の僕の決意でも述べたのですが、今年は例年にも増して「人間について」を勉強しながら、断捨離や使い切る暮らしを実践しています! と言いたいところなのですが、何かと色々あって計画通りに進んでいないんです。本日、なんとかこのウィリアム・シェイクスピアの本を最後に読んでから断捨離しました。今までにも何度か通しで読んで、時々パラパラ

  • 車の中で聴く英語CD 2 「THE ESSENTIAL SHAKESPEARE LIVE」

    「THE ESSENTIAL SHAKESPEARE LIVE」 5月末から車の中で聴く英語CDとして 「Shakespeare's original pronunciation(BRITISH LIBRARY)」を選び 聞き続けてきましたが、 そろそろさすがに飽きてきましたので 次の CDに入れ換えました。 これから車の中で聴くのは、 「THE ESSENTIAL SHAKESPEARE LIV

  • 「ハムレット」 シェイクスピア - 福田恆存訳 この夏の僕の新潮文庫の1冊

    HAMLET  William Shakespeare ハムレット ウィリアム・シェイクスピア - 福田 恆存(ふくだ つねあり)訳 新潮文庫 原題: The Tragedy of Hamlet, Prince of Denmark(デンマーク王子ハムレットの悲劇) 城に現われた父王の亡霊から、その死因が叔父の計略によるものであるという 事実を告げられたデンマークの王子ハムレットは、固い復讐を誓う

  • 「ハムレット」 24時間 - 仕事 - 睡眠 - 食事=シェイクスピアの英語の勉強

    ここ数週間、メチャメチャ仕事が忙しいです。 仕事が充実すると楽しいんですが、 問題は英語の勉強時間が減ることです。 24時間 - 仕事 - 睡眠 - 食事=英語の勉強 ざっくりこんな感じの毎日なので、 どうやって英語の勉強時間を確保するか? 限られた時間の中で何を勉強するか? が大切です。 はい、 シェイクスピアの四大悲劇のうちの一つ 「ハムレット」をリスニングしたいと思います。 CDと本は先日ア

  • Good!! 英和対訳 シェイクスピアの名せりふ 100 (安西徹雄 著)

    英和対訳 シェイクスピアの名せりふ100   安西徹雄 著(丸善ライブラリー) 第Ⅰ章 All the World's a Stage 世界は舞台 第Ⅱ章 Love and Passion 愛と情熱 第Ⅲ章 Men and Women 人さまざま 第Ⅳ章 The Way to Dusty Death 死んで土に還る道 第Ⅴ章 Philosophy and Imagination 哲学と想像力と 多

  • 車の中で聴く英語CD 「Shakespeare's original pronunciation(BRITISH LIBRARY)」

    僕が聴き始めた英語CD Shakespeare's Original Pronunciation: Speeches and Scenes Performed As Shakespeare would have heard them Hear new meanings uncovered, new jokes revealed, poetic effect enhanced How did Sha

  • 生と死、恋と魂。 「恋に落ちたシェイクスピア」の感想

    生と死、恋と魂。 ウィリアム・シェイクスピアは 一体我々に何を訴えたかったのでしょうか? イギリスを舞台にした映画「恋におちたシェイクスピア」を見ました。 戯曲「ロミオとジュリエット」と1593年のロンドンの 現実の世界が折り重なる重厚なストーリー。 当時の荘厳な衣装や活気ある街の様子。 ヴァイオラ役のグウィネス・パルトロウの白い肌や瞳の美しさは 筆舌に尽くしがたいほどでした。 そして、何よりも全